澤村通雄 短編ショートショート集

澤村 通雄

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蒼の群像

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小平は、スポーツインストラクター。
麻由美は、社会人バレーボール選手。
2人は東京で出会った。
麻由美は180センチもある。
小平も負けてはいない。
193センチだ。
小平は、バスケットボールで日本代表候補だった。
しかし、膝を悪くして引退した。
小平は、自分が苦い思いをした分、スポーツの第一線で活躍する選手たちを、サポートする道を選んだ。
バスケのコーチの話もあったが、現場を離れたい気持ちが強かった。
人がバスケットコートで活躍する姿を間近にすると、悔しくてたまらないからだ。

麻由美は、チームのエースアタッカー。
毎年、Vリーグでは優勝争いをする強豪チームに所属している。

麻由美は、小平を自分の専属トレーナーにしたかった。
小平の、選手へのケアの姿勢をかっていたが、小平に正直惚れていた。

小平は、悩んだ末に、麻由美だけの専属トレーナーになることにした。

同じに、麻由美の自分への想いを伝えられて、小平も麻由美に自分の気持ちを伝えた。
小平も麻由美を好きだった。

2人は、食事の管理やストレッチ、ウェイトトレーニングを共にした。

月日が経つうちに、麻由美は日本代表に選ばれて、世界バレー、オリンピックで活躍する、世界的なアタッカーになった。

小平は、満足だった。
麻由美の活躍が、小平の幸せそのものだった。

小平は、麻由美に指輪をプレゼントした。

2人は、1つになった。

のちに子供が生まれ、すくすく育ち一流のスポーツ選手になった。

還暦を過ぎた2人は、沢山の孫にも恵まれて、幸せに人生を送った。

小平が亡くなったあと、沢山の世界中のスポーツ関係者が、小平の葬儀に駆けつけた。

生前、小平が書き留めた。
栄養学、ストレッチ法、正しいトレーニング術が、高く評価された。

死後、国民栄誉賞を受賞した。

麻由美や子供たち、孫たちは、小平のお墓に受賞の報告に訪れた。

小平の、ゲーム終了のホイッスルはまだ鳴っていない。

遠くで、ボールをドリブルする音が、聞こえる気がした。

   fin
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