首無し王と生首王后 くびなしおうとなまくびおうごう

nionea

文字の大きさ
15 / 45

15.

しおりを挟む
 入城から一夜明け、朝食を終えた室内で、アンネリザ、コレトー、マツ、ナナリス、ディオの五人は机を囲んでいた。
「では、状況を整理しましょうか」
 そう言ったアンネリザの前には、花の館を上空から見た図の書かれた大きな紙と人名が書かれた紙片が複数枚置かれていた。
「と、言っても、ナナリスに説明してもらいたいってことなのだけど」
「はい」
 お任せ下さいと頷いて、アリエーナが太鼓判を押した少女は、すらすらと昨日一日で集めた情報と事前情報を絡ませて報告してくれた。
「今、この花の館は五つの派閥があります」
 そう言いながら、彼女は人名の書かれた紙片を四枚手に取った。
「まずはこのお二人です。お見合い後の舞踏会終了から、わずか二十日で入城なさいました。現副宰相の御孫様でいらっしゃる、クランド・シトロベル様が撫子の棟へ。現営法府長官の姪御様でいらっしゃる、リンドブル・メリーラッツァ様が金桃の棟へ」
 言いながら、花の館の南側、国王の居城である王の館から続く道が面しているため館の正面となる二つの棟に、それぞれの名前の書かれた紙片が置かれる。
「お二人から遅れることわずか一日で、現立法府長官の御息女様でいらっしゃる、カフス・リリアンヌ様が緑蓮の棟へ」
 花の館の正面西、金桃の棟の西にある棟へ紙片が置かれる。
「更に一日後、現軍務局長官の妹御様でいらっしゃる、フランドール・アヤメ様が桔梗の棟へ」
 花の館の正面東、撫子の棟の東にある棟へ紙片が置かれる。
(なるほど、正面から順に埋まっていったから私の入った水仙の棟とその両脇は無人になったのね)
 初めに置かれた四人の令嬢達の名前の下に、更に四、五人ずつ紙片が並ぶ。彼女達は王后の座を望んでいるというより、派閥を同じくするものとして先の四人の令嬢達を手助けするために入城している。
「そして、更に三日後、揃って入城なさったのが、こちらの七名です。皆様紅菊の棟へお入りになっています」
 花の館東、桔梗の棟の奥にあたる棟へ、ナナリスは一人一人がどういった立場にある誰なのかを告げながら並べてくれるのだが、アンネリザはもはや口を開ける気力も沸かない。
(どう考えても地方で領主をしている伯爵の娘が並んで立つ面子じゃないわぁ…舞踏会くらいの開けた場ならアケチの家名もおかしくなかったでしょうけど。なんでこんな方々と同じ場所に居るのかしら)
 アイデル王国の疑いようのない頂点は国王だが、政の案を議論するのは宰議会と呼ばれる、宰相と三人の副宰相、府と呼ばれる行政単位の長官と副長官がそれぞれ二人、計十人の大臣と通称される者達で行う議会である。無論、国王からのトップダウンで行われる政策もあるのだが。安定期にあるアイデル王国内では、調査機関等によってもたらされた情報を元に具体的な政策が下から上がってきて、その詳細を詰めたものを宰議会が議論し、説明を受けた国王が裁決する、という形が圧倒的に多い。
 そして、先程名前が上がっていた四人の内、三人は大臣の身内である。残る一人にしても、府の下にある局という行政単位を付けられているが、軍務局は国王直轄であるため、指示系統で見れば三府と同列である。更に続いた令嬢達の名前も、全て局長あるいは局長クラスの権力者の身内であった。
「意味が解らない」
「解り難かったですか、申し訳ありません」
「ああ、御免なさい、ナナリス、違うの。ここに私が居る意味が解らないなってことだったのよ」
 思わず呟いた言葉で、実に明解な説明をしていくれていたナナリスに難癖をつけるような状況を生み出してしまったことを詫びつつ、自分の言葉の意味を訂正した。
 ナナリスが教えてくれた派閥は、それぞれの棟の名をとって、撫子派、金桃派、緑蓮派、桔梗派、紅菊派、と呼ぶことにした。前の四派は筆頭たる令嬢を王后にという集団だが、紅菊派だけは言わば牽制要員で、大臣の身内が王家と結ぶことで大きすぎる権力が生まれるのを防ごうという目的で団結している集団であり、筆頭という存在は居ないらしい。
「お嬢様が入城なさるまでの一ヶ月以上こちらで火花を散らしていらっしゃいますから、もう遠慮などもなくはっきりと対立していらっしゃるようです。特に、撫子派と金桃派は樅の間を巡って一日中いがみ合っているようです」
「まぁ…」
 樅の間というのは、アンネリザが専有して良いと言われた夏の間同様に、饗応等で使う広い部屋だ。ただ、花の館に五つある饗応の間の内、春夏秋冬を冠する四つとは大きく異なる特徴がある。国王を迎え受けるための間なのだ。樅の間を自陣に収めれば、当然のように自身の裁量で国王をもてなせると言う訳である。
(ちょっと見てみたいわね…でも関わりたくはないから無理かな)
 ちなみに、樅の間の立地条件は、花の館の真正面。撫子の棟と金桃の棟の間である。
(樅の間を挟んで舌戦を繰り広げる御令嬢達…やっぱり一見してみたいわ、でも目をつけられたくはないから遠くから見たいのよね、でも舌戦なんだから近くないと聞こえないだろうし…ああ、もし私が陛下のような能力を持っていたら)
 アンネリザが自分の首が取れる妄想をしていることなど気付かないナナリスは、説明を続ける。
「それで、この二派が対立している間に、他の三派はそれぞれ隣合う間を専有することになったようです」
 緑蓮派が春の間、桔梗派が秋の間、紅菊派が冬の間、ということらしい。そして、今回アンネリザが入城し、城側から夏の間を専有することを認められたため、対立する二派は代わりとする間も無くなったということだ。もっとも、彼女達にはどちらも負けるという想定はないだろうが。
「お嬢様は、派閥をお作りになるおつもりはありますか?」
「無いわ。そもそも私しか居ないのだし…中立ではあっても派閥には成れない………もしかして、紅菊派の?」
「はい。打診とも呼べないような、本当にやんわりとした探りのような言葉だったのですが、お嬢様を引き込みたい、あるいはお嬢様を推し立てたい、そうお考えの様に、感じました」
 ナナリスの言葉に、そんなこと絶対御免です、と顔に出してしまいつつも、口に出すことは耐えた。既に権力を持っている人間にこれ以上権力を集中させないことが主目的である紅菊派からすれば、アンネリザは確かに担ぎ上げるのに理想的だろう。もし、アンネリザが王后となっても、アケチの当主が中央で政に関わる事は考えられないからだ。
 だが、そんな中央の権力闘争は中央の人間だけでやっていてくれ、と切実に考える。アンネリザはこの騒動の中で、とにかくアケチ家に害を及ぼすような事だけはしたくないのだ。
「引き込まれたくないし、推し立てられたくないし、派閥を作りたくもないわ。基本的に誤解を受けることも避けたいから、できる限りこの場で他の御令嬢方との交流は避けたいわね…」
 紙の上の名前を睨むように見つめながら、アンネリザが溜息混じりに言うが、ナナリスは難しそうな顔をした。
「まだ、様子を見られている状態ですから、三日くらいは大丈夫だと思います。ただ、お茶会の誘い等が届いたら、お断りするのは難しいかと。なにせ距離が近過ぎますから、ご病気を装うにしても何日もという訳にもいかないでしょうし、もし何度も誘われたらお受けしないと失礼になってしまいますし」
「お茶会………仮に誘いが来たとして、角の立たない順番って、思いつく?」
「正直に申し上げて、角の立たない順番は存在しないかと…ただ、お嬢様に非を向けさせないという事でしたら、あちらからの初めのお誘いに全てそのまま応じるべきかと」
「それしかないかなぁ…」
 誘いに来た順に応じれば、それは誘った側の問題であって、アンネリザの思考は関係なくなる。
(といっても、都貴族の方とお茶会………私に出来るかしら)
 その後も、各令嬢の意識の高さと性格などを詳しく教えてもらい、基本的な姿勢は待ちの一手と決した。
「うあぁああもういやぁ…」
 ナナリスとマツは今日も情報収集に、ディオも騎士がまとめて詰めている一室で情報収集をすることになったため、今アンネリザの居間にはコレトーと二人きりである。
「令嬢の仮面はどうなさったのですか」
「コレトーしか居ないから良いのー。もー、お茶飲みたい、甘薄荷のすっきりするやつが良い」
「畏まりました」
 ソファーでだらけた主人を残し、アンスバッハのお屋敷でお借りしたドレスに変な皺が寄らないかを心配しつつ、コレトーは隣室へ行く。
 扉の閉まる音を聞きつつ、もたれかかった肘掛の滑らかな曲線を指で辿る。年季を感じさせるが、明らかに丁寧に使われている丁寧な作りの調度は歴史を感じさせる。特に今寝そべっているソファの肘掛は、綺麗に手入れされているが指で触ると刃物で付いたと思える傷が入っているのだ。
(ふふふ…花の館の一室にある調度に刃物の跡。何があったのかしらね、想像が膨らむわぁ)
 にやにやとした笑みを浮かべていると、聞き覚えのある声が耳に届き、慌てて背筋を正すこととなる。
「アケチの姫、聞こえるだろうか?」
 レンフロの声に慌てて背筋を正しつつも、訪いの使者も来ていなければ、扉も空いていない事が頭にはある。つまり、得られる結論は一つだけだ。
(………っ! 陛下! ついに念話の能力が開花されたのですね!)
 アンネリザはぐっと気合を込め、キラキラとした目で宙を見つめる。
「………………」
「………………」
 室内にはただ沈黙が残った。
(………あら? えっと、陛下? あの…聞こえましたよー? 陛下? あれ? どうかなさいましたかー………)
 もしや想像に没頭しすぎて幻聴を引き起こしたのか、とアンネリザは自分を疑い始めた。だが、まだ一つ可能性が残っている。
「陛下でいらっしゃいますか?」
 声に出してみた。
「ああ、良かった、聞こえているのだな」
「はい。聞こえています。ついに念話ができるようになったのですね!」
「え? ああ、いや、聴覚や視覚と同じで、声を飛ばしている感じだ」
「そうですか、てっきり私に力が無いからこちらからの念話は通じないだけで陛下がついに念話のお力を身に付けられたのかと思いました」
「私も、少し試してはみたんだがな…残念ながら念話というのはどうすれば良いのか解らなかった。さっきも言った通りこれは声を飛ばしているだけだ、その、周りに人がいると聞かれてしまうのでな、もし誰か入ってくるようなら、教えて欲しい」
「解りました」
「まずは、今回の呼び出しの事、済まなかった」
「いえ、呼び出されたこと自体に特に不平不満はありませんよ? むしろ騎士様の護衛付きで旅ができるなんて快適でした」
 嘘ではなかった。ただ、どこがというと旅費が王家持ちな事こそが快適だったのだが、そこは黙っておく。
「ただ、何か事情があるのだろうなとは、考えましたので、支度金は使っておりません」
「あれは、むしろ迷惑をかけた詫び料として受け取ってもらいたい。それで今回の件の対価になるとは思えないが」
「然様でございますか。あの、陛下。私、舞踏会の場では、我ながら良い目晦ましだったと自負しているのですが…もしかしてそのせいで、何か起きたのですか?」
「ああ、いや、あれは本当に助かった。感謝している。その、発端は全て私にあるのだ…なにから話せばいいのか」
 しばしの沈黙が場を支配していると、丁度良くコレトーが扉をノックした。
「あ、ちょっと待ってコレトー。あの陛下、私の侍従です。誓って陛下の事を他言するような者では御座いませんし、私にとっては良き相談相手です。もしよろしければ、この場に同席させ一緒にお話を」
「ああ、勿論だ。かまわない」
 信頼できる侍従というのは貴人にとって時に親兄弟にまさる者だ。それは、アンネリザだけでなくレンフロにも解る。もっとも、その侍従が今回の件を引き起こしたのだが。
 コレトーに声をかけ、陛下の不可思議な能力について話し、二人で事情を聞いた。
「と、まぁ、こういう訳ね」
 会話を終え、今後の事を少し話した後、コレトーと二人で事情をシンプルにまとめ、箇条書きで紙に書き出してみた。
 ・陛下にご結婚の意志は無い
  ⇒舞踏会を終えた段階でこの騒動は終わりにしたかった
 ・大臣方は身内を陛下の后としたい
  ⇒身内をなんとしても選んでもらいたいので入城させた
 ・陛下の侍従殿は何とか陛下の意思を守りたい
  ⇒舞踏会で唯一話していた女性を呼んだ
 最後の、侍従は陛下の意思を守りたい、が、どうも間違った働きをしている。レンフロ曰く、何か勘違いしていたようで、彼が気付いた時には既にアンネリザの元に向けて使者が出ていた、という。
「そもそも、やっぱり陛下にご結婚の意思はないのよ」
「然様ですね」
 同じ侍従の立場であるコレトーとしては、レンフロの侍従であるカツラの行動は理解できないものではない。
 おそらく、自分の主人に結婚の意志が無いことは解っているのだ。だが、それは主人の幼い頃の惨劇に由来する悲しい決意である。もし、真に愛せる相手が居るのなら、結婚とは主人の幸せになるだろうと考えているに違いない。そして、今回の騒動。権力闘争の駒のような令嬢方ではなく、誰か、誰か居ないのか、ああそうだ、陛下がお一人だけ話をした相手がいたではないか、といったところだろう。
 巻き込まれたアンネリザの侍従としては、言いたい文句が山ほどあるが、今のところ主人はこの事態を楽しんでいるし、アンスバッハ家での特訓は主人にとってマイナスではないので許容できている。
「なにはともあれ陛下と定期的に連絡が取れることになったのは大きいわね。ようするに他の御令嬢方とは事を荒立てずに過ごしていれば開放の時はやってくるのよ。つまり、私は好きに王城を満喫すれば良い訳だわ」
「アケチの家名に泥を塗らない程度に弁えて満喫なさってください」
「そんなの解ってるわよ。もう、どうしてコレトーはそうやってすぐ水を差すようなことばっかり言うのかしら」
 唇を突き出して解り易い不満顔を作る主人に、言っとかないと言われてないから良いとかいう言い訳持ち出してくるからですよ、とは口に出さず。冷めたお茶を取り替えましょうと声をかける。
 その後、昼食のために戻ってきたマツとナナリスからの話を聞きつつ、基本姿勢は待ちであるということを再度認識し合った。
 水仙の棟を隈なく見て回り、夏の間へ足を伸ばすついでに銀藤の棟も見て回り、更に明日は黒椿の棟を見て回る決意をしつつ部屋へ戻る。ナナリスが仲良くなった城の人々から仕入れてくれた、花の館にまつわる逸話や伝説、根も葉もない噂話を教えてくれたため、この棟探検は大層面白かった。
 ちなみに、アンネリザの部屋のソファの刃物跡については、特に話は聞かなかったらしい。
(私が入ってるから言い辛いのか、本当に伝わるような話がないのか、そもそも曰くが無いから入居させているという話かな)
 その後、ディオも戻ってきて、水仙の棟の裏に、サッカイ州出身のアンネリザのために山羊が飼われる事になった、と教えてもらい。アンネリザは更に明日が楽しみになり、コレトーの胃がきりりと痛んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです

MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。 しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。 フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。 クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。 ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。 番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。 ご感想ありがとうございます!! 誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。 小説家になろう様に掲載済みです。

可愛らしい人

はるきりょう
恋愛
「でも、ライアン様には、エレナ様がいらっしゃるのでは?」 「ああ、エレナね。よく勘違いされるんだけど、エレナとは婚約者でも何でもないんだ。ただの幼馴染み」 「それにあいつはひとりで生きていけるから」 女性ながらに剣術を学ぶエレナは可愛げがないという理由で、ほとんど婚約者同然の幼馴染から捨てられる。 けれど、 「エレナ嬢」 「なんでしょうか?」 「今日の夜会のパートナーはお決まりですか?」  その言葉でパートナー同伴の夜会に招待されていたことを思い出した。いつものとおりライアンと一緒に行くと思っていたので参加の返事を出していたのだ。 「……いいえ」  当日の欠席は著しく評価を下げる。今後、家庭教師として仕事をしていきたいと考えるのであれば、父親か兄に頼んででも行った方がいいだろう。 「よければ僕と一緒に行きませんか?」

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。

あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。 宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。 対極のような二人は姉妹。母親の違う。 お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。 そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。 天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。 生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。 両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。 だが……。運命とは残酷である。 ルビアの元に死神から知らせが届く。 十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。 美しい愛しているルビア。 失いたくない。殺されてなるものか。 それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。 生まれてくる価値のなかった、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。 これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

あなたの幸せを祈ってる

あんど もあ
ファンタジー
ルイーゼは、双子の妹ローゼリアが病弱に生まれたために、「お前は丈夫だから」と15年間あらゆる事を我慢させられて来た。……のだが、本人は我慢させられていると言う自覚が全く無い。とうとう我慢のしすぎで命の危機となってしまい、意図せぬざまぁを招くのだった。 ドアマットだと自覚してないドアマット令嬢のお話。

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

処理中です...