勇者として召喚されたのに、なぜか牢の中でした。

夢限

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第01章 どういうこと?

06 これからのこと

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 パーフェクト・ヒールによって完全回復したルミアとお互いのことを話したことで、ある程度打ち解けた気がする。

「しかし、まさかこうして再び人と話ができるとは思わなかった。キョウヤ、改めて感謝する」

 ルミアはそう言って感謝を言葉にした。

「お、おう」

 感謝されても照れてしまうが、ここは素直に受け取ることにした。

「さて、いつまでも話してたいとは思うけどそろそろ戻るよ。ルミアももう休んだ方がいいだろう」
「あ、ああそうだな。そうさせてもらおう」
「じゃあ、体を倒すぞ」
「うむ、すまない」

 完全回復したとはいえ、長らくかどうかはわからないが、動けない状態が続いたこともあり、ルミアはまだ自身の体を十分に動かせない。そこで、起こす時もそうだが、寝るときも補助が必要になる。
 というわけで、ルミアの背中に手を当て、ゆっくりとベッドに寝かした。
 ルミアの背中に手を添えて、そっと体を倒す。
 石床の冷たさに、彼女の体がわずかに震えた。
 でも、呼吸は穏やかだった。

「それじゃ、また明日な」
「ああ、明日だ」

 それから俺は寝るルミアに手を挙げてから、壊してしまった壁を抜け、自身の牢へと戻ったのだった。

「はぁ、まさかこんなことになるとは思わなかった。でもまぁ、1人でいるよりはずっといいけど」

 そんなことを思いながらも俺は少しやることをやってから眠りについたのだった。


 翌日、まどろみの中わずかに声が聞こえてきた。

「キョウヤ、キョウヤ」
「んっ? ルミア?」

 俺は別に寝起きが悪いわけでもないので、すぐ目を覚まし誰が呼んでいるのかすぐに理解した。

「どうした?」
「すまない、ちょっと手を貸してもらいたいんだが……その恰好は何だ?」

 ルミアの牢に顔を出すと、何やら手伝ってほしいそうだが、ルミアがいぶかしむように俺を見てきた。というのも、今現在の俺は、上半身裸で腰布をまとっただけの状態だからだ。

「あの後ちょっとな、これをルミアにと思って」

 そう言って取り出したのは2枚の布、これは俺が昨日来ていた服を3つに分割した残り2つである。

「それは?」
「服だよ。ルミアの体に巻かれてた布は使えないし、俺が着てたものしかなかったから切ったんだ」
「そうか、すまない」
「いやいいさ、それで用事ってなんだ?」
「ああ、それがな。回復したとはいえまだ体をうまく使えなくてな。それで、その……催してきて……」

 つまり、あれかトイレに行きたいけど、動けないからそこまで行くの手伝ってほしいということだ。

「このようなことを異性に頼むなど我が生涯の恥なのだが、このままではさらなる恥となる。幸いというべきかキョウヤにはすでに見られている。そうだろう?」

 窺うようにそう聞いてくるルミア、彼女が言っているのはたぶん発見時に見た垂れ流し状態の糞尿のことだろう。。

「ま、まぁ、あれは状況が状況だからなぁ」

 ここでそんなものは見ていないというべきかどうか迷ったが、ルミア自身は確信をもって聞いてきているはずなので、ここは素直に認めることにした方がいいだろう。

「ふむ、ならばこそ頼みたい」
「わかった。それでどうすればいいんだ。とりあえず運べばいいのか?」
「頼む」

 ルミアをよく見ると、顔が若干赤く、それでも意を決したような表情をしている。それを見た俺も同じく意を決しルミアの背と足に手をかけそのまま持ち上げる。いわゆるお姫様抱っこというやつだが、考えてみたらルミアは本当にお姫様だったな。

「どうした?」
「いや、くだらないことなんだが、これって俺の世界じゃお姫様抱っこといって、ほらルミアは本物だなぁとな」
「ふふっ、そういうことか」

 そんなたわいもない会話をしつつ、ルミアを牢内のトイレと思われるツボのところへと連れて行った。

「これか?」
「そうらしい、おろすぞ」
「うむ、まさか私がこのようなものにしなければならないとは、これも含めあの奴に恨みごとを告げねばならぬな」

 さて、ルミアを下ろしたはいいが、ここからどうすればいいんだ。ここが日本のトイレならこれでいいんだが、ここにあるのはツボ、そこに座るというわけにはいかない。

「えっと、どうするんだ?」
「ふむ、このまま座るというわけにはいかないな。となると仕方ない。キョウヤすまないがそのまま支えていてもらえるか」
「それは構わないけど」

 このまま支えるということは、いろいろ問題がある気がするがルミア本人の希望ということで、なるべく気にしないようにルミアがツボに跨るような態勢のまま支えたのだった。これは早めにルミアには動けるようになってもらった方がいいな、そうしないと俺が持たない。

 それから、何とか終えて今度は再びベッドまで運んだのだった。

「えっと、とりあえずこれを」
「う、うむ、すまない」

 お互いに何とも言えない空気ではあったが、それを打破するために昨夜作っておいたルミアの服を改めて手渡したのだった。

 それを受け取ったルミアではあったが、まだちゃんと体を動かせないということもあり、結局これも俺が手伝うことでようやく着せることができたというわけだ。
 服を着せ終えたルミアは、少しだけ安心したように息をついている。
 ふぅ、これでとりあえず目のやり場に困ることもなくなったわけだ。

「それで、ルミアこれからのことなんだけど、俺としてはここを脱出したいと思ってる。ルミアはどうだ?」
「それについては同意だな。しかし私はここがどこだかがわからない、分かれば何か策を考えることもできよう」
「ここか? そう言えば俺も名前は知らないな。でも、俺が召喚された神殿みたいなところの隣にバカでかい城があったから、たぶん首都だと思う」
「ふむ、おそらくそうだろう、この国の城はかなりの大きさだからな。そして隣には神殿がある。なるほど、そこで術式を展開したわけか、して」
「そこから馬車で10日、港町に出て、そこから船で5日のところにある島の牢獄らしい」
「ふむ、島か。そしてその距離となると、……おそらくカリブリーダス監獄だろう、となるこれは厄介だな」

 この場所の名前が判明したところで、ルミアが難しい顔をし出した。

「どういうところなんだ」
「カリブリーダス監獄は、海に浮かぶ孤島に築かれた、国家最深の闇。陸から船で五日。それ以外の出入り手段は存在しない。そして地下に向かって階層が続いており、深ければ深いほど、そこに収容される囚人は“国家にとって危険で、重要な存在”とされている。つまり脱獄は不可能というわけだ」

 なんとなくそうじゃないかとは思っていたが、思っていた通りにやばいところだったらしい。

「また、ここでは魔法が使えないとある」
「ん? 俺普通に使ってるけど」

 魔法が使えないという場所で普通に使っているんだけど、どういうことだ。

「おそらくだが、キョウヤは魔力が膨大だろう」
「あ、ああ、みたいだな」

 ここで俺の秘密として、実は俺って日本にいたころから膨大な魔力を保持していた。この辺りは愛莉亜から聞いていたことで、なんでも俺は愛莉亜と同等の1500ぐらいあったらしい。どうしてこんなにあるのかそれについては俺にもさっぱり分からなかったが。
 これを見た愛莉亜が俺に魔法を教えてくれた。
 尤も俺はどうも愛莉亜が使う魔法には一切の適性がないらしく全く使えなかった。そしてこの世界にきてスキルとして神聖魔法と水魔法があったので使っているというわけだ。

「その膨大な魔力でごり押しして使っているはずだ。だから、消費魔力は通常の数倍はあるはずだ。気が付かなかったのか?」
「いや、俺は召喚された直後にここに連れてこられたから、他で使う余裕はなかったし」
「なるほど、そういうことか」

 まぁ、何にしても魔法が普通に使える分に越したことはないのでいいとしよう。


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 次回の更新は12/10となります。

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