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ちんまん
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ピーッ!!
ホイッスルと共に、千種中学対若水中学のハンドボールの練習試合が始まった。
若水中学の選手は皆坊主刈り。
そうとう厳しく指導されているみたいだ。
千種中学のハンド部の顧問ヨッタコも、グランドに駆けつけた。
1年生のボクは、もちろん見学。
ゴール裏で、ボール拾いを任された。
試合は、坊主刈りで統制された若水が有利。
頭をリーゼントにした千種の3年レギュラー選手たちは、日頃のタバコがたたってスタミナ切れで苦戦している。
そこへ、遠くから1台のバイクの音が。
誰かが言った。
「このCBのエンジン音。
ちんまんだ!」
「やべぇ、ちんまんが来たぞ。」
若水の3年が声を挙げた。
「ちんまんだ!逃げろ~!」
若水の選手たちは、試合を投げ出して、校舎のなかへ隠れていった。
1台の改造バイクは、グランドに侵入して、ハンドボールコートの中をぐるぐると輪を描いて走り回った。
「オイッ、ちんまん!!」
ヨッタコが、バイクを止めた。
「おまえ、何しに来たんだ。」
ヨッタコはちんまんに言った。
「若水の卒業生に、ワシと同学のキミって女がいるだろぉ。
ちょっと、今池のハードコアの連中と揉めてて、キミって女にあいだに入ってもらおうと思って来たんだって。」
「キミさんなら、今美容師学校行っていますよ!」
若水の3年が答えた。
「いつ、こっちに戻ってくるんだ?」
ちんまんが聞いた。
「たぶん、学校終わったら、そのままディスコじゃないですかねぇ、、」
「どこのディスコだ?」
「キング&クイーンですよ!」
若水の3年が答えた。
「わかった、ありがとな。」
ちんまんは、そう言って疾風のように爆音を響かせながら、グランドを走り去って行った。
キミって、ボクのお母さんの事だな。
2年の千種の先輩に聞くと、丁度ちんまんとお母さんの歳は、タメだ。
キング&クイーンか、中1のボクには近寄れない場所だな。
ところで、お母さんと今池のハードコアの連中って、どういう関係なんだろう。
ハードコアって何だ?
お母さんも、そのハードコアなのか!?
何ごともなかったように、若水の選手たちは、校舎から出てきて、ハンドボールコートでは、連中試合の続きが再会された。
昭和の時代では、特に珍しい事でもなかったかのように、、、。
ホイッスルと共に、千種中学対若水中学のハンドボールの練習試合が始まった。
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「オイッ、ちんまん!!」
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