昭和アウトローガールズ☆

くとぉ

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2章 ペットと契約 

①快楽主義者

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「おとう!お股から血がでた!」

唯の父親、栗原善吉はタバコの火を灰皿で潰すと娘の方を一度も見ずに立ち上がり電話台に向かう、受話器を取りダイヤルを回した。

「あー栗原じゃけど、山田先生おるかねぇ…はい……あーどうも…アレがねぇ、股から血が出たと…あぁ、あんたでも良いし、女の先生おるならそっちでも良いし…あぁ…じゃあ頼んます…」

善吉はサイフから五千円を取り出すと唯が座っている側のちゃぶ台の上に置いた。

そしてまた元の位置に戻ると、タバコに火を点け野球中継をぼーっと眺め始める。

唯もいつもの事なのか何も言わない。

黙ってちゃぶ台の横にある段ボール箱の食料品の中から菓子パンを選ぶと、袋を開けて頬張り始めた。

食べ終わる頃だろうか、十畳ほどの安アパートの扉をノックする音が聞こえる。

「栗原さーん」

女性の声だ。

唯は五千円を握りしめると玄関へ向かい、靴を履きドアを開ける。

「おとう!行ってくる」

扉の向こうにいた中年の女教師は、こちらを見ようともしない善吉を見て一瞬眉を顰めたが、何も言わずに唯に語りかける。

「栗原さんは今日から大人になったのよ~じゃあ買物にいきましょうか♪」

やがて扉が閉まり…野球中継の解説者の声だけが響く…

そして…部屋の中にはぼうっとテレビを眺める、善吉だけが残った。



 ◆ ◆ ◆




可哀想な新入生が屋上で制裁を受けた日から季節は変わり、状況は大きく変わっていた。

三人のヤンキー娘への制裁である、全裸土下座事件から一カ月後の夏休み明け。

千里と澄子は、自主退学を決め学校を去った、それが普通なのだ。

人前で裸に剥かれ、屈辱的な行為をさせられた女の子なら、皆そうなるだろう。

ソバカスこと栗原唯は、そんな事があったにも関わらず鼻歌混じりに一人登校していた。

実際三人の中では一番悲惨な目にあっている。

夏休みの屋上に集まった二十人以上の同性の後輩や、同級の者も含む主だったヤンキー娘達の前で、全裸に剥かれた挙げ句に、絵美に舐めた発言をし、怒らせ、膀胱を殴られ盛大に小便を漏らし、自分の小便の上で、年下相手に全裸土下座させられる屈辱を経験した。

そのままグラウンドで少なく無い一般生徒が見ている中での、全裸マラソンまでさせられている。

普通の女の子なら屈辱で心を病んでしまうだろう、が、唯はそれほど気に病んでいる様子も無い。

以前の様に派手なメイクでは無い、とはいえ他の二人に比べれば随分薄化粧ではあったのだが…

現在はノーメイクで、素顔はやや地味めであり、美少女では無いが、小柄な体型も相まって愛嬌も有る顔立ちでもあり、それなりに可愛らしい。

肩まで伸ばしたふんわりとした明るい茶髪はそのままだが、制服は以前の様なロンスカでは無く指定の物に変わっている。

いやスカートが膝よりかなり上なのは彼女のささやかな抵抗かも知れない。

彼女が学校に来れているのは精神的にしぶといのもあったろうが、基本的に快楽主義で周囲の評価を気にせず…羞恥心は薄く…プライドはほぼ皆無に等しい。

あの二人とツルんでいなければ素行の悪い不良娘ではあったろうが、いわゆるヤンキーにはならなかっただろう。

絵美のオシオキにしても最後に泣いていたのは…年下の一般女子生徒相手に土下座で謝る屈辱と、元々の怠惰な性分で単純に走るのがキライでもあったし、走ってる最中に自分の体に付着している乾いた小便が悪臭を放っていた為……あれは何とも情け無く惨めであった。

お仕置きは屈辱ではあったが元々羞恥心は薄く、他人の目をそう長い事気に病む質でも無い、終わってみればそれだけの事と切り替えも早い。

例えばあの屋上で皆の前で自慰をしろ、それで許してやると言われればしただろうし、膀胱を殴られなくても、其の辺でしろ!と言われれば全裸のまま隅の排水溝の前でしゃがんで用を足し、そのまま正座の続きに戻ったかも知れない。

脱糞しろと言われれば…流石にあの人の数を前にしては恥ずかしい。

しかし男達の中にはそれを見たがる者もいたので、実際にして見た事だってある。

羞恥心は薄い唯の事、特に羞恥の感情に身をよじる事も無く…

頼んだ男はがっかりしていた。

羞恥に歪む顔が見たかったらしい、だがちゃんと約束の二千円は貰った。

そんな彼女の友人であった、千里達にも秘密の二つ名はサセ子だった。

二年生の男子の一部、多いのか少ないのか十数人と関係を持っている。

それに千里の彼氏とも関係した事も、一度や二度では無かった。

ちなみに千里の彼氏が千里に対して冷たくなった理由は…実は唯に起因する。

千里はその事を知らぬまま学校を去って行った事になる。

千里の彼氏が、まだ早いと覚悟が出来るまで待ってほしいと全く性交させてくれない千里に苛ついた日々送っていた時だった

千里の友人と知りながら唯に手を出してしまった

無論…そうなる様に誘惑したのは唯で有る

その彼氏は千里から何故冷たくするのかと泣きながら責められたが…説明など出来よう筈もない

流石に唯も不味いと思い…その当時…男子生徒の間で恋の鞘当てが加熱していた原因の新入生…

篠田礼子の元へさり気なく千里の彼氏を誘導した

「アレ、最近噂の…あーまた…多分あの子はタメの男の子じゃ無理だよねぇ~年上の男なら可能性も…あ、アレって2Aの柴田じゃん!…あの子顔赤くしちゃって!あーこりゃ柴田にも脈あるかもねぇ………」

「へ、へー割とマブイじゃん…まっ!俺はキョーミねぇケドよぅ…」

割とマブイ…そんなレベルの美貌では無い…都会でも滅多に見ない美女…そして千里の彼氏はまんまと礼子の争奪レースに参加してくれたわけだ

(人がうんこするトコ見たがる変態野郎なんていらねーし…丁度良いっか…)

唯にしてみれば他にも性交する相手は複数人いる、一人いなくなっても別に構わないし、何より友人関係も損なわずに済む

しかしそんな女でも複数人の相手から行為の最中や、行為が終わった後の会話で、度々他の女の噂ばかりされたら苦々しくも思う

男達が噂せずにはいられない美貌を持つ存在…それが噂の新入生…篠田礼子だった。

かと言って別段恨みに思う程でもない、ほんの少し問題解決に利用させて貰おうとかその程度の事でしか無い。

そう、一連の悲劇の原因はこの娘…栗原唯の自己保身によるものである

更に質が悪いのは千里を焚き付けたのも唯である

つまり…千里の彼氏が冷たくなった原因はあの一年生にある…と…実際に千里の彼氏が礼子に近づいて口説いている現場さえ見せた。

そんな状況で有れば酷薄そうな…爬虫類めいた見た目の割に単純で友達思いな澄子も怒りながら千里の怒りと悲しみに同調する…

千里は嫉妬心と二人の友人の後押しに力付けられ、美貌の一年生…礼子を詰める決断をした

だが、そんな事をすれば礼子の釈明と話の流れ次第では唯と千里の彼氏の関係が露見する可能性も僅かながらあったはずだ

しかしそんな僅かなリスクよりも面白い事、面白そうな展開を優先するのが栗原唯と云う娘…

(最悪…うんこ野郎だったとか…上手く誤魔化せば良い…千里なんか丸め込むのワケねーし…)

そして当時の礼子は三人の二年生に詰めよられ理由もわからず驚き怯え泣くばかりで事態の把握すら出来なかった。

そして…呼び出してガナリ立てて本当の所を聞き出そうとする千里を制して…最初に礼子の髪を掴んで…その頬にビンタをお見舞いしたのは…

それに釣られて他の二人も礼子への暴行に参加したのも…

やがて千里が殴り疲れて止めようとした時、別の提案をした者は…………栗原唯である。

そして千里はその提案に乗り気になり、憧れていた同じ第一中学出身で現在の普通科高校のヤンキー娘達のトップ、チョーパンの絵美の伝説を模倣する事に興奮した。

千里のテンションは再び盛り上がった。

そう…千里のテンションが低下した時に唯は思ったのだ…

(え、やめるの?!今やめたらせっかくの面白いイベントが終わっちゃう!)と……

更に辱める為に礼子が脱いだ、可愛らしいアニマルプリントのパンツを頭に被せ、笑いものにしたのは誰であろうか?

かといって礼子に対して特別な恨みは無い、少々癇に障る程度の些細な不快感を感じたくらいだった。

唯がそこに至る理由は一つだけ………面白そうだったから。

ただそれだけ、この程度の虐めは、中学時代から千里や澄子を焚き付けて何度も繰り返してきている。

礼子とは違うベクトルで他人への興味が薄く、人が玩具程度にしか思えない。

心が半分死にかけているのだ。

全ては己が楽しいか気持ちいいかだけ…

あの二人がいない今、ヤンキーをやる必要も無い。

他人に対して性的な虐めで游ぶ事は出来なくなったが、もう一つの顔…

サセ子として面白可笑しく生活するだけ。

そんな事を考えていると、短いオフィス街に差し掛かった所で見覚えのある後ろ姿に出くわした。

艶のある長い黒髪長身でスラリとした均整の取れたプロポーション。

美貌の一年生、篠田礼子…

一瞬避けようとも思ったが、考え直す。

もっと有効な利用法を思い付いた。

唯は精一杯無害で、にこやかな表情を作り。
 
礼子に向かって声を掛けた。








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