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23.牢獄
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王宮には高い塔の牢獄があると聞いたことがある。
でもエイミィは地下牢に入れられているらしい。これが因果応報と言うのだろうか。
兵士に先導されて迷路のような通路を歩き、何度も身分証のチェックを受けた後、分厚い金属の扉がゆっくり開いていく。
フードを深く被ったわたしはぼんやりとその様子を見ていた。
陽の差さない暗い空間、淀んだ空気。
鉄格子だけが不気味に鈍い光を放っている。
石畳の床がコツコツと音を立てると、自分が閉じ込められた地下牢を思い出して少し気分が悪くなった。
「……」
不意に立ち止まった兵士がこちらに無遠慮な視線を向けてくる。声を出してはいけない決まりでもあるのか、顎をしゃくってここだと示した。
鉄格子の向こうにはくすんだ金髪の女の子が膝を抱えて座り込んでいた。
「エイミィ……」
つぶやいた声が相手に聞こえるとは思っていなかったけれど、金髪の頭がゆっくりと上がっていく。その頬は治療を受けていないのか、焼け爛れた傷がむき出しのままだった。
裁判の日から何日もたっているのに相変わらず生々しい火傷を見ると、もしかして治らないようになっているのだろうかと変なことを考えてしまう。
「……なんでお姉様なの? お父様を呼んでちょうだい」
「お父様は、来られないわ」
お父様もお母様も仮処分で謹慎中の身だから、どんなにエイミィが望んでも来ることはできない。親戚はみんな国王陛下を恐れて我が家との関わりを断っている。
わたしもレイの家の使用人の身分証を貸してもらって来たくらいだ。
「いい気味だと思っているんでしょう」
地獄の底から響くような低い声が聞こえる。
「……わたくしの方がずっと、ずっと美しかったのに、こんな顔になって! その上お姉様がまだ生きているなんて、ずるいわ! どうして生きているのよ!」
エイミィはひとしきり叫んで火傷が痛んだらしく、肩を上下させてうめくような息をする。
彼女は家の地下牢でわたしが死ぬと信じて疑わなかったのだろう。わたしだってレイに助けてもらうまではそうなると思っていた。
そしてその原因を作ったエイミィがわたしにケガの八つ当たりをするのは、とても許せるものではなかった。
「エイミィあなた……自分が何をしたかわかっているの?」
「何をしたって言うの?」
エイミィは憎しみを込めた目で私を睨みつける。
「お姉様とわたくしは同じものが与えられる約束なの。だからわたくしが持っていないドレスをお姉様が持っていてはいけないのよ! 婚約者だって、お姉様だけのものではないわ!」
「……?」
当たり前だと言わんばかりのエイミィの言葉は、わたしにはよく理解できなかった。エイミィと一緒でなくてはドレスを仕立ててもらえなかったことと、婚約の話は関係あるのだろうか。
「同じって……、そもそも、なぜ同じにする必要があるの?」
「あの時、お父様とお母様とで約束したのよ。お姉様とわたくしは同じなんだって」
「……あの時?」
エイミィが何を言いたいのか本気で分からなかった。彼女はどこかおかしくなっているのかもしれない。
焦点の定まらない瞳でエイミィは壁を見つめていた。
「ずっと昔、肖像画を見たの。お父様とお母様と、小さなお姉様が描かれていたわ。わたくしはどこにもいなくて……悔しくて堪らなかった」
そんな肖像画を見た記憶はなかったけれど、エイミィがとても悲しそうな顔をするので嘘ではないのかもしれないと思った。
「それは……あなたが生まれる前の絵だからではないの?」
「お父様も同じことを言ったわ」
口を歪ませてエイミィは笑った。
「でもお姉様が、お父様とお母様を独り占めしていた事実に変わりはないでしょう? 後で生まれたわたくしはいつも、お姉様と愛情を分け合わなければならないのに」
「……」
何と答えていいかわからず、わたしはぶるりと震えた。
エイミィが生まれていない頃のことを持ち出して『独り占めしていた』と責められるのは納得がいかない。それでもエイミィの恨みがましい目を見ると、自分が悪かったような気持ちになってくる。
「……わたくしはあの絵のお姉様になりたかった」
ほんの一瞬、虚ろな表情になってエイミィはぽつりとこぼした。
「そう言ったら、お父様とお母様は泣いて謝ってくれたわ。何もかもお姉様と同じにするって。わたくしとお姉様に差はないんだって」
両親が特におかしいことを言っているとは思えなかった。考えてみると、エイミィが三歳くらいまではあの両親も普通の対応をしていたような気がする。
おそらく泣いたエイミィをそう言ってなだめたのだろう。
「だから、お姉様の次にわたくしがお父様とお母様を独り占めしたのよ。オーウェン様だってお姉様と婚約したら、次はわたくしと婚約しないといけないでしょ?」
「な、何を言っているの……?」
『次』という言葉が頭の中をグルグル回って、わたしは混乱した。
わたしとオーウェン様が婚約する話は噂に過ぎないし、そもそも婚約者は姉妹で順番になるものではない。しかしエイミィはそう信じ込んでいるようだった。
何より、彼女が意図的にわたしから両親を遠ざけた――とも受けとれる発言に背筋が凍った。そんなことができるはずがないという気持ちと、やっぱりという気持ちが交互に浮かんで、心臓をギリギリと締め付けていく。
『青い精霊石は人の心を操る嘘を嫌う』
私はレイの言葉を思い出していた。
エイミィはあの時、オーウェン様にどんな嘘をついて火傷を負ったのだろう。人の心を操るなんて信じられないけれど……。
「エイミィ……その火傷をした時、オーウェン様に嘘をついた?」
「いいえ、嘘なんてつかないわ」
わたしの質問に対して驚くほどの即答。こんなにはっきりと否定されるのは意外だった。
「わたくしのは嘘じゃないもの。聞いた人が信じたら嘘ではなくなるのよ、お姉様」
ふふ、とエイミィは楽しそうに笑う。
「わたくしが言えばみんなが信じる。それがわたくしにとっての本当のことなの。だから嘘ではないわ」
「そう……」
この子は異常だ。
どうしてこんなにおかしくなってしまったのか。
わたしは両手を組んで強く握りしめていた。
「……さっきあなたは、こんな顔になったと言ったわよね」
エイミィの肩がピクリと揺れた。
「エイミィ、あなたは今も美しいわ。以前と少しも変わらない」
――ガチャン、ガチャン、と鉄格子が大きな音を立てて揺れる。
獣の咆哮に似たうなり声。
憤怒の形相をしたエイミィが目の前にいた。
「――ねえ! わたくしが何をしたっていうの⁉ わたくしとお姉様は『同じ』なのに、どうしてわたくしだけ、こんな目に遭うのよ! お姉様だけ、ずるい! ずるい!」
エイミィは叫びながら、鉄格子を力の限り揺さぶって大きな音を立て続ける。
彼女が大きく口を開ける度に、その輪郭が人のものではない形に崩れていくように見えて、わたしは思わず後退っていた。
「静かにしろ! 舌を切り取るぞ」
わたしの後ろに控えていた兵士が大きな声で脅すと、エイミィは今まで大騒ぎしていたのが嘘のように静かになり、膝を抱えて座り込んだ。
心臓の音がドクドクと耳に響いてくる。胸に当てた手が震えていた。さっきのエイミィは何だったの、あんなに恐ろしい顔、見たことない……。
「時間だ」
まだ聞きたいことがあったと思うのに、抵抗する間もなく問答無用で兵士に引きずられて、金属扉の出入口まで連れて行かれた。
おそらくわたしは呆然としていたのだと思う。
背中を強く押されて扉の外へ無理やり出された時、ようやく我に返ることができた。
『わたくしはお姉様になりたかった』
エイミィは本当にそう思っていたのだろうか。
……わたしだってエイミィになりたかった。誰からも愛されて注目される美しいエイミィが羨ましかった。
わたしの世界は今でもとても狭いけれど、子供の頃はもっと狭くて両親の愛は神の愛に等しいものだった。それが得られないとわかってからは苦しくて苦しくて、何度自分の生きている意味を考えたことだろう。
――たった一枚の絵でつり合いが取れるはずがない。
気付かないうちに涙が零れていたのか、背中を押した兵士がぎょっとした顔でわたしを見ていた。
「すまない、こういう仕事なんだ」
ギイギイと軋む扉を気まずそうに閉める兵士に対して、わたしはただ頷くことしかできなかった。
でもエイミィは地下牢に入れられているらしい。これが因果応報と言うのだろうか。
兵士に先導されて迷路のような通路を歩き、何度も身分証のチェックを受けた後、分厚い金属の扉がゆっくり開いていく。
フードを深く被ったわたしはぼんやりとその様子を見ていた。
陽の差さない暗い空間、淀んだ空気。
鉄格子だけが不気味に鈍い光を放っている。
石畳の床がコツコツと音を立てると、自分が閉じ込められた地下牢を思い出して少し気分が悪くなった。
「……」
不意に立ち止まった兵士がこちらに無遠慮な視線を向けてくる。声を出してはいけない決まりでもあるのか、顎をしゃくってここだと示した。
鉄格子の向こうにはくすんだ金髪の女の子が膝を抱えて座り込んでいた。
「エイミィ……」
つぶやいた声が相手に聞こえるとは思っていなかったけれど、金髪の頭がゆっくりと上がっていく。その頬は治療を受けていないのか、焼け爛れた傷がむき出しのままだった。
裁判の日から何日もたっているのに相変わらず生々しい火傷を見ると、もしかして治らないようになっているのだろうかと変なことを考えてしまう。
「……なんでお姉様なの? お父様を呼んでちょうだい」
「お父様は、来られないわ」
お父様もお母様も仮処分で謹慎中の身だから、どんなにエイミィが望んでも来ることはできない。親戚はみんな国王陛下を恐れて我が家との関わりを断っている。
わたしもレイの家の使用人の身分証を貸してもらって来たくらいだ。
「いい気味だと思っているんでしょう」
地獄の底から響くような低い声が聞こえる。
「……わたくしの方がずっと、ずっと美しかったのに、こんな顔になって! その上お姉様がまだ生きているなんて、ずるいわ! どうして生きているのよ!」
エイミィはひとしきり叫んで火傷が痛んだらしく、肩を上下させてうめくような息をする。
彼女は家の地下牢でわたしが死ぬと信じて疑わなかったのだろう。わたしだってレイに助けてもらうまではそうなると思っていた。
そしてその原因を作ったエイミィがわたしにケガの八つ当たりをするのは、とても許せるものではなかった。
「エイミィあなた……自分が何をしたかわかっているの?」
「何をしたって言うの?」
エイミィは憎しみを込めた目で私を睨みつける。
「お姉様とわたくしは同じものが与えられる約束なの。だからわたくしが持っていないドレスをお姉様が持っていてはいけないのよ! 婚約者だって、お姉様だけのものではないわ!」
「……?」
当たり前だと言わんばかりのエイミィの言葉は、わたしにはよく理解できなかった。エイミィと一緒でなくてはドレスを仕立ててもらえなかったことと、婚約の話は関係あるのだろうか。
「同じって……、そもそも、なぜ同じにする必要があるの?」
「あの時、お父様とお母様とで約束したのよ。お姉様とわたくしは同じなんだって」
「……あの時?」
エイミィが何を言いたいのか本気で分からなかった。彼女はどこかおかしくなっているのかもしれない。
焦点の定まらない瞳でエイミィは壁を見つめていた。
「ずっと昔、肖像画を見たの。お父様とお母様と、小さなお姉様が描かれていたわ。わたくしはどこにもいなくて……悔しくて堪らなかった」
そんな肖像画を見た記憶はなかったけれど、エイミィがとても悲しそうな顔をするので嘘ではないのかもしれないと思った。
「それは……あなたが生まれる前の絵だからではないの?」
「お父様も同じことを言ったわ」
口を歪ませてエイミィは笑った。
「でもお姉様が、お父様とお母様を独り占めしていた事実に変わりはないでしょう? 後で生まれたわたくしはいつも、お姉様と愛情を分け合わなければならないのに」
「……」
何と答えていいかわからず、わたしはぶるりと震えた。
エイミィが生まれていない頃のことを持ち出して『独り占めしていた』と責められるのは納得がいかない。それでもエイミィの恨みがましい目を見ると、自分が悪かったような気持ちになってくる。
「……わたくしはあの絵のお姉様になりたかった」
ほんの一瞬、虚ろな表情になってエイミィはぽつりとこぼした。
「そう言ったら、お父様とお母様は泣いて謝ってくれたわ。何もかもお姉様と同じにするって。わたくしとお姉様に差はないんだって」
両親が特におかしいことを言っているとは思えなかった。考えてみると、エイミィが三歳くらいまではあの両親も普通の対応をしていたような気がする。
おそらく泣いたエイミィをそう言ってなだめたのだろう。
「だから、お姉様の次にわたくしがお父様とお母様を独り占めしたのよ。オーウェン様だってお姉様と婚約したら、次はわたくしと婚約しないといけないでしょ?」
「な、何を言っているの……?」
『次』という言葉が頭の中をグルグル回って、わたしは混乱した。
わたしとオーウェン様が婚約する話は噂に過ぎないし、そもそも婚約者は姉妹で順番になるものではない。しかしエイミィはそう信じ込んでいるようだった。
何より、彼女が意図的にわたしから両親を遠ざけた――とも受けとれる発言に背筋が凍った。そんなことができるはずがないという気持ちと、やっぱりという気持ちが交互に浮かんで、心臓をギリギリと締め付けていく。
『青い精霊石は人の心を操る嘘を嫌う』
私はレイの言葉を思い出していた。
エイミィはあの時、オーウェン様にどんな嘘をついて火傷を負ったのだろう。人の心を操るなんて信じられないけれど……。
「エイミィ……その火傷をした時、オーウェン様に嘘をついた?」
「いいえ、嘘なんてつかないわ」
わたしの質問に対して驚くほどの即答。こんなにはっきりと否定されるのは意外だった。
「わたくしのは嘘じゃないもの。聞いた人が信じたら嘘ではなくなるのよ、お姉様」
ふふ、とエイミィは楽しそうに笑う。
「わたくしが言えばみんなが信じる。それがわたくしにとっての本当のことなの。だから嘘ではないわ」
「そう……」
この子は異常だ。
どうしてこんなにおかしくなってしまったのか。
わたしは両手を組んで強く握りしめていた。
「……さっきあなたは、こんな顔になったと言ったわよね」
エイミィの肩がピクリと揺れた。
「エイミィ、あなたは今も美しいわ。以前と少しも変わらない」
――ガチャン、ガチャン、と鉄格子が大きな音を立てて揺れる。
獣の咆哮に似たうなり声。
憤怒の形相をしたエイミィが目の前にいた。
「――ねえ! わたくしが何をしたっていうの⁉ わたくしとお姉様は『同じ』なのに、どうしてわたくしだけ、こんな目に遭うのよ! お姉様だけ、ずるい! ずるい!」
エイミィは叫びながら、鉄格子を力の限り揺さぶって大きな音を立て続ける。
彼女が大きく口を開ける度に、その輪郭が人のものではない形に崩れていくように見えて、わたしは思わず後退っていた。
「静かにしろ! 舌を切り取るぞ」
わたしの後ろに控えていた兵士が大きな声で脅すと、エイミィは今まで大騒ぎしていたのが嘘のように静かになり、膝を抱えて座り込んだ。
心臓の音がドクドクと耳に響いてくる。胸に当てた手が震えていた。さっきのエイミィは何だったの、あんなに恐ろしい顔、見たことない……。
「時間だ」
まだ聞きたいことがあったと思うのに、抵抗する間もなく問答無用で兵士に引きずられて、金属扉の出入口まで連れて行かれた。
おそらくわたしは呆然としていたのだと思う。
背中を強く押されて扉の外へ無理やり出された時、ようやく我に返ることができた。
『わたくしはお姉様になりたかった』
エイミィは本当にそう思っていたのだろうか。
……わたしだってエイミィになりたかった。誰からも愛されて注目される美しいエイミィが羨ましかった。
わたしの世界は今でもとても狭いけれど、子供の頃はもっと狭くて両親の愛は神の愛に等しいものだった。それが得られないとわかってからは苦しくて苦しくて、何度自分の生きている意味を考えたことだろう。
――たった一枚の絵でつり合いが取れるはずがない。
気付かないうちに涙が零れていたのか、背中を押した兵士がぎょっとした顔でわたしを見ていた。
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