川石男(ロックマン)伝説

赤沼

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第一章:川石男・『将来の夢』編

ロックマンの抱いた夢 6

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⑩、シナリオライター


「シナリオライターのなりかたを教えてくれ」

 はい、またいつものやつ来ましたー。

「……一応聞いてみるけど、なんで?」
「俺さ、『某SNS』で、来たコメントに返事をするのも苦じゃないし、スマホで返事打つのも早いから、シナリオライターに向いていると思うんだ」
「…………」

 すでに、かける言葉が見つかりません。

「それに、子どもの頃は、使だと思うんだ」
「……それじゃ、一週間で、どんなにつまらなくて文章ヘタクソでもいいから、とりあえず何か書いてきて」
「分かった。じゃ、一週間後な」

 結果は分かりきっていたのですが、一応、一週間後に聞いてみました。

「そろそろ諦めたか?」
「うん……期限を決められて書くのが、こんなに辛いと思わなかった……」

 マンガ家の時と全く同じ流れです。ここまで読んでくださった皆さんには、もうお分かりだとは思いますが、当然ながら、ロックマンは一文字たりとも書いていません。

 こうして、自称『天職』への道は途絶えました。(概ね31歳)




⑪、市長


 私の住む市で、市長選挙がありました。
その市長選挙の告知前にロックマンがアルバイトに来ていたので、冗談でロックマンに提案してみました。

「ロックマン、アルバイトが終わったら仕事の当てないんだろ? だったら、市長選挙に出馬して、市長になればいいんじゃないか?」

 さっきも言いましたが、もちろん冗談です。ロックマンが市長になれるはずもないし、万が一なっても、心の底から困ります。
 ロックマンがどう答えるか楽しみに待っていると、ロックマンの口から零れたのは、思いもよらない言葉でした。

「市長か……けど、面倒くさそうで嫌だな」

 なって……やっても……!?

 どれだけ上から目線なのでしょうか……。
 心配しなくても、誰もロックマンに『市長になってくれ』とはお願いしません。
 そんな心の中のツッコミをあざ笑うかのように、ロックマンは言葉を続けました。その言葉に、その場にいた全員は、耳を疑いました。

「ところで、市長ってなに?」

 勘違いしないでいただきたいのですが、ロックマンは現在の市長の名前を知らないのではありません。『』のです。とても30過ぎの男とは思えません。知りもしないものを『なってやってもいい』と言うのもすごいですね。

「いいか、市長っていうのは、市のリーダーで……」

 アルバイト仲間が説明しても、ロックマンにはまるで理解できていないようでした。仕方がないから、私が代わって説明しました。

「ロックマン、好きなアイドルを頭に思い浮かべてみろ…………浮かんだか? 市のイベントとかに、そのアイドルを、税金使って好きに呼べるのが市長だ!」
「おおー! すげー! すげーー!!」

 私の言葉に、目を見開き大興奮のロックマン。かなり極端すぎますが、このくらい言わないと、ロックマンは市長の凄さを理解できません。

 市長になる気になったロックマンでしたが、出馬にお金がかかると教えると、すっかり意気消沈したのでした。

 ロックマンが市長にならずに本当に良かったです。(概ね32歳)




※※※


 いかがだったでしょうか?
 ここまでの話で、【ロックマン】がどのような人物なのか、想像ができたのではないでしょうか?

 しかし、今までご紹介した話は、ただのジャブにすぎません。人柄を知ってもらうための、軽いエピソードのみなのです。
 ロックマンには、10万文字を超えるほどの数々の逸話……【伝説】があるのです。
 どんな伝説があるか、知りたいと思っていただいた方は、これから先もお付き合いいただければ幸いです。

 ロックマンの抱いた夢を語るのは、ここで終わりです。
 次回から、別のエピソードを紹介していきます。
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