ダメスキル『百点カード』でチート生活・ポイカツ極めて無双する。

米糠

文字の大きさ
168 / 265

167

しおりを挟む

 クイーンの亡骸が崩れ落ちてから数分。
 瘴気の霧が晴れ、奥の壁に隠されていた扉がゆっくりと開いた。

 重厚な石のアーチの先には──煌めく財宝の山。金貨の袋、装飾品、魔法の小瓶、宝石が山積みになっていた。

「……お宝だーッッ!!」
 一番に飛び込んだのは、やっぱり沙耶だった。

「ねぇ見て見て! 金貨がざっくざく! 宝石もキラキラ! うわぁっ、これ絶対高いよね!? これ何カラット!? ってかカラットって何!?」

「知らねぇよ……でもこの剣……やべぇな、重さが違う。ミスリルに黒鉄を混ぜた感じか? おい卓郎、これお前に合いそうだぞ」
 明は無造作に一振りの黒銀の剣を卓郎へ放った。

「っとと……おお、バランスいいな。高級品だ、間違いない」

「わぁ……この指輪、魔力が通ってる。……あ、卓郎くん、これ〈マジックリング〉かも。使用者の魔力に反応して、スキルの発動速度が上がるって……」
 有紗が慎重に指輪を持ち上げ、宝石部分を光にかざす。

「じゃ、それは卓郎のだね」
 純子があっさり言い放った。

「いやいやちょっと待った。さすがに俺がもらうわけには……」

「ううん、それはリーダーとして当然の報酬だよ。それにたっくん、今回も私たちのことずっと守ってくれたじゃん!」
 沙耶がニッコリ笑って親指を立てる。

「……私の怪我もすぐ治してくれたし」
 有紗が小さくうなずく。

「まぁな。お前がいなきゃ、クイーンの魔法なんか、とてもじゃないが防げなかった。あのディスペルのタイミング、完璧すぎ!」
 明が珍しく真顔で褒めてきた。

「じゃあ遠慮なく、これは俺がもらっておく。そのうえで、これは前衛の明にあげるよ。俺は十分はやいからね。明が強くなる分、俺が楽できるから、もらってくれ」

 卓郎は明に指輪を渡した。

「武具はそれぞれ相性の良いやつを持ってってくれ。余った武器やその他のお宝、金貨なんかは、またオークションにかけて人数で等分。回復ポーションと魔力ポーションは共有分にして、携帯できない分は俺があずかっとく。それでいいかな」

「え、えらいなあ……。普通、こういう時、活躍した者がどーんともらうんじゃないの……? もっとたっくんがもらって良いのに」
 沙耶がぽりぽり頬をかく。

「したら純子に怒鳴られるだろ」

「は? 誰がそんなこと言うのよ」

「……うそうそ、冗談!」
 卓郎は苦笑して、沙耶が笑いながら、金貨の袋をぶんぶん振っていた。

「あ、これ弓だ……って、あれ? すっごい軽い!」

 沙耶が両手で掲げたのは、深紅の塗装が施された細身のロングボウ。
 弦には淡く輝く符が編み込まれていて、見るからに上級品だ。

「それ、〈緋焔の弓〉だな。矢に魔力を込めると、火属性が追加されるってやつだ」

「すごっ! じゃあ私、これもらうね! これで今度の戦いはバシバシ燃やせるよーっ!」

「火属性なら私も使えるかも……あっ、この矢筒、回復薬入れがついてる。すごく便利そう」
 有紗が壁際にあった金細工の矢筒を手に取り、背に背負ってみせる。

「へえ、薬剤錬成と相性抜群じゃん。これで戦闘中でも自作回復薬をすぐ使えるわね」
 純子が感心したように言いつつ、慎重に一本の短弓を選び取った。

「この弓……重いけど、耐久性が高い。魔力の抵抗もある。うん、私向きね。多少無理しても折れなさそう」

「弓三人娘、揃ってパワーアップってわけか。いいじゃねぇか」
 明が剣を担ぎながら笑い、隣にある頑丈な籠手をひとつ取った。

「これ、炎属性に強化されてるな。〈紅蓮のミスリルブレード〉との相性もいい。……つーか、オーガがこんな代物持ってたのかよ、信じらんねぇ」

「元は人間の遺物だったんだろ。あいつら、襲った集落からいろいろ奪ってたんじゃないかな」

 卓郎がそう言って、洞窟の隅にあった壊れた木箱を一瞥した。中には、かつての武具や装飾品の残骸が詰め込まれている。

「……これなんだろう」
 有紗が手に取ったのは、白銀に輝く羽根飾りのようなアクセサリ。

「見せて」
 卓郎が手のひらにのせて調べる。

「これは……〈精霊の耳飾り〉。風の精霊とつながりを持つって言われてる。遠見スキルと相性がいい」

「それ、沙耶が持っていいんじゃない?」
 純子がすぐ提案する。

「えっ、いいの? やったーっ! なんかお姫様みたい!」
 沙耶は耳飾りを髪に添え、ぐるっと回ってみせる。

「うん、似合ってるよ。姫騎士じゃなくて“姫弓士”だけどね」
 明が笑うと、沙耶は照れ隠しに舌を出した。

 そうして、それぞれの装備が決まり、残った品々を卓郎が一つ一つ確認していく。

「高級装飾品、未鑑定の魔導書、宝石類、魔力増幅の杖……これは持ち帰ってオークションいきだな」

 卓郎は手をかざし、淡い光を伴ってストレージを開く。
 残りの財宝を次々に収納していく。

「うわあ、やっぱり便利だよね、それ……。いつか私も覚えたい!」
 沙耶がぽんっと掌を叩いた。

「いつかって……沙耶に魔法系スキルが扱える日、来るのか?」
 明が肩をすくめる。

「く、来るもん! 未来の私に期待しててよね!」

「よし、これで全部収納完了。……それじゃ、帰ろう。また王都でオークションにさんかしなきゃならないから、今日は王都で一泊だね」

「そうだね。やったあ! また王都で美味しいものたべよー!」

「沙耶って、いつも食べること考えてるよね!」

「えー! でもみんなもたべたいでしょー?」

 全員うなずき、卓郎が扉の前に立った。

「転移するから、みんなつながってー」

 全員が手をつなぎ、一つの輪になってつながる。

 卓郎が転移魔法〈ポータルシフト〉を唱える。

 足元に魔方陣が浮かび上がり、光がぐるりと床を走り、パッと弾けるように全員の姿を包み込んだ。

 次の瞬間――、見慣れた王都グランティアの外縁部、指定した転移地点に立っていた。

「……帰ってきたぁぁぁぁ!」
 沙耶の声が青空に響いた。

「まずは、ご飯な!」
 明の言葉に、全員が力強くうなずく。

「うん、ご飯! ごちそう食べようよ、ね、ねっ!」
 沙耶が明の腕をぶんぶん揺らした。

 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル 異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった 孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。 5レベルになったら世界が変わりました

チート魔力を持ったせいで世界を束ねる管理者に目を付けられたが、巻き込まれたくないので金稼ぎします

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。 交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。 そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。 その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。 だが、それが不幸の始まりだった。 世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。 彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。 さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。 金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。 面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。 本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々

於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。 今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが…… (タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

処理中です...