若い聖女が現れたから私はお役御免！？それならこっちから婚約破棄します！ ～今更私の力に気づいて戻ってきてと言ってももう遅いです～

自己紹介

しばらく沙羅たちの事を待っていると、遠くからたったったと走る足音が聞こえて、足音が聞こえた方を見ると、沙羅がこちらに向かって走ってくる姿が見えた。
「お待たせ～！遅れてごめんなさい！」
「全然大丈夫ですよ、あら？その方が？」
「あ！そうそう、紹介するね。私のクラスメイトで……お、お友達の……」
「フィリスです。今日はいきなり押しかけてしまい申し訳ありませんでした……」
そう言って、フィリスと名乗った女性は、申し訳なさそうに頭を下げていた。
私達が慌てて頭を上げてくださいと言うと、ありがとうございます。と言って
顔を上げた。
その瞬間思わず心臓がドキッと高鳴った。
フィリス様は、綺麗なアクアマリンの様な瞳に、腰まで伸びた金色の髪が光に反射してキラキラしていて、まるで天使様のようだと思ったから。
「わぁ～フィリスさん綺麗～」
「こらエミリア、いきなり抱き着かないの」
「ご、ごめんなさい……！嫌だったかな？」
「いえ、大丈夫ですよ」
エミリアに抱き着かれてながら、クスクスと笑うフィリス様を見て私は
また、綺麗だな……と思った。
沙羅も出会った時に見て綺麗だなと思ったけれど、沙羅とフィリス様はタイプの違う美人だなと思った。
「さて、改めて自己紹介をしましょうか。私はルカ、でこちらは……」
「俺はルークって言います。よろしくね」
「はいはーい！私はエミリア！よろしくお願いします！」
無事に三人とも挨拶をして、次はフィリス様の番だ。すると、少し緊張した面持ちで口を開いた。
「改めて、私はフィリスと申します。沙羅さんのクラスのクラス委員長をしていて、沙羅さんとは仲良くさせていただいています。本日は私が無理を言って皆さんに会わせて欲しいと沙羅さんに頼んで連れてきていただきました」
「どうして私達に会いたかったの？」
沙羅が不思議そうに聞くと、彼女は目を閉じて少し微笑みながら答えた。
「沙羅さんと仲良くさせていただいているので挨拶をしなくてはと思いまして……それに、聖女様に会ってみたかったんです」
「そうだったんですね、でも私に会いたかったとは？」
「この国にいれば、聖女様に会いたいって思うのは当然の事ですよ！それに沙羅さんと仲良しの噂を聞いて本当なのかなって確かめたかったんです」
その言葉を聞いて、嬉しいけれど少し恥ずかしいような……
そんな気持ちになった。
聖女様と言われる事には慣れていたけれど、面と向かってこんな事を言われるのは、中々ない事なのでどう反応していいのか分からないでいると、
沙羅が横から話しかけてきた。
「そろそろ、ここから出発しないと遊ぶ時間無くなっちゃうよ？」
「確かに、そうですね……じゃあ、行きましょうか。皆さん行きたいところとかありますか？」
私がそう問うと、沙羅は顎に手を当てて何かを考えているようだった。
しばらく考えていた沙羅だったが、突然手をパンッと叩いて提案してきた。
「はい！私、海に行きたいです！」
沙羅の提案に私達はびっくりしたけれど、
すぐに賛成した。だって、沙羅のあんな楽しそうな笑顔を見たら、断るなんて出来ないもの。
「じゃあ、海に行きましょうか。皆様はそれで大丈夫ですか」
「はい。私は大丈夫です」
「私も大丈夫だよ～！」
「俺も、大丈夫だよ」
「ふふっ、じゃあ向かいましょうか」
そう言って、私達は海に向って歩き出した。