ダメスキル『百点カード』でチート生活・ポイカツ極めて無双する。

米糠

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 ギルド本部・依頼掲示板前
 Bランクへの昇格から一夜明けた俺たち『フォーカス』は、朝早くからギルド本部に姿を見せていた。

 目的はもちろん、新しい依頼を探すため――だったのだが。

「うーん……今日は、Aランクの依頼、出てないな」

 掲示板の前で、俺は肩を落とした。せっかくBランクになって、Aランク依頼にも手が届くようになったというのに、その欄はぴかぴかの空白だ。

「張り出されてても、受けさせてもらえるとは限らないんじゃなかったっけ?」

 純子が現実的なことを言う。確かに、Aランク依頼にはギルド側の推薦や審査が必要な場合も多い。

「まあ、焦ることないでしょ。こっちは本命の依頼が控えてるんだし」

 明が、ちらと俺を見た。

 そう。俺たちはもう一件、正式な依頼の約束を抱えていた。

 ロメオ・ヴァイン――遺跡マニアであり、歴史研究家の彼からの依頼だ。

 『語る石版《ストーン・オブ・エコーズ》』から情報を引き出すために必要な、失われた六つの言葉。その最初のひとつ、『第一の言葉』が、東の山脈地帯にある『風の谷』の無人集落に隠されているという。

 現在ロメオさんは、石版と『風の谷』に関する資料を精査中で、調査が終わり次第、正式な指名依頼を俺たちに出すと約束してくれている。

 それまでは、つなぎの依頼をいくつかこなしておこうってわけだ。

 俺たちは改めて掲示板を見上げ、Bランクの依頼の中から、手頃なものを選んでいる。

「これなんか良くない?」

 沙耶が指を差した依頼用紙には、こう書かれていた。

【依頼名】 湖畔の村『浪花』の魔物退治
【依頼ランク】 B
【依頼内容】 湖の近くで魔物の目撃情報多数。村の人々が漁に出られず困っている。現地にて調査・排除をお願いしたい。
【報酬】 50万G+現地産の特産品
【期限】 5日以内

「……割とオーソドックスだけど、腕試しにはちょうどいいかもな」

 明がうなずく。

「こういう地元の人を助ける依頼って、信用も得やすいしね」

 有紗も笑顔で賛成する。

「じゃあ決まりだな。次の本命依頼――『風の谷』に向かう前に、しっかり体を慣らしておこう」

 俺は皆を見渡し、依頼用紙を手に取る。

「チーム『フォーカス』さん、湖畔の村『浪花』の依頼ですね」

 礼子さんに手続きをお願いするとにこやかに送り出される。

 ギルドから馬車で半日。『フォーカス』のメンバーは、静かな水辺の村へとたどり着いた。

『浪花』は、湖と森に囲まれた、漁と薬草採取で成り立つ小さな村だ。

「静かだな……っていうか、ちょっと静かすぎないか?」

 馬車を降りた明が周囲を見渡しながら眉をひそめた。確かに、昼時にもかかわらず人影はほとんど見えない。子どもたちの笑い声もなければ、漁から帰る舟の音もない。

「魔物のせいで、外に出られなくなってるのかもしれないわ」

 純子は、矢筒を少しだけ引き寄せる。村の端には、簡素な木の柵と見張り塔があるが、いずれも年季が入っており、防御力にはあまり期待できそうにない。

「こんにちはー!」

 沙耶が元気に声を張ると、一軒の家の戸が少しだけ開き、中から年配の女性が顔を覗かせた。

「あんたたち、もしかして……ギルドの人?」

「はい。魔物退治の依頼で来ました、チーム『フォーカス』です」

 俺が言うと、女性はぱっと表情を明るくして、すぐに家から出てきた。

「助かるわぁ……この村じゃもう、誰も湖に近づけなくなっちまって……。村長さんのとこに案内するから、こっちにおいで」

 女性の案内で俺たちは村の集会所へと向かった。

 集会所の中には、ひげをたくわえた老人――村長が待っていた。椅子から立ち上がると、ゆっくりとこちらに頭を下げた。

「遠いところをありがとう。『フォーカス』とやら……この村の命運、お前たちにかかっておる」

「詳しい状況を教えていただけますか?」

 有紗の問いに、村長はうなずきながら語り始めた。

「ここ最近、湖のほとりに異形の影が現れるようになってな。夜になると、低い唸り声と光る目が見える。村の若いもんが見張っておったが……三日前、帰ってこんかった」

「村人が襲われた?」

「いや……翌朝、無事戻ってきた。ただ、様子が変でな。誰とも口を利かず、食事も取らず、ずっと湖の方ばかり見とる」

 俺たちは顔を見合わせた。

「魔物が直接手を下してるわけじゃない……? もしかして、精神系のスキルや、幻覚……?」

 純子が推理する。

「異形の影って、どんな姿をしてたんですか?」

 明が訊くと、村長はしばし言葉を探し、ぽつりとつぶやいた。

「……まるで、人の形をした水のようだった、と言っとった」

「人の形をした……水?」

 そのとき、有紗がふとつぶやくように言った。

「『アクア・ミラー』……かもしれない」

「知ってるのか?」

「うん。古い文献で見たことがある。湖や沼に現れる、水の魔獣。姿を人に似せて動き、精神を映して侵食する……」

「侵食……それって、精神に干渉する魔物ってこと?」

 沙耶が声を潜める。

「もしそれが本当なら、ただの物理攻撃だけじゃ倒せないかも」

 俺は皆を見渡し、うなずいた。

「夜になる前に、湖周辺を偵察しよう。痕跡があるかもしれない」

「うん。動くなら明るいうちがいいね」

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