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blood end
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「俺はーー」
アルベリルクは遠慮なく、魔法使いに願いを告げた。その返答は確かにこの耳で聞いたはずなのに、ドアの音が響いた瞬間、自分の願いと魔法使いの返答だけが記憶から抜け落ちた。
まるで記憶を消されたようにーー。
魔法使いが城から姿を消して半年が経過した。
姫様達は皆、アルベリルクの作った宝飾品を喜んでくれ、着飾った娘や孫を前にウィーベルドは頬を緩めた。すると今度は王子達が自分も欲しいと騒ぎだし、もう一度あの洞窟でミノタウロスと対峙するはめになった。前回ほど立派ではないが、彼らが欲したタイピンを作るには十分だ。帰りがけに袋いっぱいの銀を採掘し、カンカンと銀を打った。
仕事が終わってもなお、アルベリルクの鍛冶屋は城の中に残っている。
魔法使いが居なくなったことで店ごとの移動が難しくなったのと、ウィーベルドがこのまま王都に残ればいいと言ってくれたからだ。彼の強い勧めで、王都に鍛冶屋を開いた。
基本、材料はアルベリルクが採ってくる。
持ち込みも受け付けているが、質の良いもの以外は受け取らないことにしている。
頑固だが、腕は確かなアルベリルクの店はいつだって大繁盛。
地元にいた頃は、酒代すらも足りずにカツカツの生活を送っていたのが嘘のようだ。なぜわざわざ隣の領まで足を運んだのにギリギリの仕事しか受けなかったのだろうか?
たった一年ほど前の自身の生活が不思議でならなかった。
儲けの一部を手に、今日も酒場へと向かう酒樽をいくつ空けても財布が空になることはない。
「隣、座って良いですか?」
良い気分で一人酒に浸っていると、耳障りの良い声が耳をくすぐった。
ジョッキを片手に横目で確認すれば、隣には見目麗しい男が立っていた。
一人で座っていれば女が放って置かないだろう。
椅子なんていくつも空いているというのに、なぜよりにもよってむさ苦しい男の隣に選んだのか。
女避けのつもりかね。
今さらモテたいだなんて思わないが、利用されるのもあまり気分がいいものではない。
「他あたりな」
手の甲でシッシッと払えば、男は傷ついたように眉を下げた。
「今のあなたに、私は必要ではないのですね……」
「ああ?」
今も何も、男とは初対面のはずだ。
酒を飲む前から酔っているのだろうか。
「人違いだろ」
ぐいっと酒を煽って吐き出せば、男は大きく目を見開いた。目は潤み、今にも涙がこぼれそうだ。そんな表情に、アルベリルクの胸はズキズキと痛む。
「思い出したくもない、ですよね……」
揺らぐ声でそう告げられた所で、知らないものは知らないのだ。
ドワーフは珍しい種族だ。
個体数が少なく、人里に降りてくることも稀。
だからアルベリルクを知り合いのドワーフと決めつけて、勝手にショックを受けているのだろう。
「人違いだし、相手と何があったか知らねえが、とりあえず酒でも飲めよ。お前さん、名前は?」
アルベリルクは男の背を叩き、自分の手の中にある酒と同じものを注文する。
「ブランドーラです」
「そうか、良い名前だな! 俺はアルベリルク。ここだけの付き合いだろうが、よろしくな」
利用しようという意図がないのなら同席に意義を唱える理由もない。「知ってます……」と呟く男に酒を飲ませ、酔った相手から悩みを聞き出す。
なんでも好きな男を探しているらしい。
金と身体の付き合いしかなかったが、ずっと好きだったのだとか。
アルベリルクはつまみを口に運びながら、ドワーフが男娼しているなんてすぐに噂になりそうだが聞いたことがないと首を傾げる。
田舎でこっそりと客を取っていたのだろうか?
鍛冶を得意とするドワーフが里を出て、人に身体を売るくらいだから、何か理由があったのだろう。
金が必要だったのかもしれない。
訳も話さず消えたというのなら、探さないでやるのが相手のためだろう。
「10年以上片思いを続けて、ようやく身体だけでも繋がれたのに、私はそんなに下手でしたか?」
「本人に聞けよ」
「今聞いているじゃないですか!」
酔って怒り出すブランドーラ。
いつまでアルベリルクを相手の男と間違えるつもりだろう。
そのドワーフの容姿は分からないが、アルベリルクはとてもじゃないが客を取れそうな身体つきではない。寂しさから尻の穴を指で弄る夜もある。最近では物足りなくなり、張り形を自作してしまったほどだ。奥を突きながら一人欲に耽っているが、挿れたところで気持ちよくもないだろう。
だが、中を責められる感覚に興味がないといえば嘘になる。机で隠れて見えないが、ブランドーラは技術には自信があるようだ。なら一度くらい体験してみたいと、与えられるだろう快感に思わず喉を鳴らした。
「なぁブランドーラ。下手かどうか、俺が確かめてやろうか?」
「それはもう一度チャンスをくれるってことですか?」
「まぁそんなもんだ」
アルベリルクを片思い相手と勘違いしたブランドーラは目を輝かせ、立ち上がった。机に金がたんまりと入った袋を乗せ「ここ置いておきますね!」と声をあげる。男を掘れると分かったからだろう。ブランドーラの股間はもっこりと膨らんでいた。どれだけヤリたかったのか。
「そうあせんなよ」
軽く触れてやれば、ブランドーラは顔を赤らめる。初心な子どものようだ。繋がれたというのも初めの一回だけだったのかもしれない。人に尻を犯されるのは初めてのアルベリルクだが、これはリードしてやらなければならないな……と空を見上げた。
ーーけれど宿の部屋に入った途端にブランドーラは表情を変えた。
ベッドにアルベリルクを押し倒すと、発情した獣のようにギラギラとした目で見下ろした。アルベリルクの両手を頭の上で一つにまとめ、むさぼるようなキスで口内を荒らす。空いた手で強引に服を剥き、下穿きのベルトを外した。
さすがドワーフに恋をしただけあって、髭のおっさんの裸を見たところで一向に萎える気配はない。それどころかブランドーラの雄は筋を浮かべながら臨戦態勢を保っている。手が解放されれば撫でてやる所だが、無理に抵抗するのも興がそがれるだけだ。哀れな男に身体を許してやろうと力を抜いた。
その反応に、安心したようにブランドーラは手をゆるめた。そしてうつ伏せになるようにと指示を出し、アルベリルクの尻にローションをぶちまけた。ベッドサイドに置かれていた瓶一本を躊躇なくひっくり返したのだ。人肌に温める過程すらも面倒臭いのだろう。ブランドーラはヌルヌルとよく滑るようになったアルベリルクの尻たぶを撫でる。指先が穴の入り口に触れるが、待てど暮らせど中を責める様子はない。酒のせいで簡単に勃起したアルベリルクのペニスは布団にすれて一足先に果ててしまう。それを自分が与えた刺激で達したと勘違いしたらしいブランドーラは、アルベリルクの穴にあてがい、そして一気に貫いた。
「っい」
いくらたまに張り形を入れているとはいえ、それは十分に解した状態でのことだ。ろくに解しもしていない穴を凶器のようなブツで遠慮なく攻められれば、快感よりも痛みが勝る。シーツをグッと握りしめ、唇に歯を立てて必死に痛みを我慢するアルベリルクのことなど知らずに、ブランドーラは好き勝手に腰を振る。
性欲とスタミナだけは一丁前の男が果てたのは、日が昇り始めた頃のこと。
「どうでした?」
「最悪だよっ!! くっそ、ケツ痛え」
すっきりとした顔のブランドーラに枕を投げつける。
けれどブランドーラはアルベリルクの怒りさえも嬉しそうに緩んだ顔で受け取った。
「あなたにお金以外のものを与えられて嬉しいです」
すでに何度となくアルベリルクの中で果てたイチモツを勃起させている。
どれだけ性欲を溜め込んでいるのか。
アルベリルクは人外に思えるブツを思わず睨みつける。
「だから、今日は気持ちよくなりましょう」
けれどそれを気にした様子もなく、ブランドーラはどこからか新しいローションを取り出し、手に垂らしていく。両手でこすりあわせるように温めていき、散々精子を注がれてぐっちょりと汚れた穴を濡らした指で犯していく。
今さら指なんて、と思うのにパラパラとランダムに動かされる指は強引なピストンを繰り返すだけの昨晩の行為とは違い、アルベリルクの欲をも刺激する。
丁寧な行為は昨日とはまるで別人だ。
まるで昨日は意図的に痛みを与え続けたかのように。
「ナカ、くぱくぱ動かして。可愛いですね」
耳元で囁く男は変態としかいいようがない。
初心なふりをしてだましやがって!
アルベリルクは一発殴ってやろうと、痛む身体を反転させた。けれど目があったブランドーラは嬉しそうにアルベリルクの太ももに注射器を振り下ろす。
「もう逃がしませんよ」
桃色の薬を一気に注入すれば、アルベリルクの身体はビクンと跳ねた。一瞬にしてつま先から頭まで薬が回ったのだ。卑猥な色の薬の正体はエルフ特製の秘薬。
本来、人前になかなか姿を見せないエルフだが、ブランドーラが魔法使いの屍を森で引きずり回っていれば簡単に顔を見せてくれた。人との関わりを嫌うエルフでも、同じ精霊に愛されし者が死後、冒涜されていることが許せなかったのだろう。
八方から弓を引き、冒涜者であるブランドーラを貫こうとした愚かなエルフ達さえも突き刺して、ぐちゃぐちゃになった肉の塊の上で彼は告げたのだ。
「これ以上、同胞を犯されたくなければ秘薬を作れ」ーーと。
生身の人族を前に、すでに森は半壊していた。
矢で貫かれても、剣で貫かれても一向に倒れぬ人にエルフは恐れを成し、そして悟った。目の前の男は人ではなく、悪魔だと。魔法使いから抜き取った血を飲み、不老不死の身体と呪いを手にした悪魔だ。悪魔に屈するのはプライドが許さなかったが、これ以上、抵抗すれば村どころかエルフという種族自体が壊滅させられる。娘と妻を殺された村長は震えながらも、こくりと頷き、指定された秘薬をビール樽に満たして差し出した。なぜビール樽だったのか、尋ねることは恐ろしくで出来なかった。けれど唯一、エルフ達にとって救いだったのが、求められた秘薬が人殺しの道具ではなく、快楽増進剤だったこと。性欲の薄いエルフすらも使うことを拒む、感度を10倍まで引き上げるものだが、容量を守れば死に至ることはない。だが大量に使えば、体力に自信のあるドワーフや獣人でもなければ身体も精神も壊れてしまう。恐怖に震えながらも村長が告げた言葉ににんまりと笑ったブランドーラは、告げられた量の数倍にもなる薬を迷いなく打ち込んだ。
金を求めなくなったアルベリルクを快楽に溺れさせるために。
忘れたと言い張るのなら、もう一度覚えさせればいいだけだ。恋に狂ったブランドーラはアルベリルクの体中にキスを落とし、全てを性感帯に変えていく。ペニスからはビクビクと白濁が漏れ出す。それを舐め取って、アルベリルクの口へと注いだ。
「これが出なくなるまで頑張りましょうね。ご褒美はちゃんと用意してありますから」
愛おしそうにアルベリルクの頬を撫でたが、彼にその言葉が届くことも、顔の横に置かれたご褒美に気づくこともない。
「あっ、う゛う゛うううあああああ」
ブランドーラに関する記憶を消してくれと願ったアルベリルクは薬によって支配されてしまったのだから。
アルベリルクが大きく跳ねる度にベッドはギシギシと音を立て、ブランドーラの身体には重い手足が振り下ろされる。けれど彼はそれすらも受け止め、愛おしそうに撫で、そして思い切り爪を立てた。
「ねぇ、アルベリルク。ここも王様と魔法使いに触らせたんですか?」
「う゛う゛う゛う゛う゛う゛ぁあああああああああああああああああああああああああああああああ」
アルベリルクの身体は痛みさえも一瞬にして快楽に変えてしまう。
強ければ強いほど、強い快楽へと。
ブランドーラはバックからとある小瓶の中身をアルベリルクの口へ移し、空いた口を己の雄で塞いだ。
「残さずしっかり飲んでください」
アルベリルクの頭を両手で抱え込み、ガンガンと喉奥を突く。吐き出そうと必死にもがく喉元さえにブランドーラは気を良くした。大きく喉元が動き、精子を嚥下したことを確認したブランドーラはアルベリルクの髪を撫でた。
魔法使いの血は身体に入ってから数時間ほど暴れ回る。のろいを残すように、痛みを与え続ける。だがその痛みは今のアルベリルクにとって性欲をぶつけてくれるご褒美でしかない。いくら同じ身体になるためとはいえ、魔法使いに負ける訳にはいかないブランドーラは自身の足にもエルフの秘薬を打った。
「愛してますよ、アルベリルク」
そしてブランドーラもまた、快楽に身を落とす。
ベッドに落とされたアネモネの花飾りの花びらは見事に全て割れていた。
アルベリルクは遠慮なく、魔法使いに願いを告げた。その返答は確かにこの耳で聞いたはずなのに、ドアの音が響いた瞬間、自分の願いと魔法使いの返答だけが記憶から抜け落ちた。
まるで記憶を消されたようにーー。
魔法使いが城から姿を消して半年が経過した。
姫様達は皆、アルベリルクの作った宝飾品を喜んでくれ、着飾った娘や孫を前にウィーベルドは頬を緩めた。すると今度は王子達が自分も欲しいと騒ぎだし、もう一度あの洞窟でミノタウロスと対峙するはめになった。前回ほど立派ではないが、彼らが欲したタイピンを作るには十分だ。帰りがけに袋いっぱいの銀を採掘し、カンカンと銀を打った。
仕事が終わってもなお、アルベリルクの鍛冶屋は城の中に残っている。
魔法使いが居なくなったことで店ごとの移動が難しくなったのと、ウィーベルドがこのまま王都に残ればいいと言ってくれたからだ。彼の強い勧めで、王都に鍛冶屋を開いた。
基本、材料はアルベリルクが採ってくる。
持ち込みも受け付けているが、質の良いもの以外は受け取らないことにしている。
頑固だが、腕は確かなアルベリルクの店はいつだって大繁盛。
地元にいた頃は、酒代すらも足りずにカツカツの生活を送っていたのが嘘のようだ。なぜわざわざ隣の領まで足を運んだのにギリギリの仕事しか受けなかったのだろうか?
たった一年ほど前の自身の生活が不思議でならなかった。
儲けの一部を手に、今日も酒場へと向かう酒樽をいくつ空けても財布が空になることはない。
「隣、座って良いですか?」
良い気分で一人酒に浸っていると、耳障りの良い声が耳をくすぐった。
ジョッキを片手に横目で確認すれば、隣には見目麗しい男が立っていた。
一人で座っていれば女が放って置かないだろう。
椅子なんていくつも空いているというのに、なぜよりにもよってむさ苦しい男の隣に選んだのか。
女避けのつもりかね。
今さらモテたいだなんて思わないが、利用されるのもあまり気分がいいものではない。
「他あたりな」
手の甲でシッシッと払えば、男は傷ついたように眉を下げた。
「今のあなたに、私は必要ではないのですね……」
「ああ?」
今も何も、男とは初対面のはずだ。
酒を飲む前から酔っているのだろうか。
「人違いだろ」
ぐいっと酒を煽って吐き出せば、男は大きく目を見開いた。目は潤み、今にも涙がこぼれそうだ。そんな表情に、アルベリルクの胸はズキズキと痛む。
「思い出したくもない、ですよね……」
揺らぐ声でそう告げられた所で、知らないものは知らないのだ。
ドワーフは珍しい種族だ。
個体数が少なく、人里に降りてくることも稀。
だからアルベリルクを知り合いのドワーフと決めつけて、勝手にショックを受けているのだろう。
「人違いだし、相手と何があったか知らねえが、とりあえず酒でも飲めよ。お前さん、名前は?」
アルベリルクは男の背を叩き、自分の手の中にある酒と同じものを注文する。
「ブランドーラです」
「そうか、良い名前だな! 俺はアルベリルク。ここだけの付き合いだろうが、よろしくな」
利用しようという意図がないのなら同席に意義を唱える理由もない。「知ってます……」と呟く男に酒を飲ませ、酔った相手から悩みを聞き出す。
なんでも好きな男を探しているらしい。
金と身体の付き合いしかなかったが、ずっと好きだったのだとか。
アルベリルクはつまみを口に運びながら、ドワーフが男娼しているなんてすぐに噂になりそうだが聞いたことがないと首を傾げる。
田舎でこっそりと客を取っていたのだろうか?
鍛冶を得意とするドワーフが里を出て、人に身体を売るくらいだから、何か理由があったのだろう。
金が必要だったのかもしれない。
訳も話さず消えたというのなら、探さないでやるのが相手のためだろう。
「10年以上片思いを続けて、ようやく身体だけでも繋がれたのに、私はそんなに下手でしたか?」
「本人に聞けよ」
「今聞いているじゃないですか!」
酔って怒り出すブランドーラ。
いつまでアルベリルクを相手の男と間違えるつもりだろう。
そのドワーフの容姿は分からないが、アルベリルクはとてもじゃないが客を取れそうな身体つきではない。寂しさから尻の穴を指で弄る夜もある。最近では物足りなくなり、張り形を自作してしまったほどだ。奥を突きながら一人欲に耽っているが、挿れたところで気持ちよくもないだろう。
だが、中を責められる感覚に興味がないといえば嘘になる。机で隠れて見えないが、ブランドーラは技術には自信があるようだ。なら一度くらい体験してみたいと、与えられるだろう快感に思わず喉を鳴らした。
「なぁブランドーラ。下手かどうか、俺が確かめてやろうか?」
「それはもう一度チャンスをくれるってことですか?」
「まぁそんなもんだ」
アルベリルクを片思い相手と勘違いしたブランドーラは目を輝かせ、立ち上がった。机に金がたんまりと入った袋を乗せ「ここ置いておきますね!」と声をあげる。男を掘れると分かったからだろう。ブランドーラの股間はもっこりと膨らんでいた。どれだけヤリたかったのか。
「そうあせんなよ」
軽く触れてやれば、ブランドーラは顔を赤らめる。初心な子どものようだ。繋がれたというのも初めの一回だけだったのかもしれない。人に尻を犯されるのは初めてのアルベリルクだが、これはリードしてやらなければならないな……と空を見上げた。
ーーけれど宿の部屋に入った途端にブランドーラは表情を変えた。
ベッドにアルベリルクを押し倒すと、発情した獣のようにギラギラとした目で見下ろした。アルベリルクの両手を頭の上で一つにまとめ、むさぼるようなキスで口内を荒らす。空いた手で強引に服を剥き、下穿きのベルトを外した。
さすがドワーフに恋をしただけあって、髭のおっさんの裸を見たところで一向に萎える気配はない。それどころかブランドーラの雄は筋を浮かべながら臨戦態勢を保っている。手が解放されれば撫でてやる所だが、無理に抵抗するのも興がそがれるだけだ。哀れな男に身体を許してやろうと力を抜いた。
その反応に、安心したようにブランドーラは手をゆるめた。そしてうつ伏せになるようにと指示を出し、アルベリルクの尻にローションをぶちまけた。ベッドサイドに置かれていた瓶一本を躊躇なくひっくり返したのだ。人肌に温める過程すらも面倒臭いのだろう。ブランドーラはヌルヌルとよく滑るようになったアルベリルクの尻たぶを撫でる。指先が穴の入り口に触れるが、待てど暮らせど中を責める様子はない。酒のせいで簡単に勃起したアルベリルクのペニスは布団にすれて一足先に果ててしまう。それを自分が与えた刺激で達したと勘違いしたらしいブランドーラは、アルベリルクの穴にあてがい、そして一気に貫いた。
「っい」
いくらたまに張り形を入れているとはいえ、それは十分に解した状態でのことだ。ろくに解しもしていない穴を凶器のようなブツで遠慮なく攻められれば、快感よりも痛みが勝る。シーツをグッと握りしめ、唇に歯を立てて必死に痛みを我慢するアルベリルクのことなど知らずに、ブランドーラは好き勝手に腰を振る。
性欲とスタミナだけは一丁前の男が果てたのは、日が昇り始めた頃のこと。
「どうでした?」
「最悪だよっ!! くっそ、ケツ痛え」
すっきりとした顔のブランドーラに枕を投げつける。
けれどブランドーラはアルベリルクの怒りさえも嬉しそうに緩んだ顔で受け取った。
「あなたにお金以外のものを与えられて嬉しいです」
すでに何度となくアルベリルクの中で果てたイチモツを勃起させている。
どれだけ性欲を溜め込んでいるのか。
アルベリルクは人外に思えるブツを思わず睨みつける。
「だから、今日は気持ちよくなりましょう」
けれどそれを気にした様子もなく、ブランドーラはどこからか新しいローションを取り出し、手に垂らしていく。両手でこすりあわせるように温めていき、散々精子を注がれてぐっちょりと汚れた穴を濡らした指で犯していく。
今さら指なんて、と思うのにパラパラとランダムに動かされる指は強引なピストンを繰り返すだけの昨晩の行為とは違い、アルベリルクの欲をも刺激する。
丁寧な行為は昨日とはまるで別人だ。
まるで昨日は意図的に痛みを与え続けたかのように。
「ナカ、くぱくぱ動かして。可愛いですね」
耳元で囁く男は変態としかいいようがない。
初心なふりをしてだましやがって!
アルベリルクは一発殴ってやろうと、痛む身体を反転させた。けれど目があったブランドーラは嬉しそうにアルベリルクの太ももに注射器を振り下ろす。
「もう逃がしませんよ」
桃色の薬を一気に注入すれば、アルベリルクの身体はビクンと跳ねた。一瞬にしてつま先から頭まで薬が回ったのだ。卑猥な色の薬の正体はエルフ特製の秘薬。
本来、人前になかなか姿を見せないエルフだが、ブランドーラが魔法使いの屍を森で引きずり回っていれば簡単に顔を見せてくれた。人との関わりを嫌うエルフでも、同じ精霊に愛されし者が死後、冒涜されていることが許せなかったのだろう。
八方から弓を引き、冒涜者であるブランドーラを貫こうとした愚かなエルフ達さえも突き刺して、ぐちゃぐちゃになった肉の塊の上で彼は告げたのだ。
「これ以上、同胞を犯されたくなければ秘薬を作れ」ーーと。
生身の人族を前に、すでに森は半壊していた。
矢で貫かれても、剣で貫かれても一向に倒れぬ人にエルフは恐れを成し、そして悟った。目の前の男は人ではなく、悪魔だと。魔法使いから抜き取った血を飲み、不老不死の身体と呪いを手にした悪魔だ。悪魔に屈するのはプライドが許さなかったが、これ以上、抵抗すれば村どころかエルフという種族自体が壊滅させられる。娘と妻を殺された村長は震えながらも、こくりと頷き、指定された秘薬をビール樽に満たして差し出した。なぜビール樽だったのか、尋ねることは恐ろしくで出来なかった。けれど唯一、エルフ達にとって救いだったのが、求められた秘薬が人殺しの道具ではなく、快楽増進剤だったこと。性欲の薄いエルフすらも使うことを拒む、感度を10倍まで引き上げるものだが、容量を守れば死に至ることはない。だが大量に使えば、体力に自信のあるドワーフや獣人でもなければ身体も精神も壊れてしまう。恐怖に震えながらも村長が告げた言葉ににんまりと笑ったブランドーラは、告げられた量の数倍にもなる薬を迷いなく打ち込んだ。
金を求めなくなったアルベリルクを快楽に溺れさせるために。
忘れたと言い張るのなら、もう一度覚えさせればいいだけだ。恋に狂ったブランドーラはアルベリルクの体中にキスを落とし、全てを性感帯に変えていく。ペニスからはビクビクと白濁が漏れ出す。それを舐め取って、アルベリルクの口へと注いだ。
「これが出なくなるまで頑張りましょうね。ご褒美はちゃんと用意してありますから」
愛おしそうにアルベリルクの頬を撫でたが、彼にその言葉が届くことも、顔の横に置かれたご褒美に気づくこともない。
「あっ、う゛う゛うううあああああ」
ブランドーラに関する記憶を消してくれと願ったアルベリルクは薬によって支配されてしまったのだから。
アルベリルクが大きく跳ねる度にベッドはギシギシと音を立て、ブランドーラの身体には重い手足が振り下ろされる。けれど彼はそれすらも受け止め、愛おしそうに撫で、そして思い切り爪を立てた。
「ねぇ、アルベリルク。ここも王様と魔法使いに触らせたんですか?」
「う゛う゛う゛う゛う゛う゛ぁあああああああああああああああああああああああああああああああ」
アルベリルクの身体は痛みさえも一瞬にして快楽に変えてしまう。
強ければ強いほど、強い快楽へと。
ブランドーラはバックからとある小瓶の中身をアルベリルクの口へ移し、空いた口を己の雄で塞いだ。
「残さずしっかり飲んでください」
アルベリルクの頭を両手で抱え込み、ガンガンと喉奥を突く。吐き出そうと必死にもがく喉元さえにブランドーラは気を良くした。大きく喉元が動き、精子を嚥下したことを確認したブランドーラはアルベリルクの髪を撫でた。
魔法使いの血は身体に入ってから数時間ほど暴れ回る。のろいを残すように、痛みを与え続ける。だがその痛みは今のアルベリルクにとって性欲をぶつけてくれるご褒美でしかない。いくら同じ身体になるためとはいえ、魔法使いに負ける訳にはいかないブランドーラは自身の足にもエルフの秘薬を打った。
「愛してますよ、アルベリルク」
そしてブランドーラもまた、快楽に身を落とす。
ベッドに落とされたアネモネの花飾りの花びらは見事に全て割れていた。
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