ダメスキル『百点カード』でチート生活・ポイカツ極めて無双する。

米糠

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「まだ6匹は残ってるはずだね」

「あっちに逃げたから、追いかけてみる?」

 純子の言葉に沙耶が応じる。

「私が遠見で探してみるよ」

「沙耶に任せれば、大丈夫よ。本当我が妹ながらこういう時は便利なのよ」

 暫く沙耶がキョロキョロ見回して、逃げた群れを見つける。

「あっちにいるわ! 残り6匹ね」

「よし! 行こうぜ」

 明が満面の笑顔で歩き出す。

 5人は逃げた山羊型魔獣の群れを追った。


「けっこう逃げたな」

 疲れた顔で明がぼやく。

 少し離れたところに、さっき取り逃した山羊型の群れが草を食んでいる。中央の1匹が、あたりの様子に気を配っているのか、草を食まずにじっと首をあげている。山羊型の目は首を動かさずともかなりの範囲に視野が及ぶらしい。

 明と俺がゆっくりと回り込みながら隠れて近づき、女子3人は矢を構えてタイミングを合わせる。

 3人の矢が一斉に放たれ、俺と明が剣を振り上げて突進した。山羊型魔獣は一斉に逃げ出すが矢の当たった1匹は動けずその場にうずくまる。

 うまい具合に明のロングソードが逃げる魔獣にヒットしてその足を切り飛ばした。

 俺の横を抜けていく魔獣はショートソードの届かないところを通って行く。俺は追ったが届かない。仕方なく矢の当たった1匹に止めをさすが、明はきっちり仕留めて自慢げに笑顔を向けた。

「やったぜ! これで6匹だな」

 純子達が駆け寄ってきて嬉しそうな歓声を上げる。

「やった! 今日は大猟ね!」

「まだまだいけるかな?」

「私が逃げたの見つけるわ!」

「あっちに逃げたみたいだよ」

「俺様今日は3匹やったぜ!」

「残りは4匹ね」

「沙耶なら絶対見つけるよ」

「任せて、あっちよね」

「そう。あっちに逃げた」

「俺たちから逃げられるわけないぜ! へへへ!」

 俺は急いで買い取りを済ませて、買い取り金額を報告する。

「18万ゴルドだったよ」

「だいたい山羊型って、そんくらいなんだな」

「そうみたいだね」

 女子達はもう追跡を開始していた。

「置いて行くわよ!」

「やべ、急ぐぞ卓郎」

 俺と明は3人を追った。

 明がウキウキしながら話しかけてきた。

「普通なら2匹倒した時点で運ぶから、狩りはそれで終わりだろ? 今日はもう6匹だぜ! 買い取りスキル様々だなあ!」

「俺も、役に立ててうれしいよ」

「卓郎と組めて良かったぜ。買い取りスキルって? 百点カードだっけ? なんかスゲーよな」

 今までダメスキル持ちと言われていただけに、こう褒められると照れくさいし、複雑な心境だ。

「いたわよ!」

 沙耶の手信号を見た純子が俺たちに臨戦体制を促す。

 明が腕まくりをして鼻息を荒くした。

「さーて、やったろうじゃないの!」

 ブッシュに隠れて様子を伺う有紗と沙耶に合流すると、向こうに草を食むさっきの山羊型魔獣4匹が見えた。

「ちょっと待って! 向こうに狼型の魔獣の群れよ」

 沙耶が出て行こうとする明を止めた。

「なんだって、 ウルフか?」

「そうね。10匹はいるは。逃げましょう!」

 純子はいち早く撤退の決断を下す。

「ウルフもまとめて狩っちまえば良いじゃん!」

「バカなの! 無謀だわ」

「明、逃げよう」

 俺は明の手を引いた。

 有紗と沙耶も逃げ始めている。

「まだ距離があるから急いで逃げれば追ってこないはずよ」

 沙耶が駆け出すと皆んなそれに倣った。

 5人が全力でその場を離れる。

「「「はあ、はあ、はあ」」」

 ウルフの群れから無事距離を取り、みんなで顔を見合わせる。

 純子は息を切らせながら全員の無事を確認し、

「危なかったわね!」

「沙耶が見つけてくれたおかげだわ。ありがとう沙耶」
 有紗が抱きつき頭を撫でる。

「くすぐったいよ、お姉ちゃん!」

「あんなのがいたら危なくて仕方ないわね」

 純子が困ったと言わんばかりに眉根を寄せる。

「俺が返り討ちにしてやるのにな!」

 能天気に明が言うとみんなが驚いて明を見つめた。

「あんたバカなの?」
「自殺に付き合うつもりはないわよ」
「ちょっと、信じられない」
「流石に無理だよ。明君」

 一斉に非難が飛び頭を抱える明だった。

「バカはほっといて、これからどうしようか?」

「ここは危なそうだから、森の小道に戻りましょう」
「私もそれが良い。一生懸命見つけるよ!」

 俺は黙って頷いた。
 明は不満そうに口をへの字に曲げてそっぽを向く。

 5人は森の小道に引き返し、またウサギ型やリス型を狩ることにした。

 森の小道に差し掛かると何やら茂みに大きな何かが動く気配。

「注意よ!」

「やったぜ! 大物じゃん」

「卓郎、盾役お願いね」
「なんかおっきい」

 俺は猪型を連想して、背筋に冷たい汗が流れるのを感じていた。

 次の瞬間、茂みから案の定、猪型が鼻面を出す。

「できるだけ、たくさん矢を当ててから2人の出番よ! 明、先走らないでね」

「ああ、ちゃんと盾役こなせば良いんだろう」

 俺と明が剣を構えて猪型の出方を待つ。

 のしのしと猪型魔獣が茂みから現れた。一斉に矢が放たれる。

「ブヒーン!」

 近付くまでにたくさん矢を当てて体力を削り、そして2人との近接戦闘で倒すのが定石だ。

 女子3人が一緒懸命連射する。猪型魔獣に針山のように矢が突き刺さるが、猪型魔獣は平然とこっちを睨み、倒れる気配はまるでない。

「ブヒーン!」

 大きな鳴き声をあげ、突進が始まる。猪型魔獣の標的は、明のようだ。

「きやがったな!」

 地響きと共に土煙が近付く。

「スキル! フレイムバスター!」

 明のロングソードの刀身が炎に包まれた。

 明のスキルに驚きながら、俺もスキルを発動する。

「力の一撃!」

 猪型が明に向かっている以上、俺に3秒の余裕はある。明に突っ込んでいるその横っ腹に力の一撃を喰らわしてやる腹づもりだった。

 猪型魔獣が明に迫る。

 明の『フレイムバスター』がうなりを上げて猪型魔獣に振り下ろされる。炎が、猪型を包み込む。

 猪型が明の攻撃で動きが止まている隙に、俺の『力の一撃』が猪型の背中を叩き折るようにきまった。

 背中をくの字にへし折られて地面に叩きつけられる魔獣が背中と口から血飛沫を飛ばす。そして地面にめり込み動きを止めた。

「やったぜ! 倒したな」

 明が確認するように覗き込む。

「うん。やったね」

 純子たちが魔獣を取り囲み魔獣の死を確認してから俺と明に振り返る。

「明、あんなスキル、隠し持ってたのね。やるじゃない」

「驚いたわ」

「凄いよ。火が剣を包んでた」

「まあな。 俺のとっておきだから」

「あんなのあるなら、早く出して欲しかったね。この前の時とか」

「毛皮が燃えると、あれだろう。買い取り額にさ……」

「明、アンタ、ただのバカじゃなかったのね」

「ちゃんと考えてたんだね?」

「でも、この前だって、この技使うべきだったんじゃない?」

「悪かったな。俺も今はそう思うよ」

「まあ、あの時はしょうがないんじゃない。バカなんだから」

「「「あはははははは」」」

 照れる明を囲んで皆が笑った。




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