ダメスキル『百点カード』でチート生活・ポイカツ極めて無双する。

米糠

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 その後、軽部村を目指す途中で、俺たちは6回魔獣の群れに囲まれ6回殲滅してその素材を『買い取り』しながら進んだ。

 やっと見えた軽部村は、以前来た時とは様変わりしていた。

 軽部村の門は小さいが、重厚な木材で作られ、その手前に立っていた衛兵――いや、聖騎士の鎧を纏った男が、俺たちを見て小さく目を見開く。

「お前ら……外の群れを討ちながら突破してきたのか?」

「そうだけど、それが?」

 純子が警戒気味に答えると、男は兜を脱ぎ、静かに頭を下げた。

「よく無事で……。我ら、聖女殿下より命を受け、村の結界防衛を担当していたのだが……霧が濃く、村外には出られずにいたのだ」

「聖女様、やっと会える」

 有紗が反応する。

「聖女様と、その護衛である聖騎士団はこの村に駐留中だ。さらに、勇者殿とその仲間たちも数日前に合流している」

「勇者パーティも、ここにいるのか……」

 俺が思わず呟くと、明が苦笑した。

「なんだよ、みんなここにいんのかよ。探す手間がはぶけたぜ」

「いるにはいるがな……」

 衛兵の言葉が重かった。霧が晴れた今でも、村には緊張感が残っている。


 俺たちは軽部村の中央の広場へと案内された。そこには白銀の装飾を施した大型のテントが張られており、明らかに一般人のものではないことがわかる。

「……来たのね。予言のパーティ」

 そのテントから現れたのは、年の頃は十七、八。青みがかった金髪を編み込みにした、神秘的な雰囲気を纏う少女だった。

 聖女――由里。

 その名は聞いたことがある。神託を受け、治癒と浄化の力で人々を救う高位神官の中でも特別な存在。

「あなたが、卓郎さん?」

 彼女の瞳がまっすぐに俺を見据えた。その目には、敵意も、興味も、……なぜか、悲しみのようなものもあった。

「そうだけど……何で俺の名前を?」

「神託に名前があったのよ」

 周囲がざわめく。

「どういう意味?」

「そのままの意味よ。けれど――」
 由里は一歩近づく。

「……手を貸してほしいのです」

「……」

 言葉の裏に、ただ事ではない気配を感じた。

 そのとき――

「おいおい、聖女様に近づきすぎじゃねぇのか、そこの小僧」

 割って入るように現れたのは、剣と鎧に身を包んだ青年。二十代前半、目つきは鋭く、どこか挑発的。

「貴様が、卓郎とかいう……ふん。魔獣を倒したぐらいで英雄気取りか?」

「誰だ、こいつ」

 明が眉をひそめると、衛兵が小声で答えた。

「聖騎士団のリーダー、勇人殿。聖女様の従者で、我々第一聖騎士団を率いています」

「なるほどな……めんどくせえやつが出てきたな」

 明が肩をすくめる。

 勇人は鼻で笑う。

「我々は正面から神の敵と戦っている。貴様のような素性も分からぬ者に――聖女様が心を許す理由はない」

「……もういいだろ、勇人」

 背後から、静かな声が響いた。

 現れたのは――勇者『じん』本人。

 十七、八歳の少年。端整な顔立ち、落ち着いた物腰。しかし、その雰囲気は卓郎とは違う、「選ばれし者」の重みがあった。

「僕は君に興味があるよ、卓郎君。よければ、今夜話をしようか」

 卓郎は少しだけ眉をひそめながら、頷いた。

「……いいけど。その前にロメオさんから聖女様に報告があるんだ。其の後で、俺たちは教会本部にも報告に行く予定だ」

 ロメオが聖女・由里へと進み出ると、聖騎士たちが警戒の目を向けたが、由里が静かに手を上げ、それを制した。

「この者は、私が会うべき人です」

 ロメオは深々と頭を下げ、懐から今までの事を記録し続けてきたメモ帳を取り出す。

「聖女殿下……これは、古の文明を滅ぼした《黒霧》に関する記録です。ここの黒霧や、各地で起きている異常な魔物の発生と関係があるかもしれません」

「ありがとう。早速読ませていただきます」

 由里はロメオの差し出したノートを両手で丁寧に受け取り、表紙をそっとなぞった。まるでそれが、聖なる遺物であるかのように。

「……かなり書き込まれていますね。あなたの観察力と、記録の精度には敬意を表します」

 その声に、ロメオは照れくさそうに笑った。

「まあ、変人と呼ばれるくらいには……観察好きなものでして」

 その一言に、純子が小さく吹き出す。有紗と沙耶も微笑み、卓郎は肩の力が少し抜けたのを感じた。

 だが次の瞬間、由里の顔が真剣なものへと変わる。

「……この黒霧が、かつての文明を滅ぼしたものと同じ性質ならば……本当に、由々しき事態です」

「神託の中に、『霧が戻る時、運命を変える鍵が現れる』とあったと聞きましたが……」

 ロメオの問いに、由里はゆっくりと頷いた。

「はい。そして……その『鍵』が、――あなた、なのでしょう」

 彼女の視線が卓郎に向けられる。騒がしい周囲が一瞬だけ静まり、風の音だけが村の広場を吹き抜けた。

「けれど私は、それを『武力』としては見ていません。……あなたの在り方そのものが、この時代の流れを変える、と」

 静かながらも、重みのある言葉だった。

「それで……今夜、話すんですか?」

 卓郎の問いに、由里は「はい」と静かに頷いた。

「村の集会所に、会議用の部屋があります。日が落ちてから、皆さんを招待します。勇者パーティも、聖騎士団の幹部も同席させます」

「へえ、全員集合か」明が口笛を鳴らす。「……いいじゃん。こっちの力、思い知らせてやるチャンスだな」

「あんたバカ! 喧嘩腰で行かないでよ、もう」純子が呆れる。

 そのやり取りに、由里が初めてふっと笑みを浮かべた。儚げな笑顔だったが、どこか救われるものがあった。

「あなたたち、仲がいいのですね」

「……ま、ケンカばっかですけどね」卓郎は頭を掻いた。

 ロメオが咳払いする。
「それでは、私はひとまずこの記録の補足説明を書き起こしておきます。会議の場で、必要になるかもしれませんので」

「ありがとう、ロメオさん」

 由里がそう言ったとき、彼女の背後で控えていた勇人が不満げに唸った。

「……本当に、こんな素性の知れぬ者に未来を託すおつもりですか、聖女様」

「勇人、今はそれを議論する場ではありません」

 由里の低くも落ち着いた声が、勇人の反論を封じた。


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