転生魔王と転生勇者

十六夜

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二人の実力[リオンの場合]

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「んで?マリオン、何か言い残す事はあるか?」

「ねぇ、リオン。少なくとも私は貴方の精神と肉体の年齢が等しくなるようにしたつもりなのだけど。、、、ねぇ、冗談よね?」

「生憎だな、俺は冗談が理解出来ない悲しい男なんだよ。残念だ、実に残念。まさかパートナーをこの手にかける日が来るなんて、、、。」

「ミランダ!早く止めなさい。冗談じゃないわよ!早く、早くして!」

「リオン、落ち着かんか!」

「離せー!殺らせろー!」

リオンが確実に殺気を纏わせておる。これはマリオンを本気とはいかないが、8割方殺そうとしておったか。まさか、、、しかしなぜ?  

「俺だけならまだしも、レイの10年分の人生をどうしてくれる!この野郎!」

「、、、お兄ちゃん。」

「って言うのは本当です。でも俺、俺ってしょうにあいませんね。やはり、一人称は僕でいきましょうか。」

「「「あ?」」」

「いやはや、マリオンと共に少し茶番劇をしてみようかなと思いまして、そこで皆の反応を、、、あれ?なぜ怒るのです?僕がレイの10年が消滅した事に怒っているのは事実ですよ。でも、それでマリオンを殺したりはしませんよ。だって、レイ自信が望んでいたことですし、僕が口を出す領分ではありません。理解して下さい。」

私は釈然としないながらも、リオンの言い分は理解した。だが、マリオンは許せない。

「マリオン、本来魔法をかけるのならリオン一人でいいはずじゃないのかね?あたしゃ、最初にあんたがまるで予想外の事が起きたように見えたよ。」

「やはり、マリオンの戸惑った表情は僕の見間違いではなかった。お婆様も見ているんだ。マリオン、はっきり言ってください。レイの成長は予想外。貴女は最高の精霊だ。だから魔法を間違える事はないでしょう。そして問います。レイの成長は予想外の出来事であり、貴女さえも把握していなかった。そうでしょう。」

「えぇ、その通り。レイが成長したのはまったくの予想外。でも、私には治せないし、彼女は治すのを望んでいない。もう、いいでしょ。」

確かに、レイは自分から望んだ。だが、、、 

「お婆ちゃん、兄さんも私は大丈夫。だって、兄さんと同じなんだもの。怖くないわ。」

レイ、、、。



「そう言えば、こいつらは大人へと成長したんだよな?なら実力はどうなんだ?」

俺はジョッシュ・カンナヅキ。恋の狩人とは俺のこと、いつかゴーディさんの心を落としてみせる!
って前置きは良くて、俺は成長したリオン達の実力が気になって聞いてみた。

「んー、僕は魔力と肉体が強くなったと感じますね。レイはどうですか?」

「私はわからない。ただ自分が強くなったのは解るわ。でも、それだけ。」

「う~ん、ならリオン。お前、俺と模擬戦しないか?そうすれば、実力はわかるだろ。嫌ならレイとやるがどうする?」

「ジョッシュ、やります。殺らせて下さい。」

あれ?なんか不安な気もするけどまぁ、いい。リオンと模擬戦出来るなら、今はそれでいい。

「リオン、武器はどうする?」

「生憎ですが、武器はありません。しかし、僕には体術がありますので、武器は要りません。」

「なら良いが、獲物を持っている方が良いぞ?」

「なら、僕が勝ったら貴方の持っている剣を一本下さい。それなら良いでしょう?」

剣?俺に合わないからやっても良いか。

「解った、ならやろうか。」


「兄さん、ジョッシュおじさんなんか早く倒してお昼にしようよ。」

「リオン、ジョッシュは弱いわ。3秒でやりなさい。貴方ならできるでしょ。」

「リオン、ジョッシュ共に頑張りな。」

「主、ジョッシュ殿、面白い試合を見せてもらいます。」
 
ったく、なんで皆がリオンばかり応援するんだ?
姉さんに至っては、3秒でやれとか侮りすぎだろ。
でも、ゴーディさんが応援してくれた!この試合、
無様に負けられないな。まぁ、勝てるが。

「ジョッシュ、母様から3秒でやれと言われたので、即座に決着をつけさせて貰います。」

リオンの目付きが変わったのに俺は気付いた。
何かされてからでは俺の勝利は揺らぐ可能性がある。それはなんとしても避けたいと思ってリオンに突っ込んだ。

「****」

リオンの口が微かに動いた。魔法だ、俺はこいつの事を忘れていた。リオンは魔法使いだ。でも、体に変化は一切ない。しかし、絶剣リーガルに切れない物は何処にもない。

「ハァァァ!」

ーシュッー

俺の剣は確かにリオンを切った。なのに手応えが、ない。何故だ?!
 
「約束通り、貴方の剣を一本貰います。しかし、流石です。ジョッシュ、3秒で倒せないなんて。」

俺の後ろには魔剣リーガルを構えたリオンが立っていた。、、、あんなに意気がっていたのに、勝てると思ったのに、、、見事に惨敗した。3秒以上使ったと言っても、秒で倒された事には変わらない。
はぁ、へこむぜ。

「ジョッシュ無理もありません。今のは闇魔法の一つである幻影(ファントム)です。相手に自分の幻影を見せて混乱させる物です。」

「つまりか?俺はあの一瞬で視覚と感覚が麻痺していたと?」

「簡単な話がそうです。闇魔法は相手の肉体に異常をきたす物が多く存在します。その代わりに、光魔法には体の異常を治す魔法が攻撃魔法よりも多く存在します。これは僕なりの考えですが、闇魔法と対になるためだけに光魔法が生まれたのだと思います。そもそも魔法の始まりは原初の神、創生神話にあります。そこには赤の神、青の神、緑の神が存在します。しかし、闇と光の神は存在していないのです。では一体いつから存在しているのか。それは、、、」

「解った、解った。リオン、解ったから!」

リオンの長話はまるで俺の嫌いな勉強をしているような感覚がして嫌になったが、それを笑顔で聞く女性が一人いた。姉さんだ。母さんとレイはもうあきてって、、、母さんがレイに魔法教えてる!羨ましい。俺も剣を教えたい。

「リオン、もっと聞かせて。私の考えはこうよ、創生神話の一説には双子の神、[明るき世界と暗き世界を与えん。]とあるわ。この双子の神が光の神と闇の神。」

「ですが母様、おかしいのです。[5神集まりて、世界に民を造りたもう。双子の神、明るき世界と暗き世界を与えん。赤の神、世界に熱き力と大地を与えん。青の神、世界に流るる力と海原を与えん。緑の神、世界に吹き抜ける力と深緑を与えん。]つまり、母様の一説の部分を全て読むと、ここで民に力を与えているのは赤の神、青の神、緑の神だけなのです。ですから、、、」

ー数時間経過ー

あぁ、駄目だ。頭に一切入らない。俺の目の前では、リオンと姉さんが、俺に良くわからない議論を続けている。あれ?レイと母さんがお菓子食べてるって、あれはリオンが作った新作のケーキじゃないか。あぁ、減っていく。なんで、なんで、俺も食べたいのに、、、うわっ、ゴーディさんも

「愚弟、何処に行こうと言うの?」

「はは、あはは。」

怖い、怖いよ姉さん。

「母様、ジョッシュは興味の無い話題に飽き飽きしているのです。これ以上は酷ですよ。」

「リオン、すまない。」

「何を言うんです?せっかく僕の武器をかえして貰えたのだから感謝の印ですよ。」

「え?」

かえして貰う?どういう事だ?!
だが、答えはすぐに出た。俺と姉さんの目の前で、リオンの体の中に魔剣リーガルが吸い込まれたのだ。

「おお、これは中々ですね。」

「リオン、、、大丈夫なのか?」

「しいて言うなら、むず痒いですね。でも、痛みはありません。やはり、リーガルは我が国宝の神器リーガルでしたか。」

なっ!?リーガルが魔族の国の国宝?どういう事だ!?何故そんなものがアルス森林王国にあるんだ?あり得ない。そう思いたいが、リーガルは俺達の目の前でリオンが数多の形態に変化させている。
はぁ、また面倒な事を隠さなきゃいけないな。
って、ケーキがもうない。、、、ゴーディさんと食べるケーキが、最悪だって、ゴーディさんと同じテーブルにいるローブはだれだ?
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