献血に行った話

導入

　はー、講義が休みだとやることもねぇや。


　バイトまでまだ時間もあるし、その辺で買い物でも……ん？


「献血にご協力おねがいしまーす！」（と献血車の前で呼び込みするスタッフ）



　献血かぁ……たまには社会貢献するのも悪くないかな。




　　　　　*


　すみません、献血したいんですけど。二〇〇ｍｌミリと四〇〇ｍｌミリ？　じゃあ四〇〇で。



　最初に問診票書くのね。ええと体調は良好、と。三日以内に歯科治療もないな。


　……へー、六ヶ月以内に新たな異性との性的接触があると献血できないんだ。まぁ童貞の俺には関係ないんですけどね～……。



――――
……


　――担当の看護師さん？　こんにちは、よろしくお願いします。事前採血？　どうぞどうぞ。

　いい腕してる？　あぁ、高校時代バスケやってたんすよ。今は辞めちゃいましたけどね～、、。

　……へ、なんかついてます？　いや、お姉さんみたいな美人に見つめられたら緊張しますって。お世辞じゃないですよ！　あ、終わったんすね、あざす。

　んじゃ血抜きますか～……ってここじゃない？　　ついてきてほしい？　あぁ別室なんだ、んじゃ失礼して。（献血車を出る）


　……血液型占い？　Ａ型が？　今日一位だったんだ。あはは、んじゃいいことあるかもっすね。彼女とかできないかな。



　　　　　*



　――「着きましたよ～」……って、ここ普通のアパートじゃない……？
　とりあえず中にどうぞって、んじゃ～失礼しま～す……。


　どうみても普通のアパートだよな？　女性の部屋みたいだけど。あ、お話がある？　とりあえず聞きますか。



　　　　　*


　なになに、「現在わが国ではＸＸ病の患者が増加の傾向にあって」、「でも新薬の開発に成功し、今後の治療に役立てられることに」……へえすご。

　だけど？　「薬を作るのに精液固有の成分が必要で」？　血液検査の結果、俺の精液にその成分が大量に含まれていることがわかった……え、マジ⁉︎

　つか血液検査でそんなことわかるんだ⁉︎　現代の医学はすげぇな……。



　で、これから採取……ってここで？　俺の？　精液を⁉︎　お姉さんが⁉︎

　き、器具とかは……？　へっ、「大丈夫です！」「わたしで抜いて下さい」って冗談でしょ⁉︎　いいんですか⁉︎

　いや、お姉さんメチャクチャ可愛いし俺は全然いいんだけど……あ、もう始める？　じゃぁお願いしちゃってもいいですか？


――そっすよねぇ……国の運命かかってるんですもんね。それじゃ仕方ないっすよねぇ。