271 / 321
二人で裏の森へ
しおりを挟む
他愛のない話をしながら、裏の森に向かう私とルーク。
今は授業中なのか学園の中は、しん……と静まり返っていて
遠くの方から、授業をしているであろう声が微かに聞こえてくるくらいだった。
コツコツコツ……と足音を響かせながら歩き続けていれば いつの間にか目的地までもう目の前だ。
私達はそのまま真っ直ぐ裏の森へと向かって歩き続ける。
「もうすぐで着きますね、二人の事を待たせてしまってないと良いのですが……」
私は、少し心配になりそう呟くとルークが少し急ごうか?と提案してくれたので 私は頷き、裏の森へと急ぐことにした。
******
待ち合わせ場所に着くと、もう二人は
着いていたようで 私達の姿を見つけると、手を振ってくれた。
私も二人に手を振り返しながら二人の下へと近づく。
「すみません、お待たせしてしまいましたか?」
「ううん!私達も少し前に着いたばっかりだから」
沙羅がそう言えば、隣にいたフィリスも頷き、私はほっと息を吐いた。
それから、私達はそのまま四人で森の奥の方へと足を進めた。
******
「そう言えば、ルカの忘れ物……思い出せた?」
「いいえ……でも、心配しないでください、きっといつか思い出せる筈ですから……」
「ルカ…………」
「それより、今日は色々な事を教えますからね?
覚悟しててください?」
私はそう言って、二人に向かって笑いかけた。
そして、私の言葉を聞いた二人は、頷き……よろしくお願いします!と元気よく挨拶をした。
そんな二人につられるように私も笑い、こちらこそと答える。
******
しばらく歩き森の奥に着くと、私は持ってきた道具達を広げ
始める。
二人はそれを興味津々な表情でじっ……と見つめている。
私はそんな二人の様子が可愛いな、なんて思いながら準備を進めた。
「ねぇ、ルカこれは何に使うの?」
そう言って沙羅が指したのは、小さな魔法石。
この魔法石は、魔力を蓄積出来るものになっていて、魔法が使えない人や 魔力が少ない人が、持ち歩いたりする物だと
私は二人に説明しながら、それを手渡す。
すると二人は興味深そうにその魔法石を見つめる。
「でも、私達魔力は普通の人よりあるよ?」
「私もです……」
「そうね、でもこの石に魔力を込めるのは……多分今の貴女達には難しいと思う」
私がそう言えば、二人は黙って考え込んだ。
少し意地悪な事を言ってしまったな、と思うけれどこれも二人の為。
「この石に魔力を込めるのには魔力は勿論、それをコントロールするための
技術も必要なんです。少し見ていてください」
そう言って私は小さな石を手に取ると、その石に魔力を込める。
目を閉じ、神経を集中させると、石に光が灯る。
私はゆっくりと目を開け、ふっ、と力を抜くと石は光りを消してしまう。
「お二人も試してみてください」
「う、うん……!」
「はい……!」
二人は私と同じように、魔法石に魔力を込める。
が……やはりそれは上手く行かず、石は砕けてしまう。
それを見た二人は、更に落ち込んでしまった。
私はそんな二人の頭を優しく撫でながら、大丈夫。と声をかける。
「これから練習すればきっと出来るようになるわ、ルークもそうだったもの……ね?」
「あぁ、俺も以前はルカの様に上手く出来なかったが今では……」
ほら、とルークも小さな石に魔力を込める。
その石は、砕ける事無く淡く光を灯していた。
私はその石を二人に差し出しながら、こう言う。
コツはね、魔力のコントロールなの……と。
「今日一日で出来る事じゃない、一歩一歩頑張りましょう」
私がそう言えば、二人は同時に頷いた。
そんな二人の様子を見て、私は満足そうに笑ってみせるのだった。
今は授業中なのか学園の中は、しん……と静まり返っていて
遠くの方から、授業をしているであろう声が微かに聞こえてくるくらいだった。
コツコツコツ……と足音を響かせながら歩き続けていれば いつの間にか目的地までもう目の前だ。
私達はそのまま真っ直ぐ裏の森へと向かって歩き続ける。
「もうすぐで着きますね、二人の事を待たせてしまってないと良いのですが……」
私は、少し心配になりそう呟くとルークが少し急ごうか?と提案してくれたので 私は頷き、裏の森へと急ぐことにした。
******
待ち合わせ場所に着くと、もう二人は
着いていたようで 私達の姿を見つけると、手を振ってくれた。
私も二人に手を振り返しながら二人の下へと近づく。
「すみません、お待たせしてしまいましたか?」
「ううん!私達も少し前に着いたばっかりだから」
沙羅がそう言えば、隣にいたフィリスも頷き、私はほっと息を吐いた。
それから、私達はそのまま四人で森の奥の方へと足を進めた。
******
「そう言えば、ルカの忘れ物……思い出せた?」
「いいえ……でも、心配しないでください、きっといつか思い出せる筈ですから……」
「ルカ…………」
「それより、今日は色々な事を教えますからね?
覚悟しててください?」
私はそう言って、二人に向かって笑いかけた。
そして、私の言葉を聞いた二人は、頷き……よろしくお願いします!と元気よく挨拶をした。
そんな二人につられるように私も笑い、こちらこそと答える。
******
しばらく歩き森の奥に着くと、私は持ってきた道具達を広げ
始める。
二人はそれを興味津々な表情でじっ……と見つめている。
私はそんな二人の様子が可愛いな、なんて思いながら準備を進めた。
「ねぇ、ルカこれは何に使うの?」
そう言って沙羅が指したのは、小さな魔法石。
この魔法石は、魔力を蓄積出来るものになっていて、魔法が使えない人や 魔力が少ない人が、持ち歩いたりする物だと
私は二人に説明しながら、それを手渡す。
すると二人は興味深そうにその魔法石を見つめる。
「でも、私達魔力は普通の人よりあるよ?」
「私もです……」
「そうね、でもこの石に魔力を込めるのは……多分今の貴女達には難しいと思う」
私がそう言えば、二人は黙って考え込んだ。
少し意地悪な事を言ってしまったな、と思うけれどこれも二人の為。
「この石に魔力を込めるのには魔力は勿論、それをコントロールするための
技術も必要なんです。少し見ていてください」
そう言って私は小さな石を手に取ると、その石に魔力を込める。
目を閉じ、神経を集中させると、石に光が灯る。
私はゆっくりと目を開け、ふっ、と力を抜くと石は光りを消してしまう。
「お二人も試してみてください」
「う、うん……!」
「はい……!」
二人は私と同じように、魔法石に魔力を込める。
が……やはりそれは上手く行かず、石は砕けてしまう。
それを見た二人は、更に落ち込んでしまった。
私はそんな二人の頭を優しく撫でながら、大丈夫。と声をかける。
「これから練習すればきっと出来るようになるわ、ルークもそうだったもの……ね?」
「あぁ、俺も以前はルカの様に上手く出来なかったが今では……」
ほら、とルークも小さな石に魔力を込める。
その石は、砕ける事無く淡く光を灯していた。
私はその石を二人に差し出しながら、こう言う。
コツはね、魔力のコントロールなの……と。
「今日一日で出来る事じゃない、一歩一歩頑張りましょう」
私がそう言えば、二人は同時に頷いた。
そんな二人の様子を見て、私は満足そうに笑ってみせるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
お前のような地味な女は不要だと婚約破棄されたので、持て余していた聖女の力で隣国のクールな皇子様を救ったら、ベタ惚れされました
夏見ナイ
恋愛
伯爵令嬢リリアーナは、強大すぎる聖女の力を隠し「地味で無能」と虐げられてきた。婚約者の第二王子からも疎まれ、ついに夜会で「お前のような地味な女は不要だ!」と衆人の前で婚約破棄を突きつけられる。
全てを失い、あてもなく国を出た彼女が森で出会ったのは、邪悪な呪いに蝕まれ死にかけていた一人の美しい男性。彼こそが隣国エルミート帝国が誇る「氷の皇子」アシュレイだった。
持て余していた聖女の力で彼を救ったリリアーナは、「お前の力がいる」と帝国へ迎えられる。クールで無愛想なはずの皇子様が、なぜか私にだけは不器用な優しさを見せてきて、次第にその愛は甘く重い執着へと変わっていき……?
これは、不要とされた令嬢が、最高の愛を見つけて世界で一番幸せになる物語。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
【完結】王子は聖女と結婚するらしい。私が聖女であることは一生知らないままで
雪野原よる
恋愛
「聖女と結婚するんだ」──私の婚約者だった王子は、そう言って私を追い払った。でも、その「聖女」、私のことなのだけど。
※王国は滅びます。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
私を裁いたその口で、今さら赦しを乞うのですか?
榛乃
恋愛
「貴様には、王都からの追放を命ずる」
“偽物の聖女”と断じられ、神の声を騙った“魔女”として断罪されたリディア。
地位も居場所も、婚約者さえも奪われ、更には信じていた神にすら見放された彼女に、人々は罵声と憎悪を浴びせる。
終わりのない逃避の果て、彼女は廃墟同然と化した礼拝堂へ辿り着く。
そこにいたのは、嘗て病から自分を救ってくれた、主神・ルシエルだった。
けれど再会した彼は、リディアを冷たく突き放す。
「“本物の聖女”なら、神に無条件で溺愛されるとでも思っていたのか」
全てを失った聖女と、過去に傷を抱えた神。
すれ違い、衝突しながらも、やがて少しずつ心を通わせていく――
これは、哀しみの果てに辿り着いたふたりが、やさしい愛に救われるまでの物語。
冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる
みおな
恋愛
聖女。
女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。
本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。
愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。
記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる