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Episode1
しおりを挟む「ここは、どこでしょう?」
細長い指を顎の下に持っていき考えるような仕草をする男性の麗人が無限に広がっているかのようにも思える白い空間を見渡しながら1人言葉をごほした。
「たしか、僕は今回のターゲットである人物を殺害し証拠も残さずその場を去ったはずなのですが……」
物騒な言葉を平然といいのけながら男性の麗人は形の良い眉間に皺を寄せる。
彼は裏の界隈では名を知らない者が居ないほどの暗殺の実力者であり、表でも海外を拠点に活躍しているパリコレモデルであった。
(誘拐が一番妥当だか、僕の背後を取れるほどの者は……いるにはいるが今はイタリアに行っていたはず……もしくは、死後の世界。 しかし僕は死んだのか?死んだ時の記憶がないのはおかしい。毒、あるいはショックで記憶をなくしたか……毒にはそれなりの耐性がある僕に気付かれずに毒を盛ることはほぼ不可能。死んだショックで記憶を飛ばす、これも決定打にかけている。)
数秒のうちに、彼は思考を巡らせた。暗殺業をやっていると一瞬が命取りになることも多々あるのだ。
ふと、白だけの空間に彼以外の気配を感じた。
その気配の正体は老齢の白髪の髭をこさえた老人だ。
「異界のものよ。そう警戒なさるでない。儂は貴殿の敵ではない。儂は貴殿の世界では神と言われる者じゃ。しばし、老人の話に付き合ってはくれんかのぉ?」
「これは神様でしたか。僕、神に出会うのは初めてでして少々驚きました。」
神と言った老人がふいっと皺だらけの指を空間に滑らせると何もなかったはずの場所に、シンプルだが一目で高価な造りだと分かる椅子とテーブル、ティーセットが準備された。
男性の麗人は、流れるような仕草で 老人─神様 のほうの椅子をひく。神様が椅子に腰を下ろしたのを確認し、ティーポットに入った温かなアールグレイの紅茶を2つのティーカップに注ぎ入れると自分を椅子をひいて腰をおとした。
その一連の流れを虚をつかれた顔で見ていた老人は、おもしろそうに笑いながら足を組んでティーカップで紅茶を口に含み、麗人を見た。
(この異界の者は今まで見た者とは違うのぉ。こやつなら任せても良いかもしれんな。)
「さて、神様はどうして僕をこの場所に呼んだのでしょうか?」
「あまり驚かんのぉ。何回か異界のものを呼んだことはあったがここまで落ちついて話を聞いてくれるものはなかなかいなかったのでな儂も少し驚いておるところじゃ。」
「職業柄といいますか、冷静になるのは得意なんですよ」
「本来ならば、貴殿──狂波優夜はまだ輪廻にのる運命ではなかったのだ。」
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毎日投稿します。
お時間あれば読んでください。
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