ドワーフと花飾り

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 アルベリルクは今日も朝から酒場に居座っていた。
 椅子代わりの空樽にドッと腰かけ、ビールで満タンになったジョッキを煽る。口ひげには泡がびっしりと付くが、後2~3年で40を過ぎるアルベリルクが気にすることはない。

「もういっぱいくれ!」
「はいはい」
 運んで数分とせずに空になってしまったジョッキを酒場のおかみは慣れた様子で片付ける。代わりにすでに用意していた木のジョッキをテーブルに置いた。

「何かつまみは食わないのかい?」
「あ~、金がねえ」
 テーブルに肘を付きながら、気だるげに答える。
 そろそろ同じものばかりを飲むのも飽きてきたが、今のアルベリルクが頼めるのは一番安いビールだけなのだ。金が入った直後ならまだしも、月が半分も経過すれば財布の限界は近い。長い付き合いでツケが効くとはいえ、この酒場では去年孫が産まれたばかり。金が必要になる時期だ。
 ボリボリと頭を掻きながら、まだ二杯はいけるなと金勘定を済ませる。

「もういっぱい」
 ジョッキを掲げて合図を送れば、今度はジョッキと共にため息が運ばれてくる。

「まだ月半分だって言うのに、またそれかい……。腕が良いんだからさっさと仕事取ってくればいいのに」
「そう簡単に仕事なんざ取れねえよ」
「だったら酒の量を減らしな。半分にすれば月末まで持つだろう」
「酒場のおかみが言う台詞じゃねえな」
「幼なじみからの言葉だよ。ありがたく受け取りな」
「村のマドンナも今や口うるさいババアになって」
「なんだって!?」
「止めろ、アルベリルク。俺の嫁はいくつになっても可愛い。それに酒場のおかみはこうでなきゃ」
「のろけかよ……」
「これでも感謝してんだぜ? お前の作った指輪がなきゃ俺はこいつを嫁に出来てねえんだから」
「水仕事ばかりで付けられないのが惜しいくらいだ。あの指輪が作れると知れば王都からだって仕事が来るだろうに」

 幼なじみ夫婦の言葉を、アルベリルクは軽く笑い飛ばす。王都からでも仕事が来るだろうと言うが、実際、アルベリルクの元には定期的に城からの使者がやってきているのだ。大きな仕事は断るが、それでも細かい仕事は一年に数回ほど受けている。
「お前ほど腕のいい鍛冶師はいない」と言い切る国王とは、20年来の仲だ。
 アルベリルクが王都の鍛冶師の元へ修行に行っている時に出会った。彼の師は王家に出入りしている腕の良い鍛冶師だったが、頑固な性格でアルベリルク以外の弟子を取ったことはない。アルベリルクが弟子入りを許されたのは、単純に彼がドワーフ族だったから。同じドワーフ族の師匠は背が低く、見下ろされることを嫌ったのだ。その点、アルベリルクも背が低く、鍛冶台や荷台の高さもちょうど良かった。頑固な性格はドワーフなら、いや、職人なら当然のもので、同じく頑固なアルベリルクとはよく喧嘩をしていた。喧嘩をして、その度に腕を磨いていった。そうして3年後には無事に独り立ちを認められ、故郷へと戻って鍛冶屋を開いた。師匠にくっついて何度も足を運ぶ間に、現在の国王陛下、ウィーベルドと仲を深めていった。師匠の許可を得て、彼の剣を何度か研いだ。我ながら上手く出来たそれに、ウィーベルドはすっかりアルベリルクを気に入り、王都に店を用意するとまで言い出した。けれどアルベリルクはそれを断ったのだ。あれから15年以上経つというのに、ウィーベルドがアルベリルクを諦めることはない。むしろ師匠が店を閉じてからは使者を送ってくる回数も心なしか増えたように思う。アルベリルクが目立つのを嫌っていることを知って、冒険者に見える使者を送ってくるのだからタチが悪い。つい先日も剣の手入れは断らないと知ってか、王族が使用している剣をまとめて置いていった。1週間後には取りに来るらしい。使者に言えば金を先払いにしてもらうことも可能だろう。ウィーベルトのことだから、金に困っているのをいいことに大きな仕事を持ってくるかもしれない。この場所を離れ、彼が用意するといってくれた王都の一等地に店を構えれば飲んだくれ生活を送り続けても金に困ることはなくなるだろう。

 けれどアルベリルクはこの場所に店を構え、定期的に金に不自由する必要があった。

「んじゃあ帰るわ」
「気をつけて帰るんだよ」
「ああ」

 店に人が増えてきたのを確認したアルベリルクはテーブルの上に金を残し、空になった財布と共に酒場を後にする。顔を赤らめながらもしっかりとした足取りで、店とは真逆の方角へと歩く。

 すでに空は暗くなっているがそれでも人目に付くのを恐れて、木の影を歩く。
 目指すは領主様の館だ。誰かに見られて噂になってしまっては相手に申し訳がない。

 ーー今からアルベリルクが行おうとしていることは、恥ずべき行為なのだから。

 今日も誰の目にも触れずに領主様の館へと辿り着いたアルベリルクは、ドアベルを無視し、館の裏へと回り込んだ。カーテンが締められた部屋からは明かりが漏れている。すでに夕食は済ませたのだろうか。部屋の中に見える人影が一つであることを確認して、アルベリルクは軽く窓を叩いた。コンっと一つだけ。それだけで領主様へと送る合図は十分だった。音を鳴らしたアルベリルクは草の影に身を潜める。少し待って窓が開かれなければ今日の交渉はなし。カチリと鍵が開く音に続いて窓の隙間が生まれれば、入っても良いという合図だ。
 じいっと窓を見つけるアルベリルクだが、やがてわずかに生まれた隙間が見つけた。入室の許可だ。のっそりと身体を動かし、太い指で窓の隙間を広げた。木枠が歪まないように気を配りながら、重い身体を持ち上げ、部屋へと滑り込む。

「いらっしゃい」
 高そうな椅子に腰かける男、ブランドーラはこの領の領主様だ。早くに父を亡くし、領主になるはずだった兄は病弱で、幼い彼はわずか20にして領主となった。たった一年で父と同じ働きをし、5年が経てば彼の父が治めていた頃よりも領は豊かになった。それから2年が経った彼には奥さんと子だけが足りなかった。噂好きの幼なじみ曰く、社交界で女性陣にモテているらしい。財力よし、地位よし、顔よし、手腕よしとなれば優良株扱いされるのも当然だろう。様々な令嬢からアプローチを受けているようだが、ブランドーラがそれを受ける気配は一向にない。おそらく思い人がどこかにいるのだろう。そうでなければ後継者を必要とするブランドーラが30を目前にして、妻を娶らない理由がない。

 早く嫁さんでも取ってくれればこんなこと続けずに済むのにな……。

 顔の綺麗な男の前に膝を付き、彼のベルトへと手を伸ばす。慣れた手つきで抜き取ると、まだ寝こけたままのブランドーラの股間に手を乗せる。ゆらゆらとゆっくりと移動させて、上目使いでブランドーラを確認すれば、機嫌良さそうにふふっと笑いを零す。

「今日は気が早いですね」
「もう財布に金が一銭も残ってねえんだ」
「そうですか。なら多めにサービスしてください」
「そのつもりだ」
 今から始めようとする行為に似つかわしくない上品な笑みを浮かべたブランドーラは下履きを降ろし、猛々しい雄を晒した。まだ勃ち上がってもいないのに、それは金槌よりも太く、長さも十分すぎるほど。凶器にさえ思えるそれだが、アルベリルクはすっかり見慣れている。手慣れた様子でそれを手に取り、舌を這わせる。しっかりと根元の方から上を目指し、二つの玉をしごくのも忘れない。押さえた手では先端を弄り、我慢汁で指先を濡らす。与えられる微量の快感で冷静さを失ったブランドーラが、アルベリルクの口内へと雄を滑り込ませたら、暇になった手で素早く自分の下穿きを取り払い、ひんやりとした風に晒された穴を揺れた指先で広げていく。ブランドーラが頭を押さえるため自由は効かないが、それでも自分の良い所なんて簡単に見つけられる。上から与えられる衝撃で、ズレて刺激した所さえも気持ちがいいものだ。あげかけた声さえもブランドーラの雄でかき消され、下ろしきらなかった下着の中に行き場のないアルベリルクの精液が溜まっていく。年のせいか、昔ほど大量には出ないがそれでもドワーフの精液は人族よりも多い。一発ですでに前はぐっしょりと濡れている。

「今夜も凄く、卑猥だ」
「口だけで満足か?」
「まさか。しっかりと広げた穴も使わせてもらいますよ」
 遠慮なくアルベリルクの口内に二度も精をぶちまけたブランドーラは妖艶な笑みを浮かべる。デスクを指先でトントンと叩き、尻を出せと要求する。そうこなければ広げた意味がない。デスクへとうつ伏せに身を預け、すっかりブランドーラ仕様になった尻を晒す。女のようにプリッとした張りもなければ、若い男のような色気もない。あるのは手入れがされていないおっさんの尻だけだ。それでも性欲処理をするには十分なのだろう。アルベリルクの尻たぶを左右に広げ、ブランドーラは己の雄をあてがった。興奮状態のそれだが、アルベリルクの尻はすんなり奥まで飲み込む。

「相変わらずのガバガバだ」
 アルベリルクの穴を嘲ると、ブランドーラは竿を肉壁に叩きつけるようにピストンを開始した。尻と身体があたる度に水音が響く。中で出される度に音の卑猥さが増していき、同時にアルベリルクの胸は満たされていく。


 性欲処理でも構わなかった。
 金を借りに来るという名目があれば、ブランドーラは抱いてくれる。都合のいい穴としか思われずとも、隠すしかない恋心を抱えたアルベリルクはこの行為に縋った。
 ブランドーラが嫁を取るまでと期限を設け、仕事はギリギリにまで減らし、酒の量を増やす。周りはやけ酒をかっくらっていると思うそれも、ブランドーラに抱かれるために財布を空にする手段でしかないのだ。


「今日はいくら欲しいんですか?」
「さっ、さんじゅうっまんっ」
「また酒に使って……。ほどほどにしてくださいよっ」
 行為の最中、説教を挟むブランドーラ。
 本当はこんなことしたくないのだろう。
 金を貸して欲しいと来たアルベリルクを追い返すため、金を貸す代わりに抱かせてくれと言ったことを後悔しているかもしれない。いくら翌月には返済されるとはいえ、味を占めたおっさんが何度もケツを晒しにくるのだから。


 満足し、身支度を整えたブランドーラはいつも通り、デスクの引き出しから袋を出す。それを合図にアルベリルクは白濁漏れる穴に小さな張り形を差し込んだ。下着はぐちょぐちょだが、下穿きから漏れるほどではない。多少身体を揺らした所でこんな夜中に気にするものもいない。
 今日はやや多めだが、アルベリルクが来る日付は大体同じ。借りに来るのを見越して用意してあるのだろう。金を渡される瞬間、アルベリルクは胸が凍り付くような冷たさを覚える。けれどそれこそが業の深さなのだ。

「いつも悪ぃな」
 アルベリルクは袋を掲げ、窓から去る。
 嫁さんなんてずっと来なければいいと思いながら。



 けれど現実とは非常なものである。
 数ヶ月後、いつもより少し早めに金を借りに来たアルベリルクは見てしまったのだ。ブランドーラの書斎の窓に向かう途中で通る応接室には彼と向かい合う女の姿があった。安物の生地ではあるものの、綺麗に繕ってあるドレスを身にまとった茶髪の女は左右から垂らした三つ編みを揺らしながら笑っていた。ブランドーラは窓に背を向けているため、表情を伺うことは出来ないが、相手の女性が貴族の令嬢でもないことくらい見ればすぐに分かる。初めて見る顔は使用人でもない。新人が主人に挨拶をするにしても、客間を使うことはまずあり得ない。つまり彼女は身なりこそ庶民に見えるが、それなりの立場であるということだろう。
 お付きの人間も部屋に入れず、たった二人で一体何を話しているのだろうか。
 腹に鈍り玉をぶち込まれたような鈍い痛みに襲われたアルベリルクは、そのまま店へと戻った。財布は空のままだが、そんなことどうでも良かった。

 手近な材料を釜に投げ、感情の赴くままに鉄を打った。
 熱い釜の前、水分を取ることさえ忘れ、カンカンと打ち続ける。

 そんなアルベリルクの元にとある男が現れた。

「アルベリルクさん、こちらをお受け取りください」
 しつこいノック音に手を止め、汗まみれの髪をかきむしればドアの前には城からの使者が立っていた。
 珍しく剣を背負っていない男は一通の手紙と重そうな袋を差し出した。

「なんだ、これ?」
 首を傾げた所で一向に男が口を開くことはない。
 とりあえず袋は放置し、手紙の方だけ開けばそこにはウィーベルドからの依頼内容が記されていた。
 なんでも隣国の王子の元へ嫁ぐ予定の2番目の孫がウィーベルドの妻の宝飾品が欲しい、と誕生日にねだったらしい。だが誕生日プレゼントとしてウィーベルトから贈られた品を彼の妻が手放すつもりもなく、駄々をこねられて困っているとのことだった。このプレゼントは7年前、ウィーベルドからのしつこい手紙を断り切れなかったアルベリルクが依頼を受けた品である。そして、ブランドーラに金を借りに行くきっかけになった品でもある。7年前、ここまでしつこく迫ってきたならそれに相応しい品を作ってやろうじゃねえか! と躍起になったアルベリルクが金に困ったことを覚えていたのだろう。今回は多めに金まで用意して、しかもご丁寧に孫の誕生日まで記されている。断るという選択肢を潰しに来ているとしか思えない。
 普段なら金を受け取らずに断る所だが、金に困っていたアルベリルクは金を受け取った。

「出来たら持って行くと伝えろ」
「承知いたしました」

 使者を帰すとすぐに家の裏へと向かい、頭を洗った。身体は濡らしたタオルで拭き取り、新しい服へと着替える。貰った金からいくらか抜き取って、数日ぶりの市場へと向かった。久しぶりだなと話しかけてくる顔なじみに適当に言葉を返し、食料を買い込んだ。
 家に帰り、椅子に腰を下ろすとむさぼるようにパンと野菜、肉をかきこんだ。一緒に買ったミルクを樽を掲げながら飲み干し、ぷはぁと髭に付いたミルクの輪を拭った。食事を済ませ、鍛冶場に置いてあったバックと獲物に手を伸ばす。鉱石狩りは数年ほどごぶさただったが、獲物のウッドハンマーの手入れは忘れたことがない。さすがにポーションと薬草は買い直さねばならないか、とバックの中から瓶をいくつか取り出した。薬品を購入するついでに携帯食もいくつか買う予定だ。マジックバックの空き容量確認を終えたアルベリルクは、最後に金をポケットとマジックバックに分散させる。釜の火を消し、鍵も締め、村とは逆方向へと足を進めた。
 この先、少し歩いた場所から馬車に乗ろうというのだ。
 狭くはないが、顔見知りだらけの領地で馬車に乗ればすぐさま話が広まる。悪いことをしている訳ではないので、アルベリルクも普段なら気にすることはない。けれど今回ばかりは居心地が悪くなりそうで、逃げるように領を出た。途中の町で一度馬車を降り、ポーションや食事を購入した。それから一泊宿に泊まり、朝早くに鉱物系のモンスターが繁殖している洞窟へ向かった。
 鉱物ネズミを筆頭に、鉱物系のモンスターは身体のどこかに鉱物を宿す。背中に大きく突き出ていたり、歯などの身体一部が鉱物になっていたりと様々だ。主な特徴としてはとにかく堅い。特に洞窟の地下10階にある泉にいる魚のうろこは綺麗で、非常に高い値が付くが剥ぎ取るのに特殊な技術を要する。素人が少しでも儲けようとナイフで剥ぎ取れば、肉がえぐれてしまう。一度でも血に汚れたうろこは徐々に色を替え、最後には錆びた鉄色になる。そのため生け捕りをし、職人に捌いてもらう必要がある。
 地下10階まで潜るにはそれなりの力が必要で、かつ魚を生け捕りに出来るとなれば高ランク冒険者がほとんどだ。また比較的高層でも遭遇出来る鉱物ネズミはそこそこの大きさでなければ採掘場で取れる屑石と同じ扱いになってしまう。低ランク冒険者が来たところで素材もろくに回収出来ず、赤字を抱えて帰るハメになる。だからここの狩り場はいつだって潤っていた。変に手が出されない分、少し潜れば大きめの石を育てたモンスターとも遭遇出来る。
 アルベリルクの今回のお目当ては最下層にいるミノタウロスの角だ。ボスモンスターなだけあって洞窟一の強さを誇るが、その角の輝きは見た者全てを魅了する。ウィーベルドが妻に贈った品もミノタウロスの角を加工したものネックレスだった。今回はイヤリングに加工して欲しいとの依頼だ。イヤリングだったら材料は一度分で十分だろう。あのときのようにボスモンスターの復活を数日間待ち続け、周回する必要はない。
 7年越しにボスモンスター部屋へと足を踏み入れ、やや衰えが出てきた身体に鞭を打ち、ハンマーを振り回す。斧を振り回すか、角を向けて突進してくるか、どちらかの攻撃が多いため、倒すのは決して難しくはない。ただパワーが強い。一度でも当たれば立ち上がれない冒険者も多いと聞く。だがアルベリルクはドワーフだ。素早さこそないものの、パワーと耐久には自信がある。斧をハンマーで受け止め、腹に向かって弾き飛ばす。背後は簡単には譲ってくれないが、耐久戦ではアルベリルクは負け知らずだ。7年前と同様の作戦で完全に息の根を止め、根元から角を折った。

「随分と太くて立派なもの生やしてたんだな~。何年ものなんだ?」
『ボスモンスター』は復活はするが、それは同種の別個体がボスに成り代わるというだけ。同じ個体が復活する訳ではない。そのため角や骨、魔石など採れるものの大きさは個体ごとに異なる。一般的に長く生きた個体からはそれ相応のものが採れるとされる。つまり大きな角が生えていたミノタウロスは長い間、このボス部屋を守ってきたということだ。確実に7年よりは短いだろうが、アルベリルクの腕よりも太いそれは立派としかいいようがない。しかも大きくなるにつれて透明感が失われる鉱石も多い中、この角は非常に透き通っている。複数混ざり合った色も互いに邪魔をすることはない。傷も少なく、市場に乗るなら間違いなくSSSの評価を得られるほどに状態がいい。報酬として渡された額よりもこの角を売りさばいた方が高値が付くだろう。数日間待機し、新たなボスを待ってそちらを素材に回すという手もある。けれどアルベリルクはそんな無粋なまねはしない。
 二本の角を布で包み、明日には天に昇るであろうミノタウロスの屍に礼をした。
 向かうは店兼住居ではなく、王城だ。
 完成したら持って行くと伝えたが、ここまでの品が手に入ったとなれば、アルベリルクの一存で決めるのではなく、依頼者と相談しながら加工していった方がいいだろう。
 最高のものは最高の状態で渡したい。
 馬車に揺られながら、アルベリルクの頬は緩む。
 数日前の彼の狙い通り、ブランドーラのことなどすっかり頭から抜け落ちていた。

 話は通してあるらしく、門番に止められることなく応接間へと通される。いつ来ても立派な家具が集められたものだ、と関心しながら出されたお茶とお菓子を口に運んだ。洞窟から一直線に向かってきたため、喉はカラカラ。遠慮なく三杯目のおかわりを飲み干した所で、依頼主はやってきた。
「よく来てくれたな、アルベリルク! 依頼を受けてくれただけじゃなく、こんなに早く仕上げてくれるなんて嬉しいよ!」
「感動してもらっているところ悪いが、加工にはまだ取りかかってすらいない」
 感動の再開とばかりに背中に腕を回すウィーベルドの腕を退け、バックに入れた素材を取り出した。

「ミノタウロスの角だが、非常に状態のいいものが採れた。7年前のものなんて比べものにならん」
「なんだって!?」
 机の上で、布を開く。
 すると洞窟で見た時よりも輝きを増したそれが二人の目の前に現れた。研磨する前でこれだ。アルベリルクは目を見開くウィーベルドに「なかなかのものだろう?」と自慢げな顔を向ける。

「まさかここまで美しい品を手に入れてくるとは……。イヤリングだけでは勿体ないな」
「これだけあれば王家女性全員分作ることだって出来るぜ?」
「それがいい! 報酬はアルベリルク、君が決めてくれて構わない。だが子孫に受け継いでも恥ずかしくない品を頼む」
「誰に言ってんだ? 身につけた者がもれなく食われちまうくらい立派な品を作ってみせる」
「ははは、王家の女性を甘く見ないで貰いたい。ここには何日ほど滞在する予定なんだい?」
「出来れば話し合いを進めながら作りたいと思っている」
「なら魔法使いに頼んで、君の店を城の敷地内に転移させよう」
「は?」
「慣れた鍛冶場の方がやりやすいだろう?」
「魔法使いの力はそんな易々と使って良いものじゃないだろ……」
「王家に代々伝わる宝飾品が誕生するんだ。特別でないはずがない」
「そうか」
 魔法使いは国に数人しか存在しない。
 冒険者にも魔法によく似た術を使う者はいるが、魔法と魔術は異なるものらしい。世界の理すらも歪めてしまう強大な力を持つのが魔法で、魔法使いによって術式に治められたものが魔術。同じような炎を出すのでも過程がまるで違うのだと言う。魔術を使用するには魔物が身体に貯め込むことが出来るマナエネルギーを消費するのに対し、魔法はエネルギーを消費することはない。代わりに魔法使いは魔法を消費する度に対価を要求する。それがモノとして消費されないためにいにしえの魔法使いが定めたルールだ。対価は魔法使いによって様々で、数十年かけても入手困難であるものを要求されるケースがほとんどだ。だが絶対に入手不可能なものだけは要求してこない。それもまた魔法使いの定めたルールらしい。
 そんな魔法使いは国に数人しか存在せず、王家に抱えられているケースはごく稀なパターンだ。この国の王家にも仕えている訳ではなく、来客として数百年間滞在し続けているのだそう。王家にいることは知っていたが、まさか今回魔法にお世話になることになるとは……。店ごと転移させてしまえるとは、魔法というものはやはり想像の上を行くらしい。早速ウィーベルドは魔法使いを応接室へと呼びつけ、転移の計画を練り始める。対価のことなどろくに考えていないようにも見えるが、アルベリルクには関係のない話だ。

「それにしてもここまでの大きさがあるのなら、私用の宝飾品も何か作れないものだろうか」
 転移計画の話の途中にちゃっかり自分の分も作ってくれと話を入れてくる辺り、相当肝が座っている。会わなかった7年でさらに図太くなったようだ。





 数分後、廊下をダダダと走り抜けてやってきた魔法使いはミノタウロスの角に瞳を輝かせた。
「これで宝飾品作るの!? 僕も欲しい! 転移くらいしてあげるから僕のも作って! 赤いの! 髪飾りにする!」
 想像以上に幼い見た目の彼は、長い髪を乱しながら机を叩く。どうやら髪飾りが転移の対価らしい。ウィーベルドへと視線を向ければ彼はニコニコと笑った。まるで孫を見つめる祖父のようだ。アルベリルクには孫どころか子どもや妻すらいないが、無邪気な彼には愛おしささえ覚えてしまう。もちろん数百年も滞在しているくらいだから見た目通りの年齢ではないのだろうが。

「赤って言ってもこの中でも3色はあるぜ」
「この色で、このお花と似たの作って」
「アネモネか」
「僕の思い出の花なの」

 そう呟く魔法使いの表情は、どこか寂しげに見えた。アネモネ全体の花言葉悲しいものが多い。だが赤のアネモネの花言葉は『君を愛す』ーープロポーズに使われることもある。大事な相手から贈られた花なのだろうか。魔法で時を止めたのだろう花はみずみずしさを保ちながらも、花弁が一枚落ちてしまっていた。魔法使いは他の種族よりも長命だ。親しき者や愛する者が出来たとしても、相手が旅立つことを止めることは出来ない。欠けた花びらは愛した相手なのだろうか。アルベリルクは不完全な花が輝いて見えた。それはもう何年も前、幼なじみがプロポーズのための指輪を作って欲しいと下げた頭の艶めきとよく似ていた。

 色は違えど、どちらも同じ恋の色。
 アルベリルクが手に入れることが出来ぬものだ。

「分かった。俺に任せとけ」
 魔法使いの少年の頭に手を伸ばし、わしゃわしゃと髪を撫でた。リボンで結った髪はぐちゃぐちゃになってしまったが、少年はボサボサ頭を押さえながら「約束だよ」と笑った。爛々と輝いた目で楽しみだな~と零し、すぐにウィーベルドの手を引いた。

「どこに転移するの? お店の場所は? ウィーベルド早く早く!」
 あわてんぼうの魔法使いは、ウィーベルドの指示のもと、城の裏手に大きな魔方陣を描いた。魔方陣の中でも転移を発動させるための専門の陣らしい。魔法の教養のないアルベリルクにはさっぱりだが、首を傾げているうちに魔法使いは近くに立てかけてあった箒に跨がり、飛んでいって閉まった。アルベリルクの店まで行って、同じような陣を描く必要があるらしい。1時間とせずに帰ってきた魔法使いは「ほいっ」と両手を合わせ、転移陣の中に店を出現させた。
 ドアを勝手に開いて中へと入った魔法使いは鍛冶場や装飾台を眺める。
「どの道具もしっかりと手入れがされてる!」
「仕事道具なんだから当たり前だろ」
「これで明日からでも取りかかれるね!」
 さすがに今日の今日で働かせるつもりはないらしく、魔法使いは「明日のために精をつけなきゃ!」と手を引く。転移の次は食事だそうだ。
 休むという選択肢のない魔法使いはそれから食事を済ませ、そのまますぐにアルベリルクの手を引いて風呂へと導いた。

「男の匂い、落としてきなよ」
「は?」
「そんなんじゃ集中出来ないでしょう?」
「おまっ」
 どこまで知っているのか、と肩を掴めば魔法使いは昼間のような悲しげな笑みで笑った。

「愛されないのは悲しいね。精巧に形を再現した所で虚しいだけなんだから」
 ふふふっと笑った魔法使いはおそらく、アルベリルクのベッド下に隠された張り形を見つけたのだろう。あれはアルベリルクの自信作だ。毎月、腹に入っていたことを思い出し、少しずつ調整をかけていった。世界に一つだけの、ブランドーラの雄を模した張り形だ。会えない日々をそれで慰めていたことも全てお見通しなんだろう。

「早く入って来なよ」
 タオルを押しつける魔法使いは、今度は真顔になって「君が入っている間、燃やしておくからさ」と物騒な言葉を口にする。力作を壊されると知りながら、アルベリルクは何も言い返せなかった。押しつけられたタオルを抱えてそのまま浴場へと向かう。数年ぶりの城の風呂はやはり大きくて、ずっぽりと肩まで浸かることが出来た。

「俺、なにやってんだろうな……」

『愛されないのは悲しい』
 そんなこと、理解していたはずだ。
 逆立ちした所でブランドーラほどの男が髭を蓄えた体格のいい男を喜んで抱くはずがない。挿入する時、一度だってアルベリルクの顔を見ようとはしなかったのが何よりの証拠だ。スラッとした、エルフみたいな見目麗しい男ならともかく、ドワーフなんて力が強くて手先が器用なだけだ。何発も出来る耐久性こそあれど、身体はがっちりとしており女のように柔らかくもない。ブランドーラの屋敷に行く前は必ず身体を拭いていたが、染みこんだ鉄臭さは抜けないだろう。
 一度風呂から上がり、綺麗にしたばかりの身体をもう一度タオルで擦る。

 少年の鼻に嗅ぎ取られないほど何度も。
 匂いと共にブランドーラへの想いのこもった涙を零す。

 好きだった。
 小さな少年が食らいつくように努力する姿に手を差し伸べたい衝動に狩られ、羽化した蝶となった男に目を捕らわれた。
 抱かせてくれれば、なんて言い出されなければずっと憧れで終わったことだろう。張り形なんて作って穴を拡張することもなく、ただただ森の中の小屋でひっそりと暮らして一生を終えていた。たまに酒場に顔を出して、幼なじみの子や孫の様子を見ることだけを楽しみに鉄を打ち続けるだけの日々。刺激のない平坦な日々だったが、ほんの7年ほど前まではアルベリルクの平穏な日常だった。それに満足して、暮らしていた。けれど、もうあの時には戻れない。
 苦しくても、悲しくても、辛くても。
 忘れることは出来ないのだ。

「好きだったんだ」
 最後に想いのこもった言葉も零して、桶いっぱいのお湯で泡と共に排水溝に流した。

「はぁ……」
 ため息と共に再びお湯に浸かれば、先ほどよりも大きな疲労感がアルベリルクの身体にまとわりつく。けれど不思議と心は軽くなっていた。



 風呂から出て、首にタオルをかけたまま小屋へと向かう。二階へ上がればすでに張り形が入れてあった箱は空になっていた。宣言通り、魔法使いが処理してくれたのだろう。
 どうせなら箱ごと処理してくれれば良かったのだが、そこまでは気が効かなかったらしい。
 ベッドサイドの引き出しを開けば、ゴムとローション以外は全て姿を消していた。町で買った、一人遊び用のおもちゃですらも見逃してくれなかったらしい。基準がよく分からないが、意外と高い買い物がすでに灰に変わったことだけは確かだ。
 これでは性処理方法は指で穴を広げるか、手でペニスをしごくかくらいだろう。床にこすりつけるのも気持ちがいいと聞く。けれどベッドをきしませた所で空しさが残るだけだ。

「宝飾品作りに集中しろってか?」
 ベッドに倒れ込み、身体ごと眠りの世界へと落ちていった。

 アルベリルクは翌朝から早速作業に取りかかった。
 朝飯をかきこんで、次々にやって来る王家の女性達からの聞き取りを行っていく。ウィーベルドの血族だけあって、皆、自己主張をしっかりと行う。目の前でこの色が良いから譲って頂戴! とキャンキャンと騒ぎ出した時は頭を抱えたが、誰一人としてアルベリルクの腕を疑ってはいなかった。

「私ね、ずっとお兄様達が羨ましかった。でもやっとあなたの品が手に入れられるのね。楽しみだわ」
 ふふふと笑みを零しながら難題をぶつけてきたのは、まだ10歳になったばかりの第4姫 エルザだ。彼女はアルベリルクが王子達のために打った剣を気に入っていたらしい。女性が目を輝かせるような、美しい装飾も華美な宝石も付けていない。けれどスラッとした刀身と、使い手ごとにやや異なる柄の美しさに目を捕らわれたのだという。恥ずかしげもなくあなたの剣が好きよ、と笑う彼女はなかなかの変わり者だろう。けれど鍛冶師のアルベリルクにとって、お世辞抜きの賛辞ほど嬉しいものはない。使用感まで含めてくれれば言うことはないが、彼女にそれを求めることは出来ない。変なことを聞いて、兄たちの剣を振り回されても困るのだから。
 そんな彼女が要求したのは、剣のモチーフをメインに据えたネックレスだった。ミノタウロスの角を最大限生かすようにデザインを考えてきた他の姉妹とは真逆。シルバーで作った剣の柄部分に角を埋め込んで欲しいと。

「私を守る剣なんて素敵よね」
 笑う少女の目に曇りはない。
 ただ純粋に、剣を求めていた。
 エルザの瞳に心を打たれたアルベリルクは、早速加工に取りかかった。


 それから姫様達からの熱烈な相談を受けながら、彼女達の希望に合う素材をその都度取りに向かう。一番細かい指示を飛ばしてくるのは、やはりというべきか魔法使いの少年とエルザの二人だ。どちらも強いこだわりを持っており、魔法使いに至っては箒を片手に朝から起こしにやって来る始末だ。
「後ろに乗るといいよ!」
 グッと親指を突き立てて、アルベリルクの重い身体を乗せた箒をふわりと浮かばせる。遅くまで細かい作業を行っていたアルベリルクは、魔法使いの細い腰に腕を回しながらふわぁと大きなあくびをする。それでもゆっくり寝せてくれ! と怒れないのは、彼が何かを察したようにやってくるから。
 いくら魔法が使えるとはいえ夢の中を覗くことは出来ないだろう。けれど少年は、アルベリルクがブランドーラの夢を見ている時に限ってやってくるのだ。今日は尻から大きな玉を産む夢だった。拳大ほどあるそれを尻に仕込んで、ブランドーラの前で出して見せるのだ。ローションで濡れた玉を全て出し切って、ぽっかりと空いた穴を彼へと晒した所で、布団を剥ぎ取られた。おかげでブランドーラがどんな表情を浮かべているかを見なくて済んだ。

「楽しみだな~」
 ゆらゆらと足を揺らす少年がどんな顔をしているかは見えない。けれど今日は一日中、アルベリルクの鍛冶場に居座るつもりだろうことは簡単に予想が出来た。居眠りしそうになったら背中を叩いて、水でも飲みなよとコップを差し出すのだ。おかげで性欲は溜まっていく一方。だがそれすらも創作意欲に昇華して、アルベリルクは姫様達の宝飾品を完成させていった。



「似合う? 似合うよね? 僕に似合わないはずがない!!」
 真っ先に完成品を身につけたのは魔法使いだった。アネモネのバレッタを髪につけ、鏡を通して美しく花開くそれを眺める。そしてぽつりと零した。

「これで、もう終わりに出来る」
「好きだったのか?」
「好きだった。ううん、今も好き。もうこの世に居なくても、僕のことを忘れちゃっても、彼以上の人を僕は知らないんだ。でもさ、ずっとここに居座る訳にはいかないもん」
 明確な言葉を口にすることはないが、魔法使いが愛した男が王家の人間なのだろうとアルベリルクは確信した。話し方から察するに、忘れたのは年のせいではないのだろう。忘却の理由に、魔法使い自身が関わっているのかもしれない。

「これで僕も、形だけでも王家の仲間になれたかな?」
「俺には分かんねぇけど、それは間違いなく姫さん方に渡すものと同じ角から作った品だ」
「そっか。ありがとう」
 数百年間客として城に居座った少年は涙を浮かべながら微笑んだ。

「そうだ、これ見せてこなくっちゃ!」
 くるりと身体を反転させ、ドアへと走り出した魔法使い。
 けれどノブに手をかけると、背中を向けたままアルベリルクにとある問いを投げかけた。

「君にはもう一つだけ願いを叶える権利がある。店を元の位置に戻せでも、ある物を大量に用意しろでも何でも良い。君が願うものを僕は叶えてあげる。だから願いを教えて」


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