●婚約破棄ですって…!!でしたら、私に下さい!!●

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★デビュタント〜準備編〜★

ドレス作成

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「お嬢様、これからデビュタント用ドレスの打ち合わせとなります。
どのようなものが良いかある程度イメージを出しておいていただきたかったのですが……デザイナーの方がいらしてから一緒に考えることに致しましょう。」


ルリが視線を逸らしながら言う。


「お嬢様のセンスは壊滅的ですからね~!!」


ルカは気をつかう気が無いのかハッキリと言ってくる。
しかし、このお嬢様、鈍感なだけでなくセンスのない自覚もないのだ。


「何言ってるのよ??私のセンスは常に最先端を走っているわよ??」


「最先端ですか~??
たしかに、ドレスのスカート部分と扇に魔獣のクジャーク(カラフルで大きな孔雀)の羽を全面に縫い付けるなんて誰もされてないですもんね~!!」


「えっ?クジャークの羽とっても綺麗じゃない。」


「確かに綺麗ではありますが、ドレスや扇に使うものではありません。
大人しくデザイナーの方と決めた方がよろしいかと。」


「まあ、ルリがそう言うのならそうするわ…。」


あまりの2人からの言われように少し腑に落ちないセイラだった。


コンコンコンッ


「お嬢様、デザイナーの方がいらっしゃいました。
お通ししてよろしいでしょうか??」


「ええ、構わないわ。」


ガチャ


扉を開けて入ってきた男性を見た瞬間、他の人達がピシッと固まった。


「失礼致します。私、"アラフランセーズ"より参りました、デザイナーのルッスーリアと申します。
この度はセイラお嬢様の大切なデビュタント用のドレスのデザインという大役を仰使い、至極光栄でございます。
セイラお嬢様が素敵なデビュタントを迎えられるよう、最高の品をお作りさせていただきますので、よろしくお願い致します。」


しっかりした挨拶だ。きっと真面目なデザイナーなのだろう。
しかし、残念ながら誰1人として彼の挨拶をきちんと聞いていたものはいなかった。
なぜならば…


「ね…ねえ、あなたのジャケットの襟に付いているのって…」


「はい。あの魔獣のクジャークの羽でございます。
セイラお嬢様もご存知の通りエトワール領は魔の森と隣接しており、魔獣の発生率が高くなっておりますから…駆除された魔獣を再利用できないかと考えた結果、クジャークの羽を利用してみました。」


そう、彼のジャケットの襟には少し前に話していた魔獣、クジャークの羽が縫い付けられていたのだ。


セイラが"ほら見なさい!!"と言わんばかりにルリとルカを見るが、ルリはいつもの冷静な態度とは異なり、目を見開き驚いていた。
ルカは…驚いたのも束の間、大笑いしたいのを堪えているためか、肩がプルプルと震えていた。


この独特な感性のお嬢様とルッスーリアで無事にドレスが出来上がるのかとルリは遠い目をしていた。


魔獣のビッグベアー(大きな熊)の牙と爪をアクセサリーにしたい。
ホーリーバタフライの(キラキラ光る大きな蝶々)の羽を髪飾りにしたい。
などなど、魔獣退治の戦利品の標本かのような絶望的なセンスを発揮するセイラ。


しかし、そんな心配をよそに、ルッスーリアはやはり根が真面目なだけあり仕事はできるのか、破茶滅茶な要求に対し柔軟に対応し、デザイン画をどんどん作り上げていった。


ルリのチェックも入り、合計5時間ほどかけようやくドレス等一式のデザインが終わった。


終わった頃にはルカは笑いを堪えるのをやめ、腹を抱えて大笑いしていた。
ルッスーリアとセイラは魔獣の再利用に対し意気投合し、燃え尽きていた。
そして、今回1番の苦労者であろうルリは…疲れ果て表情が一切なくなっていたそうな…。


ルッスーリアは素敵なドレスを作ると張り切って屋敷を去って行った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


いったいどんなドレスになったのか、後ほど明らかに…!!






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