若い聖女が現れたから私はお役御免！？それならこっちから婚約破棄します！ ～今更私の力に気づいて戻ってきてと言ってももう遅いです～

準備の日の朝

いつもよりも早く目が覚めた朝。
カーテンを開き、窓を開けると気持ちのいい朝の空気が流れ込んでくる。
ゆっくりと深呼吸をして、ぐーっと体を伸ばす。
今日は、パーティの準備をする為に皆が私の家に来る日。
「皆さんが来る前に私も準備しないとですね」
そう呟き、クローゼットの中から今日着るお洋服を選ぶことにした。
今日は、結構動くだろうからなるべく動きやすそうなお洋服を選び
身支度を整え、朝食をとる為に食堂へと向かった。
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「おはようございます……あら？私が一番の様ね」
食堂に着いたけれど、他の家族の姿はまだ無く、どうやら早く来すぎたみたいだ。
とりあえず待っていれば皆来るだろう、といつもの自分の席に腰掛けた。
数分ぐらい待っただろうか？扉の先から人の気配がしたので、椅子から立ち上がり扉の方を見る。
「おはようございます」
「あら？ルカちゃん？今日は随分と早いのね、おはよう」
「おはようございます、お母様。今日はとっても大切な用事があるので」
「そうだった、確かパーティの準備をするのよね？楽しみね」
「はい！楽しみです」
ふふっと、笑い合っていたらお母様の後ろからお父様が顔を出した。
それに気づいた私が、お父様におはようございます、と挨拶すればお父様は
にっこりと笑って、おはよう、ルカ。と挨拶を返してくれた。
「今日は随分早いんだな」
「あら、その話はもうしたわ。ねぇ？ルカちゃん」
「ふふっ、そうですね。あら？今日はお兄様と一緒では無いのですね？」
そう言ってお父様の後ろを見る、お兄様とお父様はいつも起きる時間が大体
一緒で、朝は良く二人一緒に食堂に来ているのだけれど、今日はそのお兄様の
姿が見えなくて、どうしたんだろう？と不思議に思っていたら、私の考えている
事が分かったのかお父様が
「アイツは後から来るって言っていた」
「お兄様が？何かあったのでしょうか……」
「いや、そんな深く考える必要は無いと思う。とりあえず先に朝食をとろう」
「はい、分かりました……」
お兄様……一体どうしたんだろう……
少し心配だったけれど、お父様は大丈夫だと言っていたし、きっと大丈夫。
そう思った私は、さっきまで座っていた自分の席に着き、朝食が用意されるのを待った。
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朝食を食べ始めて少し経った頃だろうか？
お兄様が慌てたように食堂に入って来た。
「お兄様！？」
「ルカ……お父様にお母様も、おはようございます」
「おはようクロード、どうだよく眠れたか？」
「えぇ……それはもう……」
「えっ？えっ？もしかして、お兄様……お寝坊さんですか……？」
「…………うん」
申し訳なさそうな顔をしながらそう呟くお兄様。
何かあったとかじゃ無くて良かった……と思ったけれど
寝坊、だなんて……
「心配して損しました……！」
「ルカ……！心配してくれたのか？」
「もちろんです！でも、寝坊だなんて……」
「まぁまぁ、ルカちゃん。クロードも最近忙しかったのよ、ね？」
お母様は優しく微笑んで、お兄様にそう言った。
その微笑みを見たお兄様は、ありがとうございます……と言って 席に着いた。
良かった、本当に何も無くて……
もし何かあったのかと思っていたらどうしようかと不安になったけれど、何も無くてよかった。
「ルカも心配かけてごめんな？」
「ううん、確かにびっくりしましたけど何も無くて安心しました」
「ルカ……」
そんなやり取りをしながら、私は朝食のパンを一口食べた。