●婚約破棄ですって…!!でしたら、私に下さい!!●

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★デビュタント〜準備編〜★

シェイプアップ準備①

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怒涛のデザイン作成が終わり、
まるで嵐の去った後のような静けさの中、ルリの疲れ切った声色だけが響いた。


「…色々ございましたが無事にデザインが完成して何よりでございます。
この後はデビュタントに向けてお嬢様のメンテナンスに入らせていただきます。」


「えっ…今日からやるの??もう疲れちゃったし明日からじゃダメなの??」


何を隠そう、セイラは容姿に関して全くの無頓着だ。
それどころか美を保つための努力すら面倒だと思うほどに。
それでもセイラが愛らしい容姿を保っていられるのはルリとルカの影ながらの努力と両親の恵まれた容姿の遺伝のおかげだとは知る由もない。


しかしながら、今回はデビュタント、しかもセイラの婚約者候補探しとも言える大事な舞踏会だ。
さしもの、ルカも嫌がるセイラに苦言を呈した。


「ダメですよ~。"美は一日にしてならず"って言うじゃないですか。
今からでも遅いくらいなんですよ~??」


「まずはお嬢様のお好きなシェイプアップのほうからなさいましょうか。」


ルリは先ほどの疲れ切った様子とは一転し、とても楽しそうににこにこしている。


「私シェイプアップなんて好きじゃないわ!!
…ねえ、本当にやらないとダメ??」


上目遣いで聞いてくるセイラはお世辞抜きにとても可愛らしい。
ベルナールであればコロッと落ちていたであろう。
しかし、そんなことで流される2人ではなかった。


「やらないとダメですよ~。
あれ?…そういえば、お嬢様、最近少し丸くなられました~??
…そのままだとどんどん丸くなって、そのうち子豚令嬢って言われちゃいますよ~??
そんなんでデビュタントなんて出たらエトワール辺境伯領地から令嬢じゃなく、魔獣が参加してきたと思われちゃいますよ??
いいんですか??婚約者候補探しどころか丸焼きにされて舞踏会の料理として陳列されるかもしれませんよ~??」


かなり失礼な発言だが、それが許されるほど双子とセイラの信頼関係は確固たるものだと言える。
そのため、ルカはここぞとばかりに楽しげにセイラをいじり倒す。


「た…確かに最近少しお肉がついてきたかなーとは思ってはいたけれど…。
そんなに酷い!?私子豚でも魔獣でもないわ!!」


「そのまま何もしなければそうなるというお話でございます。
それとも、今から子豚令嬢とお呼びした方がよろしいですか??
それがお嫌でしたら…シェイプアップされますよね??子豚令嬢様。」


「ルリまでそんなこと言うの!?
ルリだけは味方だと思ったのに…!!」


「されますか?それとも子豚令嬢になられますか??」


セイラの抗議をまるっと無視し、ルリは選択を迫った。


後日、セイラ曰く、そのルリの表情からは"もちろんされますよね?子豚令嬢様。"という声が聞こえた気がしたそうな…。


「…はい。よろしくお願いしますわ。」


セイラにもはや拒否する選択肢はなかった。


そんなこんなでセイラは地獄のシェイプアップをすることが決定したのであった。



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