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第01章 どういうこと?
04 奇跡の魔法
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4日目です。
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露になった少女の裸身、しかしそこにあるのは初めて異性の裸を見たことに対するドキドキではなく、あまりに凄惨な光景に、息を飲むしかなかった。
初めて異性の裸を見たはずなのに、そこにあったのは羞恥でも興奮でもない。
ただ、痛みと怒りと悲しみだけだった。
体全体にあるみみず腫れ、これだけでも痛々しいがこれはまだ軽いほうで中には皮膚がはがれ下の筋肉が顔を出しているものや、その筋肉すら抉られてしまっている部分も多数。
また、ところどころやけどの跡があり、右胸に至っては半ばぐらいから切り取られてしまっている。そして当然のように左胸も無事ではなく先端部分が存在していない。腹部も幾度となく何かで殴られたようなあざが、多数存在している。というか、この体を見る限り無事な部分を探す方が大変な様である。
いや、一か所だけ不自然に無事な部分がある。それは、下腹部のさらに下、股のあたりだけは、不自然なほど無傷だった。おそらくだけど相手もさすがにここだけは責めきれなかったのだろう。その背後の尻は真っ赤に腫れ上がっていたけどな。
本当に一体誰がこんな非道なことをしたのか、齢15の娘に対してのこの仕打ちは人間の仕業とは思えない。といっても実はここまで非道なことができるのは人間だということを以前愛莉亜から聞いたことがある。
「と、とにかく、いつまでも見ている場合じゃないな」
このような姿をいつまでも見ているものではなく、一刻も早く治療してやりたいのでさっそく体を拭かせてもらおうと思う。
「これ、使わせてもらうな」
そう言って手に取ったのは彼女の体をまいていた布、といってもこれははがす際にこびりついていたこともあり繊維がボロボロになったり仕方なくちぎったのですでに後で巻き直すことはできない代物となってしまっている。
「ウォーター」
水魔法を発動、それにより空中に水球が浮遊した状態が出来上がり、その水球は、まるで祈りのように静かに揺れていた。
そこに手にした布を差し入れて濡らす。
「あっ、先に浄化しておけばよかった」
浄化は神聖魔法で、本来は霊を昇天させるものだが、副次効果で滅菌もできる。
「ピュリフィケーション」
詠唱の声が、静かに牢の空気を震わせる。
布に触れた瞬間、淡い光が広がり、穢れが祓われていくようだった。
ピュリフィケーションとは浄化のことである。これをかけることで布を無菌状態にすることができた。あとは、これを使い少女の体をふいていくことになる。まず手を伸ばしたのは顔、傷のところはゆっくりと丁寧に痛みが小さくなるように気を付けながら、傷のないところは少し強めに、といっても汚れが落ちる程度の力加減に調整してではあるが。そうして、顔をふき終わると今度は首、そして肩へと下がっていくこの辺りになるとやはり傷がさらにひどくなるのでより慎重に拭いていく。
「……ん」
「悪いな。もう少しだ」
時折漏れる少女のうめき声に答えつつさらに体をふいていくが、その前にここで再び水球に布を入れて清めておく。そして、次は胸、ここは半ばから切り取られたり、先端が無くなっていたりと、かなりひどいので、より慎重に拭いていく。
そうして、さらに腹、下腹部と拭いていき、横に傾けて左右のサイド、そして背中や尻といったぐらいに次々に体を拭いていく。
「いよいよここか、えっと、ほんとに悪い。すぐ終わるから我慢してくれ」
なるべく見ないようにしながら、布を手に取り少女の股を拭き、これにて少女の体を拭くという作業は終わったわけだけど、まだ彼女は傷だらけ、本番はこれからだ。
「ふぅ、やっと終わったか。これであとは治療をするだけだけど、その前にサンクチュアリ」
詠唱の瞬間、空気が静かに震えた。
足元から淡い光が広がり、牢の一角がまるで神殿のような静けさに包まれる。
これで、彼女を守る“聖域”ができた。
拭き終わったところで今度のサンクチュアリはピュリフィケーションの上位魔法で、空間全体を浄化する。尤も俺はまだレベルが低いので範囲は人間1人分しかできないが、今回はそれで充分だ。
「よしっ、これで簡易無菌室を作れたから治療に専念できるだろ」
そう言うことでいざ治療開始であるわけだけど、問題はここからで俺が使える治療の魔法は、ヒールだけ。でもこれは多少の傷とわずかな体力回復しかできない。
「ヒール」
試しにヒールをかけてみたが、やはりというべきかかすり傷程度の傷が若干薄くなった程度であり、鑑定で確認すると、HPがわずかに回復しただけ、しかもそれも一瞬にしてまた1に戻ってしまった。体中の傷が大きく体力を回復してもすぐにそれを消費してしまうようだ。
「ちりも積もれば山となるというし、これを何度もかけていくしかないか」
というわけで、それから数度ヒールをかけ続けてみたのだった。しかし、やはり効果が小さすぎて焼け石に水状態、かすり傷程度のものはなくなりみみずばれも薄くなったが、結局はそれだけでそれ以上の治療にはならなかった。
「無理か、あっ、そういえば愛莉亜が言っていたな」
またまた愛莉亜だが、異世界関係の両親を持つ愛莉亜は魔法にもたけており、それを教わったことがある。それによると、魔法はイメージ次第で威力が変わる。炎魔法も、燃焼の理屈を理解して使えば強くなる。愛莉亜が実演してくれた。そして、回復魔法も同じで、同じヒールでもただかけるよりは、人体構造や医療知識を使った方がより効果が出る。
ということで、さっそく少女のみみずばれなどが回復して元の肌になるようにイメージしてからヒールをかける。
皮膚の構造、血管の位置、細胞の再生――
頭の中で、教科書の図を思い浮かべながら、傷がふさがっていく様子をイメージする。
「ヒール」
魔法が発動した瞬間、肌の表面がゆっくりと滑らかになっていくのが見えた。
すると、やはり効果が増したようでみみずばれがかなり薄くなった。
「よしっ、これで何度もかければ」
それから幾度かヒールをかけ続けたことで、みみずばれ自体は完全になくなり、元の白くきれいな肌が見え始めてきた。といってもそれはみみずばれのような小さなものだけで、大きなものとなると残念ながら回復させることはできなかった。
「はぁ、やっぱりヒールじゃ無理か、もっと上位の魔法じゃないと」
いくらイメージをしたとしてもヒールという最下級回復魔法では限界があり、これをいくらかけたところで小さな傷しか治すことはできない。
それを打破するためにはやはりもっと上位の魔法しかない。それも、ハイヒールのような魔法ではなくさらにもっと、部位欠損すら治せるようなものだ。といっても、この世界に召喚されたばかりでレベルも低い俺では当然扱えない。
でも……
それでもこの少女を助けるにはそれを使うしかない。それなら、無理やりにでも使うしかない。
ということで、まずは先ほどよりも強くイメージする。人間の骨の構造、これは骨格標本をイメージする。それから、内臓、この辺りは教科書や人体模型から、そして、筋肉から血管、神経などイメージだけで人体を完成させる。
「だめだ、これじゃ」
これだけでは足りないと思い、そこからさらに集中して深く、深くイメージする。
すると、自然に頭の中に細胞から人体を蘇生する元素に至るまでが明確に浮かんでくる。
深く、深く沈んでいく意識の中で、光が差した。
それは言葉ではなく、祈りのような感覚。
頭の中に、ひとつの魔法が浮かんできた。
「……パーフェクト・ヒール」
詠唱は、歌のように、祈りのように――
でもその声には、怒りも、悲しみも、希望も、全部が込められていた。
最後の言葉とともに、俺は全魔力を解き放った。
少女の体に両手をかざし唱えると、手のひらから魔方陣が浮かび少女の体が白く光る。
魔方陣が浮かび上がった瞬間、牢の空気が震えた。
白い光が少女の体を包み、まるで天から祝福が降りてきたようだった。
そうして始まる光景はまさに劇的であった。
頭を見てみると、一部禿げ上がり地肌が見えてしまっていたところから徐々に髪が腰まで伸び、前髪が目にかかる。肌は白く滑らかに戻り、瑠璃色の瞳が再生されていく。
それだけで、彼女は美少女へと変わっていった。
体となるとこちらも―― 体中にあった小さな傷はすっかり消え、大きな、鞭か何かでえぐられた傷はジュクジュクと細胞が盛り上がり傷をふさいでいく。そして、これまたシミ一つないきれいな肌となった。
ほかにも胸なども半ば無くなっていた右胸が盛り上がっていき、綺麗なものになり、左胸も問題なく先端まで形成されていった。
そうして、体の修復が終わったところで、今度は肩口から切断されていた腕から真っ白な骨が生えてきて指先まで形成、その後その周りに筋肉や血管などが作られ最後に皮膚で覆われ、手が生えそろったのだった。また、それは足にも起きたことで、少女の体の修復が完全に終了したのだった。
そして、彼女の胸が静かに上下し始めた。
苦しげだった呼吸が、穏やかなものへと変わっていく。
命が――戻ってきた。
こうして完全回復した少女を見届けたところで、俺は意識を手放した。
4日目です。
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露になった少女の裸身、しかしそこにあるのは初めて異性の裸を見たことに対するドキドキではなく、あまりに凄惨な光景に、息を飲むしかなかった。
初めて異性の裸を見たはずなのに、そこにあったのは羞恥でも興奮でもない。
ただ、痛みと怒りと悲しみだけだった。
体全体にあるみみず腫れ、これだけでも痛々しいがこれはまだ軽いほうで中には皮膚がはがれ下の筋肉が顔を出しているものや、その筋肉すら抉られてしまっている部分も多数。
また、ところどころやけどの跡があり、右胸に至っては半ばぐらいから切り取られてしまっている。そして当然のように左胸も無事ではなく先端部分が存在していない。腹部も幾度となく何かで殴られたようなあざが、多数存在している。というか、この体を見る限り無事な部分を探す方が大変な様である。
いや、一か所だけ不自然に無事な部分がある。それは、下腹部のさらに下、股のあたりだけは、不自然なほど無傷だった。おそらくだけど相手もさすがにここだけは責めきれなかったのだろう。その背後の尻は真っ赤に腫れ上がっていたけどな。
本当に一体誰がこんな非道なことをしたのか、齢15の娘に対してのこの仕打ちは人間の仕業とは思えない。といっても実はここまで非道なことができるのは人間だということを以前愛莉亜から聞いたことがある。
「と、とにかく、いつまでも見ている場合じゃないな」
このような姿をいつまでも見ているものではなく、一刻も早く治療してやりたいのでさっそく体を拭かせてもらおうと思う。
「これ、使わせてもらうな」
そう言って手に取ったのは彼女の体をまいていた布、といってもこれははがす際にこびりついていたこともあり繊維がボロボロになったり仕方なくちぎったのですでに後で巻き直すことはできない代物となってしまっている。
「ウォーター」
水魔法を発動、それにより空中に水球が浮遊した状態が出来上がり、その水球は、まるで祈りのように静かに揺れていた。
そこに手にした布を差し入れて濡らす。
「あっ、先に浄化しておけばよかった」
浄化は神聖魔法で、本来は霊を昇天させるものだが、副次効果で滅菌もできる。
「ピュリフィケーション」
詠唱の声が、静かに牢の空気を震わせる。
布に触れた瞬間、淡い光が広がり、穢れが祓われていくようだった。
ピュリフィケーションとは浄化のことである。これをかけることで布を無菌状態にすることができた。あとは、これを使い少女の体をふいていくことになる。まず手を伸ばしたのは顔、傷のところはゆっくりと丁寧に痛みが小さくなるように気を付けながら、傷のないところは少し強めに、といっても汚れが落ちる程度の力加減に調整してではあるが。そうして、顔をふき終わると今度は首、そして肩へと下がっていくこの辺りになるとやはり傷がさらにひどくなるのでより慎重に拭いていく。
「……ん」
「悪いな。もう少しだ」
時折漏れる少女のうめき声に答えつつさらに体をふいていくが、その前にここで再び水球に布を入れて清めておく。そして、次は胸、ここは半ばから切り取られたり、先端が無くなっていたりと、かなりひどいので、より慎重に拭いていく。
そうして、さらに腹、下腹部と拭いていき、横に傾けて左右のサイド、そして背中や尻といったぐらいに次々に体を拭いていく。
「いよいよここか、えっと、ほんとに悪い。すぐ終わるから我慢してくれ」
なるべく見ないようにしながら、布を手に取り少女の股を拭き、これにて少女の体を拭くという作業は終わったわけだけど、まだ彼女は傷だらけ、本番はこれからだ。
「ふぅ、やっと終わったか。これであとは治療をするだけだけど、その前にサンクチュアリ」
詠唱の瞬間、空気が静かに震えた。
足元から淡い光が広がり、牢の一角がまるで神殿のような静けさに包まれる。
これで、彼女を守る“聖域”ができた。
拭き終わったところで今度のサンクチュアリはピュリフィケーションの上位魔法で、空間全体を浄化する。尤も俺はまだレベルが低いので範囲は人間1人分しかできないが、今回はそれで充分だ。
「よしっ、これで簡易無菌室を作れたから治療に専念できるだろ」
そう言うことでいざ治療開始であるわけだけど、問題はここからで俺が使える治療の魔法は、ヒールだけ。でもこれは多少の傷とわずかな体力回復しかできない。
「ヒール」
試しにヒールをかけてみたが、やはりというべきかかすり傷程度の傷が若干薄くなった程度であり、鑑定で確認すると、HPがわずかに回復しただけ、しかもそれも一瞬にしてまた1に戻ってしまった。体中の傷が大きく体力を回復してもすぐにそれを消費してしまうようだ。
「ちりも積もれば山となるというし、これを何度もかけていくしかないか」
というわけで、それから数度ヒールをかけ続けてみたのだった。しかし、やはり効果が小さすぎて焼け石に水状態、かすり傷程度のものはなくなりみみずばれも薄くなったが、結局はそれだけでそれ以上の治療にはならなかった。
「無理か、あっ、そういえば愛莉亜が言っていたな」
またまた愛莉亜だが、異世界関係の両親を持つ愛莉亜は魔法にもたけており、それを教わったことがある。それによると、魔法はイメージ次第で威力が変わる。炎魔法も、燃焼の理屈を理解して使えば強くなる。愛莉亜が実演してくれた。そして、回復魔法も同じで、同じヒールでもただかけるよりは、人体構造や医療知識を使った方がより効果が出る。
ということで、さっそく少女のみみずばれなどが回復して元の肌になるようにイメージしてからヒールをかける。
皮膚の構造、血管の位置、細胞の再生――
頭の中で、教科書の図を思い浮かべながら、傷がふさがっていく様子をイメージする。
「ヒール」
魔法が発動した瞬間、肌の表面がゆっくりと滑らかになっていくのが見えた。
すると、やはり効果が増したようでみみずばれがかなり薄くなった。
「よしっ、これで何度もかければ」
それから幾度かヒールをかけ続けたことで、みみずばれ自体は完全になくなり、元の白くきれいな肌が見え始めてきた。といってもそれはみみずばれのような小さなものだけで、大きなものとなると残念ながら回復させることはできなかった。
「はぁ、やっぱりヒールじゃ無理か、もっと上位の魔法じゃないと」
いくらイメージをしたとしてもヒールという最下級回復魔法では限界があり、これをいくらかけたところで小さな傷しか治すことはできない。
それを打破するためにはやはりもっと上位の魔法しかない。それも、ハイヒールのような魔法ではなくさらにもっと、部位欠損すら治せるようなものだ。といっても、この世界に召喚されたばかりでレベルも低い俺では当然扱えない。
でも……
それでもこの少女を助けるにはそれを使うしかない。それなら、無理やりにでも使うしかない。
ということで、まずは先ほどよりも強くイメージする。人間の骨の構造、これは骨格標本をイメージする。それから、内臓、この辺りは教科書や人体模型から、そして、筋肉から血管、神経などイメージだけで人体を完成させる。
「だめだ、これじゃ」
これだけでは足りないと思い、そこからさらに集中して深く、深くイメージする。
すると、自然に頭の中に細胞から人体を蘇生する元素に至るまでが明確に浮かんでくる。
深く、深く沈んでいく意識の中で、光が差した。
それは言葉ではなく、祈りのような感覚。
頭の中に、ひとつの魔法が浮かんできた。
「……パーフェクト・ヒール」
詠唱は、歌のように、祈りのように――
でもその声には、怒りも、悲しみも、希望も、全部が込められていた。
最後の言葉とともに、俺は全魔力を解き放った。
少女の体に両手をかざし唱えると、手のひらから魔方陣が浮かび少女の体が白く光る。
魔方陣が浮かび上がった瞬間、牢の空気が震えた。
白い光が少女の体を包み、まるで天から祝福が降りてきたようだった。
そうして始まる光景はまさに劇的であった。
頭を見てみると、一部禿げ上がり地肌が見えてしまっていたところから徐々に髪が腰まで伸び、前髪が目にかかる。肌は白く滑らかに戻り、瑠璃色の瞳が再生されていく。
それだけで、彼女は美少女へと変わっていった。
体となるとこちらも―― 体中にあった小さな傷はすっかり消え、大きな、鞭か何かでえぐられた傷はジュクジュクと細胞が盛り上がり傷をふさいでいく。そして、これまたシミ一つないきれいな肌となった。
ほかにも胸なども半ば無くなっていた右胸が盛り上がっていき、綺麗なものになり、左胸も問題なく先端まで形成されていった。
そうして、体の修復が終わったところで、今度は肩口から切断されていた腕から真っ白な骨が生えてきて指先まで形成、その後その周りに筋肉や血管などが作られ最後に皮膚で覆われ、手が生えそろったのだった。また、それは足にも起きたことで、少女の体の修復が完全に終了したのだった。
そして、彼女の胸が静かに上下し始めた。
苦しげだった呼吸が、穏やかなものへと変わっていく。
命が――戻ってきた。
こうして完全回復した少女を見届けたところで、俺は意識を手放した。
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