現実世界にワシらの居場所は無い

伸蔵

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異世界突入編

ゲッジョブ

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今日は眠れない。
今まで何度も興奮冷めず眠れない夜を過ごして来たが、今度のは格が違う。
俺には異世界、その全ての刺激が強すぎる。
様々な人種に見慣れない街並み、モンスター達やそれらとの戦闘、185cmの自分の体に、横で寝ているリザードマンとエルフ、それらの巨体を支える大きなベッド、これらが普通になる日が来るのだろうか。
明日はいよいよ、ジョブを決める。
ヒロやシンとどの様なジョブにするか相談したかったが、それぞれが思い思いのジョブにつく方が面白いだろうという事で、何につくかは聞いていない。
実際には何があるかよく知らないから行ってみてから決めようと言う感じなのだろう。


「おはよう」

寝不足の俺が起きた時にはヒロもシンも起きており、ドロップアイテムをまとめていた。
昨日は【スケルトン】をはじめ、中型犬犬サイズのネズミ【バズ】、小型犬サイズのバッタの様な【ホッパー】など、8種のモンスターを狩りまくったので結構な量のドロップアイテムを手に入れている。
ジョブとは別に鍛冶や精製、創造等のスキルLevelを上げればこれらで色々作れる様になるらしい。

「ヒロ君あれからどうなん?大丈夫だったん?」

とお腹をさすると

「ああ、大丈夫じゃ。なんとも無いで。これでどんな所行ってもやっていけるわ。」

本当にヒロはすごい。
と言うのも、リザードマンの種族スキルに『毒耐性』があるからと、昨日出会ったモンスターで唯一毒をもっている【バズ】を半殺し状態で生きたまま食べたからだ。
絶命した瞬間に散ってしまう為、それまでは食べれたそうだ。
毒もそうだが、モンスターの生肉を食うなんて正気の沙汰じゃないし、衛生的に問題無い筈はないが、トカゲなら大丈夫じゃろ。とか言ってバリバリいわしていた。

それから一旦どうしようも無いアイテムだけを売り払い、早速ジョブにつく為、街の中心部にある神殿に向かった。

神殿は異人の転生先になったり、ジョブを身に付けたり、転生陣が中に作られている事が多かったりと異人の総合施設の様な感じの所だと思っていたが、露天商店が多く建ち並び、中にも商業施設が何店舗か入っており、何やら元人の為の様々な手続きも行っており、役所的な感じだ。

「じゃあ、ジョブ付いてくるか。」

「そうじゃな。丁度良うブースが4つに分かれとるわ。俺は1番左行くは。」

「お前は何かっていやぁ左ばっかじゃのう。じゃあ、ワシは逆の1番右じゃあ。
リョウはどうするん?」

「俺はどこでもええよ。じゃあ、ヒロ君の横にするわ。」

そう言って各自バラバラのブースでジョブの選択に入った。
中ではホビットの初老の男性が、事務的に話を進める。

「まずは登録名をお願いします。」

「リョウです。」

「それでは失礼ですが、Levelの確認をさせて頂きます。」

「Levelは確か11です。」

「はい、ありがとうございます。確かに11のようですね。」

「それでは簡単な説明をさせて頂きます。ジョブはLevel10から入れる基本ジョブだけで14種有り、基本ジョブをマスターする事で更に2通りに分かれて28種、総ジョブ数は合計で、42種となります。リョウ様が、現時点で選択出来るジョブはこちらの14種になります。」

なるほど、普通なら結構あって迷うなぁ。
ヒロは間違いなく戦闘タイプのジョブにするだろう。魔法は興味無いが戦闘士は在り来たりなので狂戦士か魔法騎士辺りにするだろう。シンはいつも通りよく分からんが、特殊系の魔獣士か召喚士、呪術士等が怪しい。そこで俺はどうするか?ほぼ決まっている。何故ならあいつら回復の事など一切考えて無いからだ。だから、俺が回復役に回るしかない。
基本ジョブで回復が出来そうなジョブは僧侶、薬師、祈祷師の3種だ。
どれも精神力が必要で、俺向きだがもう1つの取り柄、頑丈さを活かす事が出来そうなジョブは上位ジョブまで考えるとこれだろう。

「それでは、僧侶でお願いします。」

「分かりました。僧侶の特徴を説明致しましょうか?」

「是非、お願いします。」

「僧侶は回復魔法や補助魔法を中心に修得し、攻撃、身の守りのバランスも良く、サポートは勿論、補助魔法を上手く使えば1人でも戦闘出来るジョブとなります。上位ジョブは神聖者と聖騎士とあり、神聖者は全ジョブ中トップクラスの回復・補助能力があり、アンデッド系に対する強力な魔法も修得します。MPの消費を抑える『天使の加護』を覚えます。また、聖騎士は回復・補助も修得しつつ、強力な攻撃スキルも修得していきます。また、対戦相手の弱点が分かる。『看破』のスキルが人気です。入口にご一緒に来られた個性的な方々はお仲間ですか?」

「ああ、そうです。」

「あの方々とともに旅をされるなら最良の選択と言えるでしょう。私も最初は僧侶から始めました。スキルも使い易いものが多くまた、上位Levelのモンスター戦でも役に立ちますよ。」

「ああ、ありがとうございます。そんなに見られていたんですね。なんか凄く嬉しいです。本当にありがとうございました。」

「私はもう怪我の後遺症で一線で冒険する事は叶いませんが、冒険者として新たな仲間が増える事、心より嬉しく思います。」

「ありがとうございます。頑張ってみます。」

愛想の無い人だと思っていたら意外といい人だった。なんか色々な心配事が、解消されたような感じがした。
とにかく、俺は自信とジョブを得た。
早くヒロとシンと合流しよう。
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