I.B.(そこそこリアルな冒険者の性春事情!)

リカトラン

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2nd season 第四章

153 ビーチ

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グラム歴340年、夏。
俺はついにビーチを手に入れたっ!

右手にはビキニに包まれたシリアの乳、左手にはビキニからこぼれんばかりのユリアの乳。
木の皮で編まれたカウチに体を預け、降り注ぐ太陽の元、モミモミモミモミ・・・。

「あんた・・・心の底からしあわせそうね?」
「うむ。よわい二十六にして、俺は遂に本懐を遂げた!」
「旦那様?さすがにちょっと恥ずかしい・・・」

目の前の海では愛すべき美女達がキャッキャウフフ。
約一名、豪快にバタフライで暴れまわってる奴が居るが、見なかった事にしよう。

ここは大陸の南端、去年までは人族至上を掲げるスルギナ国の領土だっが、今は帝国領になっている。
まぁ、王家と軍を滅ぼしたのは俺だ。

例によって「領土は要らん」と、ペルシラのおっさんに丸投げたが、後からこのビーチを見つけて、恥も外聞もなく全力で泣き付いた。
国主の土下座という荒業でドン引きさせ、アベル所有の荘園としてココだけ貰ったのだ。
我ながら良い仕事をしたと思う。

「おっ、お飲み物をおもちすますたっ!」

うむ、噛んでるのかなまってるのかわからないが、現地の獣人娘さんだ。
スルギナ国中央の排斥から逃れ、この辺りには獣人の隠れ里が多いらしい。
このビーチもその一つ。

嵐が来てもびくともしない家屋(リシェル作)を提供する代わりに、海の幸をわけて貰ってる。
後から来て「税を払えっ!」とか、そんなジャイアンみたいな真似は俺はしないっ!
まぁ、国家とは基本的にジャイアンなんだが・・・。

「猊下・・・いい加減働いて下さいよ」
「だが断るっ!」

苦虫くんも健在だ。
ヤザンと同じく、プライベートエリア以外の全域転移権限を付与したらここまで追って来やがる。

「よいかね苦虫くん、俺は決して遊んでいるわけでは無いのだ。領土の最南端を防衛するという重要な任務を遂行中なのだよ?」

モミモミモミモミ

「あんた、どう見てもセクハラ中のスケベオヤジよ?」
「部下さんが見てるから・・・恥ずかしいから・・・ねっ?」

うむ、ユリアは恥ずかしがり屋さんだな。
頬を染める新鮮さがとても良いですっ!

「あるじさまーーーーっ!見てくれっ!デっけぇ魚つかまえたぞーっ!」

うん、ライザ、それ、鮫だから。
カマボコってどうやって作るんだろ?コネて蒸せばいいのか?

「ひっ!ひぃえ~っ!お連れ様が喰われてしまうだ~!」

なるほど、噛んだんじゃなく訛ってるのか。

世界が統一されて半年になる。
統一の機会にを改めようという声も多かったが、俺は反対した。

権力者というのはやたらと歴を支配したがるが、プログラマーとしてはやめて欲しい。
なぜ時間軸を分断したがる?
計算出来ないじゃん?

それに、ペルシラが大陸に名を残したように、グラム王国にも、暦に名を残すくらいの配慮があってもいい。

まぁ、聖教国の名を独断で廃して、内外を問わず反発された俺が言えた義理じゃ無いが。

「猊下、南には何もありませんよ?の開発も滞ってますし、猊下しか答えられない質問が山積みになっています」

約束通り、俺は機械化技術を大量に放出した。
中でも最大級の革命は
シリンダー内の空気を加熱・冷却する事によって、体積変化でピストンを動かし、動力を得るという、夏休みの自由研究向きのアレだ。

ありとあらゆる熱源を動力に転換できるこのエンジン、地球ではあまり普及しなかったが、電気もガソリンも無いこの世界では夢の魔道具となった。
使ってるのは科学で、全然魔道具じゃ無いんだが、いくら説明してもわかってもらえない。

「よいかね苦虫くん?なんでもかんでも俺が教えていては、かえって皆の成長を阻害する。時には心を鬼にして、独力での解決をじっと見守る事も大切なのだよ・・・」

「あんたが見守ってるのはアタシらの尻だけどね?」

「ホイクト君、猊下は縛りつけるより、放っておいたほうが働くようだ。君も少し休んではどうだ?」
「うむ。フレッド、よく言った。だがお前の嫁は少し縛り付けたほうが良くないか?っていうかって誰?」
「あんた・・・まだ名前覚えてなかったの?」
「猊下・・・」

世界同盟の発足からもうすぐ二年。
産業革命がもたらす新時代の幕開け。
この世界は今、希望に満ち溢れている。

常識的に考えれば、急速な技術の進化は資源の奪い合い、戦争を産むものだ。
だがココでは、奪い合いを始めた瞬間、が出る。

『わりぃ子はいねがぁ~、言うこと聞がね子はいねがぁ~』

とは言わないが、お節介好きのが現れて、笑顔でゲンコツを喰らわせる。
圧倒的な暴力に支えられた、危うい平和だ。

「カイン兄さん?姉さん達にイヤラシイ事ばっかりしてないで、少しは泳いだら?」

半年前に成人したアリスは当然のように冒険者に登録、試験もなく最初からC級のカードが発行された。
親心としては同世代の仲間とともに、少しは下積みの経験もさせたいが、いかんせんレベルが違いすぎる。
無理に組ませればどちらにとっても危険が伴う事になる。

「よーし、アリス!お兄ちゃんと競争するかっ?」

俺も大人になったのか、他所の子は小憎たらしいが、アリスだけは可愛くて仕方がない。

「姉さんたち、いい?」
「ええ、行ってらっしゃい?」

「よーし、肩車だっ!ほーら、高いたか~い!」
「ちょっ、やめてよ!バカ兄!下ろせっ!下ろせっ~!」
「うははははははははっ!」

「あらあら、二人とも元気ですね?」
「アリスはちょっと不憫だけどね?」

ふむ・・・ラティアの子というだけでこんなに可愛いんだ。
自分の子だったら更にかわいいのかもしれん・・・だが、その前にもう一つやっておく事がある・・・。

外洋探索。
現在知られている大陸は2つ。
このペルシラ大陸と、北東5000kmにあるとされる小さな魔大陸。
だが、地球を知る俺は、それだけじゃないと踏んでいる。
他にも大陸があるはずだ。
皆と子を持ち、腰を据える前に、最初で最後の冒険の旅に出る。
そう、あの約束、気球の旅だ。

「そーら、アリス~飛んでけぇっ~~~~」
「いやぁぁぁあっぁぁあぁぁああぁあぁぁっ」

ザッブ~ン

「ばっ、バカ兄っ!バカ兄のバカバカバカバカっ!」
「主様っ!それっ!あーしにもやって!」

「よーし、スージ~、とんでけぇっ~~~~~」
「うはははははははっ!」

ザッブ~ン

俺のかすかな記憶では、気球での地球一周が確か二週間。
俺たちが居なくても国は回るし、の床に転移門を埋めておけば問題ないと思うんだ。

「あっ、あるじさまっ!おれっちも!おれっちも飛ばしてくれっ!」
「・・・マジか?」

ぶんっ ぶんっ ぶんっ 「うらぁぁぁぁぁっ!」
「うっひょぉぉぉぉぉぉぉぉっぉぉぉぉぉ」

ドッ・・・ボーンッ!

まぁそれでも連絡係は必要になる。
これに関しては、ヤザンと苦虫くん限定だな。
転移先が空の上だとは教えずにおこう・・・彼等の華麗なリアクションに期待だ!

スターリングエンジンを教えてしまったからには、物質の状態変化がもたらす様々な副産物に気付くものがやがて現れるだろう。
気球が生まれるのも時間の問題な気がする。

現状が維持できれば、国家が主導する爆撃はメリットが無いので警戒レベルは低くていいが、テロリストにとっては垂涎の攻撃手段、何らかの対策を講じたいが・・・難しい。

「兄さん!くらえっ!お魚さん、お魚さん、とんでけぇっ~~~~~!」
「ぬぉぉぉぉぉっ!?」

発想は既にある。
旅が終わったら数年単位の研究にかかるつもりだ。

「アンタぁ!そろそろ帰るわよぉ~っ?」
「ういー」

願わくば、旅のが期待通りであらんことを・・・。

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