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24.自由
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遠ざかる白いお屋敷を目で追っていると、正午を告げる鐘の音が聞こえてきた。
空はどんよりとした雲に覆われ、時折強い風が吹く。風に舞う落ち葉の姿がわたしに重なって見えた。
「冬が来る前で良かった」
レイの低い声が車輪の音と重なって聞こえる。
「忘れ物はない? まだ時間はあるから、僕がジェシカの家に取りに行くよ」
「ありがとう。でも、いいの」
レイの気遣いに感謝しつつ、わたしは首を横に振った。
わたしの部屋にあった物は両親によって処分されているだろう。それに彼らはわたしが生きていることを知っても決して喜ばない。
今日はエイミィの処刑の日だから。
国王陛下は執行人が手を汚すことを嫌うため、処刑には毒が使われると聞いた。時刻は太陽が真上に昇り切る前だと。
先ほどの鐘の音を、彼女が耳にしたかどうか――
実の妹が死んだというのに不思議と悲しみは感じなかった。ただ胸の中にぽっかりと穴が開いたような喪失感があった。
エイミィは気付いていただろうか。その日の前日にのみ面会が許されていることを。ひと言でも謝ってくれていたら、わたしはもっと悲しい気持ちになれたのだろうか。
車輪が石畳を踏んでガラガラと音が響く。
「うちの領地は遠いから、馬車だと一ヶ月はかかるんだ」
伏目がちな青い瞳に白いまつげがかかっている。レイは距離を気にしているらしい。わたしは首を傾げた。
「ええと、遠い方がいいのではなかったかしら……」
シェリーズ家の者だと知られれば王都でまともな生活はできない、それならいっそ王都から遠く離れた土地で暮らした方がいい――と、彼が提案してくれたのに。
「いや、その……すぐに戻ってくるのは無理だと言いたかったんだ。今の状況では知り合いにお別れを言うことも難しいし」
「そんな知り合いはいないわ」
かつての友人も親戚も、貴族の娘でなくなったわたしが会いに行けば何をしに来たのかと思うだけだろう。
ため息を抑えてチラリと横を見ると、いつもの無表情なシェーラと目が合った。
「シェーラは……いいの?」
「私はどこまでもお供いたします」
お別れをしたい人はいないのと聞いたつもりだったのに、思いがけない言葉が返ってきて、胸がじんわり暖かくなる。
「でもシェーラ、わたし、お給金……」
「心配ございません」
いつかと同じようにお給金が払えないと言おうとしたら、やっぱり同じように遮られてしまった。
「ジェシカ様には、きっと頼りになる素晴らしい旦那様が現れると信じておりますので」
シェーラの強いまなざしは、なぜかレイに向けられている。
「ははは、私も信じていますよ! レイモンド様!」
いきなり馬車の前からクロードの声が聞こえてきて、わたしは目を白黒させた。
「……えっ、クロード、なの?」
「はい、ジェシカ様」
慌てて小窓から御者席を見ると、執事のクロードがキリッとした顔で手綱を持っているではないか。
「ど、どうして、クロードがここに?」
彼はお父様付きだからシェリーズ家にいるとばかり思っていた。いつから御者席にいたのだろう。
「レイモンド様は馬で来たから領地に帰る馬車の御者がいなかったそうです。ついでと言っては何ですが、これを機に私も新天地で頑張ってみようと思いまして」
わかるようなわからないような不思議な説明をするクロードの声が、風の音に混じって聞こえてくる。シェーラの眉間にシワが寄っていることに気付いて、わたしは少し笑ってしまった。
〇▲◇
生まれて初めての旅はとても刺激的だった。今まで王都を出たことがなかったわたしは、見渡す限りの小麦畑や向こう岸が見えない湖を見ては驚いていた。
崖のある道を避けたり馬車の通れない橋があったりして何度か回り道を余儀なくされたため、予定より進行が遅くなってしまったとクロードから聞いた。
ラスタヒュース領に着いた頃には落ち葉ではなく雪が舞う季節になっていた。
長く伸びた街道や建物の屋根に雪がうっすら白く積もり、遠くには国境の大山脈が見える。
美しい景色に思わず声を上げると、息がフワッと白くなった。
「本当に……寒いのね」
馬車の窓から入ってくる冷気に思わず身を震わせたら、シェーラが素早く上着をかけてくれた。
「王都で着ていた上着だと少し寒いんだ。新しく作らないとね」
苦笑交じりにレイが言った途端、御者席からくしゃみが聞こえてきた。前に座っているクロードはコートを着ていてもかなり寒いのだろう。
「急ごう。クロードさん、そこを右に曲がって丘の方へ向かってください」
「かしこまりました」
レイの指示を受けて、馬車が速度を上げていく。
大山脈を背にした小高い丘に白いお屋敷が見える。王宮に引けを取らない荘厳な建物は、降り続く雪に映えてとても綺麗だった。
しかし景色に見とれてばかりはいられない。
ようやくラスタヒュース領に着いたのだから、部屋を借りて働くための段取りをしなければならない。この寒い中クロードがどこへ急いでいるのかわからないけれど、今日だけはレイに案内を頼んでもいいだろうか。
「あの、シェーラ……家を借りるのって、どうしたらいいのかしら?」
「……ジェシカ様」
焦る気持ちを落ち着けようとシェーラに話しかけたら、彼女の目がいつもより大きくなったような気がした。
「とりあえず、レイモンド様のお母様にご挨拶するのが先でございましょう」
「……そ、そうだったわ」
肝心なことを忘れていた。自分では気が付いていなかったけれど、かなり浮足立っているのかもしれない。
「まあっジェシカちゃん! 無事で良かったわ!」
先ほど見えた白いお屋敷へ挨拶に行くと、レイのお母様が相変わらずの大きな声で迎えてくれた。レイと同じ白い髪と青い瞳で、とても美しい容姿をしているのに、なんとなく話し方がノーラ叔母様に似ているのが不思議だ。
エントランスには光沢のある白いタイルが床に敷き詰められていて、お屋敷の外とは別世界のように暖かい。その規格外の広さに驚きながら、わたしはスカートをつまんで礼をした。
「お久しぶりです、ラスタヒュース侯爵夫人。王都ではレイ……モンド様に大変お世話になりました。お礼を申し上げます」
「そうそう、事情はだいたい聞いているわよ」
レイのお母様は優しく微笑む。
「事件を起こした本人だけではなく、シェリーズ家は全員死刑だなんて……ジェシカちゃんはどうなったのかと心配していたのよ」
「母さま!」
叫んだレイの顔を見て、わたしはようやくレイのお母様の言葉の意味が頭に入ってきた。
――お父様とお母様が、死んだ……ということ?
レイのお母様は首を傾げた。
「レイ、まさかジェシカちゃんは知らなかったの?」
「それはまだ伝えていなかったんです。さすがに……その、親ですから」
「あ、でもジェシカちゃんは行方不明で死亡扱いなのよ。だからもしかしたら逃げてくれているのかも、とは思っていたのだけど……」
ふう、と息を吐いてレイのお母様は優しい手つきでわたしの頭を撫でる。
「なんだか、誰か偉い人がジェシカちゃんだけ見逃してくれた感じがするわ。レイ、心当たりはないの?」
「……ありますが、今大事なのはそこじゃないというか」
「あの、わたしは大丈夫です。予想はしていましたから……」
どうしてかわからないけれど、両親の死についてあまり胸は痛まなかった。仮に彼らの考えがエイミィとは違っていたとしても、エイミィに好き勝手させていた時点で同罪とみなされたのだと思う。
『当主としての責任も問わねばならぬ』
国王陛下の冷たい声は、思い出すだけで寒気がした。
エイミィの罪によって両親も死刑――行方不明扱いでなければ、わたしもシェリーズ家の人間として一緒に処刑されていたはずだ。
どんなに理不尽でも国王陛下の裁定があれば執行される、と聞いたことがある。
裁判の時は地味すぎて周りに気付かれなかったのかもしれない。でもその後、わたしはフォークナー公爵夫人と直に会っている。公爵夫人はわたしが生きていることを知っているにもかかわらず、行方不明扱いのままにしてくれた。
わたしはいろんな人に助けられてここにいるのだと思うと、悲しいわけではないのに涙が出て来そうになった。温かいもので胸がつまったような感じがして。
「まあ、ここで立ち話もなんだし、お茶にしましょうよ。ねっ」
嬉しそうなレイのお母様に手を引かれ、長く伸びた白い廊下を歩いていく。王都を出た時には重く感じていたわたしの足は、まるで雲の上を歩いているように軽かった。
フワフワした足取りがおかしくて、思わず笑みがこぼれる。
今なら、どこまでも歩けそう。
空はどんよりとした雲に覆われ、時折強い風が吹く。風に舞う落ち葉の姿がわたしに重なって見えた。
「冬が来る前で良かった」
レイの低い声が車輪の音と重なって聞こえる。
「忘れ物はない? まだ時間はあるから、僕がジェシカの家に取りに行くよ」
「ありがとう。でも、いいの」
レイの気遣いに感謝しつつ、わたしは首を横に振った。
わたしの部屋にあった物は両親によって処分されているだろう。それに彼らはわたしが生きていることを知っても決して喜ばない。
今日はエイミィの処刑の日だから。
国王陛下は執行人が手を汚すことを嫌うため、処刑には毒が使われると聞いた。時刻は太陽が真上に昇り切る前だと。
先ほどの鐘の音を、彼女が耳にしたかどうか――
実の妹が死んだというのに不思議と悲しみは感じなかった。ただ胸の中にぽっかりと穴が開いたような喪失感があった。
エイミィは気付いていただろうか。その日の前日にのみ面会が許されていることを。ひと言でも謝ってくれていたら、わたしはもっと悲しい気持ちになれたのだろうか。
車輪が石畳を踏んでガラガラと音が響く。
「うちの領地は遠いから、馬車だと一ヶ月はかかるんだ」
伏目がちな青い瞳に白いまつげがかかっている。レイは距離を気にしているらしい。わたしは首を傾げた。
「ええと、遠い方がいいのではなかったかしら……」
シェリーズ家の者だと知られれば王都でまともな生活はできない、それならいっそ王都から遠く離れた土地で暮らした方がいい――と、彼が提案してくれたのに。
「いや、その……すぐに戻ってくるのは無理だと言いたかったんだ。今の状況では知り合いにお別れを言うことも難しいし」
「そんな知り合いはいないわ」
かつての友人も親戚も、貴族の娘でなくなったわたしが会いに行けば何をしに来たのかと思うだけだろう。
ため息を抑えてチラリと横を見ると、いつもの無表情なシェーラと目が合った。
「シェーラは……いいの?」
「私はどこまでもお供いたします」
お別れをしたい人はいないのと聞いたつもりだったのに、思いがけない言葉が返ってきて、胸がじんわり暖かくなる。
「でもシェーラ、わたし、お給金……」
「心配ございません」
いつかと同じようにお給金が払えないと言おうとしたら、やっぱり同じように遮られてしまった。
「ジェシカ様には、きっと頼りになる素晴らしい旦那様が現れると信じておりますので」
シェーラの強いまなざしは、なぜかレイに向けられている。
「ははは、私も信じていますよ! レイモンド様!」
いきなり馬車の前からクロードの声が聞こえてきて、わたしは目を白黒させた。
「……えっ、クロード、なの?」
「はい、ジェシカ様」
慌てて小窓から御者席を見ると、執事のクロードがキリッとした顔で手綱を持っているではないか。
「ど、どうして、クロードがここに?」
彼はお父様付きだからシェリーズ家にいるとばかり思っていた。いつから御者席にいたのだろう。
「レイモンド様は馬で来たから領地に帰る馬車の御者がいなかったそうです。ついでと言っては何ですが、これを機に私も新天地で頑張ってみようと思いまして」
わかるようなわからないような不思議な説明をするクロードの声が、風の音に混じって聞こえてくる。シェーラの眉間にシワが寄っていることに気付いて、わたしは少し笑ってしまった。
〇▲◇
生まれて初めての旅はとても刺激的だった。今まで王都を出たことがなかったわたしは、見渡す限りの小麦畑や向こう岸が見えない湖を見ては驚いていた。
崖のある道を避けたり馬車の通れない橋があったりして何度か回り道を余儀なくされたため、予定より進行が遅くなってしまったとクロードから聞いた。
ラスタヒュース領に着いた頃には落ち葉ではなく雪が舞う季節になっていた。
長く伸びた街道や建物の屋根に雪がうっすら白く積もり、遠くには国境の大山脈が見える。
美しい景色に思わず声を上げると、息がフワッと白くなった。
「本当に……寒いのね」
馬車の窓から入ってくる冷気に思わず身を震わせたら、シェーラが素早く上着をかけてくれた。
「王都で着ていた上着だと少し寒いんだ。新しく作らないとね」
苦笑交じりにレイが言った途端、御者席からくしゃみが聞こえてきた。前に座っているクロードはコートを着ていてもかなり寒いのだろう。
「急ごう。クロードさん、そこを右に曲がって丘の方へ向かってください」
「かしこまりました」
レイの指示を受けて、馬車が速度を上げていく。
大山脈を背にした小高い丘に白いお屋敷が見える。王宮に引けを取らない荘厳な建物は、降り続く雪に映えてとても綺麗だった。
しかし景色に見とれてばかりはいられない。
ようやくラスタヒュース領に着いたのだから、部屋を借りて働くための段取りをしなければならない。この寒い中クロードがどこへ急いでいるのかわからないけれど、今日だけはレイに案内を頼んでもいいだろうか。
「あの、シェーラ……家を借りるのって、どうしたらいいのかしら?」
「……ジェシカ様」
焦る気持ちを落ち着けようとシェーラに話しかけたら、彼女の目がいつもより大きくなったような気がした。
「とりあえず、レイモンド様のお母様にご挨拶するのが先でございましょう」
「……そ、そうだったわ」
肝心なことを忘れていた。自分では気が付いていなかったけれど、かなり浮足立っているのかもしれない。
「まあっジェシカちゃん! 無事で良かったわ!」
先ほど見えた白いお屋敷へ挨拶に行くと、レイのお母様が相変わらずの大きな声で迎えてくれた。レイと同じ白い髪と青い瞳で、とても美しい容姿をしているのに、なんとなく話し方がノーラ叔母様に似ているのが不思議だ。
エントランスには光沢のある白いタイルが床に敷き詰められていて、お屋敷の外とは別世界のように暖かい。その規格外の広さに驚きながら、わたしはスカートをつまんで礼をした。
「お久しぶりです、ラスタヒュース侯爵夫人。王都ではレイ……モンド様に大変お世話になりました。お礼を申し上げます」
「そうそう、事情はだいたい聞いているわよ」
レイのお母様は優しく微笑む。
「事件を起こした本人だけではなく、シェリーズ家は全員死刑だなんて……ジェシカちゃんはどうなったのかと心配していたのよ」
「母さま!」
叫んだレイの顔を見て、わたしはようやくレイのお母様の言葉の意味が頭に入ってきた。
――お父様とお母様が、死んだ……ということ?
レイのお母様は首を傾げた。
「レイ、まさかジェシカちゃんは知らなかったの?」
「それはまだ伝えていなかったんです。さすがに……その、親ですから」
「あ、でもジェシカちゃんは行方不明で死亡扱いなのよ。だからもしかしたら逃げてくれているのかも、とは思っていたのだけど……」
ふう、と息を吐いてレイのお母様は優しい手つきでわたしの頭を撫でる。
「なんだか、誰か偉い人がジェシカちゃんだけ見逃してくれた感じがするわ。レイ、心当たりはないの?」
「……ありますが、今大事なのはそこじゃないというか」
「あの、わたしは大丈夫です。予想はしていましたから……」
どうしてかわからないけれど、両親の死についてあまり胸は痛まなかった。仮に彼らの考えがエイミィとは違っていたとしても、エイミィに好き勝手させていた時点で同罪とみなされたのだと思う。
『当主としての責任も問わねばならぬ』
国王陛下の冷たい声は、思い出すだけで寒気がした。
エイミィの罪によって両親も死刑――行方不明扱いでなければ、わたしもシェリーズ家の人間として一緒に処刑されていたはずだ。
どんなに理不尽でも国王陛下の裁定があれば執行される、と聞いたことがある。
裁判の時は地味すぎて周りに気付かれなかったのかもしれない。でもその後、わたしはフォークナー公爵夫人と直に会っている。公爵夫人はわたしが生きていることを知っているにもかかわらず、行方不明扱いのままにしてくれた。
わたしはいろんな人に助けられてここにいるのだと思うと、悲しいわけではないのに涙が出て来そうになった。温かいもので胸がつまったような感じがして。
「まあ、ここで立ち話もなんだし、お茶にしましょうよ。ねっ」
嬉しそうなレイのお母様に手を引かれ、長く伸びた白い廊下を歩いていく。王都を出た時には重く感じていたわたしの足は、まるで雲の上を歩いているように軽かった。
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今なら、どこまでも歩けそう。
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