ダメスキル『百点カード』でチート生活・ポイカツ極めて無双する。

米糠

文字の大きさ
46 / 265

46

しおりを挟む
 
 村に戻ると、俺たちはすぐに村長の家に呼び出された。
 玄関をくぐると、すでにギルドの連絡員も到着しており、重苦しい空気の中、報告の席が設けられていた。

 年季の入った木製の卓を挟み、俺たちは正面に座る村長と向かい合う。その隣では、ギルドの連絡員が筆記用具を手に、真剣な面持ちで控えていた。

「……で、どうじゃった?」
 村長が眉間に深い皺を寄せながら問いかけてくる。

 俺は仲間たちと目を合わせ、うなずき合うと、ゆっくりと口を開いた。

「原因は――霧でした。あの谷に満ちていた、異常な濃霧が、すべての引き金です」

 村長の目が細まり、俺の言葉を静かに噛み締めている。

「魔物じゃないってことか?」

「直接的には、違います。ただ、その霧に……心を蝕むような力がありました。幻覚や幻聴、過去の記憶をえぐるような精神攻撃……。それに飲まれた者たちが、あの『霧の迷い人』になっていたんです」

「迷い人……」
 ギルドの連絡員が筆を止め、表情を強ばらせて顔を上げた。

「それは、魔物ではなく……何か別の存在ということですか?」

「ええ。元は人間です。おそらく、かつてあの谷で命を落とした冒険者たち。その未練が霧と融合し、半ば霊のような存在になって彷徨っていました」

 室内の空気が一瞬、張り詰める。誰もが息を呑み、静寂が訪れた。

 その重さを破るように、明が口を開く。

「卓郎が、ヒールを霧に宿った迷い人に使って……成仏させた。物理攻撃は通じなかったけど、癒しの魔法は、確かに彼らを解放できたんだ」

「ヒールでじゃと……?」
 村長が目を丸くして驚く。

「つまり、アンデッド系ということか?」
 ギルドの連絡員も顔をしかめ、思案するように続けた。

「それに近い存在だと思います。ただ、霧自体がそれらを生み出しているというより、何か……過去の出来事や、この地に蓄積された魔瘴が絡んでいるように感じました」

 俺の言葉に、有紗が頷いて補足する。

「霧の影響で、周囲の魔物も通常よりずっと凶暴化していました。まるで、谷全体が魔瘴に染まっているような……自然とは思えない異様さがありました」

「なるほどな……」
 ギルドの連絡員は椅子に深くもたれ、疲れたように息を吐いた。

「原因は、霧に宿った魔瘴と、過去の死者たちの残留思念。それが魔物にも影響を与えている……。だが、完全に解決はしていない、ということか」

「はい。俺たちがやったのは、あくまで応急処置です。本格的に解決するには、専門の聖職者と、調査団の派遣が必要でしょう」

 俺の言葉に、沙耶が肩をすくめて苦笑した。

「結局、私たちじゃ荷が重かったってことね。でもまあ、全員生きて帰ってこられただけでも十分よ」

 純子と有紗もそれにうなずき、ギルドの連絡員が手帳をパタンと閉じる。

「詳細は本部に報告しておきます。二次調査隊の派遣を、こちらから要請しましょう」

 その言葉に、俺たちは肩の力を抜いた。

「この件はこれで依頼完了とします。こちらが報酬の50万ゴルドです。お疲れさまでした」

 俺が代表して金を受け取り、それぞれに分配する。仲間たちの目が一瞬輝くが、すぐに安堵の笑みに変わった。

「それじゃあ、『福佐山』に戻って、打ち上げしようか?」
 俺が提案すると、

「良いわね。私も自宅のベッドが恋しいわ」
 純子が笑顔で応じた。

 こうして俺たちは、大橋村を後にし、帰還の途についた。


 道中、馬車の揺れの中で、明が唐突に口を開く。

「なあ、これで、Dランクチャレンジ連続2回成功だよな?」

「そうね。あと一回連続成功すれば、Dランク認定試験を受けられるわ」

「明は早くDランクになりたいの?」
 沙耶が小首を傾げながら尋ねる。

「『Sランクになる男だ!』……だったっけ? 初めての挨拶」
 茶化すように笑う沙耶に、明はむすっとした顔を見せた。

「まあな……でも、正直卓郎を見てると、ちょっと自信なくすぜ」

 明がぽつりと漏らした言葉に、場の空気が少し変わる。すると純子が、まっすぐに明を見つめて真剣な声で言った。

「チート級のステータスに加えて、魔法まで使える。はっきり言って、卓郎は多分Sランクになるわ。でも、明だって諦めなければ、きっとなれる。卓郎と切磋琢磨していけば、ね」

「……俺がSランク? なれたらいいな。明と一緒に、いや、みんな一緒にSランクになれたら、最高だよ」

 俺がそう言うと、沙耶が笑いながら問い返した。

「卓郎と一緒にいれば、私たちもなれるのかな?」

 その言葉に、しばらく皆が沈黙した

「あ、私はランクとかどうでも良いの。ただ……ちょっと、倒したい魔物がいるから、強くはなりたいけど」

 純子がふと遠くを見るような目でつぶやいた。その表情はどこか寂しげで、しかし心の奥に灯る炎を宿していた。

 ……倒したい魔物?

 その言葉の奥にあるものを、誰もが察したのか、しばらく静寂が流れた。だが、その沈黙には不安よりも、仲間としての絆が満ちていた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル 異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった 孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。 5レベルになったら世界が変わりました

チート魔力を持ったせいで世界を束ねる管理者に目を付けられたが、巻き込まれたくないので金稼ぎします

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。 交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。 そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。 その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。 だが、それが不幸の始まりだった。 世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。 彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。 さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。 金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。 面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。 本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々

於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。 今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが…… (タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

処理中です...