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40 家庭内コンバットの巻

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ピロン♪

[日野] 穂乃果先輩、むちゃくちゃ興奮してメッセしてきたし

・・・

[日野] アレ?既読付かね?

・・・

[日野] いくら土曜だからって開始時間早すぎね?今頃陽子さん、晩ご飯作ってんじゃね?

・・・

[榊] うむ、とりあえず落ち着いた。だが本番はまだコレからだ!
[日野] つーか、ピルの避妊率って99.7%っていうじゃん?333回でアウトなんだけど?そこんとこ大丈夫?
[榊] 確かにまだ早すぎだとは思うが、早いか遅いかの違いでしかないな・・・むしろ陽子さんとか歓喜しそう・・・
[日野] ああ・・・そんな感じよね、松橋家
[榊] ご飯だってー。行ってくる。
[日野] おう。出した分摂取しとけー



#####



「アンタ、また危ない事してきたんだって?」

む、リコめ、喋ったな?

「責めんじゃないわよ?こっちはプロなんだから、素直な理子に隠し事なんて無理に決まってんでしょ?」

ちっ、陽子さんだけならやり過ごせるが、母さんまで居るとは誤算だった。

「あー、まぁ、確かに危ないといえばちょっと危なかった。母さんも電子レンジで証拠隠滅するときは注意な?ノートPCとか樹脂パーツ多くて燃えっから」

「・・・アンタ・・・ほんと何やってんのよ?」

「正義の味方見習い?大人になったら悪徳弁護士んなるから、今のうちに善行積んどかないと、来世がヤバイ」

「あらあら、凛子ちゃんみたいなファン、また増えちゃうんじゃないかしら?大丈夫、理子?」

「うー、ちょっとモヤモヤするけど、ケンタはかっこいいから仕方ない。でも、凛子みたいに特別扱いはしないと思う」

「つーか単にモテるだけならリコのがよっぽどモテるんだから、むしろ少しでも評価上げてバランスとったほうがよくね?」

そもそも俺のことを『かっこいい』なんて思ってるのはリコくらいのもんだと思う。対してリコが『かわいい』のは万国共通の真理、むしろイメチェン以降『エロカワイイ』に進化して危険度倍増間違いナシ。

「でも理子は『他の男子育成するから家に置け』とか言い出さないでしょ?」

「・・・はい。そこは全面的に謝罪します。賠償は今夜ベッドにてリコさんにお支払いしたいと考えている次第」

「ふふふ、健太君も言うようになったのね?」

「えへへへ、賠償されちゃうんだ?」

「ちっ・・・これだから近親相姦バカップルはっ!」

ふっ、なんとでも言い給え。
この流れなら三対一、某に負けは無いでゴザル!
だが話題くらい換えておくか。

「そうだ、もうちょい調べてからだけど、事務所、来年には法人化思うだ」

「・・・さも自分のモノみたいな言い方した上に、またサラッと面倒な事言い出したわね?」

「まぁ、俺の中では既に俺のモノだし母さんにとっても割りかしいい話だから」

我が家で、先に女性陣を味方につけてしまえば親父に反論は許されない。

「で、なんで法人化したいのよ?」

「いや、俺とリコ、二人分の学費でも結構なもんじゃない?それ、うまいことやって経費で落とせば、四年で何百万かは現金浮くでしょ?日野の件でも、普通の家庭じゃあり得ない出費を強いてわけで、さすがにちょっと甘えすぎだから、その分プラス、お母様の温泉旅行代くらいは都合つけるのが息子の務めかなって?」

噓じゃない。
そもそも日本では弁護士事務所の法人化自体まだまだ一般的じゃ無いが、海外では学費を援助して青田刈りする様々な形態がある。
法人化すれば経費の枠も広がるから、結構なんとかイケると思うんだよね。

「ちょっと気になる言い回しが混じってたけど、まあいいわ。もうちょい詳しく言いなさい」

「今浮かんでるプランは、絶対に法人化しないとダメって話しじゃないんだけと、個人事務所のままだと脱税を疑われやすい。そうだな、例えば一年で利益が2,000万出たとして、ざっくりと持ってかれる税金が740万円」

「えっ?そんな取られてんの?」

「うん、単純に所得税だけじゃなく、住民税とかも変わってくるから、トータルするとそんなもん。他に個人だと社保入れないから年金問題とかもあるんだけど、今はそこは置いといて、節税だけで話し進める」

「それもあとで聞かせて」

「うん。で、例えばこれ、法人化して父さん母さんの給与を年俸500万円ずつに抑えたとしよう。個人年収がそれぞれ1000万円から半分に下がるから、税率も33%から20%に下がる。つまり、今までこの500万に対して、165万ずつ取られてた所得税が100万ずつになるから、この時点で夫婦で130万丸儲け」

「マジで!?」

「で、残りの利益一千万、そのままだったら370万が税金で持ってかれるんだけど、ここで何かしらのの経費に500万使ったとしよう。その場合持ってかれる税金は半分の185万で済む、つまり185万浮いたから、500万の経費で買ったはずの何かが、実際は315万で済んでるとも言える」

「ちょっとよくわかんない」

「そうだな、この経費部分、例えば俺達の学費に500万使ったとしよう。でも実質税金が減ってるので、500万かかるはずだったのに315万で済む事になる。つまり、差額の185万と、さっきの夫婦分で130万、合計で315万儲かるわけだ。税引き後で315万だからそこからは誰にも取られない。わかる?法人化して経費の処理をうまくやれば、今の学費計画よりも毎年315万お安く済んじゃうわけ。315万・・・ちょっと足りないけど、毎日諭吉さん一枚ずつ無駄遣いできる」

「細かいとこに疑問は残るけど・・・魅力的ね?」

「だろ?合間見て細かいとこ詰めとくから、法人化、心づもりしといてね?」

「わかった。っていうか陽子?毎年315万よ?どうする?二人で隠居しちゃう?」

「いや、減るのは税金だから!隠居無理だから!」

よし、誤魔化せた。

「で、なんで学費が経費になんのかの説明は無いの?」

・・・ですよねぇ~。

「パラリーガル」

「弁護士資格の無いスタッフね」

「そう。パラリーガルにはなんの規定も無い。例えば高校生がやっても問題ない。そして事務所で就労するという規定もない」

「・・・それ、グレーすぎない?」

「法律家とは思えないお言葉。例え月に書類一枚しか作らなかったとしても、その対価として給与が発生するのは違法じゃない。そして年間103万までは非課税。俺とリコと日野、三人分で309万円が経費として消せる」

「スジは通ってるけど、無理じゃない?」

「例えばコレが俺一人なら難しいな。法的にも親子だ。違法では無くともツッコミどころ満載だ。だが、そこに、法的には赤の他人のリコと日野が加われば『榊法律事務所では、法曹界を目指す学生を支援している』という体裁が整う。とはいえ現実的なところは、学費を経費にするのは大学生になってからが妥当なとこだと思うよ。法科大の学生をパラリーガルにしててもなんの問題もないでしょ?で、俺達は自分の給与で学費を払う。入学金には使えないが年度の学費はこれで賄えるだろうし、いっそパラリーガル給与を非課税にこだわらず、実際に労働もして小遣い枠もそこから賄ってもいい。いずれにしても、そこに日野を加えたほうが、加えないよりも有益なカタチは作るよ」

「・・・んー、常識的感覚で行けば、そこまで手を出しちゃダメな気がするけど?」

「『弁護士法人 榊弁護士事務所』の発展のためには必要な事だからダメじゃないと思うけど?だって、母さん、たまには案件ほっぽって旅行とか行きたんじゃないの?個人だったら担当替われないけど、法人にしとけば俺達に押し付けていつでもいけるよね?金銭的デメリットが無いどころかメリットあって、経営的メリットもあるんだから、次期経営者としてはGOサインだな」

「まっ、いいわ。つかみとしてはOK。でもアンタにしては論点ぶれ過ぎだし、ツッコミどころも多すぎる。あと話しのすり替え方も無理ありすぎ。いずれちゃんとまとめきって再プレゼンしなさい?まっ、いずれにしても法人化の準備はしておくから」

「あー、やっぱそう思う?税金とか絡んでくると無駄にわかりにくいんだよ。ちょくちょく増税してるから、古い資料じゃ役にたたないし」

「っていうかアンタ、要は凛子ちゃんのお宅、あんまり余裕ある方じゃ無さそうだから、学費が負担になんないようにウチで肩代わりさせようってのが一番の目的でしょ?普通の家ならそんなの絶対許さないっ・・・事はわかってんのよね・・・アンタの場合。はぁ・・・仕方ない、こんなんに育てちゃったのは私らだし、後で理子を尋問して、ホントに嫌がって無かったら乗ってあげる。親孝行しなさいよー?」

「素直に感謝。ありがとう。親孝行の件は任せてくれ!ちょー稼いで遊ばせっから!あっ、でも尋問は明日以降にしてね?今日、土曜日だから。俺達忙しいから!」

「・・・」



##### その夜の母たち #####



「なんていうか、健太君って、美鈴と俊介さんのDNAをお鍋にダバダバ注いで、コトコトコトコト煮詰めて出来上がった感じよね」
「やめてよ!アイツのザーメン煮込んでるとこ想像しちゃったじゃないっ!」
「ふふふ、絵面を想像すると酷いわね」

「つーかさ?あいつのお節介ってどっからきてんの?俊介だってあそこまでじゃ無いでしょ?」
「えっ?美鈴?自覚無いの?美鈴に決まってるじゃない?」
「なわけ無いでしょ?私のどこがお節介だってゆーのよ?」

「素直じゃないなー。美鈴の度の過ぎたお節介がなかったら、私も理子も、結構きつい人生だったと思うわよ・・・感謝してるんだからね?」
「べっ、べつに陽子の為だけにしたことじゃないしっ!」
「ふふふ、知ってる?そうゆうの『ツンデレ』って言うのよ?」

「もう!っていうかいいの?理子、ほんとに大丈夫だと思う?」
「大丈夫よっ。あの子は健太君からさえ離れなければ絶対に幸せで居られるわ。凛子ちゃんだっていい子だし」

「そうかなー?私はなんで健太があの子にあそこまで入れ込むのか、いまいちわかんないんだけど?」
「健太君が凛子ちゃんを見てるときの目って、美鈴が健太君見てるときにそっくりよ?」
「え"?そうなの?」
「たぶん、子育てしてる気分なんじゃないかな?ちょっとおままごとだけど」
「・・・ふーん」

「それに、女が多いほうがバランスいいのは証明済みじゃない?あの子達のしたいようにさせたげましょ?」
「んー、まーね?まぁあいつ、陽子限定でマザコンだし、陽子が悲しむような事はしないわね・・・っていうかさ?マザコンって普通、実の母だと思わない?」

「んー、健太君のアレは、マザコンとは違うかな?たぶん私の事、守ってくれてるんだと思うよ。小学生なのに、メソメソ泣き続ける大人にびっくりして、庇護欲とか覚醒しちゃったんだと思う」
「あー、なるほど・・・納得・・・陽子ってさ?めちゃくちゃ守ってあげたい感じだもんね?」
「ふふふ、役得だったな~」

「まっ、ソレはいいとして、なんつーか、やってらんないわよね。なんで子供たちが上でアンアンやってて、女二人で茶~しばいてんの?あたしら?」
「もうすぐおばあちゃんになっちゃうかもね?」
「はぁ・・・もう、どうにでもなーれっ!」
「ふふふっ、楽しい我が家よね~」








##### 作者コメント #####

今夜でストック尽きました!
明日からは時間との戦いであります!
たまに落としたらごめんなさい!
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