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練習
しおりを挟む「はーい、集まって。」
河村師範が皆を集合させた。
徳川さんが隣で、黒帯の若い師範の名を教えてくれた。
小学生の頃からこの道場に通っている、黒帯5段の育成会のホープだそうだ。
まずは、5人ほどいる各部署の老師範も交じり、大きな円になった。
小学生から、70代の総師範も含めて、30人ほどいるであろうか。
まずは、ストレッチから始まった。
右回りで1人づつ、声を出す。
私のところは、1つ飛ばす配慮が自然に行われた。
ひと通り、ストレッチが終わると腕立て伏せが始まった。
(ゲッ、私の苦手な奴。)
何回続くのか、不安でしかなかったが、意外にも、10回で終わり、いささか肩透かしを食らった。
「はい、整列!」
河村師範が再び声を出す。
皆が、一斉に素早く機敏に並んだ。
私は、突っ立っていると、山田総師範が君は、1番後ろ、と声をかけてくれた。
どうやら、帯の色で順番を決めているようだ。
最後尾に並んだ、私は皆と同じように正座した。
板の床は、久しぶりの慣れない正座で、足が痛かった。
河村師範が、来月の合同練習の話しと、毎月の月謝の話を簡単に説明した。
「先生に礼!上座に礼!」
皆が正座のまま、額を床に平伏した。
私も、見よう見真似で床に平伏した。
(とんでもないところに、飛び込んじゃったなぁ。)
「はい、広がって!」
間髪入れづに、事は進む。
皆が、立ち上がって等間隔に広がる。
私は、道場の1番入り口側に、追いやられた。
「前拳から!」
「押忍っ!押忍っ!押忍っ!」
別の師範が、私の横について足捌きと、拳の出し方を教えてくれる。
(これって、見学なの~。いつ終わるの?)
事は、どんどん進んでいった。
15分ほど型の練習が続き、小休憩になった。
山田総師範が、近づいてきて。
今日は、もういいよ。
あとは、見てるだけで。
帰るときは、ワタシに声をかけて。
「はいっ!」
私は、学生時代の運動部以来の、体育会系的な、純粋無垢な返事をした。
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