I.B.(そこそこリアルな冒険者の性春事情!)

リカトラン

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1st season 第四章

071 西ダンジョンの調査(1)

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「敵視認!、前方広範囲、距離1000くらい?種別不明っ!数・・・めちゃめちゃいっぱい居るって!逃げるっ?」
「えっ?えっ?」
「まじっ?くそっ・・・接敵は5分後を想定。潰すぞっ!ユリアはリサさんの誘導、他は訓練どおり、かかれっ!」

カインがを出し、ライザが馬を入れる。
階段ブロックで蓋をして、その階段をライザを先頭に駆け上がる。

「すみませんっ、持ちますっ!」

リサを肩に担いだユリアが後に続く、最後がカインだ。

「主殿っ!誰か逃げてるぞっ!」

土煙を上げて向かってくる魔物の津波。
その直前を20名ほどの冒険者たちが必死に走っている。

「くそっ!くそっ!こんなの想定してねぇーって!」
「あっ!」

女性らしき人影が脚をもつれさせて転倒したっ!
助け起こそうと脚を止めた両脇の二人とともに瞬く間に魔物の波に呑み込まれる。

「くっ、悪いっ!危険だが助けるっ!」

一人、また一人と脱落者を出しながら必死の逃走は続く。
距離300。
カインは横に10個のブロックを2列並べた。
衝撃対策に列間は50cmほど隙間を空けてある。
そして中央に階段ブロックを1つ、冒険者たちを受け入れるために追加した。

「アベル隊は階段警戒。正面に立つなっ!両脇に並ぶんだ。そして全員上がり切ったら蓋をしろっ!いいなリシェルっ!」
「ラジャー!」

「間違って人間に当ててもいい、上がってきたら撃ちまくれ!蓋をしたらアベルとシリアは治療優先っ!」
「「ラジャー!」」

「ユリアはやばい所を臨機応変に、リサさんは・・・ちょっと離れててっ!」

距離100、生き残っているのはもう10人程しか居ない。

「おーいっ!階段を上がれっ!振り返るなっ!全力で上がれっ!」

カインの指示に冒険者たちが目を見張る。
50・・・30・・・10。

「登りきってもそこで止まるなっ!左右に分かれて走り抜けるんだっ!」

ブチャッブチブチブチッ ズシーンッ!

押し寄せる波にブロックの地面が地震のように揺れ動く。

「封鎖成功っ!来るぞっ!」

ドダダッダダダダダ バシュッ ババシュッ バシュッ バシュッ

「クリアっ!」
「よしっ、街へ向かう数を減らす。リシェルは向こう端っ!俺はこっちにブロックを伸ばすっ!他は強そうな個体から仕留めろっ!アベルっ、冒険者は任せたっ!絶対に落ちるなよっ!」

魔物の群れは紡錘陣形、下級モンスターのゴブリンの中でも、脚の速い個体が前に出ることで自然とその形が出来る。
カインはブロック列の南端まで走ると、そこから更に10個ほどを伸ばし、そこから西へと直角に曲がった。
このまま囲い込む作戦だ。
だが・・・

「くっ、まずい、10mじゃ低いかっ!」

オークリーダーの身長は4m。
将棋倒しになった最前列の屍を足場に、押し寄せる波が防波堤に迫るっ!

ブチブチブチッ ブチブチブチッ ブチブチブチッ ブチブチブチッ

ブロックを落としながらへりを駆け抜け、中央の階段部を目指す。
だが最も密度の高い中央部には既に屍が積み上がり、オークリーダー達がよじ登り始めているっ!

「間に合わないっ!」
コキュートス氷結地獄!!!」

パリーンッ! ビギビギビキビキッ!

ユリアの極寒魔法にブロック9個分のモンスターが動かぬ氷像と化した。

「間に合ったっ!」

バギバギバギバギッ!

続けざまにブロックを出し入れし、眼前の屍を圧縮してゆく。

「ある程度街へ流れるのは諦めるっ!強個体だけでも間引くんだっ!」

グギャアアアアアアアッ!

「マジかよっ!」

オークリーダーの頭を踏み潰しながら、然程大きくも無いが一体疾走してくる。
身の丈2m程、鋼のような肉体に異様に長い両の手、武器など必要としない凶悪な
ハイオーガだっ!

「全員この上に登れっ!登ったら蓋をしろっ!」

カインがブロックの上に更に階段を積み上げる。
一瞬の逡巡の後、冒険者たちを引き連れて全員が階段へ・・・ハイオーガが石舞台に飛び乗った!

「潰れろぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

角度を付けて出現させたブロックが鬼に向かい倒れ込む。

ズリズリズリッ ズッシーン!

「くっ!」

ブロックに肉を削がれながらも鬼はその俊敏さで擦り抜けた。

バシュッ バシュッ バシュッ

かわすなっ!」

彼我ひが10mを切っているというのに、零式のボルトはことごとかわされてしまう。
鬼の凶爪がカインに迫るっ!

ガイィーン!

魔鉄混合のタワーシールドに爪が突き立つ。
シールドは抜けないものの恐ろしいまでの膂力。
カインはあっさりと吹き飛ばされた。

「カイーンっ!」

ユリアの叫び声。
援護の矢が降り注ぐが軽く手で払われてしまう。
カインが居るため上級魔法の援護は出来ない。

起き上がるカインに再び鬼が。

ガガッィーン! ズザーッ
ドガイィーン! ズザザザッ
ダガンッ! ズザンッ
ガキィーン! ザザッ
ガリガギッ! ダンッ ダッ ダッ

吹き飛ばされ宙を舞う、地に脚が着くと同時に再び吹き飛ばされる。
I.B.の出し入れでなんとかシールド防御は間に合っているが、まったく立て直す事が出来ないカイン。
このままバランスを失い倒れ込めば、シールドごとペシャンコに叩き潰されるのは間違いない。

グギャアアアアアアアッ!

ズガンッ! ドザザザッ
ガガンッ! ガッ! 「ぐはっ」 ズルズルズルッ

シリア達の乗るブロックに背を打ち付けられたカインがズリ落ちる。
真っ直ぐに飛び込んでくるハイオーガ。
躱せなければブロックに押し付けられて圧死しかないっ!

(くそっくそっくそっくそっ!)

「痛ってぇぇぇつってんだろうがぁぁぁあああ!」

迫るハイオーガの眼前1mに取り出した、AMRのストックを背後のブロックに押し付け、そのままトリガーを握る。
ズアッシャァーーーーーン! 「ぐえぇっ!」
顎から入った18mmのボルトが鬼の頭部を吹き飛ばしたっ!

「アンターーーーーーっ!」

頭部を失ったハイオーガの体当たり、大破したAMRの残骸、折れたフレームがカインの腹部に突き立っている。

メリメリメリメリっ

腹筋が掴んで離さないフレームを強引に引き抜く。

「んがぁぁぁぁぁぁぁぁっ!・・・ってぇぇぇ」
ヒール回復!!!」

「っふぅ~~~~~~~~よしっ、続きだ。潰せるだけ潰すぞっ」
「ちょっ、大丈夫なの?」
「街にはラティアが居るんだ。とっとと潰して戻るぞっ!」
「わかった・・・無茶・・・しないでね?」
「あー、それはわからんっ」
「・・・」

二時間ほどでモンスターの波は途切れた。

「よしっ、これから馬車を出す。みんなは5km南下して、迂回したまま南門を目指してくれ。接敵したら俺が居ないバージョンだ、リシェル、しっかりな?強敵だったら俺が迎えに行くまで待機だ」
「アンタは・・・走っていくの?」
「ああっ、悪いな。俺一人で行くのが一番速い」
「旦那様・・・」

「冒険者の皆、俺の事は知っているか?」
「あ、ああ・・・」
「助かった、感謝する」

「俺の女達が街まで手を貸す、だが、一人でも下手な真似をすれば、全員殺す。ユリア、命令だ、ロックハウス家に危害を加えるものが出た場合、この冒険者たちを全員殺せ」
「なっ、何を!?」
「ユリアは奴隷だ、俺の命令には逆らえん。もしも下手な真似をしそうな奴が居たら、全員殺される前に自分たちで殺すんだな。悪いが、コレ以外の選択肢は無い・・・仮にユリアから逃れたとしても・・・ユリアに触っただけの冒険者を二人、俺が殺しているのは知ってるな?俺は執念深いから、慎重に行動してくれよ?」

「主殿・・・後はお任せ下さい」
「あー、結構疲れたけど、もう一働きしてくる。みんなが指示通り南に行ってくれるなら、俺は安心して戦える。頼んだぞ?」
「「「「「「はっ!」」」」」」
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