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そろそろレンフロとの定期連絡の時間を前に、アンネリザは鼻歌交じりで備忘録と銘打っている日記のようなものを書いていた。ようなものという表現の理由は、主に書かれているのがアンネリザの体験ではなく、聞きかじったお話を感想混じりに書き留めているためだ。
(子爵を手玉にとった美青年侍従かぁ…侍従としてはどうしようもない落第点だし、雇い主目線で見れば最悪の人材だけど、無関係の第三者目線で言えば中々面白味のある人物よね。それなりに羽振りの良い子爵家の身代を傾ける程の金銭をどうしたのかしら。公的機関の捜索網を考えたら、単純に浪費しているとは思えないわよね…単独犯なのか、あるいは組織犯罪集団だったりするのか。マツの話じゃ北方系の容姿だって話だけど、ドリミァ王国との友好関係は長い歴史があるものね、国家間の陰謀というよりは多国を股にかける犯罪者ってとこかしら)
コレトーを扱き下ろされた件に関してはこの上なく不愉快で腸が煮えくり返ったアンネリザだが、その種になった子爵家の醜聞については気になったのでマツから話を聞いたのだ。初めはナナリスに問いかけたのだが、お嬢様にお聞かせするような話ではなりませんので、と頑なに教えてもらえなかったため、知らないかもしれないと思いつつマツに問いかけたのだ。
すると、
「何せ、キノヤ家も同じように商いで身代を支えている子爵ですから、注意するという意味で細かに情報は入っていましたよ」
と、かなり詳しい話を教えてくれたのだ。
しかも話の容姿に該当する人物はキノヤ家の門も叩いていたらしい。
「まぁ…もしかして、アキやユキの侍従募集に応募してきたの?」
「いえ、お二人にはキノヤの大奥様が侍従の手配を進めておられます。確か、王都屋敷の下男募集だったとか。ですので、件の人物と同一人物か、確証はありません」
「そうなのね。でも、そんな話を聞くとつくづく思うわね。商家ってやっぱり人物眼が無いといけないんだって」
「商家に限らず必要ではありますが、そうですね。とりわけ重要だと思います。初対面で取引の話をしなくてはならないような事も起こりますし、既存の交流だけに留まっていては停滞からの凋落も起こり得ますから」
「まぁ、その辺、テーナ姉様を見初めたお義兄様はしっかりしているわよね」
「そうですね。まぁ、件の人物を不採用にしたのはたまたま王都屋敷に滞在されていたキノヤの大奥様だったそうですが」
「なるほどねぇ…私、まだ一度もお会い出来てないのよね。理財に長けていらっしゃって、今のキノヤの繁栄を影で支えた方なのでしょう?」
「ご本人は否定されますがキノヤでは皆そう考えております」
「素敵な方よね。己の功績に傲らず謙虚で。私だったらぜったいふんぞり返って褒め讃えてって主張するわ」
幼い頃、得意満面で鼻の穴を膨らませてふんぞり返っていたアンネリザが脳裏に思い起こされ、マツは笑顔で深々と頷いた。
(私は古い伝承などが好きだけど。現在進行形の事件というのも中々奥が深そうね。まぁ、生きてる人間の深層を探るような事をするのは単純に面白いでは済まされない部分があるから、向こうから飛び込んでこない限りは関わらないようにしたいけど…あ、時間だわ)
思案に耽るついでに手を止めていたので、既にインクの乾いた備忘録を閉じる。
「姫」
時計の針が動き、ひと呼吸ほど置いてから、控えめなレンフロの声が聞こえた。
「お待ちしておりました、陛下。今日は侍従がちょっと外しておりますけど。細かく決めなくてはならない事はありませんから、現状の確認をいたしましょう」
アンネリザがシャツとスカートで日々を過ごしても、もう遠い目をするだけで何も言わなくなったコレトーは今、山羊乳をもらいに厨房に向かっているのだ。
「ああ。こちらは、今日エリット男爵へ無事申し入れを行った」
「まぁそれは良ろしゅうございました」
レンフロの言葉にアンネリザは手を打って喜ぶ。これで明日の下準備は全て終わった。
「この騒動も終息の目処が立ったようですし、本当に良ろしゅうございました。陛下もこれで御心安くお過ごしになれますね」
「あぁ…そうなる事を願っている」
歯切れの悪いレンフロの言葉に、アンネリザは首を傾げる。
「まだ、ひと騒動ありそうなのですか?」
「いや。騒動はもう無いだろうな…ただ、臣下に婚姻を望まれていると解った今どうするべきか…」
悩んでいると言いかけてレンフロは慌てて声を消した。それこそ一臣下の娘でしかないアンネリザに向かって言うような事ではない。一国の国王が成人したばかりの娘に悩み相談など国王として不相応だろう。
「あの、僭越ながら、申し上げますと」
悩んでいるとはっきり言われずとも、どうするべきか、まで聞いてしまえば悩んでいる事は明白だ。アンネリザにレンフロの悩みを解決するような名案は存在しない。ただ、レンフロが言うところの臣下の立場で言える事もある。
「臣下としては、陛下に関わらず、自分達が戴く国王陛下には結婚し継子をと望むものですから。あまり、期待、と気負う必要はないのではありませんか。私の父ですら、陛下はどのような奥方を娶られるのだろうな、などと話題にする事がありますよ。まぁ、その、無礼とお思いになられるかもしれませんが、父はきっと陛下の事を国王として慕うと同時に孫の様に親しんでおりまして。なにせ、アケチの家は女ばかりの家なので。息子に向ける機会のなかった父性が行き場をなくして向かったのだと思うのですが。とにもかくにも、そうした期待というものは大凡自分勝手なものですから、陛下がお気を遣われることはないかと」
レンフロの脳裏に温和で真面目なアケチ伯の顔が浮かぶ。
親しく会話をした事はないが、折に触れ挨拶をしたり、領地報告を受けた事はある。ある程度はお決まりの言葉を交わした限りでの印象ならば、見た目通り、温和で生真面目そうな領主だと感じた。耳に届く噂でも、ひどい悪口は聞かない。強いて言うなら、堅物過ぎると言われる事があるようだが、それはレンフロ自身が自己評価に用いる言葉でもあって、少しだけ親近感の湧く相手だった。
そんなアケチ伯が、自分の妻となる相手の事を考える、という。おそらく自分の娘や孫を等と考えているのではないだろう。もしそう考えているのなら、見合いの場にアンネリザが現れるはずがない。つまりは、アンネリザがいうように、自分勝手に孫の嫁を夢想して余暇を潰している爺やのようなものなのだ。
「なるほど…」
カツラも同じような事を時折している。現実性や具体的な根拠のある話ではない。ただ、レンフロが幸せになるにはどんな相手が妻ならば理想的かを、特にレンフロの意見も聞かずに考えている。そういう話だ。
臣下に継子を望まれていると思えば、応えねばならないような気がしたが。
「解って、いたはずなのにな…」
途端に肩から力が抜けた。
自分の家の娘を王后に、というのは臣下の欲だ。それに国王が答える責務も義理もない。
国王に継子を、というのは王家存続の責務だ。だが、その継子とは、レンフロ直系である必要はない。
端から解っていたはずだった。だから、見合いをして相手が居ないと言えば騒動は収まるものと考えたのではなかったか。それなのに、何故か、直系の継子を残す事が責務であるかのように、認識がズレてしまっていた。いつの間にそんな考えになったのだろうか。
「助かった。騒動が終われば、私がはっきりと表明すればいいだけなのだな。子は望まないと」
部屋の中に落ちる、独り言のようなレンフロの言葉に、アンネリザは少し眉を寄せる。
「あの、陛下。不躾ではあるのですが、ご結婚の事などについて、お考えをお伺いしても良ろしいですか?」
「構わないが」
むしろ、宰相達よりもよほど伝えている。今更何か追加で訊きたい事があるのだろうか。
「陛下は、ご結婚を望まれないのですか? それとも、お子様を望まれないのですか?」
「………私は」
レンフロの声が止まる。
アンネリザには見えない場所で、レンフロは眉を顰めていた。無礼だと思ったのではない。自身の考えが解らず、困惑したのだ。
(どちらだ…)
どちらも望んでいないもの、という態度を取ってきた。だが、本当にそうであったのなら、もっと頑なに見合いの開催そのものを防いでいたのではないだろうか。自分の血が引き起こした悲しみや苦しみを、同じ思いを抱かせる存在を、望まない。それは間違いのない事実だが、それは、結婚を望まないという事ではないのではないだろうか。更に言うならば、もし同じ力を持つ子供が生まれたらという危惧は、子を望まない、という事ではないのではないか。
(望んでいるのか)
胸の内に問いかける言葉への返答は、すぐに見つけられるところにはなかった。
「今は…考えられない、それが、答えでも構わないだろうか」
「勿論です」
微笑みを浮かべて頷いたアンネリザは、パンと手を打った。
「それでは、陛下。これは私からの提案なのですが」
「提案?」
「はい」
昨日心に決めた行動が、どうやらアンネリザ一人の我侭ではなくなりそうである。
「要するに、時間を作れば良いのですよね。そういうのらりくらりとした躱し方、私、そこそこ得意ですので、是非ともお任せ下さい」
「のらりくらり…」
戸惑うレンフロを他所に、アンネリザはニコニコと計画を提案した。コレトーが戻ってきてしまえば止められかねないので、ひたすら一方的に早口で捲し立て、最終的な返事は後日貰う事にする。
満足気に腕を組んで頷くアンネリザは、入室許可を求めるコレトーに返事をした。
「すみません。少々遅くなりました。陛下とのお話は無事終えられましたか」
「ええ、確認だけだもの」
この時、満面の笑顔を浮かべるアンネリザに不穏なものを感じたコレトーはレンフロとの定期連絡で何か有ったのかと、問い詰めたが。
「事があんまり順調に進むものだから面白くなってしまっただけよ」
そう言われて、それもそうかと納得してしまった。
(子爵を手玉にとった美青年侍従かぁ…侍従としてはどうしようもない落第点だし、雇い主目線で見れば最悪の人材だけど、無関係の第三者目線で言えば中々面白味のある人物よね。それなりに羽振りの良い子爵家の身代を傾ける程の金銭をどうしたのかしら。公的機関の捜索網を考えたら、単純に浪費しているとは思えないわよね…単独犯なのか、あるいは組織犯罪集団だったりするのか。マツの話じゃ北方系の容姿だって話だけど、ドリミァ王国との友好関係は長い歴史があるものね、国家間の陰謀というよりは多国を股にかける犯罪者ってとこかしら)
コレトーを扱き下ろされた件に関してはこの上なく不愉快で腸が煮えくり返ったアンネリザだが、その種になった子爵家の醜聞については気になったのでマツから話を聞いたのだ。初めはナナリスに問いかけたのだが、お嬢様にお聞かせするような話ではなりませんので、と頑なに教えてもらえなかったため、知らないかもしれないと思いつつマツに問いかけたのだ。
すると、
「何せ、キノヤ家も同じように商いで身代を支えている子爵ですから、注意するという意味で細かに情報は入っていましたよ」
と、かなり詳しい話を教えてくれたのだ。
しかも話の容姿に該当する人物はキノヤ家の門も叩いていたらしい。
「まぁ…もしかして、アキやユキの侍従募集に応募してきたの?」
「いえ、お二人にはキノヤの大奥様が侍従の手配を進めておられます。確か、王都屋敷の下男募集だったとか。ですので、件の人物と同一人物か、確証はありません」
「そうなのね。でも、そんな話を聞くとつくづく思うわね。商家ってやっぱり人物眼が無いといけないんだって」
「商家に限らず必要ではありますが、そうですね。とりわけ重要だと思います。初対面で取引の話をしなくてはならないような事も起こりますし、既存の交流だけに留まっていては停滞からの凋落も起こり得ますから」
「まぁ、その辺、テーナ姉様を見初めたお義兄様はしっかりしているわよね」
「そうですね。まぁ、件の人物を不採用にしたのはたまたま王都屋敷に滞在されていたキノヤの大奥様だったそうですが」
「なるほどねぇ…私、まだ一度もお会い出来てないのよね。理財に長けていらっしゃって、今のキノヤの繁栄を影で支えた方なのでしょう?」
「ご本人は否定されますがキノヤでは皆そう考えております」
「素敵な方よね。己の功績に傲らず謙虚で。私だったらぜったいふんぞり返って褒め讃えてって主張するわ」
幼い頃、得意満面で鼻の穴を膨らませてふんぞり返っていたアンネリザが脳裏に思い起こされ、マツは笑顔で深々と頷いた。
(私は古い伝承などが好きだけど。現在進行形の事件というのも中々奥が深そうね。まぁ、生きてる人間の深層を探るような事をするのは単純に面白いでは済まされない部分があるから、向こうから飛び込んでこない限りは関わらないようにしたいけど…あ、時間だわ)
思案に耽るついでに手を止めていたので、既にインクの乾いた備忘録を閉じる。
「姫」
時計の針が動き、ひと呼吸ほど置いてから、控えめなレンフロの声が聞こえた。
「お待ちしておりました、陛下。今日は侍従がちょっと外しておりますけど。細かく決めなくてはならない事はありませんから、現状の確認をいたしましょう」
アンネリザがシャツとスカートで日々を過ごしても、もう遠い目をするだけで何も言わなくなったコレトーは今、山羊乳をもらいに厨房に向かっているのだ。
「ああ。こちらは、今日エリット男爵へ無事申し入れを行った」
「まぁそれは良ろしゅうございました」
レンフロの言葉にアンネリザは手を打って喜ぶ。これで明日の下準備は全て終わった。
「この騒動も終息の目処が立ったようですし、本当に良ろしゅうございました。陛下もこれで御心安くお過ごしになれますね」
「あぁ…そうなる事を願っている」
歯切れの悪いレンフロの言葉に、アンネリザは首を傾げる。
「まだ、ひと騒動ありそうなのですか?」
「いや。騒動はもう無いだろうな…ただ、臣下に婚姻を望まれていると解った今どうするべきか…」
悩んでいると言いかけてレンフロは慌てて声を消した。それこそ一臣下の娘でしかないアンネリザに向かって言うような事ではない。一国の国王が成人したばかりの娘に悩み相談など国王として不相応だろう。
「あの、僭越ながら、申し上げますと」
悩んでいるとはっきり言われずとも、どうするべきか、まで聞いてしまえば悩んでいる事は明白だ。アンネリザにレンフロの悩みを解決するような名案は存在しない。ただ、レンフロが言うところの臣下の立場で言える事もある。
「臣下としては、陛下に関わらず、自分達が戴く国王陛下には結婚し継子をと望むものですから。あまり、期待、と気負う必要はないのではありませんか。私の父ですら、陛下はどのような奥方を娶られるのだろうな、などと話題にする事がありますよ。まぁ、その、無礼とお思いになられるかもしれませんが、父はきっと陛下の事を国王として慕うと同時に孫の様に親しんでおりまして。なにせ、アケチの家は女ばかりの家なので。息子に向ける機会のなかった父性が行き場をなくして向かったのだと思うのですが。とにもかくにも、そうした期待というものは大凡自分勝手なものですから、陛下がお気を遣われることはないかと」
レンフロの脳裏に温和で真面目なアケチ伯の顔が浮かぶ。
親しく会話をした事はないが、折に触れ挨拶をしたり、領地報告を受けた事はある。ある程度はお決まりの言葉を交わした限りでの印象ならば、見た目通り、温和で生真面目そうな領主だと感じた。耳に届く噂でも、ひどい悪口は聞かない。強いて言うなら、堅物過ぎると言われる事があるようだが、それはレンフロ自身が自己評価に用いる言葉でもあって、少しだけ親近感の湧く相手だった。
そんなアケチ伯が、自分の妻となる相手の事を考える、という。おそらく自分の娘や孫を等と考えているのではないだろう。もしそう考えているのなら、見合いの場にアンネリザが現れるはずがない。つまりは、アンネリザがいうように、自分勝手に孫の嫁を夢想して余暇を潰している爺やのようなものなのだ。
「なるほど…」
カツラも同じような事を時折している。現実性や具体的な根拠のある話ではない。ただ、レンフロが幸せになるにはどんな相手が妻ならば理想的かを、特にレンフロの意見も聞かずに考えている。そういう話だ。
臣下に継子を望まれていると思えば、応えねばならないような気がしたが。
「解って、いたはずなのにな…」
途端に肩から力が抜けた。
自分の家の娘を王后に、というのは臣下の欲だ。それに国王が答える責務も義理もない。
国王に継子を、というのは王家存続の責務だ。だが、その継子とは、レンフロ直系である必要はない。
端から解っていたはずだった。だから、見合いをして相手が居ないと言えば騒動は収まるものと考えたのではなかったか。それなのに、何故か、直系の継子を残す事が責務であるかのように、認識がズレてしまっていた。いつの間にそんな考えになったのだろうか。
「助かった。騒動が終われば、私がはっきりと表明すればいいだけなのだな。子は望まないと」
部屋の中に落ちる、独り言のようなレンフロの言葉に、アンネリザは少し眉を寄せる。
「あの、陛下。不躾ではあるのですが、ご結婚の事などについて、お考えをお伺いしても良ろしいですか?」
「構わないが」
むしろ、宰相達よりもよほど伝えている。今更何か追加で訊きたい事があるのだろうか。
「陛下は、ご結婚を望まれないのですか? それとも、お子様を望まれないのですか?」
「………私は」
レンフロの声が止まる。
アンネリザには見えない場所で、レンフロは眉を顰めていた。無礼だと思ったのではない。自身の考えが解らず、困惑したのだ。
(どちらだ…)
どちらも望んでいないもの、という態度を取ってきた。だが、本当にそうであったのなら、もっと頑なに見合いの開催そのものを防いでいたのではないだろうか。自分の血が引き起こした悲しみや苦しみを、同じ思いを抱かせる存在を、望まない。それは間違いのない事実だが、それは、結婚を望まないという事ではないのではないだろうか。更に言うならば、もし同じ力を持つ子供が生まれたらという危惧は、子を望まない、という事ではないのではないか。
(望んでいるのか)
胸の内に問いかける言葉への返答は、すぐに見つけられるところにはなかった。
「今は…考えられない、それが、答えでも構わないだろうか」
「勿論です」
微笑みを浮かべて頷いたアンネリザは、パンと手を打った。
「それでは、陛下。これは私からの提案なのですが」
「提案?」
「はい」
昨日心に決めた行動が、どうやらアンネリザ一人の我侭ではなくなりそうである。
「要するに、時間を作れば良いのですよね。そういうのらりくらりとした躱し方、私、そこそこ得意ですので、是非ともお任せ下さい」
「のらりくらり…」
戸惑うレンフロを他所に、アンネリザはニコニコと計画を提案した。コレトーが戻ってきてしまえば止められかねないので、ひたすら一方的に早口で捲し立て、最終的な返事は後日貰う事にする。
満足気に腕を組んで頷くアンネリザは、入室許可を求めるコレトーに返事をした。
「すみません。少々遅くなりました。陛下とのお話は無事終えられましたか」
「ええ、確認だけだもの」
この時、満面の笑顔を浮かべるアンネリザに不穏なものを感じたコレトーはレンフロとの定期連絡で何か有ったのかと、問い詰めたが。
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そう言われて、それもそうかと納得してしまった。
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