ダメスキル『百点カード』でチート生活・ポイカツ極めて無双する。

米糠

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《黒岩の洞》の闇の奥へと進みながら、俺たちは二階層を超え三階へと慎重に歩を進めていった。最初の襲撃をしのいだ後も、敵の気配は途切れない。むしろ──徐々に濃くなってきている。

「気を抜かないで。第二波、来るわ」
 純子が矢をつがえ、岩陰を睨みつける。

「前方、また三体……いや、四体」
 沙耶が〈遠見〉で索敵し、緊迫した声をあげる。

 そして──

 ──グオッ、グアアアァァッ!!

 再び咆哮が洞窟に響いた。
 今度の敵は、最初よりもわずかに体格が小さいが、敏捷性が高く、動きに無駄がない。

「こいつら、最初のとは違う……“ハンターオーガ”か」
 明が剣を構えながら唸る。

「速いだけじゃない、連携してる!?」
 有紗が冷静に観察しながら支援矢を放つ。

 〈一矢両断〉がオーガの足を貫き、動きを鈍らせる。そこへ、俺が剣で追撃し、明が逆サイドから斬撃を叩き込む。

 ──ガシュッ! グワアアア!

「動きに慣れてきたら、数で押してきたってわけか……!」

 戦闘を終えたころには、周囲の空間に瘴気が濃く立ち込めていた。

「……やばい、少し酔いそう。長期戦には向かないな、ここ」
 純子が口をおさえながらながら言う。

 その後も、幾度となく襲い来るオーガたちを撃退し続けた。

 ハンター型、腕力特化型、石投げ用の武器を手にした遠距離型――
 それぞれに応じた連携を取りながら、俺たちは敵の波をくぐり抜けていった。

 そして──五階層。

「……静かになった?」
 沙耶がぽつりと呟いた。

 確かに、敵の気配がすっと途切れた。耳をすませても、あの唸り声も、足音も、もう聞こえない。

 代わりに──

 ドゥン……ドゥゥン……ドゥゥゥゥン……

 低く、地を這うような音が、地の底から響いてくる。

「……来るな」
 俺は息を呑む。

「何かが、こっちを待ってる」

「たっくん。気配……一体だけ。でも、桁違い。今までのオーガとは、全然違う」
 沙耶の声が震えていた。

 その瞬間、通路の先がわずかに揺れ、闇の中から、重い足音とともに“それ”が姿を現した。

 ──ズゥン。ズゥン……。

 天井ぎりぎりに迫る巨体。
 鈍く光る灰金色の装甲に、禍々しい赤い紋様。斧と盾を備え、まるで軍団の司令官のような風格を放つ存在。

「……ようやく出てきやがったか。あれが……ボスだな」
 明が目を細め、低く笑う。

「オーガロード。これまでの個体は全部、こいつの手駒だったってわけか」
 俺はミスリルソードにそっと触れながら、視線を外さない。

 そしてそのとき、オーガロードが口を開いた。

「愚かな……ヒトよ。何故、眠りを妨げる」

 低く、地鳴りのような声だった。洞窟の壁という壁に響き渡り、まるで空間そのものがその言葉に震えているようだった。

「……喋った!?」

「なに、こいつ……!」

「……まさか、知性持ちの魔物か……?」

 重く沈んだ気配が一気に広間を満たしていく。オーガロードはゆっくりとその巨体を起こし、大斧を構えた。瞳の奥には、はっきりとした意志が宿っている。

「我が名は──ギゼル=ドゥ=ヴァス。この地の守り手にして、オーガの王。……死を、覚悟せよ」

 ギゼルの体から噴き上がった禍々しい魔力が紅と黒の渦となり、広間を呑み込む。地面がうねり、岩壁が軋み、空気が熱と圧で震えた。

「全員、構えろ!!」

 咆哮とともに、オーガロード“ギゼル=ドゥ=ヴァス”が大斧を振り上げた。

「俺がバフをかける!」

 俺は咄嗟に前へ出た。全身を巡る魔力を解放する。

「発動──〈鉄壁〉!〈俊足〉!〈剛力〉!」

 魔法陣が足元に広がり、仲間たちの身体がまばゆい光に包まれていく。防御力が高まり、脚力が跳ね上がり、筋力が爆発的に増幅される。短い時間だけの超強化だ。

「敵にデバフをかける! 〈鈍足〉!」

 ギゼルの巨体がわずかに硬直し、動きが鈍る。だが、その眼光には一切の揺らぎがない。

「ぬるい……貴様ら如きが、この我を……!」

 ギゼルが轟音とともに突進してくる。壁のような巨体が、まるで弾丸のような加速力で距離を詰める。

「くっ……〈完全見切り〉!」

 視界が研ぎ澄まされ、斧の軌道が光の線として浮かび上がる。身体が自然と横に跳び、回避。その勢いを利用して、ミスリルソードを振り抜いた。

「喰らえ、〈断空輪〉!」

 空間を裂くような鋭い斬撃が飛び、ギゼルの肩口を切り裂く。だが──

「──浅いッ!」

 ギゼルは体を無理矢理ひねり、背中の盾を回転させるように叩きつけてきた。防御の構えなど無意味な一撃。

「〈鋼壁斬〉ッ!」

 咄嗟に剣を逆手にし、盾を切り裂く斬撃を叩き込む。衝撃音が金属を揺らし、ギゼルの攻撃をわずかに逸らした。

 背後から、明の叫びが飛ぶ。

「いまだッ! 〈フレイムバスター〉ッ!!」

 紅蓮の炎が刀身を包み、振り下ろされる。直撃。爆炎がギゼルの左腕を焼いた。

 すかさず──

「いっけぇぇええ!」
「〈一矢両断〉!」
「まとめて浄化ぁああ!」

 純子、有紗、沙耶の三人の〈信徒の矢筒〉から、灼光をまとう矢が一斉に放たれる。矢の雨が鋭く、精密にギゼルの胴体へ突き刺さり、魔力を削ぎ落としていく。

「──効いている、でもまだ立ってる……!」

 ギゼルは息を荒くしながら、邪気を噴き上げる。

「我が名はギゼル=ドゥ=ヴァス……! 我を退けしは、いまだ誰も……おらぬッ!!」

 その身体が、さらに膨れ上がった。筋肉が爆発するように膨張し、魔力の嵐が舞い上がった。








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