ダメスキル『百点カード』でチート生活・ポイカツ極めて無双する。

米糠

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 ――数日後。
 《封印遺跡》の危機を乗り越えた俺たちは、神聖フェルミナ王国の《聖都》に戻り、教会本部への報告と褒賞の受け取り、聖女・由里と勇者パーティに別れの挨拶をすませた。

「本当に、ありがとう卓郎くん。あなたがいなければ、封印は……」
 由里は最後まで静かに、でも真剣な眼差しで俺たちに頭を下げてくれた。

「気にしないでください。俺は俺のやるべきことをやっただけですよ」
 言葉を返す俺の隣で、リーナがぱっと笑顔を見せた。
「卓郎さん、すごかったです!」

「また何かあれば、呼んでください。……次は、もうちょっと楽な仕事だと助かりますけど」
 そう冗談めかして言うと、重戦士バルドが豪快に笑った。

「ははっ、わかったよ。次は……魔王退治くらいでどうだ?」
「冗談じゃないよ! それは勇者パーティだけでやってくれ」

 別れ際の笑い声が響き渡る。
 それぞれが任務へと戻っていく中、俺たちは仲間たちに手を振り、回廊の出口で振り返らずに魔法を唱える。
「ポータルシフト!」

 俺とリーナは、《セレト》都市に瞬間転移した。


 冒険者ギルド《セレト支部》――
 俺は専用の個人ブースで、ストレージから順に素材を出して解体係に渡していく。
 解体が済むとギルドの上級鑑定士、グレイ氏がやってきた。厳しい目つきの中年男で、無駄口は叩かないタイプ。

「それでは確認を始めます。まず……《ヴァーリ・ウルス》十三体分、ですね」

 解体係は奥から順に素材を取り出していく。焦げた体毛、ねじれた牙、樹液に包まれた消化器官。

「ふむ……炎で損傷はありますが、体毛から採れる魔性繊維は十分使用に耐えますね。魔導衣に加工すれば、耐熱・耐魔性に優れた高級装備になります」

「樹液はどうですか?」
 リーナが尋ねる。

「こちらは……純度に問題なし。癒しの樹液として、王都薬師組合が喜んで買い取るでしょう。創傷治癒薬の基礎材料として需要は高いです」

「助かる」
「正直、魔物由来でも腐りやすいのが心配なものなのですが、保存状態は良好。さすがストレージの保管性能ですね」

「次は《フェルブレイズ》」
 解体係が白炎の核を取り出した瞬間、グレイの目が鋭く光った。

「これは……! 上位種の白炎核! 高位魔導触媒として、王立学院や軍部が目の色変えて探している代物です」
「おお……やっぱり」
 俺とリーナは顔を見合わせた。

「そしてこの爪……硬度、魔力親和性、形状……対魔獣用の武器素材に最適です。これも高額です」

「続いて、《ラピスホーク》」
 美しい羽根と心臓部の風核が並べられる。羽は淡く光り、風が流れているような錯覚さえ覚える。

「この翼羽……風魔法補助具に最適ですね。魔力の流れを自然に乗せてくれる。……そして、これは……」
 グレイの手が止まる。

「これが心臓部の風核ですか。飛行魔導具に用いられる《ラピス核》……発動試験済み?」
「済み。安定も確認してあります」
「素晴らしい。これは王立技術工房が飛びつきます。確実に一級品です」

「最後に、《ノクトスパイン》」
 解体係は黒光りする鱗と、瘴気腺を包んだ容器を取り出す。

「鱗は……高密度、かつ瘴気遮断率が高い。高級防具の外殻素材として非常に人気です。王宮騎士団がよく発注しています」

「……そしてこれは……瘴気腺か。処理が難しいが、精製すれば幻覚剤や麻痺薬の基礎材料になります。禁薬管理局に通して、正規ルートで処分と買い取りが可能です」

「処理込みでいい。むやみに市場に出回ると面倒だしな」

 グレイはすべてを確認し終えると、端末に金額を打ち込んで見せた。

「以上をもって――素材総額、3750万3千ゴルド」

「……ほんとですか?」
 リーナが呆けた声で固まった。
「私の冒険者人生で最も高額です……というか桁が違います……」

「現金が良いんだが、大丈夫か?」

 俺の問いに、グレイは苦笑いを浮かべた。
「申し訳ございません。これほどの額となると現金は無理でございます。すべてギルド経由で清算いたします。代金は本日中に口座へ送金されます。卓郎様の口座でよろしいでしょうか?」

「いや、二等分して、二人の口座に同額を振り込んでくれ」

「承りました。1875万1500ゴルドずつですね」
 グレイが深く一礼して、静かに部屋を出ていった。

 静まり返った部屋の中、リーナがこちらをじっと見つめてくる。表情が硬い。

「卓郎さん……私、こんなにいただけません。魔獣を倒したの、ほぼ卓郎さんじゃないですか……」

「……あまり深く考えるな。俺にとっては、はした金だ。こんなんじゃあ、まともな防具も揃えられんぞ。面倒なことは言わないでくれ」

「い、いいんですか……?」

「だから面倒なことを言うなといっている」

「は、はい……!」

「次は王都に飛んで、飯と『魔術師ギルド』に行くぞ」

「ふふっ、今日は何食べましょう? いつもより豪華にしちゃっていいですよね?」
 リーナが嬉しそうに俺の腕を引く。

「……じゃあ、ステーキ屋行くか。でっかいやつ」

「わーい! それとミルクプリンもお願いしますっ!」

 封印の恐怖も、魔物の戦いも、今はしばし忘れて、俺とリーナは、王都グランティアに瞬間移動するのだった。


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