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6章 文学少女と不良娘
①父の変化
しおりを挟む夏休みに入る前日。
新しくグループに入ってまだ日が浅い三人の一年生は、篠田グループの異常さに未だ慣れずにいた。
喧嘩で負けた相手や制裁を課した相手を全裸に剥いて正座させる。
その辺までは不良学生や半グレ、ヤクザの世界では割とポピュラーな手法だ。
中学時代に清美が喧嘩した相手や逆らう後輩にそうしているのを知っていたし、三人のうちの一人、山田麻希は加担してもいた。
そのまま駅前、町を走らせただの、自慰をさせ、裸の写真を撮るといった事は、周囲では無かったが、伝聞で聞いた事はある。
だが所詮は噂話と信じてすらいなかった。
だが、彼女達のかつての先輩である清美が受けた、あの仕打ちは、そんな噂話以上に異常な光景であった。
麻希達三人はひたすらに怯え、後悔していたが、選択肢は他に無かった。
篠田グループに入らなければ、仲間にならなければ、同じ学年の者に無視され避けられるだけで無く、いずれは新たなイジメの標的にされる可能性すらあった。
実際にその兆候があったから、かつてイジメの標的にした、本間香に泣きついたのだ。
でなければ同学年の者達から軽く扱われ、イジメの標的にされ、遅かれ早かれ学校を辞めざるを得なかったであろう。
あの、歓迎会と言う名の陰惨な公開処刑。
かつては不良として頼りにし、憧れてさえいた清美の変わり果てた姿…
あの後、七月に入った頃から清美は度々休む様になり、礼子はその度にその事を責め立てた。
お仕置きと称してあの屋上で行った仕打ちを繰り返し、三人はその光景を何度か見せられる事になった。
しかし清美はあの屋上の時の様に、泣いてはいなかった。
卑屈な愛想笑いを浮かべ、公園の東屋で全裸に首輪を着けただけのあられもない格好で、犬のマネ、チンチンやお座り、自慰、放尿などの痴態を繰り返した。
普段の格好もガラリと変わった。
かつてはだらし無く着崩した虎の刺繍のスカジャンに、足首まで有るロンスカを履き、校内を肩で風を切って闊歩していたのだが、礼子のペットになって以降は、他の誰も履いていないくらい短い、下着スレスレの極短ミニスカートと、布の上からでも尻の割れ目が見えるシースルーの下着に変えていた。
全ては礼子の機嫌を取るためにイメチェンした。
…だがそれは…
「アンタ可愛く無いし、男顔のブスなんだからもう少し何とかならない?一緒に歩いてて恥ずかしいんだけど?ちょっとは考えなさいよね!」
などと礼子に命令され、考えた結果だったのかも知れない。
そんな清美が全く来なくなって一週間程になる。
彼女達が清美が退学したのを知るのは、夏休みに入って人伝に聞いた時であった。
そして今、いつもの公園の東屋で三人の娘は、改めてこのグループの異常さを認識させられていた。
あくまで彼女達の見た限りではあったが、序列の様なものはある程度把握出来た。
トップに美しい、悪魔の様な二年生…篠田礼子。
次に教室に乗り込み教師を脅した茶髪ボブカットの三年生、栗原唯。
今でも彼女達に敵意を向け、それが態度に現れる、赤い髪の山野ゆかり。
驕慢(きょうまん)な態度や言動で、彼女達に先輩風を吹かす金髪ツインテールの森加代子。
あまり喋らず、良く分からないが、肩までのクセの有る黒髪に浅黒い肌の寺田瑞稀。
三人の一年生が罠にハメた、ふんわりぽっちゃりで同学年の本間香。
一見小柄で華奢で可愛らしい見た目の唯を、礼子に次いで三人は恐れていた。
他の取り巻きを引き連れ、教室に乗り込んで来たあの時の傲慢で、教師への小馬鹿にする様な冷酷な脅し文句。
そして教師を押しのけ壇上に立った時の、大勢の生徒相手に臆すること無く圧力をかけた、あの脅し文句。
その時の酷薄さと邪悪な子鬼の様な、何かを面白がる様な薄ら笑い。
可愛らしい見た目だけに、よりあの演説と逆らう事を許さない邪悪な雰囲気を異様に、恐ろしく感じたのだ。
彼女の脅し文句に萎縮してしまったクラスメイトに、彼女達は売られた。
かっては悪魔の子猿と呼ばれていたらしいが、三人の脳裏に浮かんだのは【小鬼】であった。
その恐ろしい三年生ですら、礼子の前では借りてきた猫の様にしおらしい態度である。
あの菅原清美をいとも容易く屈服させる礼子の実力は確かに恐ろしい、上級生だったとしても対立したらタダでは済まないだろう。
唯と礼子の間に一体何があったのかは知らない。
だが、今日の昼食時に起こったやり取り…あの唯の雰囲気は…何処か違和感を感じさせる。
「ハムちゃん…解ってるよね…今日、公園の席取っておきなさいね…」
「はい…礼子様…」
唯はしゅんとしながら粛々(しゅくしゅく)と命令に従う様であった。
そもそも唯が礼子様と敬称付きで呼ぶのが良く解らない。
清美もそう呼ばされていたが、制裁も兼ねての事と理解している。
他の二年の先輩達は篠田さん呼びなのにだ。
◆ ◆ ◆
放課後…
そして今見ている光景は清美の時のただひたすら悲痛な、顔を背けたくなる様なモノと違い、三人それぞれに違った感情を呼び起こしていた。
一年生の三人は現時点で彼氏こそいなかったが、全員非処女である。
初体験など中学時代に澄ませている。
先輩達と香はもう慣れつつあるのか、その様子から何らかの感情を読み取る事は出来なかった。
とはいえ、彼女達に良く観察する習慣があれば、他の何かしらの関係性の様な物も見えたかも知れない。
香は微妙に木々に視点を外し。
ゆかりの目は侮蔑の感情を宿し。
加代子はたまに目頭を揉んでおり。
瑞稀はぎゅっと口を引き結んでいた。
三人が見ているのは…仰向けで死んだ蛙の様に股をO字に軽く広げ、涙と涎を垂らして失神している唯の不様な姿である。
コンクリ床の上には、唯の性器から霧状に吹き出した液体が点々と染みを作っている。
そして今度は失心している唯の恥部からチョロチョロと少量の尿が流れ出し独特の異臭を放っている。
これは清美が必死に顔を引きつらせながらも、ヘラヘラと媚びる様に愛想笑いし…
どう?不様で憐れでしょ?惨めで面白いでしょ?
だから…だから…殴らないで。
悲痛な心情が三人にも伝わる様な、そんな雰囲気で、舌を出し犬のマネをさせられ、皆の前で片足を上げ、放尿をしていたのとは対象的だった。
今回、礼子はそれ程は複雑で凝ったお仕置きをしたわけでは無い、清美にしたのと全く同じ、全裸土下座から、そのまま四つん這いになった唯の尻を皆の前に向けさせ、尻を何度か平手で叩き、新しく入った一年生の後輩達の目の前で、お手、お座り、チンチン。
最後に服從のポーズで仰向けになった唯の恥部に近い下腹部を靴を履いたまま、グリグリと踏みつけた。
性器に一度足りとも触れていないが、唯はその間ずっと恥部から粘液を滴らせ、最後に潮を吹いた。
それだけが清美との違いだろう。
「ああっ!後輩達がっ!みんなが見てるぅ!あっ…あっ…あっ…駄目ぇ♡あ~~~~~!」
唯は森に叫び声を響かせ、足を両手で抱え、その後の光景がコレである。
三人の一年生は礼子への恐れをより深いものにした。
山田麻希は、頬を紅潮させ鼓動が早くなるのを感じてはいたが、唯への恐怖は一段低くなり、やや嘲りの感情が湧くのを感じた。
加藤恵も、教師を脅し多数の人間を恐れさせた唯に対して、ここまでさせる事が出来る礼子に強い憧れを感じるのと同時に、気持ち良さげに失神する唯に羨ましさと…強い嫉妬を感じた。
市川詩織に至っては、その光景に恐怖を感じているのに下腹部に熱を感じ、ブルリと身体が震え、性器から粘液とも尿とも違う別の液体が止め処なく溢れ出し、下着から染み出しスカートの内側を濡らし、どうやって隠すべきかと頭を混乱させていた。
それぞれに別の心境ではあったが全員に共通していたのは、帰りに下着が冷たく、または分泌物のせいで股間がヌルヌルと気持ち悪くなった事であった。
彼女達は断片的ではあるがそれぞれ第三者に、このグループのお仕置きの話を語った。
そしてそういった話が外に漏れ人づてに話は形を変え…
礼子の苛烈な制裁の伝説は広まっていったのだった。
◆ ◆ ◆
唯は駅で礼子達と別れると、瑞稀に誘われそのまま駅のファストフード店でアイスティーを飲みながらぼーっと考え事をしていた。
(アルバイトの時の優しくてエッチな礼子様も好きだけど、あの時は幸せで、お風呂での事も気持ち良かったけど、今日みたいに気絶はしなかった。)
ストローを口で抜き、そのまま歯で咥えながらフルフルと揺らしているが無意識の行動だろう。
今日感じた深く強烈な快感はあの時は無かった。
決して潮吹きに慣れたとかそう言った事では無かったのだ。
(だって今日のはお仕置きで、アソコにも触れられて無いのに切なくて、みんなの前で恥ずかしくて、でも…頭の中が真っ白になった、私はホントに変態なんだ……)
「………輩、栗原先輩!話し聞いてますぅ?!」
先程から瑞稀が何事か色々言っていたのは知ってはいたが、適当な返事をして自分の思いに沈んていたのだ。
咥えていたストローがテーブルに落ちる。
「あん?悪リィ、何も聞いて無かったわ、んで…何だったっけ?もっかい最初からお願い」
瑞稀は悲しい様な、怒った様な複雑な表情で、焦れた様に声を大きくする。
「だーかーらぁ!引っ越ししたんでしょ?!先輩ん家に遊びに行きたいなーって言ってんですよぉ!」
そう、唯は母親が消えて以来、父と二人で長い間暮らして来たあのアパートを出て、引っ越しをしたのだ。
◆ ◆ ◆
それは七月に入ってすぐの事だった。
全く喋らなかった父の様子が変わり始めたのは、ゴールデンウィークが終わった頃だったろうか?
いや、今でもほとんど喋ら無いのには変わりは無い。
行動が徐々に変わり始めた。
唯は自分の食事や弁当を作る様になり、作り過ぎた分や余った物を冷蔵庫にメモと一緒に仕舞う様になった。
アルバイトが終わった日の翌日、父親が全て料理を平らげてくれた事を知ったからだ。
父親が何を考えているかは分からないが、作った物を食べてくれるのは素直に嬉しい。
数日後家に帰ると、父親が唯が冷蔵庫に入れてあったメモ付きの料理をツマミにいつもの様に晩酌しているのが見えた。
唯はそのまま風呂に行きシャワーを浴び、ジャージに着替えて冷蔵庫から飲み物を出し…
いつもの定位置である父親が座るちゃぶ台の逆側に座る。
テレビを見ながらふとちゃぶ台に目を落とすと…封筒が有り、そこには一言、食費とだけ書かれていた。
唯は父親を見たが、善吉は相変わらずテレビを番組を横目にビールをグビッとやりながら、タバコの煙をくゆらせている。
封筒の中には五万円ほど入っていた。
それは六月に入ってからも続き、同じ日に封筒が置かれていた。
唯は無駄遣いなどしなかった。
篠田ファームのアルバイト代で安い炊飯器を買い、米を炊く様にもなった。
やり繰りして余った分を自分の小遣いにする様にした。
善吉は唯に声を掛けたりは一切しない。
唯も昔はいちいち声をかけていたが、善吉が何も返事を返さないので、いつからか唯も何も言わなくなっていた。
六月に入った時に、思い切って帰った時に声をかけた。
「お、おとう!帰ったよ!」
「…ん…ああ」
たったこれだけ…
だが目頭が熱くなり目が潤んだ。
今までは何かを要求しても顔すら見ようとせず、一言も発しないまま財布からうっそりと金を出す、書類を受け取り、溜息混じりに記入して渡す。
それだけだったのだから……
そして七月に入って十日程経った頃だったろうか?
アパートの前に一台の車が止まっていた。
車種は良くわからない、矢鱈と車高が低いシャコタンとか言うのだろうか?
中にはいかにもな元ヤン風の、作業服を着た男が、シートを倒して仮眠を取っている。
まぁ…気にする必要も無いかと、階段を上がりアパートの扉を開ける。
そこに作業服から甚平に着替えた善吉が、玄関の横のキッチンで咥えタバコで待っていた。
唯が何か言う前に善吉が口を開く。
「出かける、行くぞ」
「え、何処に?!」
善吉は何も言わず、タバコの火を三角コーナーに突っ込みそのまま捨てると、一言だけ。
「来い」
何が何だか解らないまま、善吉の後に付いて行く。
止まったのは先程のヤン車の前だった。
助手席のドアを開けると、そのまま乗り込みながら、唯の方を向き、後部座席を指差し…
ぶっきらぼうに一言のみ…
「乗れ」
栗原善吉は一体…
娘を何処へ連れて行こうと言うのだろうか?………
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