ダメスキル『百点カード』でチート生活・ポイカツ極めて無双する。

米糠

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 朝霧が白く聖都を包んでいた。
 大神殿の鐘が、静かに旅立ちの刻を告げる。

 卓郎たちは、正門前に集まっていた。大聖堂の尖塔が、霧の中で薄くその輪郭を見せている。
 昨日まで賑わっていた街の喧騒も、今はまだ目覚め前の静けさに包まれていた。

「……いよいよ、出発か」
 明が背負った新しい紅蓮の剣を軽く叩きながら言った。

「やっと、旅人らしい旅ができるって感じね」
 純子が伸びをし、有紗と沙耶が笑い合う。

「でも……少し寂しいね、この場所ともお別れなの」
 沙耶が名残惜しげに大神殿の方を振り返った。

「うん。大変なこともあったけど、ここでたくさんのことを知った気がする」
 有紗も同じように、目を細めた。

 そんな皆の後ろから、静かな足音が近づく。

「皆さん──」

 現れたのは、由里だった。白と青の神官衣に身を包み、編み込まれた金の髪が朝陽に揺れている。

「お見送り、ありがとう」
 卓郎が笑って手を振る。

 由里は一つ頷いて、静かに言葉を紡いだ。

「……女神のご加護は、これより皆さんの旅にあります。けれどそれは、危険や困難が訪れないということではありません。真の導きとは、進むべき道を自らの意志で選ぶ力です」

 その言葉に、皆の表情が少し引き締まる。

 由里は小さな包みを取り出した。それは、淡い青の布に包まれた小さなペンダントだった。

「これは〈小祝福の護符〉。皆さんに、それぞれ一つずつ」
 彼女は一人ひとりに手渡していく。手のひらに乗るその護符には、微かに女神の印章が浮かんでいた。

「危機に陥ったとき、ほんの少しだけですが、心を守る助けになるはずです」

「ありがとう。……すごく、あたたかい」
 卓郎が胸にしまいながら微笑む。

「戻ってくることがあれば、また一緒に祈りましょう」
 由里の表情には、名残と希望の入り混じった感情がにじんでいた。

「もちろん! 次に戻るときは、もっと頼れる冒険者になってるよ!」
 沙耶が腕を振って元気よく言い、皆が笑う。

 馬車の準備が整い、キルシュが「時間です」と一声かけた。仁とバルド、セリア、リディア、もすでに乗り込み始めている。ロメオが俺たちを別の馬車から首を出して待っている。

 卓郎たちはロメオの待っている馬車にそれぞれ乗り込み、再び旅の空へと向かう。
 聖都が遠ざかっていく中──誰もが胸に、由里の祈りと、聖都で過ごした記憶をしっかりと刻んでいた。

 馬車の揺れが、心地よいリズムを刻んでいく。
 厚く敷かれた座布団に腰を下ろし、卓郎たちは静かに、それぞれの時間を過ごしていた。

 外では霧がまだ残り、窓の外の景色はぼんやりと流れていく。

「ねえ、有紗。これ、さっき由里さんからもらった護符……」
 沙耶が手にしたペンダントを揺らしながら声をかける。
「やっぱり、ちょっとだけ温かい気がする。魔法って感じじゃないのに、なんだろ、心が落ち着くの」

「うん。お守りって、そういうものなのかもね」
 有紗が優しく微笑んで応じる。

「お守りなんかより、ちゃんと矢が届く腕を磨きなさいよ」
 と、純子が腕を組んで言ったものの、彼女も首に下げた護符を無意識に撫でていた。

「ふふ、素直じゃないな」
 卓郎が苦笑する。

「んで、お前ら……次はどこに向かうんだっけ?」
 明が窓の外を見たまま、口を開いた。

「とりあえず『福佐山』に一度戻って、ギルドの依頼を見る感じだよね」
 卓郎が答えると、馬車の向かいで地図を広げていたロメオが顔を上げた。

「そうそう! 次に向かうべきは、おそらく“古王の森”だ! また指名依頼出してもいいかな? 記録結晶と関係が深い古代碑文が、その辺りに残ってる可能性があるのだよ!」

「いいけど……また森かぁ……魔物とか出ないといいけど」
 沙耶が眉をひそめる。

「出るに決まってるでしょ。森よ? 薄暗くて、じめっとしてて、変なのいっぱいいるわよ」
 純子がむしろ楽しそうに言う。

「魔物が出ても、俺たちなら何とかなる。だって……」
 明が剣の柄に触れながら、にやりと笑う。
「紅蓮の刃、試したくてウズウズしてんだ」

「森の中で火を使ったら大火事になるんだから、ほどほどにね」
 有紗が苦笑しながら釘を刺す。

「でも、大火事って聞くだけで、ちょっとわくわくする」
 沙耶の声が、軽やかに馬車の中を和ませた。

「駄目だよ。火付けの犯人になって、追われる身になっちゃうよ」
 卓郎は窓の外に流れる森の影を見つめながら、小さく息をついた。

 その手の中にある『教会カード』が、ほんの少し気になっていた。

 『百点カード』と連携できるよね。ポイントは、あれからヴェルト=アナマス達を倒したことで2840ポイント溜まっていた。3枚目の連携には100ポイントのはず。

 俺は『百点カード』を発現させ、『教会カード』を触れさせる。

「三枚目のカード、『教会カード』と連携しました。四枚目のカードとの連携は千ポイント必要です」脳内に機械的な声が響く。『百点カード』に『教会カード』と書かれた枠組み蘭ができている。それをタッチすると新しいメッセージボードが現れた。

 百点ポイント2340、銅級、教会貢献レベルB、
 寄付  祈り  加護取得

「寄付するとどうなるのかな? お金を寄付するんだよね?」

 お金は困ってないので1万ゴルド寄付してみると、百点ポイントが2350に変化した。10ポイント増えたので、1回の寄付で10ポイント増えるか千ゴルド毎の寄付で1ポイント増えるかのどちらかだろう。

「祈りってことは、タッチして祈りをささげると何かあるのかな?」

 当然試してみる。__一ポイント増えていた。2351ポイント。

 これは良いなと思いもう一度祈ってみたがポイントは増えてない。

「何やってるのよ。あんたバカ?」
 斜め向かいからじっとこちらを見ていた純子が、呆れたように声を上げた。

「『教会カード』と連携できて新しい能力が目覚めたんだよ」

「え! 嘘嘘!」

「見てみ」
 俺は純子の手を取って『教会画面』をのぞかせる。

「なにこれ? どういう効果?」

「今、試してたんだよ。祈りで1ポイントもらえたんだけど、二回目はもらえなかったところさ。寄付でも増えるみたい」

「ああ、それで祈ってたの」
 純子が納得したように息を吐いた。

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