千と犬

澤村 通雄

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裏切り

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千里は、とぼとぼと帰りの道のりを歩いていた。

(なんなの、あの竹本の態度は。私が、犬山先生の事、好きなのは憧れであって、犬山先生と私は恋人でもなんでもないんだから。どうして私が殴られなきゃいけないのよ....。)


犬山
「おーい!桜ー!待ってくれー!」


千里
「犬山先生っ!私、私.......。」


帰宅途中の千里の後を、犬山が走って追いかけてきた。


犬山
「桜っ。ちょっとこっち来い。」


千里
「えっ?えっ?何、何.....?」


犬山が、千里の肩をつかむ。


犬山
「桜、オレはな、オレはな.....。」


千里の目から涙がこぼれた。
さっきまで、竹本にひどい事をされ、深く傷ついた、千里の心に犬山が入り込む。


犬山
「竹本先生に何か言われたのか?何かひどい事されなかったか?」


千里
「犬山先生の事、あきらめろって、頬をぶたれました。」


犬山
「そうか、悪かったな。オレのせいで....。」


犬山は、千里を抱きしめた。


千里
「先生っ!私、どうしたら.....。」


犬山
「オレも、この気持ちどうしたらいいか、わからないんだ....。」




「こらーっ!そこで何やっとるっ!!」

校長の林が、大きな声を張り上げて、走ってきた。



「犬山君、これはいったいどういう事だ。」


犬山は、とっさに桜千里を突き放した。


犬山
「この生徒が、いきなり抱きついてきたんです。私はやましい事など、一切していません。」


千里
「うっ....うっ........。」

千里は、その場で崩れ落ち、涙と嗚咽で何も言えなかった。



「君っ!名前は?何年何組だ?」


千里
「うっ、うっ.....。」


犬山
「2年B組の桜千里です。竹本先生のクラスです。」



「犬山君、後で校長室へ来なさい。桜君は、まっすぐ家に帰るように。」


林校長は、犬山を連れて学校に戻っていった。
一人取り残された千里は、何が起こったのか整理がつかず、しばらくその場から動けなかった。


ーーーーー*ーーーーー


一連の出来事の後、家に帰り、自室のベッドに潜りこんだ千里は、徐々に冷静さを取り戻した。

これが大人の本性なのか...。
千里は思った。

こうなったら、とことん復讐してやる。
犬山と竹本に.....。

千里は一皮むけ、少し大人の顔が見えだしたのだった。


ーーーーー*ーーーーー


(次の日)

千里
「せーんせっ!」

千里は、国語の授業が終わり、教室を出た犬山の背後から、声をかけた。


犬山
「なんだ、桜か?」

千里
「なんだって事はないでしょ?昨日は校長先生、大丈夫でした?」


犬山
「いやー、参ったよ。子供の遊びにふりまわされて、困ったもんだ!ハッハッハッ。」


笑ってその場から離れようとする、犬山の耳もとに、千里は顔を近づけた。


千里
「私のバージン。先生にあげようか...?」


犬山
「...............。」


千里
「今日の放課後、体育館の器具庫に来て。絶対だよ!」


犬山
「えっ....?」


まぬけた犬山の顔をうかがった千里は、うれしそうに、走って消えていった。

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