死にたくなる朝に

流される休日

朝にアラームがならなくて飛び起きた。
よく考えたら今日は休日だった。
時計を見れば昼ごはんにはまだ早い時間。
今日はよく眠れた。
いつもより3時間多く眠れた幸福感。

昨日はちゃんとカーテンを閉めた。
朝だと言うのに暗い部屋。
何という背徳感。

今日は気分が良い日に飲むちょっとお高いアールグレイをだそう。
お茶菓子は昨日買った半額のケーキがある。
これが休日！
さぁ、今日は何をしようか。

アラームを消しているはずのスマホが震える。

あぁ、家族からだ。
そういえば帰る約束をしていたんだった。

母さん？
うん、今家を出るよ。
あぁ、そう。
私もまだお昼ご飯食べてないよ。
わかった。
いつもの店ね。
うん、先に注文しといて。
すぐ行くから。



お湯が沸いたがそれを使うことなく火を止めた。
さぁ、早く準備して行かなければ。
ご飯を食べ損ねてしまう。


食堂につくと少しだけ騒がしい店内。
家族のことはすぐに見つけられた。
たくさん食べる兄弟と親。
幸せそうだね。

久しぶり。
いや、帰らないんじゃなくて帰れないんだよ。
今の時期忙しいからね。
ん？
あぁ、ボーナスね。
でたよ。
うん、いいよ。
今日も私出すよ。
いいよいいよ、家族なんだから。

沢山食べな。

私？
いや、暑さでバテて最近食欲なくて。
いいよ、私のことは。
とりあえず食べなよ。

ちゃんと貯めてるのって大丈夫だよ。
あぁ、いいよ。
どれくらいあったら足りそう？
うん、了解。
あとで銀行で下ろしてくるね。
夜までには渡すよ。

そっか、もう入学の準備ね。
必要な物は？
いや、自分ももう働いてるんだから出させてよ。

え、なに。
入学祝いか。
この前買ったゲームは？
あぁもうやってないんだ。
そっか、確かにもう半年も前のことだしね。
わかったよ。
あぁ、あの出たばかりのやつね。
わかったわかった。
ちゃんと新品ね。
任せときなって。

うん？
新しいおもちゃ？
うーん、ちゃんといい子にしてた？
そっか、ならこの後買いに行こうか。

なに、父さん。
楽に稼げていいなって。
…いいでしょ？
毎日が楽しいよ。
本当、好きなことして生きてるって感じで。

あぁ、この後弟たちと買い物に行くから父さんと母さんは家でゆっくりしててよ。
いつもチビたちが居るから大変でしょ。

大丈夫、夜も買ってくから。

分かってるって、妹の分も買ってくから。
とは言っても赤ちゃん服か。
私のセンスに期待しててよ。

いいよ、父さんたちが働けないから私が働いているんだもん。
うん、ここまで育ててくれた分だけで充分だから。

じゃあ、また夜ね。








家に帰って通帳の残高を見ると3分の1が減っていた。
たまにはこういう散財もいいよね。

朝食べれなかったケーキを夜ご飯に考える。
何を？

明日は仕事だ。
私は今日も眠れないのかな。
いつまでこれは続くのだろうか。
不安が心を満たす。

休みなのに疲れが取れないのは何でだろう。

あぁ、目を瞑るのがこわい。

またカーテンを引きっぱなしだ。
明日また痛い程の朝日が私を刺すだろう。





今日も清々しい朝がきた。
さて、仕事だ。