若い聖女が現れたから私はお役御免!?それならこっちから婚約破棄します! ~今更私の力に気づいて戻ってきてと言ってももう遅いです~

桜乃

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「うーん……」
『ル~カ!何してるの?』
「ムル、今はねルークに出す招待状の文面を考えてたの」
『ふ~ん……じゃあプレゼントは完成したんだ』
「えっ!?」
そのムルの言葉に、文字を書く手が止まった。
だって、こんなに準備は進んでいると言うのにルークにプレゼンとする為の
アクセサリーはまだ完成していないのだから……
『えっ!?もしかしてまだ完成してないの!?』
「はい……」
『でもパーティはもうすぐなんだよね?間に合うの?』
「それは大丈夫です……!!絶対間に合わせます!」
私がムルに向かってそう答えると、ムルはそれならいいけど……と言っていたけれど、私に向けた視線は何処か心配そうだった。
分かっている……こんなギリギリまで
出来ていないだなんて、本当にダメだって。
でも……どうしても納得のいく物が作れなくて、何かが違うと思って何度も作り直してはやり直してを繰り返しているうちにこんなにギリギリまでかかってしまった。
『まぁ……本当に大変そうだったらムルも手伝うからね……?』
「ムル……ありがとう、でも私一人で頑張るから大丈夫よ」
『ほんとに……?』
「ほんとよ、それより何かお手伝いしたいムルには……招待状のデザインを考えてもらおうかしら?」
『いいの!やる!』
そう言ってムルは、嬉しそうに私の肩に飛び乗ると、どんなデザインにしようかな~とか、ルークがびっくりするやつにしようかな~と楽しそうに歌っていた。
そんなムルの様子を横目で見て、私も招待状の文面を考えるのを再開した。
******
「出来た……!」
数時間後……色々悩んで招待状を完成させることが出来た。
アクセサリー作りもこんな風に出来たらいいのにな、と思いながら机の上で気持ち良さそうに眠っているムルの姿を見てふふっ、と笑った。
「ムルもありがとうございます……」
『うぅ~ん……ムルもお手伝いできるよ……むにゃ……』
「ふふっ、夢の中でもお手伝いしてくれて
るんですか?」
ムルは寝ぼけながらも、ちゃんとお手伝いできるよと言っていた。
そんなムルが可愛くて、私はムルの頭をそっと撫でてから机の上に置いていた招待状を持ち自室を出た。
「おや?お嬢様どうかされましたか?」
「セイ……ちょうど良かった、この招待状をルーク様に届けてくださいますか?」
「これをですか?分かりました、ルーク様に届けておきますね」
「ありがとうございます、ではよろしくお願いいたします」
セイに招待状を渡し、これで準備は整った。
あとはパーティ当日を向かえるだけ……
まぁ、それの前にプレゼントを完成させると言う 大仕事があるのだけれど……
でも、これで何とか間に合いそうで私はホッと息を吐いた。
そして、自室に戻ってベッドに倒れ込みう~んと伸びをした。
明日は、皆で集まってパーティの為の飾りつけをして、ケーキとかの
下準備をする日。
そしてパーティ当日は、朝一で最後の準備をしてルークを出迎える。
緊張もあるけれど……それよりも楽しみと言う気持ちが強く、ワクワクする気持ちを抑えながら私は目を閉じた。
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