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〜兄弟の絆〜
悲しい真実
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突然その男は私達の前に姿を現した。
私とカイトとルディーとダンテの四人でロビナス村を出た途端、森の奥から多くの異様な気配を感じた時にはすでに遅く、気づくと私達は多くのモンスターに周りを取り囲まれていた。
すぐにモンスターの大群をかき分けてあの忌まわしい男が私たちの前に姿を現した。そいつはカイトのお兄さんのマルクスを殺したデミタスだった。デミタスが姿を表した瞬間、ルディーはものすごい速さで腰に付けていた刀を引き抜くと斬り掛かった。
「デミタス!!」
そのルディーの姿を見てすぐにダンテはカイトに私を守るように指示するとルディーに続いて飛び込んでいった。私はダンテの意図することをすぐに理解した。
私とルディーとダンテの三人はカイトと再会した後にあることを危惧していた。それはカイトのお兄さんのマルクスさんが最も恐れていたことだった。マルクスさんは自分が亡くなったことをカイトには絶対に秘密にして欲しいとルディーたちに懇願して亡くなっていた。それと自分を殺した相手がデミタスという事実もカイトに知られることを恐れていた。なぜなら、そのことをカイトが知ってしまうと必ずデミタスを倒そうとするに違いないからだ。
ダンテはおそらく私にカイトをデミタスに近づけさせ無いため、私の護衛を託したと理解した。私もそのつもりだったので、必死でカイトをデミタスから遠ざけるように動いた。
「うぉおお~~~!、うああああ~~~!!」
ルディーとダンテの二人はものすごい勢いで刀を振り下ろした。刀の衝撃波で森の中はモンスターと木々の残骸で埋め尽くされていく、今まで見てきた剣士の概念が変わるほどの凄さだった。二人の刀の衝撃波が森中にこだましてとても近づくことができない。
「ティアラ。大丈夫か?」
「カイト!」
私はすぐにカイトに寄り添い、カイトの服を掴んだ。私もダンテと同じで、絶対にカイトをデミタスに近づけさせない心持ちだった。デミタスに近づかないようにずっとカイトのそばにいて動きをコントロールするのが私の役目だったが、すぐに私達の周りにもデミタスが召喚したモンスターが押し寄せて、うまくデミタスからカイトを遠ざけることができないと悩んでいるとカイトは私の心配そうな顔を見てモンスターに怯えていると思ったのだろう、優しい声で話しかけてきた。
「大丈夫だ、ティアラ。この程度のモンスター俺がすぐに蹴散らしてやる」
そう言うとカイトは魔法を唱えた。すると私達の周りに稲妻が走り、見渡す限りのモンスターたちの頭上に雷が落ちて、あっという間にモンスターたちは黒焦げになって絶命した。私はこれでカイトを遠くに誘導できると安堵した。
(このままルディーさんとダンテさんがデミタスを倒してくれれば全てうまく行くわ)
私がそう思ったのもつかの間、何かが私達の近くに飛んできた。その飛んできた何かを見て唖然とした。それはルディーとダンテの姿だった。ふたりともボロボロになって、かなり攻撃を食らっている様子だった。肩で息をしている二人を見ると苦戦しているのが分かったが、すぐにふたりとも立ち上がった。
「ルディーさん、ダンテさん」
「ああ、お嬢ちゃん。心配いらないからあんたは自分のやるべきことに集中してくれよ」
ルディーさんから遠回しにカイトをデミタスに近づけさせるな、と言われているようだった。
「ルディーさん! ここは俺に任せてくれ!」
カイトはそう言うとデミタスに近づこうとしたので、すぐにルディーが止めた。
「カイト、お嬢ちゃんを守ってやってくれ、デミタスは俺たち二人で倒すから、お前は……」
「でも……」
「良いから、ここは任せてくれ」
反論するカイトの言葉を今度はダンテが止めた。カイトは歴戦の二人の剣幕に大人しく従った。
ルディーとダンテはすぐに体制を立て直すとデミタスに突っ込んでいった。また、森の中を二人の剣の衝撃波が鳴り響いた。振り下ろす刀の衝撃波により大きな木々が簡単に真っ二つになるほどの威力があったが、デミタスは魔法でバリアのようなものを張り巡らして二人の衝撃波が簡単に弾き返された。
「チクショウ! いくら斬り掛かっても奴に攻撃が届かない」
ルディーたちは焦っていた。一刻も早くデミタスを倒さないと余計なことをカイトに喋りそうで、気が気ではない、心が乱されて正確な攻撃ができないため、焦るルディーとダンテの様子にデミタスはついに何かを察知してしまった。
「先程からお前たちは何を焦っている?」
「な、なんのことだ?」
デミタスは二人から目を逸らすと遠くのカイトを見た。
「カイトがあそこで立ったまま何もしてこないところを見ると、あいつはまだ何も知らないようだな」
「なんのことだ? 貴様は余計なことは考えるな!」
「ふっはっは! その慌てようは図星のようだな」
「き、貴様! 何を考えている!」
ルディーとダンテが叫んだ時、デミタスは体から黒い衝撃波を放った。どす黒い衝撃波は周りの木々を枯れさせながら二人に迫った。二人はその黒い衝撃波をまともに食らって遠くまで吹き飛ばされた。吹き飛んでいく二人の姿を確認するとデミタスはゆっくりとカイトに近づいてきた。
私はすぐにカイトをデミタスから遠ざけようとカイトの服を掴むと逃げようと引っ張ったが、カイトはその場を離れようとしなかった。
「カイト! 早くここから逃げましょう!」
「ティアラ。大丈夫だよ、俺があいつを倒してやる」
「やめて! カイト! あの人には近づいちゃだめ!」
「大丈夫だ。俺に考えがあるから」
カイトとそんなやり取りをしている間にデミタスがカイトの近くに来てしまった。デミタスは私達を笑いながら見つめていた、その顔を見て私はものすごく嫌な予感がした。
「デミタス、貴様!」
「これは、これはカイト隊長。まさかあなたがそんな人間の小娘を助けるために、わざわざこんなところまで来るとは」
「言いたいことはそれだけか?」
「いえ、いえ、まだ核心は言えてませんよ」
「核心? どういうことだ?」
そこまで聞いたあと、デミタスが何を言うのか瞬時に理解した私は、すぐにカイトに向かって叫んだ。
「カイトだめ! あの人の言うことに耳を貸さないで! すぐにここから逃げましょう!」
「何を言い出すんだ? 耳を貸さないとはどういうことだ?」
カイトは不安そうに私の顔を見てきた。私がカイトの訴えるような顔を見て戸惑っていると、デミタスはカイトに質問した。
「カイト隊長。私がなぜギルティーの副隊長を努めているのか知っているか?」
「そ、そんなことは知らない」
「私は昔、情報司令部の司令隊長を努めていたんだよ」
「そんな司令部の隊長がどうしてギルティーの副隊長なんかやってるんだ?」
「それはある人物を守れなかった罰で降格させられたんだ」
「降格だと? その救えなかった人物というのは誰なんだ?」
カイトはしばらくの間、沈黙を続けた。彼は司令隊長を降格させるほどの重要人物が気になっているようだった、その様子を見て、すかさず私はカイトの耳を両手で塞ごうとしたが、カイトに手を掴まれた。
「やめてカイト! あの人の言うことをこれ以上聞かないで!」
「何を心配してるのさ、大丈夫だよ俺は何を言われようが問題ないさ」
カイトは優しい目で私を見つめた、その優しさが私には辛かった。私は咄嗟にデミタスに向かって叫んだ。
「やめて! これ以上何も言わないで! お願い!」
私の願いを聞いてデミタスは薄ら笑いを浮かべていた。
(だめだ! この人には何を言っても無駄だ)
このときほど自分の無力さを恨んだことは無かった。
「その人物は誰だ? 司令隊長だったお前を降格させるほどの人物となると、はかなりの大物だろう?」
「ああそうだ。その人物とは……」
「やめて! それ以上は言わないで! お願い!!」
私の願いは虚しくデミタスは次の瞬間、最悪な言葉を放った。
「その人物はお前の兄のマルクスだよ」
「何! マルクスだって? 何を言ってんだ? マルクスは今もこのルーン大国で幸せに暮らしている」
「今もここで幸せに暮らしているだと? わっはっは~~~!!」
デミタスはカイトの言葉を笑い飛ばした。
「お前の兄のマルクスはとうの昔に死んだよ」
「う、嘘だ! 貴様、そんなデタラメを言って、ただでは済まさんぞ!!」
カイトはデミタスの言葉に激高すると、全身に稲妻を走らせた。
「嘘だと? 嘘なんかじゃない。マルクスを殺したのは何を隠そう私なのだからな。嘘だと言うならその娘に聞いてみろ」
カイトはデミタスに言われて私を見たが、私はなんと言えばいいか分からずうつむいたまま黙ってしまった。
「ティアラ……、本当なのか? あいつの言ったことは本当のことなのか? ティアラ答えてくれ……」
「カ、カイト……、ご……ごめんなさい……」
私はなんと声をかけて良いのか分からず、その言葉しか出てこなかった。私の言葉を聞いてカイトはあまりのショックに膝から崩れ落ちた。私はすぐにカイトの顔を力いっぱい抱きしめた。
「ごめんなさい。カイト。嘘をついて……」
「う……嘘だ。兄ちゃん……そ、そんなことって……」
カイトは私の腕の中で震えて泣いた。私はデミタスを睨みつけた。
「どうしてこんな酷いことを……どうして傷つけるの……許さない! あなただけは絶対に……」
「許さないだと? 今お前を守れるものは誰も居ないぞ? 今すぐにこの俺がすぐに殺してやる」
デミタスはそう言うと私に手をかけようとしたところで、何かが飛んできてデミタスの右腕を貫通した。それは大きな弓矢だった。デミタスは弓矢が飛んできた方を睨むとすぐにニヤリと笑った。
「またおまえか?」
「それはこっちのセリフだよ。デミタス、いや……お義父さん……」
振り返るとそこにはルーン大国の夜叉神将軍の姿があった、すぐに森の中からルーン大国の軍勢がぞろぞろと姿を現した。
私とカイトとルディーとダンテの四人でロビナス村を出た途端、森の奥から多くの異様な気配を感じた時にはすでに遅く、気づくと私達は多くのモンスターに周りを取り囲まれていた。
すぐにモンスターの大群をかき分けてあの忌まわしい男が私たちの前に姿を現した。そいつはカイトのお兄さんのマルクスを殺したデミタスだった。デミタスが姿を表した瞬間、ルディーはものすごい速さで腰に付けていた刀を引き抜くと斬り掛かった。
「デミタス!!」
そのルディーの姿を見てすぐにダンテはカイトに私を守るように指示するとルディーに続いて飛び込んでいった。私はダンテの意図することをすぐに理解した。
私とルディーとダンテの三人はカイトと再会した後にあることを危惧していた。それはカイトのお兄さんのマルクスさんが最も恐れていたことだった。マルクスさんは自分が亡くなったことをカイトには絶対に秘密にして欲しいとルディーたちに懇願して亡くなっていた。それと自分を殺した相手がデミタスという事実もカイトに知られることを恐れていた。なぜなら、そのことをカイトが知ってしまうと必ずデミタスを倒そうとするに違いないからだ。
ダンテはおそらく私にカイトをデミタスに近づけさせ無いため、私の護衛を託したと理解した。私もそのつもりだったので、必死でカイトをデミタスから遠ざけるように動いた。
「うぉおお~~~!、うああああ~~~!!」
ルディーとダンテの二人はものすごい勢いで刀を振り下ろした。刀の衝撃波で森の中はモンスターと木々の残骸で埋め尽くされていく、今まで見てきた剣士の概念が変わるほどの凄さだった。二人の刀の衝撃波が森中にこだましてとても近づくことができない。
「ティアラ。大丈夫か?」
「カイト!」
私はすぐにカイトに寄り添い、カイトの服を掴んだ。私もダンテと同じで、絶対にカイトをデミタスに近づけさせない心持ちだった。デミタスに近づかないようにずっとカイトのそばにいて動きをコントロールするのが私の役目だったが、すぐに私達の周りにもデミタスが召喚したモンスターが押し寄せて、うまくデミタスからカイトを遠ざけることができないと悩んでいるとカイトは私の心配そうな顔を見てモンスターに怯えていると思ったのだろう、優しい声で話しかけてきた。
「大丈夫だ、ティアラ。この程度のモンスター俺がすぐに蹴散らしてやる」
そう言うとカイトは魔法を唱えた。すると私達の周りに稲妻が走り、見渡す限りのモンスターたちの頭上に雷が落ちて、あっという間にモンスターたちは黒焦げになって絶命した。私はこれでカイトを遠くに誘導できると安堵した。
(このままルディーさんとダンテさんがデミタスを倒してくれれば全てうまく行くわ)
私がそう思ったのもつかの間、何かが私達の近くに飛んできた。その飛んできた何かを見て唖然とした。それはルディーとダンテの姿だった。ふたりともボロボロになって、かなり攻撃を食らっている様子だった。肩で息をしている二人を見ると苦戦しているのが分かったが、すぐにふたりとも立ち上がった。
「ルディーさん、ダンテさん」
「ああ、お嬢ちゃん。心配いらないからあんたは自分のやるべきことに集中してくれよ」
ルディーさんから遠回しにカイトをデミタスに近づけさせるな、と言われているようだった。
「ルディーさん! ここは俺に任せてくれ!」
カイトはそう言うとデミタスに近づこうとしたので、すぐにルディーが止めた。
「カイト、お嬢ちゃんを守ってやってくれ、デミタスは俺たち二人で倒すから、お前は……」
「でも……」
「良いから、ここは任せてくれ」
反論するカイトの言葉を今度はダンテが止めた。カイトは歴戦の二人の剣幕に大人しく従った。
ルディーとダンテはすぐに体制を立て直すとデミタスに突っ込んでいった。また、森の中を二人の剣の衝撃波が鳴り響いた。振り下ろす刀の衝撃波により大きな木々が簡単に真っ二つになるほどの威力があったが、デミタスは魔法でバリアのようなものを張り巡らして二人の衝撃波が簡単に弾き返された。
「チクショウ! いくら斬り掛かっても奴に攻撃が届かない」
ルディーたちは焦っていた。一刻も早くデミタスを倒さないと余計なことをカイトに喋りそうで、気が気ではない、心が乱されて正確な攻撃ができないため、焦るルディーとダンテの様子にデミタスはついに何かを察知してしまった。
「先程からお前たちは何を焦っている?」
「な、なんのことだ?」
デミタスは二人から目を逸らすと遠くのカイトを見た。
「カイトがあそこで立ったまま何もしてこないところを見ると、あいつはまだ何も知らないようだな」
「なんのことだ? 貴様は余計なことは考えるな!」
「ふっはっは! その慌てようは図星のようだな」
「き、貴様! 何を考えている!」
ルディーとダンテが叫んだ時、デミタスは体から黒い衝撃波を放った。どす黒い衝撃波は周りの木々を枯れさせながら二人に迫った。二人はその黒い衝撃波をまともに食らって遠くまで吹き飛ばされた。吹き飛んでいく二人の姿を確認するとデミタスはゆっくりとカイトに近づいてきた。
私はすぐにカイトをデミタスから遠ざけようとカイトの服を掴むと逃げようと引っ張ったが、カイトはその場を離れようとしなかった。
「カイト! 早くここから逃げましょう!」
「ティアラ。大丈夫だよ、俺があいつを倒してやる」
「やめて! カイト! あの人には近づいちゃだめ!」
「大丈夫だ。俺に考えがあるから」
カイトとそんなやり取りをしている間にデミタスがカイトの近くに来てしまった。デミタスは私達を笑いながら見つめていた、その顔を見て私はものすごく嫌な予感がした。
「デミタス、貴様!」
「これは、これはカイト隊長。まさかあなたがそんな人間の小娘を助けるために、わざわざこんなところまで来るとは」
「言いたいことはそれだけか?」
「いえ、いえ、まだ核心は言えてませんよ」
「核心? どういうことだ?」
そこまで聞いたあと、デミタスが何を言うのか瞬時に理解した私は、すぐにカイトに向かって叫んだ。
「カイトだめ! あの人の言うことに耳を貸さないで! すぐにここから逃げましょう!」
「何を言い出すんだ? 耳を貸さないとはどういうことだ?」
カイトは不安そうに私の顔を見てきた。私がカイトの訴えるような顔を見て戸惑っていると、デミタスはカイトに質問した。
「カイト隊長。私がなぜギルティーの副隊長を努めているのか知っているか?」
「そ、そんなことは知らない」
「私は昔、情報司令部の司令隊長を努めていたんだよ」
「そんな司令部の隊長がどうしてギルティーの副隊長なんかやってるんだ?」
「それはある人物を守れなかった罰で降格させられたんだ」
「降格だと? その救えなかった人物というのは誰なんだ?」
カイトはしばらくの間、沈黙を続けた。彼は司令隊長を降格させるほどの重要人物が気になっているようだった、その様子を見て、すかさず私はカイトの耳を両手で塞ごうとしたが、カイトに手を掴まれた。
「やめてカイト! あの人の言うことをこれ以上聞かないで!」
「何を心配してるのさ、大丈夫だよ俺は何を言われようが問題ないさ」
カイトは優しい目で私を見つめた、その優しさが私には辛かった。私は咄嗟にデミタスに向かって叫んだ。
「やめて! これ以上何も言わないで! お願い!」
私の願いを聞いてデミタスは薄ら笑いを浮かべていた。
(だめだ! この人には何を言っても無駄だ)
このときほど自分の無力さを恨んだことは無かった。
「その人物は誰だ? 司令隊長だったお前を降格させるほどの人物となると、はかなりの大物だろう?」
「ああそうだ。その人物とは……」
「やめて! それ以上は言わないで! お願い!!」
私の願いは虚しくデミタスは次の瞬間、最悪な言葉を放った。
「その人物はお前の兄のマルクスだよ」
「何! マルクスだって? 何を言ってんだ? マルクスは今もこのルーン大国で幸せに暮らしている」
「今もここで幸せに暮らしているだと? わっはっは~~~!!」
デミタスはカイトの言葉を笑い飛ばした。
「お前の兄のマルクスはとうの昔に死んだよ」
「う、嘘だ! 貴様、そんなデタラメを言って、ただでは済まさんぞ!!」
カイトはデミタスの言葉に激高すると、全身に稲妻を走らせた。
「嘘だと? 嘘なんかじゃない。マルクスを殺したのは何を隠そう私なのだからな。嘘だと言うならその娘に聞いてみろ」
カイトはデミタスに言われて私を見たが、私はなんと言えばいいか分からずうつむいたまま黙ってしまった。
「ティアラ……、本当なのか? あいつの言ったことは本当のことなのか? ティアラ答えてくれ……」
「カ、カイト……、ご……ごめんなさい……」
私はなんと声をかけて良いのか分からず、その言葉しか出てこなかった。私の言葉を聞いてカイトはあまりのショックに膝から崩れ落ちた。私はすぐにカイトの顔を力いっぱい抱きしめた。
「ごめんなさい。カイト。嘘をついて……」
「う……嘘だ。兄ちゃん……そ、そんなことって……」
カイトは私の腕の中で震えて泣いた。私はデミタスを睨みつけた。
「どうしてこんな酷いことを……どうして傷つけるの……許さない! あなただけは絶対に……」
「許さないだと? 今お前を守れるものは誰も居ないぞ? 今すぐにこの俺がすぐに殺してやる」
デミタスはそう言うと私に手をかけようとしたところで、何かが飛んできてデミタスの右腕を貫通した。それは大きな弓矢だった。デミタスは弓矢が飛んできた方を睨むとすぐにニヤリと笑った。
「またおまえか?」
「それはこっちのセリフだよ。デミタス、いや……お義父さん……」
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