ダメスキル『百点カード』でチート生活・ポイカツ極めて無双する。

米糠

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 中央冒険者ギルドは、城門のような大扉をくぐると広いホールが広がっていた。
 石造りの壁には依頼掲示板がずらりと並び、受付カウンターの前には冒険者たちが行列を作っている。

「おお……でっかい!」
 カイがきょろきょろと辺りを見回す。
「人、多いね……」
 アリアは少しだけ俺の袖をつかんだ。

  驚く二人の表情に、つい微笑みがもれる。おいおい。リーナも緊張しているのかよ。そういえば、リーナも王都中央冒険者ギルドは初めてだったわ。二人の手前、驚きを隠したいのね。

「よし、まずは受付だ」
 俺はリーナと一緒に列に並ぶ。

「王都ギルドは初めてか?」
 隣に並んでいた大柄な斧使いの男が俺に話しかけてきた。アリアの事をちらちらと気にしている。やはり、王都でもエルフを見かけるのは珍しいらしい。
 それにしても馴れ馴れしいオッサンだ。

「ああ。このギルドに来たのは初めてだ。森の奥にある《ルシアの里》って場所を探しててな」

「……エルフの里か。聞いたことはあるが、行ったやつは知らねぇな」

「やっぱりそうか」
 ……まあ、知らないわなあ。

「お次の方ー!」
 おれは、受付嬢の声に促されて、オッサンに会釈をしてから、カウンターへ進んだ。リーナ達もついてくる。

「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょう?」

「《ルシアの里》、またはエルフの住む森についての情報を探しています」

「少々お待ちください……」
 受付嬢は奥の書棚から数冊の地図と記録簿を取り出し、ぱらぱらとめくる。

「《ルシアの里》は分りませんが、……記録上、エルフが目撃されたのは北方の《霧深き森》周辺が最後ですね。ただ、霧が濃くて普通の人間は迷ってしまうため、探索隊もほとんど引き返しています」

「霧……か」
 ……霧には良い思い出がない。俺はアリアを見る。

「《ルシアの里》は、深い霧に包まれた森の中にあるのか?」

「うん。人が近づくと魔法で霧をかけることは、よくあるよ」

 なるほど。里を隠すために魔法で霧をかけるのか。他にもいろいろな仕掛けをしていそうだな。とりあえずここは《ルシアの里》の候補地にして良さそうだ。

 だが、転移魔法で行けるのは、過去に行った場所だけ。近くまで行って、その後は馬車や歩きか飛行魔法になる。一度俺だけで行って、その後みんなを転移魔法で連れてくるべきか?

 もう少し、情報を得るために、再び受付嬢に話しかける。

「じゃあ、その森について詳しく知ってる人はいないか」
 
「……一人だけ。北方帰りのハンターが、ちょうど昨日ギルドに戻ってきました。今なら酒場にいるはずです」

 ……ギルドの酒場か。話を聞きに行ってみるか。

 俺たちは礼を言って、ホール奥の酒場へ足を踏み入れた。
 香ばしい肉の匂いと、冒険者たちの笑い声が混じる中、角の席で酒を飲む髭面の男が一人。

「すみません、《霧深き森》に行ったことがあると聞いたんですが」
 声をかけると、髭面の男は目を細めてこちらを見た。
「……誰に聞いた?」

「受付で教えてもらいました」

「ふん。あの森に近づく気か? 命が惜しけりゃ、やめとけ」

「でも、その先に《ルシアの里》があるかもしれないんです」
 アリアが真剣な眼差しを向ける。

 男はしばらく黙っていたが、アリアがエルフなのに気が付いたのだろう。やがて静かに口を開いた。
「……いいだろう。ただし、聞いたら後悔するかもしれんぞ」

「後悔って……そんなに危険なのか?」
 俺が問うと、男はグラスを軽く揺らし、低い声で答える。

「危険なんてもんじゃねぇ。あそこは、森そのものが生きてるような場所だ。道は勝手に変わるし、足跡も消える。昨日通れた道が、翌日は沼になってることもある」

「……迷わせる魔法」
 リーナが眉をひそめる。

「……迷わせる魔法? あれは魔法だったのか? だが、その魔法だけじゃねぇ。俺の仲間は、森の奥で何かに呼ばれたって言って歩き出した……止めようとしたが、気づいたときにはもういなかった」

「何かに呼ばれた?」
 リーナがごくりと唾を飲む。

「ああ。声なのか、匂いなのか……とにかく、森の中に引き込まれる感覚だ。あれに逆らえる人間は少ねぇ」

「じゃあ、どうやって戻ってきたんですか?」
 アリアが一歩前に出て尋ねる。

「……正直、俺も覚えてねぇ。気がついたら森の外だった。手には妙な傷があってな」
 男は袖をまくり、前腕の深い爪痕を見せる。

「……獣か?」
「わからん。だが、普通の獣なら今頃俺は、生きてねえ」

「なるほど。……つまり、行くだけでも危険ってわけですね」
 俺が腕を組むと、男は鼻を鳴らした。

「危険を承知で行くなら、北方の《ブリュンの村》を経由しろ。そこに、霧の中でも方向を見失わない『石』を扱う商人がいる」

「……『霧避けの石』?」
 リーナが反応する。

「ああ。ただし高い。命と金、どっちを取るかはあんたら次第だ」

「……情報、感謝します」
 俺たちは軽く頭を下げ、席を離れた。

「どうする?」
 リーナが小声で聞いてくる。

「まずは《ブリュンの村》だな。そこで、霧避けの石を手に入れた方がいい」

「じゃあ、その村まで転移する?」

「いや、その村に行ったことがないから転移は無理だ。まず位置を確認しないと。王都の地図屋で場所を把握してからにしよう」

「わかった!」
 カイが元気に答える。

「…………」
 アリアは静かにうなずきながらも、その瞳には、『必ず、《ルシアの里》に辿り着く』という決意が宿っていた。

 俺たちはギルドを離れて地図屋に向かった。

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