I.B.(そこそこリアルな冒険者の性春事情!)

リカトラン

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2nd season 第二章

115 拉致と監禁

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『配達人のレベルは35より下げぬ』と言ったな?アレは嘘だ!

増え続ける便の山を見て、俺はあっさりと前言を覆した。
『郵便物を預かっていますよ』というお知らせに限り配達する『通知人』というポストを設置する事に決めた。

そして今日は三都市とも配達はお休み、そう、一斉人攫いのお時間だ!

「わははははは、ボウズっ!いいパンチだ!だが、おれっちには効かんっ!」

スリ・置き引き・犯罪者組織の小間使い。
そうして生計を立てている、ストリートチルドレンのグループを複数、丸ごと拉致った。

拉致った子どもたちは神殿に監禁する。
裸に剥いて丸洗いし、囚人服を着せる。
腹が減ると暴れるので、粗末なスープを流し込んで黙らせる。

「おいっガキども!この中に字を読める奴は居るかっ!?」

リーダー格と思しき数名がおずおずと手を挙げる。

「よしっ、お前らはこっちに来い、残りは拷問のお時間だ(ニヤリ」

そう言い残し、字の読めるガキどもを別室に連行する。

「おいっ!おっさん!あいつらどうするつもりだっ!」
「妹に変なことしやがったらぶっ殺すぞ!」

「くくく、これからお前たちには仕事をしてもらう。そうだな、ひとつやり遂げるごとに一人、開放してやろう」

ガキどもの怨嗟の視線が突き刺さる。
だが知らんっ!
ガキは嫌いだっ!

「この紙を『郵便通知票』と言う。書かれている指示通りの人間を探し、通知票を渡す。渡した証拠にこっちの『通知受領証』に署名を貰って来い。何枚配ってきても構わん。配ってきた枚数分だけ、開放してやるし、一枚渡すごとにに鉄貨一枚200円ずつくれてやる」
「ホントだな?本当にそれを渡してくれば、妹を開放するんだな?」
「ああ、約束してやる。いいか?最初にちゃんと『神殿郵便の通知人』だと、名乗るんだぞ?」

高レベル冒険者で固められた大人たちが相手では、ガキどもに逆らう手立てなど有り得ない。
そして子供と言えどスラムで生き抜く組織のリーダー、お使いくらいならライザよりもうまくやるだろう。
どれ、ガキどもが走り回ってる間に、拷問の様子でも見てくるとしよう・・・くくく。

「アンタ・・・もうちょっと普通に出来ないの?」
「ふんっ!ガキの扱いなんてこんなんで充分だっ!下手したてに出たらアイツら噛み付くしなっ?物理的にっ!」

拷問室では凄惨な地獄絵図が描かれていた。

「そこっ!金髪のお兄ちゃんっ!寝ないっ!罰として、前に出てコレを読んでもらいますっ!」

指されたガキが皆の前に引きずり出される。
手渡された紙に視線を落とすと、その顔が絶望に染まる。

「なぁ、これ、すげぇたくさん字があんだけど・・・」
「ハイッ、大きな声で!みんなもちゃんと心の中で読むんだよっ!?」

金髪が持たされているのはのサンプル。
他のガキどもも同じものを持たされている。
わかる、わかるぞ少年?
自分より年下の少女、それもちょっと美人さんなアリスにピッタリ張り付かれ、読めない字を無理やり音読させられる・・・恐ろしい、なんて恐ろしい羞恥プレイっ!

「アリスちゃん、張り切ってるわね?」
「いつも大人に囲まれてるからな、同年代の中にいるのは楽しんだろな・・・うん、少年よ、同情はするが助けはしない。俺は圧倒的にアリスの方が大事だっ!」

通知票を配りに行ったガキどもは、日暮れ前に全員戻ってきた。

「おいっおっさんっ!全部配ってきてやったぞ!仲間を開放しろっ!」
「ほーう?ほんとうか?受領証、見せてみろ・・・ほぅほぅ、やるじゃねぇか?ホレ、約束の金だ。奥のガキどもも連れてっていいぞ」

ガキどもの手から受領証をひったくり、枚数分の鉄貨を握らせる。
最高記録は32枚6400円、さすがジモティー、効率が違う。

「まっ・・・マジか?ほんとに金だぞ?」
「あぁ、このおっさん、馬鹿じゃねーか?人質が居んのに金まで出したぞ?」
「それより今は仲間だっ!どんな酷い目に合わされたか・・・」

ガキどもが拷問室へ向かう。
扉を開けると・・・。

「ボス、おかえり~」
「お兄ちゃん、ユイカ、褒められたよぉ~」
「それより、はやく、はやく席に着けっ!おれはもう腹が減ってしぬっ!」

テーブルには空のスープ皿をメインに、黒いパンとチーズが並べられている。

「お前たちは仕事を果たした。この組織では仕事を果たしたら飯が喰える。仲間にも喰わせる。足りなければアリスがいくらでも出してくれるだろう」

ニコニコ顔のアリスがスープをよそって回る。
クズ野菜のスープ『豪華肉片入りっ!』だ。

困惑するリーダー格のガキども。
だが知らんっ!

「どれ、俺はもう帰るぞ。逃げたければ逃げて構わん。なに、頭数が足りなくなればまた攫いに行けば済む事だからな?アリス、ライザ、あとは任せたぞ?」
「「はっ!(はいっ!)」」


~~~~~


「アンタって、ほんと、変なとこヒネてるわよね?」
「これくらいでいんだよ!ガキは甘やかすと鼻水こすりつけられるからなっ!」

聖都神殿に戻ると、こちらも夕食の真っ只中だった。

「ラティア、こっちはどうだった?」
「ふふふっ、カイン様?凄いんですよ?競争にしたら、一位の子は44枚配ってきました」
「それはスゲェな?ライザ11人分じゃん!?」
「神殿の紋章が入った制服、それもこんな豪華な真っ白い一張羅を着ていれば、子供でも無碍にはされませんから」

救護院のある聖都側は、随分とスムースに事が運んだらしい。

「あ、アリスは楽しそうにしてたから、向こうに泊まってきてもいいって言っちゃったわ?良かった?」
「念の為、ライザ達を護衛に置いてきた」
「あらあら、それは楽しそうですね?あの子もずっと大人の世界にいましたから、こういう場が出来て良かったですわ」

どうやらこれで明日からは、アベル達ものみに専念出来る体制になった。
だがそれでも、抜本的な配達人不足は解決していない。
三都市だけでも手がまわらないんだ、サービスエリアを広げるなんて夢のまた夢・・・だが、なんとかするしかない。

肉入りクズ野菜スープを口に運ぶ。
うまいっ!

神殿入りして以来、俺達の食事もグレードダウンしている。
俺達の分だけ特別食を作らせるのは、なんかラティアに悪いし。
ハインツの特訓でまた大量にストックが増えたから、全部をもっと豪華にしてもいいんだが・・・たぶんこの方が健康にもいいだろう?
でもちょっと、肉は増やそう。
タンパク質は大事だからな?
特に俺には死活問題だ。

あっ、そうか。
ガキどもが増えた今こそ、一日三食文化を取り入れるべきなんじゃね?
食わせて走らせて丈夫に育てる。
即戦力にはならなくとも、10年経てば配達人になるやつも出てくるだろう。

はぁ~、でもなぁ~、10年もこのままじゃ死ねるよな~。
どっかにまとまって落ちてないかな~レベル35。
はぁ~・・・。

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