ダメスキル『百点カード』でチート生活・ポイカツ極めて無双する。

米糠

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 《王都グランティア》の中央広場に降り立った俺たちは、そのまま歩いてメイン通りへ向かった。陽射しはやや強めだが、王都らしく整備された街路には涼風が流れ、歩きやすい。

「うわあ……私、《王都グランティア》に来たの初めてなんです。この街って別格ですよね!」
 リーナはキラキラした目で、石畳や店先を見回す。商人の呼び声や、魔導道具を売る露店の熱気が通りを彩っていた。

「建物の装飾も凝ってるし、通りに魔力灯が整備されてる。さすが王都……」

「リーナは《グランティア》は、初めてなのか。俺も初めて来たときは圧倒されて、感動したよ。上手いステーキ屋があるから連れて行ってやるよ」

「はいはーいっ! ありがとうございまーす!」

 向かったのは、冒険者の間でちょっとした有名店《ステーキ処・ボルドン亭》。ランチでもしっかりしたサイズのステーキが出るが、味は確かだ。すでにいい匂いが外まで漂ってきている。焦がしバターと胡椒の匂いが、腹の底をくすぐるように響いてくる。

 店に入ると、分厚い木のカウンターとテーブル席が並び、燻された肉の香ばしい香りが空間を支配していた。

「いらっしゃい! 二人かい?」

「テーブル席で頼む。あと……でかい肉を」

「ふふっ、卓郎さん、やる気満々ですね」

 しばらくして、運ばれてきたのは熱々の鉄板に乗った特大ステーキ。表面はこんがりと焼けていて、ナイフを入れると中から肉汁がじゅわっと溢れ出し、じゅう、と音を立てて鉄板が応え、立ちのぼる蒸気に肉の旨味が混じる。

「おお……」
 リーナが思わず声を漏らす。リーナは椅子から半歩身を乗り出し、両手を握りしめて肉を見つめていた。

「でっかい……そしていい匂い……!」

「冷めないうちに食え。プリンはあとでだぞ」

「も、もちろんですっ!」

 がつがつとステーキを切り取り、口に運ぶリーナ。頬をいっぱいに膨らませながら、幸せそうな顔でうなずく。

「んん~~~っ! おいしいっ! やっぱり、王都のお肉は違いますね!」

「……まあ、悪くないな」

「卓郎さんって、いつもそれくらいしか言わないですよね。もっと『うまい!』とか言ってもいいのに」

「俺は感情を爆発させるタイプじゃないんでな」
 感情を表に出せば、何かが壊れてしまいそうで、そうしてこなかった。

「爆発って……別に怒鳴れって言ってるわけじゃないですよ?」

 しばらく黙々と肉を食べたあと、リーナがふと口を拭って、ちょっと真剣な顔をした。

「ねえ、卓郎さん。次は……どうするんですか?」

「『魔術師ギルド』に顔を出す」

 リーナの魔法の才能を見極めるには、それが一番確実だと判断していた。

「リーナは魔術師になりたいんだろう。なる方法が見つかるといいな。見つかったらしばらくは『魔術師ギルド』通いになるかもな。あと、俺と一緒に戦うなら、リーナの装備を新調して、十分な防御力の防具を手に入れなきゃな。そうすれば、俺も安心して動ける」
 不用意な一撃で彼女を失うわけにはいかない。それは、もう二度と。

「じゃあ、その時は、また何か依頼を?」

「ああ。リーナも冒険者レベルを上げたいだろう」

「そうですね」

「防具と言っても俺のような魔法剣士スタイルになるか、完全な魔術師スタイルになるかによって選ぶ防具も変わるからな。まずは『魔術師ギルド』に行かないと始まらないだろう」

「そうなりますかー!」

「そうなるなあ」

「私も卓郎さんのように魔法剣士スタイルがいいんですけどねー」

「魔法が使えるようになってからだな……スタイルを考えるのは。すべては『魔術師ギルド』に行ってからじゃないと分からないよ」

「ですよねー」
 リーナはボーっと遠くを見つめる。
「魔法……使えるようになるかな……」

「俺はこの3年、普段は農業してたんだぜ」
 土の匂い、鍬を握る感触。あの日常が、どこか遠い夢のように感じる。

「うそー! Sランク冒険者なのにですか?」

「教会から呼び出しがなければ、まだ農業をやってたと思う」

「そうなんですか。それじゃあ、また農業にもどるんですか?」

「まあなあ…………農業しながら、たまに冒険者ってのも悪くはない。また教会に呼ばれた時に感が鈍っていても困るしな。だから今は、リーナが一人前になるまで冒険者をしようと思ってる。畑は頼んできたからな」

「一人前ってどのくらいですかね? Cランク? Bランク?」

「リーナはどこまで行きたいんだ?」

「そりゃ、卓郎さんみたいな、Sランク冒険者ですよ」

「だったらそこまで付き合ってもいいが、リーナの才能にもよるからな。誰もがSランクになれるわけじゃない。まあ、まずはAランク冒険者を目指そうか」

 リーナはこくりと頷き、その目には小さくも確かな決意の光が宿っていた。
「分かりました。卓郎さんについてればAランク冒険者になれるような気がします」

 リーナがステーキの最後の一切れを口に運び、満足そうに背もたれにぐったりもたれかかる。

「はぁぁ~、お腹いっぱい。食後のミルクプリン、いきますか?」

「いくか。プリンは別腹だからなあ」

「はいっ! しっかり準備できてます!」

 俺たちは食後のデザートを注文しながら、午後の穏やかな日差しの中、ゆったりとした時間を楽しんだ。
 この平和な昼下がりが、どれほど貴重で尊いものかを、今の俺は少しだけ理解できる気がしていた。
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