ダメスキル『百点カード』でチート生活・ポイカツ極めて無双する。

米糠

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 翌日、冒険者ギルドの掲示板の前でメンバーはどの依頼を選ぶかでもめていた。

「Eランクになるためには貢献が必要なんだぜ!」

「アンタねえ! だからって、ジャイアントフロッグ討伐はキモいよ!」

「そうよ。あれベトベトじゃない!」

「じゃあ遠くの村まで行くのかよ! 近場で済ませたほうが楽に決まってるだろ」

「もう少し早くくれば、もっと良い依頼があったのかなあ?」

「まあまあ……もめないで」

「卓郎! そんなら、お前はどれが良いんだよ?」

「俺は別になんでも良いけど」

「そういうのが、1番タチが悪いのよ! ちゃんと意見を言いなさいよ!」

「……うーん。ならこれかな」

 俺は納品依頼の中から『シルバーフォックスの毛皮10枚』を指差した。

「シルバーフォックスって、見つけるのが大変じゃない?」

 有紗が心配そうな視線を向ける。

「それも10枚でしょー、私でも見つける自信ないかも」

「沙耶でも見つける自信がねーんだぜ! 下手したら依頼失敗になるじゃんか!」

「少し遠くても東野村の十蔵さんの畑に出るモグラ型討伐の方が良いんじゃない」

「モグラ型って攻撃しづらいんじゃない?」
「見つけるのもね」

 土の中のモグラ型を攻撃する方法を、卓郎は知らなかったし、勿論見つけ方も分からなかった。そういう意味では有紗と沙耶の心配にも頷ける。

「だからよー、近くでいっぱいいるジャイアントフロッグの討伐が簡単なんだって!」

 確かに明の言うことは間違ってはいない。だが女子3人の嫌がる気持ちも分からなくはなかった。

「良いじゃんよお! お前ら矢をいるだけで、触るわけじゃねーんだし。接近戦は、俺と卓郎に任せておけよ」

「本当に、それで済むのー?」

「絶対、ジャイアントフロッグに触らないで良いっていうなら、ーーやっても良いけど」

「本当にそれで良いのかしら?」

「で! 何匹狩れば良いわけ?」

「たった5匹だぜ! 討伐証明は舌だってよ」

 その言葉に純子も有紗と沙耶も眉を歪める。

「それも、アンタ達が切り取ってくれるのよね! でないと絶対嫌だから」

「はいはい。良いよな、卓郎?」

 そんなことで、話がまとまるのならお安い御用だと俺は大きく頷いた。

「いいよ。いくらでもやる」

「卓郎がそう言うなら、その依頼受けましょうか?」

 有紗と沙耶も頷いたので明が喜びいさんで受け付けに飛んでいく。

「礼子さん、これお願いしまーす」

「はい。受け付けました。この紙と証明部位を持ってきてね」

 受け付けでのやり取りがかすかに聞き取れた。

「じゃあ、行こうぜ!」

 明は嬉しそうに表に向かった。


 川辺の湿地――流れの緩やかな川沿いに広がるその地帯は、ぬかるんだ土と水たまりが点在し、薄く靄がかかっている。足を踏み入れるたびに、ぬっちゃりとした音が靴の裏から響く。

 草むらのあちこちからは、低い水音と不規則な跳ねる音が聞こえる。ここにはカエル型魔物や、甲殻類に似た水棲クリーチャーが潜んでいるという。狩場としての危険度はDランク。けれど油断は禁物だ。

「ジャイアントフロッグいないかなー!」

 湿地を歩く明の声が、やけに遠くまで響いた。

「明! 浮かれてんじゃないわよ!」

 すぐさま純子の怒鳴り声が飛ぶ。

「なに、緊張してんだよ。ジャイアントフロッグなんて、俺だけでも倒せるんだからよ。なんならお前ら、今日は見物しててもいいんだぜ!」

 腰の剣をチラつかせて、やけに得意げな顔をしている明。ほんと、どこまでも能天気なやつだよな……。

 俺はそんな彼を横目に、草むらの向こうを見渡す。視界は悪く、背の高い水草が邪魔をしてくる。だがそのとき――

「あそこ見て!」

 鋭い声。最初に反応したのは、やっぱり沙耶だった。遠見スキルを持つ彼女の指が、水辺の一角を示す。

 目を凝らすと、ぬるりとした黒緑色の巨体が見えた。胴体だけで軽く人間の背丈はありそうな、異形のカエル――ジャイアントフロッグだ。

「おー! いたいた! 行くぞ、卓郎!」

 明が目を輝かせながら、躊躇なく剣を抜いて走り出す。水しぶきが飛び散り、彼の足音が湿地をバシャバシャと響かせた。

「本当に考えなしねー、明って」

 純子がため息交じりに呟く。後ろで、有紗と沙耶は「また始まった」とでも言いたげな顔で、明の後を追う。

 俺も慌てて走り出すが、全力を出すとすぐ追い越してしまうので、軽く足を動かす程度にとどめた。無茶するのが明の悪い癖だ。止めないと危ない。

 そのときだった。

「ギャオオォォン!」

 濁った鳴き声が響くと同時に、ジャイアントフロッグの巨体が水辺から跳躍した。

 ドンッ!!

 重みのある着地が地面を揺らし、泥水が高く跳ね上がる。バランスを崩した明がよろめき、足元の水たまりに滑りそうになる。

「うわっ、やべー!」

 その瞬間だった。ぬるりと湿った音を立てて、ジャイアントフロッグの舌が明の体に向かって鋭く伸びた。ムチのようにしなり、彼の胴にぐるりと巻きつく。

「ぐっ……! ぬ、ぬけねえ!」

 明がもがきながら叫んだ。けれど、俺はすでに動いていた。

 ――距離は4メートル。ギリギリ届く。

 泥を蹴り、跳ね上がるように飛び出す。

 剣を握る手に力を込め、視界にぬらぬらと光る舌を捉える。

「せぇいっ!!」

 刃が、湿った空気を裂く。

 ザシュッ!

 断末魔のような鳴き声とともに、舌が斬り飛ばされた。明の体が解放され、泥の中にドサッと落ちる。

「大丈夫か、明!」

「っぶはっ……サンキュウ、卓郎……」

 息を吐きながら立ち上がる明の顔には、どこか苦笑いのようなものが浮かんでいた。

 その背後で、ジャイアントフロッグがのたうち回っている。舌を失い、怒りと痛みに任せて跳ね回るその巨体。

「逃がさない!」

 上空から、ピシィッという鋭い音とともに、矢が降る。沙耶の一撃が、フロッグの右目を正確に射抜いた。

 続けて純子、有紗の矢が腹部に突き刺さり、最後に俺が、真っ向から跳びかかって剣を振るう。

「これで終わりだぁぁぁっ!!」

 ――ズバァッ!!

 巨体が痙攣し、その場で崩れ落ちた。泥をはね上げながら、地面に沈むように横たわるジャイアントフロッグ。

「ふう……ったく、だから言ったのよ明。考えなしって」

 純子が呆れながらも、どこか安堵したように笑っていた。

 俺も息を整えながら、苦笑いを返す。

 
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