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8章
第48話 ふういんされし ぶきを みつけた
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俺はルナ、メーリンとともに封印の洞窟に入っていく。
思ったより静かだ。
聞こえてくるのは、背後の剣戟、そして俺たちの足音だけだった。
洞窟内部は薄暗いが、何か苔のようなものが光っていて、進む分には問題ない。
音の反響具合からして、かなり広いのだろう。
先へ進む。
しばらくして、獣のうなり声が聞こえてきた。
またキメラか、と思ったが違う。
「土竜?」
それは大きな土竜だ。
しかも半ばアンデッド化していて、臭い臭気を放っている。
おそらくこの封印の洞窟にたまたま入り込んできて、出られなくなり、後にアンデッド化したのだろう。
食べた土竜よりも遥かに小さいが、かなりの数だ。
これで恐らく、しばらくアースドラゴンを食べることはできないだろうな。
アンデッドならルナの【浄化】が効く。
だが、あまり時間がない。
身体を張って、キメラの侵入を阻んでいるミャアとステノ、扉を締まるのを防いでくれているチッタが心配だ。
「ここはわたしが戦うアルね」
「メーリン!?」
「心配するなアル。わたし、魔族の中で商売してきたヨ。切った張ったは得意ネ」
「でも――――」
「この先、何があるかわからないネ。なら、ルナと一緒に行った方がヨロシ。土竜を相手するのは、わたしに任せるネ」
ドワーフのこと……。頼んだヨ。
メーリンは槍を振り上げる。
アンデッド化した土竜の群れに突撃していった。
槍を振り回し、土竜を叩きのめし、或いは貫く。
その奮闘ぶりに、俺は何も言えなくなった。
「ダイチ様……」
「……行こう。メーリンの行動を無駄にしちゃいけない」
「はい!!」
歯切れのいい返事が返ってくる。
そのルナは手を掲げた。
【浄化】!
行く手を阻むアンデッドたちを消し去る。
さらに俺はその辺にあった小石を天井に向かって投げた。
【言霊】――――大岩!
次々と大岩を生み出すと、流星雨のようにアンデッドに降り注いだ。
道ができる。
同時にアンデッドの半数を倒したはずだ。
「火の精霊の封印を解いて、すぐに戻ってくるから」
「ご武運を、メーリンさん」
俺とルナは真っ直ぐ走る。
その背中越しに、メーリンは呟いた。
「全く……。余計なことをするネ、人族は。わたしの活躍の場が、半分になったネ」
くるり、と槍を回す。
我ここにあり、とばかりにアンデッドたちを挑発した。
「さあ、かかってくるヨロシ。ただしお代は高くつくアルよ」
メーリンは不敵に笑うのだった。
ルナとともに奥へと進む。
ドリー、ウィンドも最初の頃は、俺たちの敵として襲いかかってきた。
今回もそうなるんじゃないか。
身構えていたが、そうはならなかった。
「何もない?」
火の精霊はおろか、ダンジョンの奥はただガランとした空洞が広がるだけだった。
仲間を犠牲にして、必死に奥へとやってきたのに……。
封印の洞窟の奥にあったのは、単なる行き止まりだったのだ。
「ダイチ様、これを……」
ルナが示してくれたのは、壁に書かれた文字だった。
見たことがある……。
いや、これって――――。
「カタカナ?」
「読めるのですか、ダイチ様」
「え? あ、うん……。えっと――――」
100ネンマエ キョダイナ アク ○○○ ガアッタ。
一部かすれて見えないところもあるけど、間違いなくカタカナだ。
てか、これ某有名ファンタジーゲームの中にある台詞と似通っているんだけど。
俺は続きを読む。
○○○ ハ 『ヤミ』ヲ アヤツル チカラ ヲ モッテイタ
タタカイハ ナガイアイダ ツヅイタ……。
ヒトビトハ デンセツノ ブキヲ ツカッテ ○○○ ヲ タオシタ。
シカシ、○○○ガ ウミダシタ 『ヤミ』ハ ヒトノ ココロニ ノコッタ。
ヤミガ ヒロガリシ トキ イカイヨリ ヒカリ アラワレン。
ソノモノ フウインヲ トキ セカイニ ニジノハシ ヲ カケルダロウ。
俺は言葉をすべて読み上げる。
すると、急に光を帯び始めた。
同時に目の前の壁が割れる。
さらに目映い光に、俺とルナは包まれた。
やがて現れたのは、一振りの武器だった。
「斧??」
それはただの斧ではない。
神秘的な色を放つ、不思議な雰囲気を持つ両刃のバトルアクスだった。
俺は中空に浮かぶバトルアクスに手を伸ばす。
柄を握った瞬間、強烈な重さが俺の腕にのしかかった。
硬い音を立てて、バトルアクスは地面に突き刺さる。
「おもっ!!」
「大丈夫ですか、ダイチ様」
「あ、ああ……。この斧、滅茶苦茶重いよ」
俺は両手を使って引き抜こうとするが、ビクともしない。
「私が持ちましょうか」
俺はルナに持ち手を譲る。
俺よりも一回り小さい聖女の手は、謎のバトルアクスをがっちりと握った。
すると軽々と引き抜き、片手で垂直に掲げる。
ルナの力、すげー……。
「とても強い魔力を感じます」
「魔力……。じゃあ、ルーンアクスってところかな」
それにしても、何でこんなところに伝説の武器みたいなものが、封印されていたのだろうか。
アタックドアといい、キメラといい。
間違いなく、このルーンアクスを守るための仕掛けの1つだろう。
俺が考えている一方、ルナは軽くルーンアクスを振り回す。
相変わらず、綺麗なスイングをしている。
3割、30本は期待できそうな……。
「これなら……」
「うん? どうした、ルナ?」
「後ろに退がってて、もらえますか、ダイチ様」
言われた通りにする。
ルナはルーンアクスを両手で持ち、大きく振りかぶった。
腰を捻りながら、豪快にスィングする。
「ええええええええいいいいいいいいいいいい!!」
裂帛の気合い!!
スパンッ!
切り裂く。
何をって?
それはつまり――――。
洞窟全体だった……。
~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~
ルナに金棒ではなく、伝説の武器だった。
思ったより静かだ。
聞こえてくるのは、背後の剣戟、そして俺たちの足音だけだった。
洞窟内部は薄暗いが、何か苔のようなものが光っていて、進む分には問題ない。
音の反響具合からして、かなり広いのだろう。
先へ進む。
しばらくして、獣のうなり声が聞こえてきた。
またキメラか、と思ったが違う。
「土竜?」
それは大きな土竜だ。
しかも半ばアンデッド化していて、臭い臭気を放っている。
おそらくこの封印の洞窟にたまたま入り込んできて、出られなくなり、後にアンデッド化したのだろう。
食べた土竜よりも遥かに小さいが、かなりの数だ。
これで恐らく、しばらくアースドラゴンを食べることはできないだろうな。
アンデッドならルナの【浄化】が効く。
だが、あまり時間がない。
身体を張って、キメラの侵入を阻んでいるミャアとステノ、扉を締まるのを防いでくれているチッタが心配だ。
「ここはわたしが戦うアルね」
「メーリン!?」
「心配するなアル。わたし、魔族の中で商売してきたヨ。切った張ったは得意ネ」
「でも――――」
「この先、何があるかわからないネ。なら、ルナと一緒に行った方がヨロシ。土竜を相手するのは、わたしに任せるネ」
ドワーフのこと……。頼んだヨ。
メーリンは槍を振り上げる。
アンデッド化した土竜の群れに突撃していった。
槍を振り回し、土竜を叩きのめし、或いは貫く。
その奮闘ぶりに、俺は何も言えなくなった。
「ダイチ様……」
「……行こう。メーリンの行動を無駄にしちゃいけない」
「はい!!」
歯切れのいい返事が返ってくる。
そのルナは手を掲げた。
【浄化】!
行く手を阻むアンデッドたちを消し去る。
さらに俺はその辺にあった小石を天井に向かって投げた。
【言霊】――――大岩!
次々と大岩を生み出すと、流星雨のようにアンデッドに降り注いだ。
道ができる。
同時にアンデッドの半数を倒したはずだ。
「火の精霊の封印を解いて、すぐに戻ってくるから」
「ご武運を、メーリンさん」
俺とルナは真っ直ぐ走る。
その背中越しに、メーリンは呟いた。
「全く……。余計なことをするネ、人族は。わたしの活躍の場が、半分になったネ」
くるり、と槍を回す。
我ここにあり、とばかりにアンデッドたちを挑発した。
「さあ、かかってくるヨロシ。ただしお代は高くつくアルよ」
メーリンは不敵に笑うのだった。
ルナとともに奥へと進む。
ドリー、ウィンドも最初の頃は、俺たちの敵として襲いかかってきた。
今回もそうなるんじゃないか。
身構えていたが、そうはならなかった。
「何もない?」
火の精霊はおろか、ダンジョンの奥はただガランとした空洞が広がるだけだった。
仲間を犠牲にして、必死に奥へとやってきたのに……。
封印の洞窟の奥にあったのは、単なる行き止まりだったのだ。
「ダイチ様、これを……」
ルナが示してくれたのは、壁に書かれた文字だった。
見たことがある……。
いや、これって――――。
「カタカナ?」
「読めるのですか、ダイチ様」
「え? あ、うん……。えっと――――」
100ネンマエ キョダイナ アク ○○○ ガアッタ。
一部かすれて見えないところもあるけど、間違いなくカタカナだ。
てか、これ某有名ファンタジーゲームの中にある台詞と似通っているんだけど。
俺は続きを読む。
○○○ ハ 『ヤミ』ヲ アヤツル チカラ ヲ モッテイタ
タタカイハ ナガイアイダ ツヅイタ……。
ヒトビトハ デンセツノ ブキヲ ツカッテ ○○○ ヲ タオシタ。
シカシ、○○○ガ ウミダシタ 『ヤミ』ハ ヒトノ ココロニ ノコッタ。
ヤミガ ヒロガリシ トキ イカイヨリ ヒカリ アラワレン。
ソノモノ フウインヲ トキ セカイニ ニジノハシ ヲ カケルダロウ。
俺は言葉をすべて読み上げる。
すると、急に光を帯び始めた。
同時に目の前の壁が割れる。
さらに目映い光に、俺とルナは包まれた。
やがて現れたのは、一振りの武器だった。
「斧??」
それはただの斧ではない。
神秘的な色を放つ、不思議な雰囲気を持つ両刃のバトルアクスだった。
俺は中空に浮かぶバトルアクスに手を伸ばす。
柄を握った瞬間、強烈な重さが俺の腕にのしかかった。
硬い音を立てて、バトルアクスは地面に突き刺さる。
「おもっ!!」
「大丈夫ですか、ダイチ様」
「あ、ああ……。この斧、滅茶苦茶重いよ」
俺は両手を使って引き抜こうとするが、ビクともしない。
「私が持ちましょうか」
俺はルナに持ち手を譲る。
俺よりも一回り小さい聖女の手は、謎のバトルアクスをがっちりと握った。
すると軽々と引き抜き、片手で垂直に掲げる。
ルナの力、すげー……。
「とても強い魔力を感じます」
「魔力……。じゃあ、ルーンアクスってところかな」
それにしても、何でこんなところに伝説の武器みたいなものが、封印されていたのだろうか。
アタックドアといい、キメラといい。
間違いなく、このルーンアクスを守るための仕掛けの1つだろう。
俺が考えている一方、ルナは軽くルーンアクスを振り回す。
相変わらず、綺麗なスイングをしている。
3割、30本は期待できそうな……。
「これなら……」
「うん? どうした、ルナ?」
「後ろに退がってて、もらえますか、ダイチ様」
言われた通りにする。
ルナはルーンアクスを両手で持ち、大きく振りかぶった。
腰を捻りながら、豪快にスィングする。
「ええええええええいいいいいいいいいいいい!!」
裂帛の気合い!!
スパンッ!
切り裂く。
何をって?
それはつまり――――。
洞窟全体だった……。
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ルナに金棒ではなく、伝説の武器だった。
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