悪役令嬢ってもっとハイスペックだと思ってた

nionea

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悪役令嬢、ワガママ止めるってよ

16.息抜き

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 だが、寝るに寝られず、ファランは朝日を見つめて溜息を吐く。ありがちな話だが、いざ朝日を見ていたら、そこはかとなく眠気が近づいてきているような気がするのだから、不思議なものだ。
(ははは…やっぱ寝ないで見る朝日って浄化されそうな気になるわぁ)
 朝になってしまったものは仕方がないので、起きて侍女達を待っていたファランだったが、部屋に入ってきたカトレアによって掛布に包まれてしまった。
「今日は特にご予定もございませんから、どうぞ、お休みになっていてください」
「うん。ごめんね」
「昼頃に、また参ります」
「ありがとう」
 真人間化計画で早寝早起きをしていた体は、思い悩んで眠れずにいたものの、いざぬくぬくと包まってカトレアにお休みの許可を出されると、すんなり瞼が落ちてくる。よく眠れるようにと、天蓋の垂れ幕も下ろしていってくれたため、薄暗く音も静かだ。
(今日は…お休みの日で…いいか)
 気が付くと、軽い浮遊感の中で意識が飛んでいく。


 パン パカ パーン

 どこか間の抜けた陽気なラッパの音が響く。

『やぁみんな、元気かな?
 今日は、ファラン先生と一緒にこの国の事を学んでいこうね!』

 自称先生は、現実よりスタイルアップしているような気がする。

『そんなことはないよ~
 じゃあ、まずは、この国の身分についてだね!

 この国には、大きく三つの身分があるよ。

  王侯貴族 … 納税義務有り/参政権有り

  平  民 … 納税義務有り/国法の適用による保護対象

  流  民 … 納税義務無し/国法における保護対象外

 主に政治面で国民って呼ばれるのは、平民のことだね。流民は納税義務を負わない代わりに、国法に守ってもらえないよ。でも、犯罪は適用されるから、あんまり良い事ないんだけど、流民を構成する大部分はより酷い環境から逃げてきた国外の人々なんだね。頑張って働いて国民から保証人になってもらえれば、国籍を得る事も可能だから、頑張る人が多いんだけど、そういう頑張りを搾取しようとする人も少なからず居るよ。でも搾取されても訴える先を流民の人は持たないから、大変なんだ。

 おっといけない。
 ここを掘り下げると身分じゃなくて政治とか人道の話になっちゃうから、今日は置いておこう。

 平民は、あんまり話す事はないかな。国民ですって、それくらい。

 それで、肝心のファラン先生も所属する王侯貴族についてだけど。
 まず、王族にあたるのは、王家と三つの大公家だよ。

  ユグルシア王家

  アルカディア公家

  ユートピア公家

  アヴァロン公家

 公家の公は公爵の公なのに、この三つの家だけが大公家と呼ばれ、王族と同じ括りなのは、この三つの公家は王になる事ができる血筋だからなんだね。他の公爵との大きな違いは、領地を持っている事とその王位への優位性かな。ちなみに、ユグルシア王家の人が公爵位を貰って王家を離れると王位の継承は永久に放棄したものと見做されるよ。

 さて、次はいよいよ侯と貴族だね。
 爵位は上から、

  公・侯・伯・子・男・爵位なし・騎士/理官

 と、なってるよ。

 公爵は、さっき少し触れたけど、王家の人が王家を離れる際にもらう事が多い爵位だよ。一応子孫が継ぐ事もできるけど、爵位に領地の恩典はないし、王位継承権を破棄する宣言だから、継がれない事も多いね。継ぐ場合は、公爵になった上で、侯爵か伯爵あたりと結婚した結果。子供が、公爵で侯爵とか、公爵で伯爵とか、そういう風に名乗る人は居るよ。
 
 さて、次は、いよいよファラン先生が継いだ、侯爵だね。といっても、侯爵は伯爵とまとめてしまうけど。
 
 侯/伯爵は、爵位に領地という恩典がある爵位だよ。より広く税収が望める良い土地なのが、侯爵。そうでないのが伯爵。ではあったんだけど、あくまで国が始まった段階での事だから、経済的には侯爵より上な伯爵とかも存在はするよ。ただ、家の格としては、あくまで侯爵が上だね。

 子/男爵は、参政権はあるけど領地を持ってないよ。つまり、王家、大公家、侯爵家、伯爵家、この何れかが治める領地に間借りして暮らしてるんだね。間借り、といっても、中には土地を永年私有するという契約をしている人も居はするんだ。ただ、契約相手はあくまで上の貴族である家だから、治める相手が変わると、契約無効になる事もあるんだよ。結局上の貴族には頭が上がらないって事だね。

 さて、それからちょっと不思議に思うかもしれない貴族。

 爵位なし。
 この言い方はちょっと嫌味な言い方だから、新興貴族って呼ぶ人の方が多いかな。まぁ、読んで字の如く、新しい貴族だね。
 役所が発行してる貴族名鑑っていうのに載っている家名は全て貴族なんだけど、昔から爵位の数は変わってないんだよ。だから、新しい貴族には爵位を持たない家が多いんだね。
 爵位も無いのに貴族とはこれ如何に、って思うかもしれないけど。とても敏腕な豪商とかだと、牧歌的な大領地を経営する侯爵家より、よっぽど経済力があったりするんだよね。だから、納税力がある商家だった家なんかが、新興貴族には名を連ねてるよ。

 最後に、例外的な貴族として、騎士/理官、があるよ。
 この爵位はあくまで個人に与えられるものだから、家名を載せる貴族名鑑にはないんだけど。参政権があるから、平民ではなくて貴族に属するんだね。ただ、参政権といっても、投票権があるだけ。しかも、数は多いんだけど一票の重みが貴族の一票と扱いが違うから、あまり意見が政治に反映してるとは言い難い立場だね。
 家を継ぐ事のない貴族子弟。あるいは、平民出身者。って具合に、二通りの成り方があるよ。
 大変な割に旨味は多くはないかな。
 稼ぎとしては、裕福な平民よりは下で、そこそこくらい。
 ただ、そこそこより下の平民には人気の仕事だよ。
 というのも、親が騎士/理官だと、子供を中等学校に入れる許可が下りるからなんだね。この中等学校を出ていると、まず就職口には困らないって訳。将来安泰路線だね。
 だから、代々頭の出来が良い子は中等学校へ、そうでもない子は鍛えて騎士にするって手法で騎士を輩出し続けて、中等学校へも通い続けていた、平民のロマンス家なんかは、三代目で商家として独立して、今や王都屈指の豪商になったんだ。まさにロマンを感じる話だね。

 あ、また話が逸れた。いけないいけない。
 でも、まぁ、身分についてはこんなものだから、もう良いかな。

 じゃあ、またねー』

 パン パカ パーン

「うがっ」
 自分で発したいびきなのか寝言なのか解らない声で目を覚ました。
(何か、すごく変な夢見た気がする………ような、しないような)
 比較的寝起きに見ている夢の事を覚えているファランだったが、今回はよく思い出せなかった。
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