44 / 72
第44話 話したいこと
しおりを挟む
真宮さんは部屋へ入ると、床にあるクッションの上に座った。
俺はベッドから降りて彼女と同じように腰を床へおろし、向かい合う形をとる。
彼女は気のせいか、やはりいつもとは違う雰囲気だ。
一言で例えるなら、元気がない? という感じだろうか……なんだか調子がくるってしまう。
「えっと……真宮さん、話ってなに?」
「あ、うん……そういえば、あのピザおいしかったよね」
「ん? ああ、ボリュームがありすぎてハンバーグは残ったけどな」
「あはは、そうだね」
あのとき言いかけていた話の続きをしにきたんじゃないのかな。
とりあえず俺から適当な話題でも振るほうがいいのかもしれない。
「そういえば、もってきた荷物はもうといたの?」
「うん。全部じゃないけどね」
「そっか。それにしても、まさか真宮さんたちとの同居生活が始まるだなんて、いまだに実感が湧かないよ」
「嬉しい?」
「え? ま、まぁ……うん」
「もっと素直に喜んだらいいのに」
彼女たちと一緒にいられるのは、もちろん嬉しいことだけど、正直、複雑な気分なんだよなぁ……そんなことは口が裂けても言えないけれど。
「あ……家の中、案内しようか? 風呂の場所とか他にも色々あるし、この家、無駄に広いから迷わない?」
「ううん、大丈夫。それに……」
「それに?」
「うん……果奈ちゃんにも案内してもらったのもあるけど、その……」
「その?」
「あのね、いつ言おうかずっと悩んでいたことがあるの」
「うん」
「その……じつは……あ、あぁああ! やっぱりなんでもないっ!」
「なんだよ、気になるじゃないか。話したいことがあってきたんじゃないのか?」
「そうだけど、さ……」
なにをためらっているんだ? そんなに話しにくいことなのかな?
なんだろう……。
俺の部屋のものを壊したとか? 見渡す感じ、それはなさそうだし……うーん、正解がわからない。
「あのさ、春時はあたしのプライベート気にならないの?」
「たとえば?」
「たとえばって……いろいろあるじゃない!」
「だから、そのいろいろってなんだよ」
「いろいろは、いろいろだよ! 好きなものはなに? とか、どうしてエリカと二人で生活しているのか、とかさ……あるじゃない……」
「そりゃあ気になることもあるけど、好きなものはともかく、他のことであまり突っ込んだ内容って、そうそう気軽に聞けないと思うのだけど」
「だから気になるなら、なんで聞いてこないの!」
そんなに簡単に聞けるのなら、とっくに聞いているんだけどな。
「なら聞くけど、さっきからなにをためらっているんだよ。なにか俺に言いたいことがあるんだろ?」
「……」
「ほら、聞いても答えてくれないじゃないか」
「わかった。話すよ……春時、あたしはね……この家のことをよく知っているの。なんでだと思う?」
「知っているって、それは果奈に案内してもらっているからだろ?」
「違うよ」
真宮さんは首を左右に振ると真っ直ぐな目で俺を見つめてきた。
「春時……あのね。ここは、両親とあたしが暮らした家だったの……」
俺はベッドから降りて彼女と同じように腰を床へおろし、向かい合う形をとる。
彼女は気のせいか、やはりいつもとは違う雰囲気だ。
一言で例えるなら、元気がない? という感じだろうか……なんだか調子がくるってしまう。
「えっと……真宮さん、話ってなに?」
「あ、うん……そういえば、あのピザおいしかったよね」
「ん? ああ、ボリュームがありすぎてハンバーグは残ったけどな」
「あはは、そうだね」
あのとき言いかけていた話の続きをしにきたんじゃないのかな。
とりあえず俺から適当な話題でも振るほうがいいのかもしれない。
「そういえば、もってきた荷物はもうといたの?」
「うん。全部じゃないけどね」
「そっか。それにしても、まさか真宮さんたちとの同居生活が始まるだなんて、いまだに実感が湧かないよ」
「嬉しい?」
「え? ま、まぁ……うん」
「もっと素直に喜んだらいいのに」
彼女たちと一緒にいられるのは、もちろん嬉しいことだけど、正直、複雑な気分なんだよなぁ……そんなことは口が裂けても言えないけれど。
「あ……家の中、案内しようか? 風呂の場所とか他にも色々あるし、この家、無駄に広いから迷わない?」
「ううん、大丈夫。それに……」
「それに?」
「うん……果奈ちゃんにも案内してもらったのもあるけど、その……」
「その?」
「あのね、いつ言おうかずっと悩んでいたことがあるの」
「うん」
「その……じつは……あ、あぁああ! やっぱりなんでもないっ!」
「なんだよ、気になるじゃないか。話したいことがあってきたんじゃないのか?」
「そうだけど、さ……」
なにをためらっているんだ? そんなに話しにくいことなのかな?
なんだろう……。
俺の部屋のものを壊したとか? 見渡す感じ、それはなさそうだし……うーん、正解がわからない。
「あのさ、春時はあたしのプライベート気にならないの?」
「たとえば?」
「たとえばって……いろいろあるじゃない!」
「だから、そのいろいろってなんだよ」
「いろいろは、いろいろだよ! 好きなものはなに? とか、どうしてエリカと二人で生活しているのか、とかさ……あるじゃない……」
「そりゃあ気になることもあるけど、好きなものはともかく、他のことであまり突っ込んだ内容って、そうそう気軽に聞けないと思うのだけど」
「だから気になるなら、なんで聞いてこないの!」
そんなに簡単に聞けるのなら、とっくに聞いているんだけどな。
「なら聞くけど、さっきからなにをためらっているんだよ。なにか俺に言いたいことがあるんだろ?」
「……」
「ほら、聞いても答えてくれないじゃないか」
「わかった。話すよ……春時、あたしはね……この家のことをよく知っているの。なんでだと思う?」
「知っているって、それは果奈に案内してもらっているからだろ?」
「違うよ」
真宮さんは首を左右に振ると真っ直ぐな目で俺を見つめてきた。
「春時……あのね。ここは、両親とあたしが暮らした家だったの……」
0
あなたにおすすめの小説
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。
エース皇命
青春
高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。
そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。
最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。
陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。
以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。
※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。
※表紙にはAI生成画像を使用しています。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件
暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!
彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。
遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。
彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。
……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。
でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!?
もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー!
ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。)
略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う
もぐのすけ
青春
神童と言われた天才サッカー少年は中学時代、日本クラブユースサッカー選手権、高円宮杯においてクラブを二連覇させる大活躍を見せた。
将来はプロ確実と言われていた彼だったが中学3年のクラブユース選手権の予選において、選手生命が絶たれる程の大怪我を負ってしまう。
サッカーが出来なくなることで激しく落ち込む彼だったが、幼馴染の手助けを得て立ち上がり、高校生活という新しい未来に向かって歩き出す。
そんな中、高校で中学時代の高坂修斗を知る人達がここぞとばかりに部活や生徒会へ勧誘し始める。
サッカーを辞めても一部の人からは依然として評価の高い彼と、人気な彼の姿にヤキモキする幼馴染、それを取り巻く友人達との刺激的な高校生活が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる