首無し王と生首王后 くびなしおうとなまくびおうごう

nionea

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 無事にアケチの領内に帰って来たアンネリザを追うように、いや、既に追い抜いて、会ったことも聞いたこともない人物からの文がアケチ家には殺到している。
「あの子は、いったい何をしたんだ…」
 事情は解らないし、中身を勝手に見るわけにもいかないし、とひたすら気を揉んでいたアケチ伯爵夫婦と、その後継たるタータミーナ夫婦は、次々に訪れる文にただもう困惑していた。
 そんな中、途中の廃城に寄り道をしてきたとのんきに語りながら当の娘が帰って来たのだ。当然のように囲まれて、王都でのことを洗いざらい話しなさいと詰め寄られる。
「何ですか、お父様もお母様も。私今回はアケチの家のために働きましたのに。そんな風にされては話す気もなくなります。私は文を確認しますから、細かいことはコレトーに聞いてください」
 今回の見合いについては、両親にも思う所があるため、家のために働いたと言われれば強くは出れない。つんとして自室にこもる娘を仕方なく見送って、頼れる娘の侍従に話を聞くことにする。
「まず、ご安心ください。お嬢様は今回の役割を無事果たされております」
 開口一番のコレトーの言葉に、全員が安堵の溜息を吐く。
 アンネリザが同じ台詞を言っても、この場の誰も信じなかっただろうから、コレトーに説明を押し付けた彼女は自分の信頼度をよく弁えている。単に何度も同じことを確認されたりという面倒くさい思いをしたくないだけかもしれないが。
「…うへぇ」
 自室の扉を開けるやいなや令嬢らしからぬ声が漏れた。主にコレトーによってきれいに整頓されていたはずの室内には、大中小の文の山が出来ていた。
(多少は覚悟してたけど…多少って量じゃなかったぁ。これ全部読まなきゃいけないのかしら………)
 扉を閉めて、文の山の間を縫うように歩いてざっと確認する。なにがしかの法則で分けられているのだろうが、その法則は見抜けない。おそらく分けただろう人物を呼びに行くべきか、コレトーを待つか、思い悩みつつ文の山小ができているテーブルの椅子に腰掛ける。
 この山の文が一番高級そうだなとは思いつつ、でも手を伸ばす気にはなれず肘掛に頬杖をついてぼうっと眺めてしまう。すると、ノックの音もなく扉が開いた。
「あれま、お嬢様、おかえりでしたか。こりゃノックもせんで申し訳なかことでした」
 手中の文を大きな文の山に載せながら、女中のモーリが口だけで謝る。
 都貴族の屋敷では考えられない女中の態度であるし、アケチ家内でもアンネリザしか許容しない態度だ。もはや老女と呼んで差し支えないモーリに、山羊乗りを手ほどきされた彼女としては、平民としての態度が抜けきらないところこそモーリである、と、この女中に親しんでいた。
 今も、実家に帰ってきたのだと嬉しくなりながら微笑んで言葉を返す。
「構わないわモーリ。それよりも、この文の山について教えて? モーリが分けてくれたのでしょ」
「はいはい、ちゃんと分けましたよ。この大山は、ろくに封印も無ければ署名もなく、添え文も名乗りも無かったくず山です。いちおう積み上げましたがお嬢様がお読みになる必要などございません」
 アンネリザも予想はしていたが、大きな文の山をくず山と言い切るモーリに、思わず笑ってしまう。
 その後は中くらいの山に近付いて指し示す。
「この山は文の体裁はとっとりますが、どうも真っ当な文とは思えん類です。まぁ、文箱に入っとるのは開けてみんと断言はしようもないので、コレトー様に手伝ってもらって開けたが良いかと思います」
 アンネリザの元に近付いてきて、最後の山の説明をする。
「こちらはきちんとした文ですので、お嬢様手ずからご開封いただくがよろしかろうと思いまして、置いときました」
 こくこくと自身の言葉に頷いて、動きを止めるとアンネリザをじっと見つめる。
「ご無事でのお戻り、ようございました」
「ええ、無事帰ったわ」
「はい、はい、お帰りなさいませ」
 ほろりと泣きながらアンネリザの手をとるモーリの肩を、空いた手で触れながら、二ヶ月ほどの間にまた一段と細くなってしまったような気がした。
 モーリは矍鑠としているが、いつ死んでもおかしくない年齢である。少なくともアンネリザの実の祖母は皆モーリよりも年若な内に亡くなっている。
 行商中の事故で夫と息子を喪っているため、アンネリザの王都への旅も、人一倍気を揉んでいた。何事もなく元気なアンネリザの姿を見て、その手を摩りながら何度も何度も頷くモーリは、隣室から遠く聞こえたベルの音に促されてアンネリザの手を放した。
「また、文でしょうかね、行ってまいりましょう」
「ごめんなさいねモーリ、苦労をかけるわ」
「なんのなんの、お嬢様のせいではございません」
 にこにことした笑い顔になって部屋を出て行くモーリと入れ違いに、コレトーが部屋に入ってきた。室内の文の山に眉を上げつつ、アンネリザの元へやってくる。
「モーリが仕分けてくれたのよ。その大きな山はくずだから気にしなくていいのですって」
 主に大きな文の山に嫌そうな視線を向けるコレトーに、アンネリザが笑いながら声をかけた。その言葉を受けて、おどけたように胸に手を当てて息を吐く。
「なるほど、心が軽くなりました」
「全くよね、コレトーの担当はそこの中くらいの山よ。私はこっち」
 楽しそうに笑いながらあっち、こっちと指差して教えた。
「畏まりました」
 追い抜いてきた中くらいの文の山を見返して、これくらいならば楽だなと思う。モーリが既にくずとして分けている文の仕分けもしなくてはならないかと考えていたので、コレトーにとってはかなりの労力を省けたことになるのだが、それでも百通はゆうに超える量である。あらためてアンネリザが王都で果たした仕事が思い起こされる。
 両親は何事もなく終えることを期待していたが、アンネリザはアケチの姫の面目躍如とも言うべき活躍を果たして帰ってきた。解り易く令嬢として文句のつけようもない姉達とは違うが、やはりアンネリザもアケチの姫なのだな、としみじみ感慨深い思いがコレトーの胸の内に沸く。
「ねぇ、ところで、荷解きはもう始まったかしら?」
 中くらいの文の山に見とれているようにアンネリザには見えたコレトーに、手始めに赤い文箱を手に取りながら声をかけた。アリエーナの所には無かったが、戻る最中に立ち寄ったコルテンタの元でもらった、スエン産の黄金茶が飲みたいからだ。
 コレトーもすぐに気が付く。
「お茶でしたらすぐに出せるところにありますから、ご用意してまいりましょう」
「お願い!」
 コレトーがお茶を淹れてくれるなら、目の前のうんざりするような文の山を切り崩す作業も頑張れる。出て行くコレトーの足音に耳を澄ませつつ、赤い文箱の中から鬱金色の紋様紙を取り出した。
(上質な紙に、香りの良いインクね。文香じゃないところが今風ってことなんでしょうけど…あまり好きな匂いじゃないわ、色も、紙に対して薄過ぎ。サッカイじゃあ読みにくい文はそれだけで見る価値無しって扱いを受けるのだけど、都あたりじゃそうでもないのかしら………)
 紙とインクが同系色で読みにくい文を窓に透かしつつ目を通す。要約すると、時候の挨拶に今後仲良くしてねという要望だった。爵位はアケチと同格の伯爵。家名はアンネリザが聞いた事の無いものだ。
(こんな文だと、金を掛けることは知ってても相手を気遣うことを知らない人って判断されちゃうと思うんだけど、誰もこの文を出すことを止めなかったのかしら。それとも本当に王都じゃこんな文は普通なの…?)
 一枚目からどう扱うべきか判断し兼ねるカルチャーショックな文に当たってしまい、アンネリザのやる気が削がれていく。
 そんな様子を見越したわけではないだろうが、折良くコレトーが戻ってきた。
 お茶を淹れる後ろから、文の事を質問する。
「王都で何が流行っていようと、お嬢様はサッカイ州のご出身であり、ここに居を構えておいでです。相手の立場に立った配慮ある選択ができていない時点で、お嬢様のご友人には相応しくないと考えます。本当に仲良くなりたいのなら最低限相手が気に入るよう好みを確認して文を出すものでしょう」
 アンネリザは奇行が多い割に筆まめで、友人が多い。誰がどんな紙が好きか、色が好きか、匂いが好きか、そうしたことも細かく考えて文を出すのが常だ。だからこそ王家からの文に感動したし、今目の前の文に呆れている。
「全くね。耳が痛いほどその通りだと思うわ。私でさえお友達には好みを最大限配慮して文を出すもの………ただね、コレトー、私は王都じゃ全く知られていないわ。好みを知ろうにも知れないからこうなっているっていうのは、考慮しなくて良いものかしら?」
 一個人の付き合いを望む文とはいえ、貴族同士を繋ぐ文である。最大級で配慮をするべきか考えてしまうのだ。
「不要です。好みが解らないのであれば最低限サッカイ州の人間が好む体裁を整えるべきで、自身の好みや周囲の流行りを押し付けるなど言語道断です。こちらで文を頂いたことは記載しておきますが、お返事は不要でしょう。それともなさいますか?」
 アンネリザの目の前に、黄金茶を出しながらコレトーが問いかける。お茶には嬉しそうな顔を見せたが、すぐに嫌そうな顔を作ってその問いに否定を返す。
「御免だわ。この文と同じことをするような紙もインクも持ってないもの。文の内容的にも仲良くしたいとは思わないし」
 紙とインクの選び方から既に趣味が合わないことは推し量れる。更に、時候の挨拶が王都の時期しか考慮されていないのだから、仲良くなりたいというのが、うすっぺらな上辺だと解るのだ。アンネリザとしてはこの文で仲良くなれると考えている人間とは、絶対に仲良くなりたくなかった。
 文箱に紙と紐を一緒くたに入れて蓋をし、コレトーが持ってきた籠に放り込む。
「よし」
 姿勢を正して深呼吸をした上で、お茶に向かい合う。
「………はぁ」
 香りも、舌当たりも、のどごしも、後味も、抜ける香りも、素晴らしい。自然に肩から力が抜け気分が華やぐ。
「やっぱりコレトーのお茶が一番ね」
「ありがとうございます」
 答えながら、コレトーも中くらいの文の山を選別し始めた。
 アンネリザは、ティーカップの中ほどまではしっかりお茶を楽しんで、そこから先は文の選別作業も一緒に行うことにした。紺色に朱色の紐がかかった文箱を手に取る。
(箱の作りは先程のものよりサッカイ向けよね)
 サッカイ州には漆の産地が各地に有るが、どの産地でもだいたい黒、丹、紺、白、金の五色しか取り扱いがない。サッカイ州の人間が好む漆器の色がその五色だからだ。ちなみに、白と金は冠婚葬祭等で使用するもので、日常使いは黒、丹、紺だけだ。
(知ってやっているなら朱紐も気持ちが良いわ)
 サッカイ州の、とりわけアケチ家も属する南部では、赤系統の紐は人の縁を呼ぶとして初回の文には必須の選択である。
(文香も可不可のないサキカメね)
 サキカメもサッカイ州で広く好まれる香りである。宿屋や公民館のような公共の場でも使用されているため、どこにでもあるという意味で印象には残り辛い香りだが、事前に好みが把握できていない状態ならば不可とはならない選択である。
(私の好みではないけどサッカイ州人なら読む気にはなるだけの文だわ)
 先程の文のこともあり、なかなかの好印象で蓋を開く。
 白い薄透きの紙は花散らしの仕様が美しい、派手にはならず、だが華やかだ。インクも丹混じりの黒という白い紙に書くならばサッカイ州人の好みに合う仕上がりだ。
(徹底しているわね。汎用さを押し通すと埋もれると思っている都貴族の方って多いみたいだけど。サッカイ州人からすれば読み易さこそ文における最低条件。少なくとも私がそういう考えの元で育った人間だということは理解されてる文………うん)
 アンネリザの顔から表情が消える。
(物は良かったけどね………サッカイ州人がよく使う店で揃えたのかしらね、物だけは)
 先ほど同様の時候の挨拶と回りくどい内容に結局籠の中へ放り込まれることとなった。
(ひとまず好もしいと思える箱から開けようかと思ったけど、あんまり関係ないかも)
 もう手近な所からやっていこうと、紫紺の紐がかかった黒い箱を手に取る。正確には、隠塗と言われるオウツ州の一地方で作られている文箱だ。一見全面が黒に見えるが、塗の奥に紫色で紋様が見える手の込んだ品である。
(これは、家紋ね。なるほどずいぶん手の込んだものと思ったけど、オウツ州の方ね)
 三年前に一度だけ、隠塗で作られた小棚を見たことがあった。黒く見える棚だと思ったのに、見る角度によって藍や紫で花が浮かび上がるのだ。かかる手間と材料、そして芸術性の高さから、隠塗の品はどれをとっても高額である。送ればすなわち贈ったことになる文箱に使うにはあまり向かない。
 紫根の紐も、同色の糸だが織り方を変えることで紋様が浮かび上がるような手の込んだ紐で、家紋が織り込まれている。
(…あんまり高価な文箱ってのも、サッカイ州人としては返事の催促に受け取れて良い気がしないんだけど)
 高価な文箱を使う場合には、その文箱に返事を入れて返してね、という意味を持たせることがある。送ったらそれ切りでも、御礼文などは贅を凝らすこともあるが、返事が来ないことを前提とした文の場合は簡素で気を遣わずに済むような物を使うのが配慮だ。
(というか、私宛の文に家紋入りの箱やら紐やらを使うっていうのがもう配慮に欠くのよね、家督を継がない私はアケチの家に守られているけどアケチの家を背負うことはない…っていうのに、その私に家を主張した文を送る)
 自分の身分が上だと主張しているようなその文箱の中を確認する。やはり家紋の入った薄紫の紙に群青のインクで書かれた文が入っていた。時候の挨拶は前例通り、内容は仲良くしようではなく、私こそ国王にはふさわしいという宣戦布告だった。
(文を返して喧嘩を買うべきか、返事をせずに受け流すべきか………そもそも私に喧嘩を売ってることが無駄な労力だという認識が無いのよね、この方は…ふむ)
「コレトーこの方の文はこのままそっくり送り返してほしいのだけど」
「畏まりました」
 コレトーがもう一つ持って来た籠に、紐をきちんとかけて放り込む。
 結局選別作業は一日では終わらず、夕食後に再開する気にはならなかったため、翌日に持ち越された。
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