俺「が」守りたいのは俺「を」守りたい推しヒロイン〜全クリしたゲームに転生した俺は才能ゼロの推しヒロインに守られるフリに徹します〜

長縄 蓮花

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6話 理想の結婚と地下通路

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 泣きじゃくったヴァニラは今までの悲しみやこれからの不安を涙に溶かした後、俺の部屋を出る。

「ありがとね……シュ――」
「しゅ?」

「おやすみ……シュント……」

 顔を真っ赤にしたヴァニラは、白銀のロングヘアーを靡かせながらそそくさと部屋を出る。

「ぐ……ぐう可愛です」

 俺はこの時、この子を推してきて良かったと再度実感する。





「――ふう……じゃ行くか」

 ヴァニラと別れた数分後、俺は一本の蝋燭灯を持ち考えを整理しながら部屋を出る。

 まず前提として俺は、人生で唯一恋した推しヒロインであるヴァニラと一生ウフフアハハの人生を過ごしていきたい。

 これが俺の絶対的な理想。

 しかしそのためには乗り越えなくてはならない壁が3つある。

 ① 『ヴァニラは魔王討伐の重要なキーになるため、主人公に同行して魔王討伐を行わなければならない』

 別の男に想い人を同行させるのは癪だ。
 しかしそうしないと大勇者の子孫であり唯一魔王に対抗しうる主人公が力を発揮できずに死んでしまい、この世界は魔王の手に落ちる。
 はいゲームオーバー。

 ② 『主人公がヴァニラではなくアスナカーレを自身のヒロインに選ぶこと』

 当たり前だが主人公にヴァニラを取られたら俺がこの世界に生きる意味なし。
 はいまたゲームオーバー。

 ③ 『ノーデンターク家一同にヴァニラの事を次期後継者として認めさせること』

 たしか『スレイブ・フロンティア』で主人公がヴァニラを選ばないシナリオが選択された場合、ヴァニラはノーデンタークの後継者を辞退した後、修道女として出家し一生バージンを貫く……はず。

 正直俺はヴァニラストーリーしかプレイしたことが無いのでここからは微かに見たネット情報やオタク仲間に聞いた情報で想像するしかないが、もしそんなことをされては俺は生きる希望を無くしてしまう。
 これもゲームオーバー。

 以上を踏まえて導き出せる答え。

『ゲーム主人公が自身のヒロインにアスナカーレを選択したシナリオ展開で見事魔王を討伐し、ノーデンターク家の後継者として生きる事を決意したヴァニラと俺が結婚する』

 これが何千時間もプレイした俺が考えうる最適解……!

 そして現在ヴァニラは8歳。
 と言うことは魔王復活まで7年ほど……魔王討伐でノーデンターク領を訪れた主人公とヴァニラがあの草原で出会うまであと10年。

「はぁぁ……。どうすっかな……主人公の野郎に会う前にはヴァニラに自信をつけさせたいなぁー」

 そもそも草原で一人泣いているヴァニラに優しく語りかける主人公の出会い方がロマンチック過ぎたのだ……。

『無能の後継者として一族の皆にいじめられる私の事をここまで思ってくれる人がいるなんて……』という憔悴した女性の心につけ込もうとする行為が男らしくないのではないか……!?

 ま、俺はそれでヴァニラを落とした張本人なのだが。

 しかしこうなった以上そんなロマンティック展開は阻止する……!

 そのためには『ヴァニラはノーデンターク家を継ぐにふさわしい』と彼女を含めた全員に思い込ませる必要がある……!

 そうすれば今日みたいにエリクスから厳しくされてヴァニラが顔を腫らせることも無くなり、弟妹や屋敷の人間から虐められることも無くなる。

 ああ、なんてハッピーな展開だろう。

 俺は蝋燭の小さな灯りを頼りに屋敷一階の大広間にたどり着きキョロキョロと暗い周囲を見渡す。

「……よし誰もいないな」

「たし……か……ここに」

 俺は大広間奥の右から3番目に位置する古い本棚を見つける。

 一見普通の本棚だが、ここには重大な秘密が隠されているのだ……!

 本棚の下から3段目左奥の本をどかすと、そこには見覚えのあるスイッチがあった。

「おお……やっぱり幼少期時代からあったか……ラッキー」

 屋敷仕事で見た光景やこのスイッチを見る限り、青年期に主人公が訪れる頃と屋敷自体の構造や仕組みは変わってないと思って間違いない。

 そして隠されたスイッチを押すと、本棚の前の床はゴゴゴと擦れる音を立てながら開き、地下へと続く通路が姿を現す。

「よし……! 行くか」

 ヴァニラに自信をつけさせながら、一族中に彼女を認めさせる方法。
 それは

 
最強武器を手に入れた俺が彼女に守られるフリをしながらあの子を守ること……!
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