美少女にフラれたらなぜかダウジング伊達メガネ女子が彼女になりました!?〜冴えない俺と彼女と俺をフった美少女の謎の三角な関係〜

かねさわ巧

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第68話 私……ずるいんです

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 俺は走り続けた――が、真宮まみやさんの姿はいまだに確認できていない。
 
 自宅から彼女の住むアパートまでは徒歩だと約三十分。
 仲里なかさとさんと話をしていたことでスタートは遅れたうえに、途中で信号にも捕まってしまった。
 真宮さんは運動神経がよいから走りも得意だし、もうアパートについている可能性だってある。

 行き先は分かっているんだ。
 こんなに急がなくてもいいのだろうけれど、俺は走りを止める気にはなれない。
 一秒でも早く彼女に会いたい。

「あ!」

 Y字路を右に進んだところで前方にセミロングの黒髪をした女性が目に入った。
 肩に見覚えのある大きめなバッグをかけて歩いている。
 あれは部屋を出るとき手にしていたものだ。
 
 追いついてよかった……。
 この辺りまできたらアパートは目前だし、走るのをやめたのかもしれない。

「真宮さんっ!」

 大きな声で叫ぶと、前を歩く彼女がピタっと足を止め振り返った。
 黒縁メガネのその子は間違いなく真宮葵まみやあおいだ。

「どうして……」

 走り寄る――と、真宮さんは俺の目をみて呟く。

 俺の想いを伝えないと……でも、いざ目の前にすると緊張して考えがまとまらない……え、えーと……。

「は、ハンバーグ! ハンバーグ美味しかったよね!」

「え? は、ハンバーグ……ですか?」

 し、しまったぁあああっ! さっきまで三年前の仲里さん……いや、真宮さんとの食事のことを思い出していたのもあって、思わずハンバーグと口走ってしまった。
 
 俺はなにを考えてるんだ……ここは直球で、一緒に戻ろう! と口にすべきだったよな? 真宮さんきょとんとしているじゃないか! も、もう一度……。
 
 つ、伝えるぞ。

「い、いっしょ……」

「……池袋のパルロで食べたハンバーグ……美味しかったですよね」

 緊張して言葉に詰まる俺を前に、彼女はやさしく言った。

「お、覚えてたんだ」

「もちろん覚えていますよ? だって早見はやみくんと初めて出会った日のことですもの」

 彼女はクスっとして優しい笑みをみせ、続けて口を開いた。

「ふふ。でも、どうして突然ハンバーグなんですか?」

「いや、その……あの日、俺は仲里さんのなかに真宮さんがいることを知らなかった。ずっと仲里さんだとばかり…でも……」

「はい……」

「でも、気がついたんだ。あの日の君を、仲里さんを俺は必要としていたことを……それはつまり……」

「つまり?」

「真宮葵は俺にとって大切な人だってこと、を……」

「……でも、三年前に出会ったあたし……あ……私は、仲里さんだったから……」

「たしかに三年前、仲里エリカだと思って接していた。でも、あの日一緒の時間を過ごしていたのは、今、俺の前にいる君だよ。真宮さんにも色々と複雑な想いがあるんだろうけれど、一人になろうとしないで、一旦みんなのところへ戻らないか」
 
 真宮さんは俺の言葉に俯くと、首を左右に振る。
 それは戻れないという意思表示なのだろう。

「どうして?」

「私……ずるいんです」

「ずるい? な、なにが?」

 真宮さんは小さく息を吐くと俺から目を逸らしながら口を開いた。

「入れ替わり……あれは、仲里さんのダウジングが原因じゃないんです。私が望んで起きたこと、なの……」

「え!? ど、どういうこと?」

 入れ替わりを真宮さんが望んでって、どういう意味なんだ――。
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