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第1章 いつもの日常
第02話 みんなで野営地に帰ろう(1)
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無事にゴールドバードを捕獲したエレノアは、地上で待っているアッシュとテットを探している。
「えぇっと、確かこの辺から飛び立った気がするので、この辺にアッシュとテットがいるはず……」
いたいた。
「ただいま~。終わったよ~」
笑顔絵で手を振るエレノア。ホバリング気味にゆっくりとアッシュに近づく。
手を振り返すアッシュとテット。
「おう、おかえり。今日は結構早かったな」
ホバリング状態からゆっくり下降してペーターと共にゆっくり着地。羽を折りたたむペーター。降りるエレノア。
「お疲れちゃん」ペーターをぽんぽんするエレノア。
アッシュ「今回はどんな感じだった?」
エレノア「雄のマガモ。ま、いつも通りってとこですかね~」
そう言いながらもにやけながら捕獲器ごとゴールドバードをアッシュに手渡すエレノア。
アッシュは網からゴールドバードをそっと取り出して保護用の袋に移した後、リュックに丁寧に移した。ゴールドバードを弱らせてはいけない。生きたまま研究所に届けなければ何の意味もないのだ。
マントを脱いで放り出すエレノア。テットにバサッと掛ける。
「今日はちょっと暑いから着てらんない」
ペーターの元にダッシュしてなにやら話している。もはやペット感覚だ。
このマント、裾を引っ張るとロングになる。地上を歩行する際には手足を保護するために着用していなければならないのだが、任務終了の開放感があってもいいだろう。大目に見よう。幸い、野営地までは獣道ではないので問題ないだろう。
マントを丸めてリュックに詰めるアッシュ。
アッシュ・ゴールドバーグ (Ash Goldberg) は、エレノアを護衛するための役割が与えられた兵士みたいなものだ。軍属ではないが、期限付きで任官された兵士といったところか。最初の頃はかなり無口であったが、今は普通に会話もできる。三十代半ばらしいが若々しく見える。左の頬には傷がある。なんでも過去の任務中の古傷らしい。
で、だ。テットって何?
そうですロボットです。正式名称はテット・ランド (Tet Land) というロボット。人一人なら乗せて運べる。また、通信機能とおしゃべり機能もある。いわゆるAI搭載で楽しくおしゃべりできる。中央の球体表面に表示されるニコちゃんマークも動的に変化するので表情も表せる。ゆるキャラ。存在自体が貴重な金属がふんだんに使用されている。動力源は魔法力。これから帰る野営地で定期的にバッテリーみたいなもので魔法力をチャージする。もちろん、エレノアが魔法力をチャージすることも可能。テットの役割は少々長くなるので、別の機会にでも解説したい。
走行モードに移行したテットの頭に乗っかるエレノア。ちょっとうらやましい。テットはボディの各部を堅くしたり柔らかくしたりと色々と融通の利く不思議な材質でできている。エレノア曰く、乗り心地はまぁまぁだとか。
「おなかすいた~。お な か す い た ぁ ~」
テットの上で足をばたばたさせるエレノア。テットに乗って帰路についている模様。
「今日ハ少シ軽イカラネ。オナカモ空クデショウ」
テットが反応。
「ぶつわよ」
「ヤ メ テ~。揺ラスヨ~」
テットの頭をコンコンしながらぶつとか言うのはずるい。既にぶっているではないか。まるでショートコント。
開放感全開のエレノア。後は野営地に帰って「おいしいご飯を食べるのだ~」。いつにも増して軽快におしゃべりを続けるエレノア。いつも通り、アッシュは聞き手に回ったり、時々話したり。平和のな夕暮れ時の風景。
空にはペーターが浮いている。しかも寝ている。牽引ロープで引っ張られているペーター。ペーターは、反重力魔法を使って浮くことができるので、浮いてさえいれば後は人の手で引っ張って移動させることが可能。誰も乗っていない状態のペーターは、自分自身さえ浮かせるだけの魔法力があれば羽ばたかずとも引っ張ってもらえば移動できるので、現在、スリープモードで魔法力の消費を最小限に抑えている。
飛んで戻らない理由はずばり魔法力の節約だ。野営地付近での、一連のゴールドバード捕獲作業において、魔法力の供給源はエレノアただ一人。そのため、できるだけ魔法力の消費は抑えなければならない。そのため、ゴールドバード捕獲時以外には基本的にペーターには乗らない。テトラはバッテリー形式の魔法力チャージが使えるから定期的に物資補給時に受け取る際に交換用のバッテリーを使えばなんとかなるが、エレノアの体力の一部である魔法力だけは、万が一に備えてできるだけ温存している。エレノア自体の魔法力の回復割合はそんなに多くない。なのでなるべく減らさないのが一番いいのだ。
エレノアの魔法力を節約するもう一つの理由はアッシュに関するものだ。アッシュには定期的に魔法力の供給が必要なのだ。命に関わる、というよりは、彼の記憶力に関わる。それについてはまた今度。
「えぇっと、確かこの辺から飛び立った気がするので、この辺にアッシュとテットがいるはず……」
いたいた。
「ただいま~。終わったよ~」
笑顔絵で手を振るエレノア。ホバリング気味にゆっくりとアッシュに近づく。
手を振り返すアッシュとテット。
「おう、おかえり。今日は結構早かったな」
ホバリング状態からゆっくり下降してペーターと共にゆっくり着地。羽を折りたたむペーター。降りるエレノア。
「お疲れちゃん」ペーターをぽんぽんするエレノア。
アッシュ「今回はどんな感じだった?」
エレノア「雄のマガモ。ま、いつも通りってとこですかね~」
そう言いながらもにやけながら捕獲器ごとゴールドバードをアッシュに手渡すエレノア。
アッシュは網からゴールドバードをそっと取り出して保護用の袋に移した後、リュックに丁寧に移した。ゴールドバードを弱らせてはいけない。生きたまま研究所に届けなければ何の意味もないのだ。
マントを脱いで放り出すエレノア。テットにバサッと掛ける。
「今日はちょっと暑いから着てらんない」
ペーターの元にダッシュしてなにやら話している。もはやペット感覚だ。
このマント、裾を引っ張るとロングになる。地上を歩行する際には手足を保護するために着用していなければならないのだが、任務終了の開放感があってもいいだろう。大目に見よう。幸い、野営地までは獣道ではないので問題ないだろう。
マントを丸めてリュックに詰めるアッシュ。
アッシュ・ゴールドバーグ (Ash Goldberg) は、エレノアを護衛するための役割が与えられた兵士みたいなものだ。軍属ではないが、期限付きで任官された兵士といったところか。最初の頃はかなり無口であったが、今は普通に会話もできる。三十代半ばらしいが若々しく見える。左の頬には傷がある。なんでも過去の任務中の古傷らしい。
で、だ。テットって何?
そうですロボットです。正式名称はテット・ランド (Tet Land) というロボット。人一人なら乗せて運べる。また、通信機能とおしゃべり機能もある。いわゆるAI搭載で楽しくおしゃべりできる。中央の球体表面に表示されるニコちゃんマークも動的に変化するので表情も表せる。ゆるキャラ。存在自体が貴重な金属がふんだんに使用されている。動力源は魔法力。これから帰る野営地で定期的にバッテリーみたいなもので魔法力をチャージする。もちろん、エレノアが魔法力をチャージすることも可能。テットの役割は少々長くなるので、別の機会にでも解説したい。
走行モードに移行したテットの頭に乗っかるエレノア。ちょっとうらやましい。テットはボディの各部を堅くしたり柔らかくしたりと色々と融通の利く不思議な材質でできている。エレノア曰く、乗り心地はまぁまぁだとか。
「おなかすいた~。お な か す い た ぁ ~」
テットの上で足をばたばたさせるエレノア。テットに乗って帰路についている模様。
「今日ハ少シ軽イカラネ。オナカモ空クデショウ」
テットが反応。
「ぶつわよ」
「ヤ メ テ~。揺ラスヨ~」
テットの頭をコンコンしながらぶつとか言うのはずるい。既にぶっているではないか。まるでショートコント。
開放感全開のエレノア。後は野営地に帰って「おいしいご飯を食べるのだ~」。いつにも増して軽快におしゃべりを続けるエレノア。いつも通り、アッシュは聞き手に回ったり、時々話したり。平和のな夕暮れ時の風景。
空にはペーターが浮いている。しかも寝ている。牽引ロープで引っ張られているペーター。ペーターは、反重力魔法を使って浮くことができるので、浮いてさえいれば後は人の手で引っ張って移動させることが可能。誰も乗っていない状態のペーターは、自分自身さえ浮かせるだけの魔法力があれば羽ばたかずとも引っ張ってもらえば移動できるので、現在、スリープモードで魔法力の消費を最小限に抑えている。
飛んで戻らない理由はずばり魔法力の節約だ。野営地付近での、一連のゴールドバード捕獲作業において、魔法力の供給源はエレノアただ一人。そのため、できるだけ魔法力の消費は抑えなければならない。そのため、ゴールドバード捕獲時以外には基本的にペーターには乗らない。テトラはバッテリー形式の魔法力チャージが使えるから定期的に物資補給時に受け取る際に交換用のバッテリーを使えばなんとかなるが、エレノアの体力の一部である魔法力だけは、万が一に備えてできるだけ温存している。エレノア自体の魔法力の回復割合はそんなに多くない。なのでなるべく減らさないのが一番いいのだ。
エレノアの魔法力を節約するもう一つの理由はアッシュに関するものだ。アッシュには定期的に魔法力の供給が必要なのだ。命に関わる、というよりは、彼の記憶力に関わる。それについてはまた今度。
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