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Episode9
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優夜は人が部屋に近ずいてくる気配で目を覚ますと、数秒後に部屋の扉がノックされた。
気配で起きたのかイノリも身体を起こすが、優夜が起きていることに気づくともう一度眠りについた。布団をかけ直して扉を開けると、そこには昨日受付をしてくれた女性が立っていた。
「おはようございます。昨夜聞くの忘れてしまって、朝食どうしますか?代金はまだ頂いてないのでどちらでも大丈夫です。」
「おはようございます。わざわざご丁寧にありがとうございます。朝食は大丈夫です。聞きに来てくださったのに申し訳ないです。」
「いえ!そんな、こちらこそ朝早くからすみません。あ、あの1つお聞きしてもいいですか?」
申し訳ないと頭を下げ謝る優夜、手で制し聞きたいことがあると言う女性。
「はい。私が答えられることであれば何でも聞いてください。」
「もしかして、貴族様でいらっしゃいますか……?」
「貴族……ですか?何故そう思いに?」
「あ、いえ。凄く丁寧にお話されますし立ち振る舞いとか、身につけているものも高価そうに見えて……貴族様かなと思ったんです。」
失礼だったらすみません。と謝る女性を今度は優夜が宥める。
「いえいえ、そんな大層なものではありません。私はただの一般人です。」
「そうなんですか?あ、!長々と立ち話をすみません!失礼します!」
パタパタと階段を降りていく、彼女を見送り扉を閉める。
「貴族様とはよく言ったもんだ」
話している気配や声で完全に目が覚めたのか、イノリが肩に腕を乗せてきた。
「これからどうする?」
「そうですね。ギルドという場所に行こうと思います。」
ギルド─または冒険者ギルドとも言われる。
冒険者ギルドで冒険者登録をすると、冒険者カードを発行してもらえるため何かあった時のためにも身分証を作りたいと優夜は考えていた。
「面白そうだし賛成だな。そうと決まれば早く行こう」
「それよりイノリ、その髪のまま行くつもりで?」
「ん?何か問題か?」
「寝ていたから髪が絡まっていますよ。直してあげますから座ってください。」
今のいままでベットで寝ていたイノリの髪はぐちゃぐちゃになり、昨夜髪を結ったまま寝てしまったのもあり髪留めと絡まっている。
大人しく椅子に座ったイノリの白銀の髪に触れた。髪が傷まないように慎重に髪留めを取り外す。
(西洋の世界観に似ていると思いましたがイノリの髪留めや服装は東洋の物に近しいですね。)
イノリの髪留めは優夜の出身国でもある日本の髪留めと似ている。それは着物を纏った女性が主に好んで身につけていた装飾具─簪。
髪を解くと腰のあたりまであるのか長い。何故かアイテムボックスの中にあった櫛で髪を梳いていく。
髪1本1本が細いのだろう、髪がさらさらと手から零れ落ちていくが少し毛先が傷んでるように見えた。
「きちんと手入れしてますか?」
「いや髪なんて手入れしてもしなくても一緒だろ」
「勿体ない、こんなに綺麗な髪なのに…仕方がありません。それなら僕が手入れをしてあげます。」
「そうか?別にいいのに、まぁ優夜に任せるよ」
髪を触られ眠気がまた襲ってきたのか、暖かな陽射しに照らされ心地よくなったのか、それとも両方かは分からないがイノリが眠たげに目を擦る。
「はい、これで完成です。」
ものの数分で髪を結び直し櫛を仕舞う。
眠たげに歩きながらも部屋に備え付けてある鏡を覗くイノリが嬉しそうに微笑む。
「ありがとう、優夜」
「どういたしまして。準備も出来ましたしギルドへ行ってみましょう。」
──────────────────────────
優夜は人前では一人称は『私』です。
イノリの髪型は後ろでお団子です。これからは優夜がイノリの髪を手入れしたり弄ったりするのでちょくちょくかわります。
気配で起きたのかイノリも身体を起こすが、優夜が起きていることに気づくともう一度眠りについた。布団をかけ直して扉を開けると、そこには昨日受付をしてくれた女性が立っていた。
「おはようございます。昨夜聞くの忘れてしまって、朝食どうしますか?代金はまだ頂いてないのでどちらでも大丈夫です。」
「おはようございます。わざわざご丁寧にありがとうございます。朝食は大丈夫です。聞きに来てくださったのに申し訳ないです。」
「いえ!そんな、こちらこそ朝早くからすみません。あ、あの1つお聞きしてもいいですか?」
申し訳ないと頭を下げ謝る優夜、手で制し聞きたいことがあると言う女性。
「はい。私が答えられることであれば何でも聞いてください。」
「もしかして、貴族様でいらっしゃいますか……?」
「貴族……ですか?何故そう思いに?」
「あ、いえ。凄く丁寧にお話されますし立ち振る舞いとか、身につけているものも高価そうに見えて……貴族様かなと思ったんです。」
失礼だったらすみません。と謝る女性を今度は優夜が宥める。
「いえいえ、そんな大層なものではありません。私はただの一般人です。」
「そうなんですか?あ、!長々と立ち話をすみません!失礼します!」
パタパタと階段を降りていく、彼女を見送り扉を閉める。
「貴族様とはよく言ったもんだ」
話している気配や声で完全に目が覚めたのか、イノリが肩に腕を乗せてきた。
「これからどうする?」
「そうですね。ギルドという場所に行こうと思います。」
ギルド─または冒険者ギルドとも言われる。
冒険者ギルドで冒険者登録をすると、冒険者カードを発行してもらえるため何かあった時のためにも身分証を作りたいと優夜は考えていた。
「面白そうだし賛成だな。そうと決まれば早く行こう」
「それよりイノリ、その髪のまま行くつもりで?」
「ん?何か問題か?」
「寝ていたから髪が絡まっていますよ。直してあげますから座ってください。」
今のいままでベットで寝ていたイノリの髪はぐちゃぐちゃになり、昨夜髪を結ったまま寝てしまったのもあり髪留めと絡まっている。
大人しく椅子に座ったイノリの白銀の髪に触れた。髪が傷まないように慎重に髪留めを取り外す。
(西洋の世界観に似ていると思いましたがイノリの髪留めや服装は東洋の物に近しいですね。)
イノリの髪留めは優夜の出身国でもある日本の髪留めと似ている。それは着物を纏った女性が主に好んで身につけていた装飾具─簪。
髪を解くと腰のあたりまであるのか長い。何故かアイテムボックスの中にあった櫛で髪を梳いていく。
髪1本1本が細いのだろう、髪がさらさらと手から零れ落ちていくが少し毛先が傷んでるように見えた。
「きちんと手入れしてますか?」
「いや髪なんて手入れしてもしなくても一緒だろ」
「勿体ない、こんなに綺麗な髪なのに…仕方がありません。それなら僕が手入れをしてあげます。」
「そうか?別にいいのに、まぁ優夜に任せるよ」
髪を触られ眠気がまた襲ってきたのか、暖かな陽射しに照らされ心地よくなったのか、それとも両方かは分からないがイノリが眠たげに目を擦る。
「はい、これで完成です。」
ものの数分で髪を結び直し櫛を仕舞う。
眠たげに歩きながらも部屋に備え付けてある鏡を覗くイノリが嬉しそうに微笑む。
「ありがとう、優夜」
「どういたしまして。準備も出来ましたしギルドへ行ってみましょう。」
──────────────────────────
優夜は人前では一人称は『私』です。
イノリの髪型は後ろでお団子です。これからは優夜がイノリの髪を手入れしたり弄ったりするのでちょくちょくかわります。
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退会済ユーザのコメントです
まずは感想ありがとうございます*_ _)
今のところはイノリと旅を続けていく予定です。まだ旅にも出ていませんが…そこは遅筆で申し訳ないです。
優夜とイノリのことを見守ってくださると嬉しいです。
お話の内容が好きです!!!
敬語最高…🤭🥰
そう言って貰えると凄く嬉しいですっ!!
敬語攻め好きなんです。🥰